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スジチャダイゴケ 2004/10/21(その2)
わずかな時間の中で、雑木林のキノコを探してみた。
さっそく地面や朽ち木に、小さな盃型のキノコが並んでいるのが目に止まった(写真上)。
上から見た盃の直径は8ミリ程度。
高さは1センチに満たない。
中には盃の上部が白い膜で閉じたものもある(写真中)。
さらにその白い膜が三方向に破れて開きつつある菌体もあった(写真下)。
とにかく小さいのと、林内は暗いので、その気になって探さないと見過ごしてしまう。

以前、明るい草地の地面で、ハタケチャダイゴケというキノコを撮影したことがあるので、今日のキノコも同じ仲間であることがすぐわかった。
ハタケチャダイゴケでは、盃の中に黒い碁石のような胞子の塊が詰まっていたが、このスジチャダイゴケでも同じような構造となっている。
昨日からの雨で、その碁石(専門用語では「小塊粒」というらしい)はどれもはじき出されたようだ。
雨滴によって胞子の塊を飛散させるというところが、
何とも興味深い。
その瞬間を超高速ストロボと特殊なセンサーでもって撮影してみたい、などと思う。

『図鑑は楽しい読み物だ!』

さて、本日の写真、スジチャダイゴケと断定したのではあるが、少し気になって、
つい先月、山と渓谷社から発行されたばかりの『きのこワンダーランド』(森の休日シリーズ)を開いてみると、うまい具合にハタケチャダイゴケとスジチャダイゴケの写真が出ていた。
この本ではキノコが実物大で印刷されており、図鑑ではないけれど、ちょっと身近なキノコを照らし合わせて調べてみたくもなる。実物大というのは有り難い。
するとこの本に載っているスジチャダイゴケの姿は、私が今日撮影したものよりか、かなり縦長くてパッと見たイメージが違う。
むしろ全体の感じは、ハタケチャダイゴケの方に似ている。
しかし、発生場所や白い膜などの細かい特徴を図鑑で調べた結果、どうやらスジチャダイゴケで合っていると私には思われた。
キノコに限らず、植物などもその成育条件などで、ずいぶん個体差があって、そういうバリエーションまで図鑑の情報に取り込むのは不可能に近い。
図鑑というものはどんなに努力しても、完璧なものなど出来はしないのだが、
ひとえに図鑑を作ろうという情熱こそが大事で、それがにじみ出た図鑑本には実用の域以外に、読む楽しさというものがある。
そう、図鑑は普段、ごろりと横にでもなってパラパラ眺めるだけでも楽しい。
掲載されたイラストや写真、解説文などから、様々な状況に想像を巡らせれば、まさに世界観まで広がるというものだ。
先の『きのこワンダーランド』の写真を撮った大作晃一さんの夢は、日本一のキノコ図鑑を作ることだそうな。これは実に楽しみな話しである。

新開 孝

コクワガタのメス 2004/10/21(その1)
昨日の台風23号通過後、本日は正午頃より晴れ間が出て、日中は気温も20度を越したようだ。
さっそく1時間程、林を歩いてみた。

キノコを探していると、雨水で黒光りするクヌギの幹で、コクワガタのメスを見つけた。
このクヌギの根元にはクロクサアリの巣があって、いつも行列が出来ているからコクワガタもとんだ災難に見舞われている。
だがクロクサアリにしても、どこから攻めればいいのかと、あちこち噛みついてみては右往左往している。
このメスは8月頃の遅い時期に、蛹室から出て来たのではないだろうか。体を見る限りあまり傷んではいない。
それにしても今月中には、越冬のため朽ち木などに潜り込むはずである。新開 孝

コカマキリの緑色型 2004/10/18
コカマキリは名前のごとく体が小さい。
体格の大きいメスでも体長はせいぜい6センチ位だ。カマキリの仲間では中型と言えるだろう。そのコカマキリで注目すべきは、体の色が褐色のものが圧倒的に多いということだ。
いやむしろ出会うコカマキリのほとんどが褐色型であると言った方がいい。

ところが今日、所沢市の多福寺でコカマキリの緑色型を見つけることができた。過去にも探したことがあるが、目撃した記憶が無くもちろん写真に撮った経験も無い。
今日見つけたコカマキリ緑色型は、お腹の大きいメスだった。このメスの子供たちがいったいどういう体色になるのか、極めて興味深い。
ところで、林の縁でよく見かけるハラビロカマキリ
では、コカマキリとはまったく逆に褐色型が極めて稀で、ほとんどが緑色型である。
過去に私がハラビロカマキリの褐色型を撮影したのは1度だけしかない。
新開 孝

