| 秋ケ瀬公園を訪れた理由の一つはヨコヅナサシガメの繁殖を確認することでもあった。 彼らは毎年、同じ木に産卵する習性があるので、さっそく冬のあいだ幼虫群の着いていたエノキを覗いてみた。 産卵時期は7月末から8月だが、エノキの幹ではすでに、2令幼虫が数匹歩いていた。 そしてなんとその幼虫のうち一匹は、木の肌に擬態したかのような蛾の体に、口吻を突き刺していた! ヨコヅナサシガメ幼虫の前脚は蛾のはねを踏みしめているが、蛾はびくとも動かない。すでにサシガメの毒液で体が麻痺しているのだろうか? そこで試しに蛾の体を指で触れてみると、蛾は驚いたように飛び立ってしまった。 いやいや、すまんことしました。ヨコヅナサシガメ幼虫は、大きな獲物を逃してしまったのである。私のせいで。
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