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国東半島、山香町(大分その1) 2004/07/20
7月16日、前の日に大分県山香町(写真上)で
見つけておいたクヌギの樹液レストランを訪れた。
30度を超す夏空の下、様々な昆虫が樹液を求めてやって来る。

なかでもやはりオオムラサキ♂の登場は嬉しい(写真中)。
レストラン劇場ではもっとも大柄で
なおかつ紫色の紋様が鮮烈だ。
オオムラサキが派手な役者ならカナブンたちは脇役かもしれないが彼らの小競り合いは笑いのとれるショータイム。
しかも数が多いのでオオスズメバチもカナブン全部を蹴散らすことができない(写真下)。



夏の里山ではクヌギやコナラの樹液にやって来る昆虫が面白い。

山香町のこの樹液はシロスジカミキリの産卵痕から滲み出ているもので、カナブンは30匹以上が来ており遠目からでもすぐわかった。
スズメバチ類も次々と飛来しており
これは私の期待通りの撮影ができそうだと思った。
樹液レストランがいろいろな昆虫でにぎわう様子はそれこそ2、30年前ころであれば、あちこちで見かけたものだがこのところめっきり減ってしまった。
新開 孝

バッタ3種 2004/07/14
中里の林の縁にはわずかな草地があって、バッタ類が見られる。
ほんとに狭い範囲だが
まず目につくのが大きなショウリョウバッタだ。
オスの成虫も現れ始めたが(写真上)、まだ羽化手前の幼虫の姿が多い。

小さいところではオンブバッタ。
こちらはまだ幼虫しか見つからない(写真中)。したがっておんぶする姿も見かけないというわけだ。

中型のバッタではクルマバッタモドキのオスがよく跳ねる(写真下)。
こちらも幼虫の方がまだ多いようだ。






『新開孝からのお知らせ/大分の里山ふたたび』

熊本から大分へと撮影旅行をしたのはつい2ヶ月前の5月のことでしたが、
明日から大分にふたたび出掛けます。
5月の「ある記」でも書きましたが大分の里山には随分、感激したのです。
そこで今回は夏本番の大分を訪れることにしました。
こういった遠征中は現地からのアップはしないことに決めておりますが、また帰京しだいその間のダイジェスト版をお届けします。
それとですね、熊本での撮影記がまだアップできず「日本列島探虫記」更新がずいぶんと遅れております。たいへん申し訳ありません。
新開 孝

キョウチクトウアブラムシ 2004/07/13
街路樹としてよく植えられる
キョウチクトウ。
この木は萌芽力も旺盛で新梢が次々と伸びてくる。
その若い茎や葉の裏には
キョウチクトウアブラムシの
コロニーがよく見られる(写真上)。
あまりにも密度が高いので
アブラムシたちはお尻を45度から90度近くまで高々と上げる格好をとる。
ぎゅうぎゅう詰めの満員電車のようだ。
ただし彼らは新聞を読むでもなく皆食事中なのである。
こうして逆さの格好で口吻を植物組織内に深く射し込み汁を吸っている。
コロニーの中には有翅虫も見られる(写真中)。
新天地を求めて旅立つ日も近いのかもしれない。
キョウチクトウアブラムシは他にガガイモにもつく。アブラムシの天敵もいろいろ集まって来ており、クサカゲロウ類の卵もたくさん産みつけられている。細い糸の先についた卵は「優曇華(の花)」とも呼ばれる。
さっそくその幼虫を探してみたらコロニーの中に姿を潜めている1令幼虫が見つかった。
幼虫はアブラムシたちの脱皮殻を体に乗せており隠蔽工作をしている(写真下、頭は左向き)。
頭で抜け殻を掬い上げ、お尻を持ち上げる格好をして背中にヒョイと器用に乗せるのだ。
他にテントウムシ類も多数やって来るが、何も天敵ばかりが集まるというのでもない。
その中でよく目にするのがアシナガバチたちだ。
彼女らの飛来目的はアブラムシが排泄した甘露であり、その汁の染みが葉っぱなどの表面にびっしりついているのである。
アシナガバチはこれを丹念に嘗めとっていく。
それに対して、どういうわけか甘露欲しさに集まるアリ達の姿が皆無であった。
新開 孝

クワカミキリ 2004/07/12
ヤマグワの枝を齧る
クワカミキリがいた。
一ケ所に3匹集まっている。
(写真上)
高い場所なので足下に転がっていたクヌギの丸太を足場にして撮影した。
もっと近寄ろうと手前の枝に手を触れた途端、3匹とも一斉に地上へ落下してしまった。

しかしさらに1匹が見つかった。(写真中)
さきより少しは近づけたが
こちらも間もなくして飛び去ってしまった。

クワカミキリがいた枝を見ると表面が削りとられたようになっている(写真下、矢印先)。
クワカミキリは体長4センチ前後で白黒まだらの長い触角を含めるとけっこう大きく感じる。
今までにもこうして数匹が一ケ所で見つかることが多かったが、
何かフェロモンでも関与しているのであろうか?




