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ハネナシコロギス幼虫 2004/12/13
落ち葉を掻き分け、越冬昆虫を探すというのもけっこう根気がいる作業だ。
当たれば次々と昆虫が見つかることもあれば、1時間近く林にしゃがみ込んでいてもめぼしいものが全く見つからないことさえある。
落ち葉を糸で綴った隠れ家に潜んでいたのはハネナシコロギス幼虫である。これまでにコロギス幼虫を偶然にも見つけたことがあるが、彼らの冬越し宿を探し当てるのは容易なことではない。
夏の頃、梢に綴った葉っぱのお宿はけっこう見つかるのであるが、、。

写真のハネナシコロギス幼虫は、既に産卵管もあってメスだとわかる。
名前のごとく成虫になっても翅はないので、まるでカマドウマのようでもある。新開 孝

マエムキダマシ 2004/12/12
マエムキダマシという名称は、フォトモやツギラマでお馴染みの糸崎公朗さんの発案だが、今日のこの虫にはいかにもふさわしいネーミングだと思う。
サザンカやヤツデなど様々な常緑樹の葉裏をめくっていけば、このマエムキダマシはすぐに見つかる。
正式和名はクロスジサジヨコバイといい、体長は4ミリ前後とたいへん小さい虫だ。
私がこの虫に関心を寄せ始めたのは去年の秋からだが、なかなかその生活史はよく見えてこない。
冬の今頃、幼虫から羽化して成虫が出現することなど、かなり変わった生活ぶりが窺える。
写真下を見ていただければ、マエムキダマシという名称の理由もはっきりする。
お尻についた大きな眼状模様とさらに脚を思わせる黒い筋など、
お尻こそが頭でござる!と言わんばかりである。新開 孝

晩秋か初冬か? 2004/12/11(その2)
飯能市周辺ではまだ雑木林の紅葉が美しい(写真上、コナラ紅葉)。
イロハカエデも木によってはすっかり葉を落としているものから、真っ赤な彩りに染まったものまであって、本格的な落葉はもう少し先のようだ。
今の時期は秋の風景にふさわしいのだが、例えばオオムラサキやゴマダラチョウの幼虫は落ち葉の下へと潜り込み、すっかり冬越し態勢に入っている。
もっとも彼らにとって、本格的な落葉が始まってから冬仕度をしていたのでは、お定まりの冬越し場所へたどり着けなくなる危険性が高くなる。
つまり落ち葉の寝床ごと、エノキの根元から遠く離れた所へ漂流してしまっては、
来春の目覚めのあと自分の食樹へ戻れなくなる。

さて、イボタの木も多いのであのピンク色のウラゴマダラシジミ越冬卵を探してみたのだが、空振りに終わった。
ふと卵探しの手を休めていると、イボタの実が葡萄の房のように見えて思わず撮影してみた(写真中)。
鳥たちに食べられることを待っているのであろうか。
つるんと丸い形は、いかにも飲み込み易くて食欲をそそるのであろうと思う。
ついでながら先の私の指をかじるイナゴ(ハネナガイナゴ?)を撮影中の私(写真下、撮影は某Nさん)。
構えているカメラはオリンパスの一眼レフデジカメ、E-1。
今回アップした写真(12/11)は全てこのE-1を使用している。
使うほどにこのカメラが気に入ってしまった。
軽い、静か、操作性もメニューよりか各ボタンのプッシュでできることが多いのも使い易い。
惜しむらくは画像表示、起動などのレスポンスが少々鈍く感じられることだ。
この辺は人によって感じ方の差が出るところだろうが、
少なくともEOS-1Dマーク2を使い慣れた私には気になる点であった。
他にも操作性については細々とした問題点を見つけたが、
それらはいずれ将来のE-2でもって改善され、さらなる優れたカメラへと進化することが大いに期待できる。
それほどにE-1は素性のいいカメラということである。
昆虫のフィールド撮影ではなんといっても機動力が大事。
小型軽量なE-1なら2台、いや3台さえ携行しても苦にならないと感じている。新開 孝

イナゴとフキバッタ 2004/12/11(その1)
冬晴れの心地良い一日。飯能市に赴いてみた。
久々のフィールド巡りだ。
足下から次々と飛び出すイナゴをそっと指に止まらせてみる。
するといきなりガブリと噛み付いてきた。イナゴの口の感触は初めての経験だが、私の指はそれほどに美味なのか?(写真上)

