| ニトベエダシャク幼虫の姿は極めて印象に残る。したがって私も幼虫はずいぶん前からよく見ていたし写真にも撮っていたが、その成虫の姿はあまり意識したことがなかった。 当『ある記』でも去年、ニトベエダシャクの成虫を紹介したが、先日、うちのマンションの外灯にも飛来した。 昆虫のなかでもいわゆる完全変態、つまりチョウやガやハチ、アブなど幼虫の姿と成虫の姿がまったくかけ離れている場合は、未熟な幼生期それ自体が立派な一個の生物種に見えてしまうから面白い。 芋虫、毛虫、蛆虫などは、それぞれに命名したくなるほど、人間でいえばすでに存在感があって、風格すら帯びていると言える。 ガキのくせに生意気なほど存在感がある、それがそもそも昆虫の幼虫の正体であって、「何とかの幼虫」とは決して呼ばれたくはないのかもしれない。
話はそれたが、外灯に引き寄せられたニトベエダシャクは、無惨にも新聞配達の兄チャンか、もしくはマンションの住人にでも踏みつぶされてしまったようだ(写真)。まさか、私ではないだろうな!? うむ!こうして命をはかなく落とすガやもろもろの昆虫が、日本全国で数えたら如何程のものか!?それは天文学的数字だろうなあ。
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