トカゲとアオダイショウ 2004/10/17
地面に頭を突っ込んだままのトカゲ。
土をかき出しているから、掘っていたのだろう。
それにしても「何してんだあ!?」である(写真上)。

尻尾をつついてみると、ずるずると奥に入っていく。
それでも尻尾だけは地上に残った。少し穴を拡張してみると御覧の通り(写真中)、トカゲの顔が窮屈そうに現われた。
何か獲物でも追い詰めていたのだろうか?
狭い穴ん中で一体どうなってんだあ!?である。

しばらくして今度は、アオダイショウの幼蛇である(写真下)。日光浴でもしているようだ。実はこの場所では先日から雨上がりのたびに、この幼蛇が姿を現わすようになった。
体長は30センチ程度。日頃、「爬虫類・両生類」の図鑑を眺めているうちの子供は、「まだら蛇だから、毒があるんじゃない!」と驚いていた。子供が言うように、確かにマムシに似ている。しかし、これは明らかにアオダイショウの幼蛇なのである。ちょっと脅かしみると、口をカッと開けて威嚇のような仕種をした。
雨が続いたあとの晴れ間、体を日乾しするのにうってつけの場所は、こうした金網柵などが最適のようだ。

新開 孝

オオカマキリ、怒る! 2004/10/16
ここは町田市、小野路。
昔はずいぶん通った谷津田だが、今日は近くの野津田公園で観察会の講師の仕事があるので立ち寄ってみた。

車の中で弁当を食べていると、オオカマキリのメスが目に入った。さっそく、ちょっかいを出してみる。
すると怒りのポーズをとった。
しかもしつこく続けてちょっかいを出すと、「おりゃあ!」とばかり鎌を大きく振り上げる。
しかし、なんだか凄みに欠ける。怒り具合が弱いではないか。

昆虫には表情が無いともよく言われるが、オオカマキリの怒りの表情にはかなり個体差があると思う。
このメスの凄みに欠ける理由の一つは、赤い口を見せていないことでもあろう。
その他にも細かい体の特徴の違いや、その使い方の程度で、表情には変化がつく。
こんなことを書いた以上、その個性派をずらりと並べてみんかい!
そう自分に言い聞かせてみたい。
新開 孝

マントカラカサタケの最期 2004/10/15
今日もマントカラカサタケを見に行った。
うちから歩いて2分とかからない雑木林の中だから、
仕事を無視すればいつでも気軽に出向ける場所だ。
昨日までとはうって変わって今日は朝から秋晴れ。
このキノコが朽ち果てるまでを見届けることなど、叶わぬ望みであることは承知している。
マントカラカサタケに限らず、小道沿いに目に付くキノコの大方が、何者かに蹴散らされる運命にあるからだ。
さて、朝日を浴びてそそり立つマントカラカサタケの姿にはすでに衰えが感じられた(写真上)。マントのごとく垂れていたつばも、ほとんど崩れ落ちてしまい、傘のひだも張りを失いつつある。もう胞子は旅立ったのであろうか?