『業務日誌/害虫退治の快感とは』

今日この書き込みをしている最中にマンションの外から子供達のにぎやかな声が聞こえてきた。
近所の小学生3人組だ。
日頃から魚掬いやトカゲ捕りなど元気な姿を目にする子達である。
しかしどうも悪い予感がするので覗いてみればマンション外壁にあったコアシナガバチの巣がドライアイス攻撃!ほうき叩き攻撃、と手荒に破壊されているではないか。
けっこうスリルを楽しんでもいる様子で、さあ次ぎの巣はどこだあ!と威勢がいい。
まあこうしてアシナガバチ相手に遊べるのは実に健康的でいいとは思う。
がしかし次なる巣を物色し始めたところで私は待ったをかけた。
彼らが目指す巣は私がずっと春から観察している巣である。
壊されると少なくとも私は困る。ここの巣は壊さないよう理由を話した。
そこでさらに彼らと話してみると
毎晩、家のなかで殺しているゴキブリと同じ感覚でアシナガバチも捉えているようだ。
昆虫のなかでも害虫というレッテルを貼られると、こうして闇雲に退治するという習慣が家庭環境のなかで自然に定着するのであり、
むしろそういう家庭の方が日本社会では一般的な姿なのであろう。
今さらそんなこと当たり前であろうが、そう思われる方も多いだろうが、、、。
もっともかく言う私も幼少のころとんでもない退治ごっこにはまった経験がある。
それは一晩だけで終息したのであるが、近所のガキ大将に引きつられてヤモリ退治をして回ったのである。
長い竹竿をかつぎ夜の家壁に貼付くヤモリを叩き潰すのであるからなんとも野蛮な遊びであったことか。
このヤモリ退治に出かける前にはガキ大将やその取り巻き連中の前説があり、すっかりそこで洗脳され興奮が高められる。
曰く「空中をどこからともなく飛んで来て人の顔に貼りつく!」
「ヤモリは吸血鬼でたちまち血を吸われる」
このような無茶苦茶な語りが、いかにもリアルでそして恐ろしく頭に刻み込まれ、
「今夜は!ヤモリ退治や!
みんなこいよお!」の一言で完全にその気になってしまった私であった。
とにかくヤモリの名前すら知らなかったころであり、凄い怪物のような生き物の姿で頭の中はいっぱいになってしまった。
ところがいざ現場に出向いてみると、前説で聞いていたヤモリの恐ろし気な姿は何処にもなく、
あれえトカゲにそっくりやんけ!?これのどこが恐いんやろ?
そういう疑問が少しは湧いたけれど、ガキ大将は日頃から尊敬する存在であるからして、その矛盾する現実に頭が混乱して、なんとも複雑な気分になったものである。
この無知なるヤモリ退治には後味の悪いものもあったが、なんといっても幻想的な前説の語りが強く印象的であったことを今でも覚えている。
あの頃のガキ大将は今頃、なにやってんだろうなあ。
まさか何とか教の怪しい教祖なんかにはなってないだろうなあ。新開 孝

コロギス、怒る!! 2004/07/10
体長約3センチのコロギス。
室内でビデオ撮影を始めようと
飼育ケースから出した途端、
翅を広げ口を大きく開いて
怒りのポーズとなった(写真上)。
その威勢のいいこと!
手を差し出すとガ、ガ、ガ、ガっと
突進してくる。
カマキリの威嚇より激しい。
もちろんこけ脅しだけでなく、
噛まれるとけっこう痛い。
長い産卵管でわかるように
このコロギスはメスである(写真中)。
脚にはするどい刺が並んでいるが(写真下)、これは本種が肉食家であるからだ。
コロギスは夜行性であり、
梢を徘徊しながら他の昆虫を捕食する。
樹液にもやってくることがある。


昼間は葉っぱを丸めて綴った巣の中で休んでいる。
お休みのところを撮影舞台に引っぱり出したのだから
機嫌悪くもなるというもの。

新開 孝

ツマキチョウ蛹、受難! 2004/07/09(その2)
遊歩道の安全柵では
ツマキチョウの蛹も
見つかった(写真上)。
春のころ河川敷のセイヨウカラシナ群落で育った幼虫が
歩きに歩いてここまでやって来たのだろう。

だがしかし、この蛹も
よくよく見れば頭部先端から
背中にかけて大きく損失し
体の中身はすっかり空っぽ
であった(写真下)。
犯人はシジュウカラあたりではないだろうか。
彼らがこの安全柵で獲物を物色してはついばんでいる光景をよく見ている。