フキバッタの一種も多い(写真中)。
どうやら皆、メスと思われる。そのうち一匹が葉っぱを食べ始めた(写真下)。これからまだ産卵をするのであろうか。このときとばかり熱心な食事だ。今日はやけに暖かいせいだろうか。ムラサキシジミもチラチラ飛んでいた。新開 孝

サザンカと虫 2004/12/06(その1)
一昨日アップしたトビイロケアリたちは、蜜でお腹がぱんぱんに膨らんでいたが、その様子がわかる写真を今日、撮影してみた(写真上)。
アリのお腹の節間が伸びきって、そこが白っぽく縞模様に見える。
別のサザンカの花では、ユスリカの一種が休んでいた(写真下)。
前にも書いたがユスリカやハエ、アブといったディプテラの仲間はすこぶる寒さに強い。強いという表現は正しくないかもしれないが、人の寒暖感覚からすればそう見えてしまう。

さて、本日の写真はいずれも、キャノンのカメラと接写レンズMP-E65を使用している。
撮影倍率は3倍近くとなっており、こうした2倍以上の接写撮影にはこのレンズが欠かせない。描写力もたいへんすぐれている。
野外で手持ち撮影できる限界は私では3倍あたりでそれも条件はかなり制約を受けるが、
それでも5倍までの拡大接写ができるMP-E65はほんとうに重宝する。
ところが一方、先日から使い始めたオリンパスのE-1では、
こういった高倍率マクロレンズがないため、現状では等倍から2倍までが限界である。
もちろんマウント変換リングを使って旧ズイコーマクロレンズを組み合わせれば高倍率接写ができるが、
自動絞りが効かない点ではまったく実用的でない。
本来、接写システムでは他社の追随を許さなかったオリンパスが、
デジタル一眼カメラのシステムを立ち上げてから、
いっこうに高倍率マクロレンズを出してくれないのである。
これにはいささか不満を通り越して疑問すら湧く。
何故ですか????
そう言えばニコンもこの手のマクロレンズを造らない。
オリンパスもニコンも商売にならないからか?
いづれも技術力はあるはずだが。
しかし、私はすでにE-1の購入を決めているし、末永くこのシステムを使っていくつもりでいる。
なんとかできる限り早くオリンパスから高倍率マクロレンズが発売になることを願ってやまない。
新開 孝

アリとナナホシテントウ幼虫 2004/12/04
サザンカの花を覗き込んで見て回る作業ははた目からはいかにも怪しげで、そんなことするのはこの辺りでは私くらいだろうと思う。
かなり冷え込んだ今日も花芯部にはトビイロケアリが集っており、お腹は吸い上げた蜜で膨らんでいる(写真中)。やはり覗き込んでみる価値が多少なりともあるのだ。と、言いたい。

また、ヒメジョオンの花ではナナホシテントウ幼虫が無心に花粉を食べており(写真下)、冬とは言っても虫の姿は絶えない。















『オリンパスE-1の初撮り、というお話し』

さて、本日アップした写真はオリンパスE-1で撮影したもの。
もうこのカメラの評価は多くの方々に知れ渡っているので、
今さらどうこう言うのも何だが、第一印象は一眼レフカメラでありながら、実に静かなカメラだということだ。
撮影していてブレを感じさせない安定感は、今日のように曇天時の風景撮影、あるいは接写という場面で非常に有り難いと思えた。
画質も良いレベルだと感じる。
なにせ絞りの深度効果は通常の一眼レフデジカメとは2段分くらい違うので、
この辺はこれからもう少し使い慣れていく必要があるが、とにかく接写撮影では有利この上無い。
E-1については1年以上も前に海野さんによる説明会にも参加し、
かなり魅力を感じていたのだが、
発売されているレンズ群については不足があってすぐに導入することには躊躇してきた。
しかし、来年から魚眼や超広角ズーム、望遠マクロなど次々とレンズが出揃うということを聞き及び、
もうこの辺りで導入を考えても良いと判断したのである。
また本格的なシーズンに入る前に操作慣れしておくというのも理由付けとしては納得できるものであった。新開 孝