午後3時過ぎ、再び出向いてみると、案の定キノコは根元からへし折られ、でんぐり返っていた(写真下)。
あーあっ、である。


『悪夢の出会い!』

ここまでキノコの日々が続くと、じつに忌わしい想い出が鮮明に蘇る。
それは何年も前の秩父市山中の出来事だ。
8月の蒸し暑い日だった。空は厚い雲に覆われ、今にも雨が降り出しそうな昼下がり。
私はあるNHK番組の仕事のために、コナラの樹液に集まる昆虫をビデオ撮りしていた。
雲行きも怪しくなるし、昆虫の顔ぶれもほぼおさえたしで、そろそろ引き上げようと機材を車に撤収した。
それでもまだ時間には余裕があったので(保育園に子供を引き取りに行く時間)、少し雑木林を歩いてみることにした。
傾斜のきつい林床をゆっくり進むうち、まさか!と瞬時に足が凍り付いた。
それはなんと!ずっとずっと憧れの「キヌガサタケ」であった!
そのマントのごとくあるいは淑女のスカートのごとく広がった網目や、そして何とも形容し難いその怪しい姿に目眩がするほどの感激を憶えたのである。
おお、やっと出会えたかあ!
だが、しかし!その一瞬後に、私と正反対の向きから
もう一つの視線がもの凄い勢いで迫ってきたのには驚愕した。
いや恐怖すら感じた!
一人のおばさんが、キヌガサタケ目掛けて突進してきたのである。
およそ運動神経にかけては、私の足下にも及ばぬそのおばさんが、まさに火事場のバカ力とでも言えよう馬力をここぞと発揮して、猛進してきたのであった。
あーあっ!である。
「わあーっ!あった、あった、収穫うー!」
なんという暴言であろうか!
そして凄まじい手技でもって小脇に抱えた竹編みカゴに
キヌガサタケはあっさり、餌食となったのである。
私の目の前で!
おばさまは、キヌガサタケの姿をほんの少しでも眺めるなどという、
その無駄な時間などいっさいかけず、機械仕掛けの収穫ロボットのごとく、見事に仕事を終えて、さっさとキノコ狩り軍団のところへ自慢しに戻ったのであった。
私の存在など、おばさんの脳みそには無かったようだ。
後にも先にも、キヌガサタケを見たのはそれが最初で最後。この忌わしい想い出のためか、キノコ狩りする人には、思わず殺、、、、、。いや、この辺でよしておこう。
新開 孝

マントカラカサタケ 2004/10/14
マントカラカサタケはどうなっただろう?

午前9時頃、林に行ってみた。すると林の中で白く輝くキノコがあった。
おお!傘がきれいに開いている。今朝は散歩する人が多いが、少し離れたところから見ていると、この大きなキノコに気付かない方もいる。いや知ってて無視しているのか。ともかくもマントカラカサタケは無事であった。
私が這いつくばって撮影していると、キノコの名前を尋ねてきた方が二人いた。そのうちの一人は携帯電話のカメラで撮影する。
ハッと気付くと、1時間近くもマントカラカサタケを眺め撮影していた。
昨日作った超ローアングル三脚はさすがに使い易い。シャッターはセルフタイマーで切るが、最初は10秒しか設定がないものと思い、えらく時間を無駄にしていた。メニューを開くと、2秒という選択もできることに途中で気付いた。コンパクトデジカメのマニュアルはちゃんと読んでおいた方がいいようだ。
今まで低速シャッターを切る時は、リモコンばかり使っていたせいもある。
しかもセルフタイマ−音の設定がいつの間にか、犬の遠吠えになっており驚いてしまった。
新開 孝

マントカラカサタケ/その4 2004/10/13
マントカラカサタケの幼菌をつぶさに眺め、撮影しているうちに、不覚にもつばに手が触れてしまいその一部分が破れた(写真上、下)。
非常にデリケートなキノコだ。

林の中とはいえ、小道沿いであるからまた何者かに抜き取られる危険性が高い。
なんとか傘が完全に開いた姿を見てみたいが、明日を待つしかないようだ。
もっともすぐ近くにはかなり古いマントカラカサタケも見つかってはいるが、
こちらは殆ど崩れる寸前にまで萎れていた。

昨日も今日も、室内での仕事に追われる状況ではあったのだが、
このマントカラカサタケについては気になって仕方が無かった。
ほんとうに仕事をさぼっている時間が長くなってしまったが、
キノコには無知でありながら、何故か夢中になってしまう。
キノコの魅力にとり憑かれてしまい、仕事が手に付かないのだから、これは困ったものだ。
新開 孝

マントカラカサタケ/その3 2004/10/13
さて、いよいよ今朝になってにわか作りの超ローアングル三脚を携え、林に出向いてみた。
林入り口のマントカラカサタケは、やはり人目に触れ易い場所のためか、またもや根元から抜き取られてころがっていた。無惨!
少し不安になって今度は林の奥に行ってみれば、おお、こちらは健在!しかも球状だった傘が開きかけている。
写真上では私の手を画面に入れてみた。
キノコを真上からみると(写真中)、まるで乳房か肉まんのよう。
傘を下から覗き上げると(写真下)、つばが傘にくっついており、ひだが見えない。新開 孝

マントカラカサタケ/その2 2004/10/13
さて昨日見つけたマントカラカサタケ幼菌、今日はどうなっただろうか?
幸いにしてずっと雨が続いている。これでは犬連れの散歩者なども少ないだろうと、良い方に期待してみる。

今朝は撮影に出る前に、コンパクトデジカメ用の超ローアングル三脚を急遽作ってみた。
あり合わせの材料をネジ止めしただけなので、制作時間は5分程度。脚の金属プレートは、L型の先を地面に埋め込むので、カメラ底までの地上高は10センチと低いポジションがとれる。
キノコの写真撮影では自然光を主体とし、なおかつ絞り込みたいので三脚は必須。ところが市販の三脚ではちょうどいいものが無い。こういうときは自作機材を工夫するといい。
私の使っているコンパクトデジカメ、パワーショットG5は、広角側が35ミリ程度なので不満はあるが、それでも撮影条件によっては一眼レフより有利であったり、何と言っても機動性が高いので、けっこう仕事にも使っている。(ちなみにこの10月発売になったニコンのクールピクス8400は、広角側が24ミリ!でこれは注目に値する。接写能力もG5より高い。)新開 孝

マントカラカサタケ/その1 2004/10/13
1週間程前、まるで杖のようなキノコを発見(写真上/10/6)。
高さは30センチもあるが、まだ傘の開かない幼菌だとわかった。しかし、種名まではわからず、このキノコが成長するのを待つしかなかった。
ところが翌日には根元からぽっきり抜き取られ、地面にころがっていた。中里の林内は散歩する人が多く、この幼菌はちょうど小道沿いにあったので心配だったが、その通りになってしまった。

残念ではあったが、昨日のこと、雨の中で別の幼菌が見つかった(写真中、下/10/12)。最初に見つけたものより成長が進んでおり、特徴がはっきりしているので、キノコ図鑑を調べてみると「マントカラカサタケ」であろうと検討がついた。
今回の幼菌も道沿いにあって、しかも林の入り口なのでとても目立ってしょうがない。
これも危ないなあ、と思いつつ林の中に入ると前回、抜き取られた場所近くに、もう一本の幼菌があった。
新開 孝

オンブバッタの独り言 2004/10/12
「ヒナタイノコヅチの葉っぱで、ちょっとお食事を。
おっとっと、でも彼女から離れず、慎重にと!」

「ほやけど苦労しましたで。あんたはん、
色白でっしゃろ。競争相手、多かったんですわ!」




「ありゃりゃ!もう終わりでっか?もうちょっと、
イノコヅチのランチ食べたかったんですけど、、、。」

「はいはい、お務めいたしますう!
それにしても、あんたはん、ごっつう身長ありまんなあ!あっ!それは禁句でっか!ごめんさない!」

「落ちないよう、しっかり掴まってと。はいはい、これからいきますよって、ちいと待ってなあ!あ、あ、あ、滑るうー!落とさんでなあ!」

「確かにこの図は、オンブバッタ!て、言われてもしょうがないですわなあ。では、しっつれい!!」

新開 孝

ゴマダラチョウの羽化 2004/10/11
午前11時25分、羽化したばかりのゴマダラチョウを発見。
蛹殻にぶら下がったままだが、翅はすっかり伸展している。空掘川の遊歩道沿いにあるエノキの小木では、ゴマダラチョウの幼虫をよく見かけるが、こうして羽化した直後の成虫に出会ったのは初めてのことだ。
天気情報の予想に反して、今朝は小雨も混じる曇天となった。
今頃羽化したこのゴマダラチョウの子供らが、越冬世代の幼虫まで成長できるか否かは、けっこう際どいような気がする。新開 孝

アオマツムシの産卵 2004/10/10(その2)
午後3時半ころ、ムクノキの枝で産卵しているアオマツムシのメスがいた(写真上)。
写真では頭が下向きだが、最初は上向きの格好であった。
茶色をした注射針のような産卵管を、丸い窪みに射し込んでいる(写真中)。この窪みはメスがあらかじめ齧って掘ったものだ。右後ろ脚がなく、そのため産卵管がよく見えている。
産卵姿勢が上向き、下向きになる理由は、この窪みへの産み込み方向を上下方向にわけて行うためである(写真下/産卵痕に産卵管挿入方向を矢印で示した)。
山吹色の柔らかい紡錘形の卵が、産卵窪みの上下の組織中に数個ずつ産み付けられている。
アオマツムシは様々な木の枝にこうして産卵するが、暑い時期には夜間に行うことが多い。
新開 孝
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