アゲハ蛹とヤドリバエ 2004/12/03
『遊星からの物体X』というSF映画では南極観測所が舞台となっていた。そこに宇宙から飛来した謎の生命体が、観測所隊員の体に乗り移ってしまう。しかし、外見上の変化はなく人間になりすましている。これに気付いた隊員の一人の主人公は命からがら、その正体を暴こうと試みる。とりあえず同僚全員を椅子に縛り付け採血する。主人公はシャーレの中の血に熱した銅線を押し付けるという手段を思い付いたのだ。謎の生命体は人間の細胞全てに便乗しているから、例え血液でももがき苦しむのではないかという仮説だった。何人目かでその仮説通りシャーレの血が飛び跳ね、そして縛られていた一人が悶え始め、異様な生命体が正体を曝け出す。

昔観た映画のそんなシーンを思い出したのも、
今朝はアゲハの蛹からヤドリバエ幼虫が脱出するところを目の当たりにしたからである。

このアゲハの蛹は先月、ハイビジョンカメラで蛹化シーンを撮影したあと、ベランダに置いてあったものである。
足場糸、そして帯糸がけから蛹化脱皮まで、一連の手順を見事に披露してくれたのである。
11月に入って急遽、近所を探し回りようやく一匹だけ見つけることのできた幼虫であったが、
その幼虫はすでにしてヤドリバエの卵を体内に宿していたことが、
今になってわかったのである。
そう言えば、昨日ちらりと見た蛹の体色が少し変わったなあと感じていたのだが、、、、。
とにかくこのヤドリバエの類いは、
巧妙にアゲハ幼虫の体内に寄生しており、
蛹化が終了するまでは外見上まったくなんの兆候も掴むことができない。
ヤドリバエ幼虫はアゲハの幼虫が蛹となり、そしてその体がしっかりして落ち着いたころ、
蛹体内を猛然と喰い進み一気に最後の成長を遂げるのであろう。
蛹が空洞となった(写真上)ところで蛹の外皮を喰い破り、
命綱を伸ばしながら地上へと降りて行く(写真中、下)。
ちなみにヤドリバエ幼虫の目のように見える二つの黒点はおしりの方で、頭ではない。新開 孝

クロスジフユエダシャク 2004/12/02
すでに中里の林でもフユシャクの仲間が舞うようになった。これまで観察していたゴマダラチョウ幼虫もすべてエノキの梢から姿を消して1週間が過ぎた。
やはりもう、冬がきたようだ。
北風が冷たい中、クロスジフユエダシャクのオスが地面近くをチラチラ舞っている。
そのうちクヌギの幹でじたばたしているオスを見つけた(写真上)。交尾かと思って近寄ってみると、幹のしわの奥に潜んでいたクモに捕まったようだ。クモをひっぱり出そうとしたが、奥深く逃げ込まれてしまい撮影できなかった。
しばらくすると落ち葉の上でメスが見つかった(写真中)。
ほどなくクヌギの幹を登り始めた(写真下)。
メスのあしは異様に長い。歩く速度も早い。
やがてオスが飛来して交尾するのだろう。
その交尾が成立する瞬間を見たのは、過去に一度しかない。それも別の種類だ。
クロスジフユエダシャクは昼間に数多く舞うので、シジュウカラなどの格好の餌になりやすい。

新開 孝

ムクノキとフジ 2004/12/01(その2)
マンション裏には大きなムクノキが3本ある。
いや、あったと言うべきで、3本のうち真ん中の一本はとっくに立ち枯れている。
写真上の左の立ち枯れがその一本だ。
そして見て御覧のように、右側のムクノキにはフジの太い茎がまるで絞め殺しの木のごとく這い登っている。
フジは毎年5月ころ豪華絢爛に花を咲かせるのであるが、
いかんせんムクノキの頂上付近で開花するため、
その花を見るのは容易ではなく、花びらが散り始める頃にようやく開花に気付くという案配なのである。
で、その見えないフジの花では毎年、せっせとウラギンシジミの幼虫が育っており、
その幼虫が低いところの葉っぱで蛹になったりする。
しかもこのフジは8月の真夏には必ず狂い咲きして、
そしてそこへはすかさずウラギンシジミが産卵していくのである。
そんなムクノキも今は見事な色付きをしており、
面白いことにフジの紅葉もまさに同調して、鮮やかな黄色葉を展開している。
ムクノキの実はいかにも見た目には美味しそうで、無い!のであるが、
しかし、ムクドリやキジバト、ヒヨドリがぱくぱくと食べていく。
その実はまた、地上に落下するとそこで熟して、ヒカゲチョウやカメムシや他いろいろの昆虫の御馳走となっている。

新開 孝

キョウチクトウアブラムシ 2004/12/01(その1)
体の色は黄色というか蜜柑色に近い。
このアブラムシは夏の間、キョウチクトウの新梢に夥しいコロニーを
見るのであるが、いつしかその姿が消えてしまう。
それが秋も深まると、今度は写真のごとくガガイモのつる茎に出現するから、不思議な気がしてならない(写真上)。
アブラムシをよーく見ると、肩のあたりが膨らんでいる。これはやがて成虫へと羽化すれば有翅虫になるという証しである。
その有翅虫たちは何処かへと旅立つのであるが、これからいったい何処に降り立ち新しい世代を産卵するというのであろうか?
ちなみに寄主であるガガイモの方も、今は種子を放出する時期であり、
これだけアブラムシにいたぶられても、ちゃんとどっこい次世代を残すのである。
ガガイモの種子はタンポポの綿毛を何倍にも大きくしたようなパラシュートであり、
それが一個の実にぎっしり無数に近く詰まっている。
まるでタコのような姿をした種子は、
ふんわ、ふんわ、とのんびり秋風に乗って旅に出る。新開 孝

ミノムシの開き 2004/11/25(その1)
9月ころ一本のエノキに多数のミノムシが着いていた。
エノキは小木だが、ミノムシの数は異常なまでに高密度であった。ときおり幼虫がミノから体を乗り出しては、葉っぱを食べる姿も観察できた。

それが10月に入ってから様子が一変したのである。
まずミノを外から軽く摘んでみる。するとどのミノムシも全てがペシャンと潰れてしまうのだ。
さてはヤドリバエの仕業であろうと思って放っておいたのだが、今朝、いくつかのミノムシを回収してきた。
さっそくミノを切り開いてみたのが今日の写真である。
で、判ったことだがミノムシ幼虫に寄生したヤドリバエは一種ではなく、さらに寄生バチも関与しているらしい。
ミノムシ幼虫の体は頭部以外は著しく萎縮して、わずかに残骸が残るのみ。
そしてミノ内部で目立つのは寄生バエや寄生バチの蛹殻である。
その蛹殻はミノによって数、大きさ、色、形に違いがあって、これは寄生者の素性の違いと見てとれる。
中段の写真を御覧いただきたい。
ミノ外皮(写真右側)に寄生バチが産卵管を引っ掛けたまま死んでいたのだ。ハチはこのミノムシから羽化して出て来たのであろうか?

さて、本日の写真はカメラを使用していない。
忙しいからという理由もあるが、ふと思い付いてスキャナーを使ってみた。
ミノムシの開きなら厚みも少ないのでいけるだろうと思ってさっそく試してみたが、これはほんとうに楽ちんで面白い。
葉っぱを全て等倍スキャニングした樹木の植物図鑑も最近出版されている。(小学館、フィールドガイド22『葉で見分ける樹木』林 将之 著)
新開 孝

ハラビロカマキリのメス 2004/11/23(その2)
ハラビロカマキリに元気はなかったが、それでも私が手を差し出すと鎌を振り上げ、威嚇のポーズをとる。
この先まだ産卵できるかどうかは定かで無いが、12月も半ばを過ぎると、木の幹に生きていた時のままの姿で死んでいることがよくある。
その死に様は、まるでゼンマイ仕掛けの人形が、動力をしだいに失ってゆっくり静止するときのような、そんな光景を想像させる。
新開 孝

オオキノメイガ 2004/11/23(その1)
ウコン色の蛾がコナラの幹にぴたりと静止していた。
紅葉の色付く雑木林には、とても似合うと思った。
調べてみるとオオキノメイガだ。
幼虫はポプラを食べるそうだ。ポプラはこれまでほとんど注目してこなかったが、こんな蛾の幼虫がついているなら今後は気を付けてみたいものだ。新開 孝

今日のゴマダラチョウ幼虫 2004/11/22(その2)
朝から暖かい日射しを浴びて、3匹のゴマダラチョウ幼虫がエノキの梢に悠然と構えている。
ここのエノキの並びでは、すでに2匹の幼虫が地面へと移動した。
今頃は木を降りるかそれともまだ留まるかという、
微妙な時期でもあるようだ。
しかし、これらの幼虫が皆、地面の落ち葉へと姿を消してしまうころはもう冬の到来も間近ということになる。
今年の秋は雨も多く、フィールドを歩く時間も極端に少なかった私にはやけに秋が短いと感じる。新開 孝
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