新開 孝

トビモンオオエダシャク幼虫 2004/07/09(その1)
抜けるような青空と白い雲。
ようやく絶好の撮影日和となったが中里近辺に昆虫の姿は極めて少なく情けない。

それでも空掘川遊歩道を
とぼとぼ歩いていると、
安全柵で体長7センチの大きな
シャクトリムシを見つけた(写真上)。
トビモンオオエダシャクの幼虫と思われるが、どうも頭の突起がやたらと長いのが気に掛かる(写真下)。
そう言えば幼虫の顔は砂漠に棲むフェネックというキツネの一種を思い浮かべてしまう。

新開 孝

エゴヒゲナガゾウムシ、登場! 2004/07/08
エゴノキの実が大きくなり
遠目にも目立ち始めたころから、
このエゴヒゲナガゾウムシの登場を待ちわびていた。

別名ウシヅラヒゲナガゾウムシとも呼ばれるように、
その風貌の面白さ、
そしてチシャ虫として幼虫が釣り餌にもなるという、その謂れとしての特異な生活史など、まず注目に値する昆虫である。
詳しい生態については拙著『珍虫の愛虫記』を参照していただきたい。


今日はメス3匹、オス1匹を確認。
写真はいずれもメス。
まだ配偶行動などは見られず、もちろんメスの産卵もう少し先になるようだ。
今のところエゴノキの実をかじりつつこれからゆっくり性成熟していくのではないだろうか。


『業務日誌/暑いし!青空無いし!』

いや暑いのは当然でいいのだが、湿った大気のせいで薄雲が多くここ三日間というものスキッとした青空を仰ぐことができない。
野外で青い夏空を背景に抜いて撮影したいと目論んでいたのだが、どうも思い通りにはいかない。
かといってこのところの空梅雨でどこもかしこも乾燥が激しく日影の昆虫もパッとしない。
そんな状況の中でつい先日、午前中できっぱりフィールドから引き上げ、
都内新宿のカメラ店に出向いてみた。
前々から気になっていたポータブルストレージを購入するためだ。
しかし思っていたほど機種は多くないし、どれも機能的にはまだ発展途上の感が強い。
しかし私の場合カードの枚数が少ない現況では、撮影現場でハードディスクに吸い上げる作業も必須となる場面がこれからは出て来る。
そこでとりあえず、各種カードメディアに対応したバッテリー駆動のタイプを試しに購入してみた。容量は20GB。
最大の問題はカードからハードディスクへの吸い上げ転送速度であるが、その速度についてはあまり期待できそうにない。
昼飯のあいだにでものんびり吸い上げ作業をするしかないだろうが、何でもかんでも便利になり過ぎてもまた面白味に欠けるとも言える?かな?

新開 孝

アオスジアゲハ幼虫 2004/07/07
空掘川遊歩道沿いにクスノキの木が一本ぽつんとあり、
若葉にはアオスジアゲハの若い幼虫が
見つかった(写真上、矢印先)。

アオスジアゲハはクスノキの若い葉先に卵を産む傾向があり、
孵化した幼虫もしばらくはその柔らかい葉を食べて過ごすので、この時期の幼虫を見つけるのは容易い。
頭でっかちのプロポーションは
いかにも可愛らしいが、よくよく見れば
頭の方やお尻に角のような突起があったりして、
不思議な雰囲気が漂う芋虫だ(写真中、下))。






『ヘビのおなら/アオダイショウ』

昨日、金山緑地公園に赴いたのはヤナギ類の樹液に集まる昆虫
、とくにクワガタムシとコムラサキの様子を見ておくためだった。
どうも去年とは樹液の出具合や昆虫の集まり方が芳しく無いなあ
そう思いながら梢を眺めていて、ふと足下を見ると
かなりでかい!アオダイショウがゆっくり滑り歩いていた。
長さは1メートル20センチ位か。それよりとにかく胴体が
異様に太い。
これまで見たことがあるアオダイショウの中でも横綱級の体格だ。
アオダイショウはゆっくり水辺にさしかかり、そのまま泳ぎ始めた。
と、しばらくして「ブヒヒヒ、ブリ、ブリ、ブヒヒ」という
人間様でもしばしば発するような聞き覚えのある放屁音が聞こえた。
おお!これはアオダイショウのおなら!ぞなもし!
なんと水中に没した瞬間、放屁とともに排便しているのが見えた。
最初は白い煙幕が水中に漂ったかと思うと、次にはかなり大きめの
黄色混じりの白い卵型の塊が水中にゆらゆらと姿を現わした。
アオダイショウはその間もゆっくり移動しており、
対岸の草薮にすうっーと姿を消してしまった。
水中で放屁したためかその音がよく聞きとれたのであるが、
これはまさに水洗トイレである。
もっとも人間様でも、海水浴場やプールで何喰わぬ顔したまま
小便するお方はおそらく相当な数いらっしゃるはずで、
その経験がある方、目つぶっているから手を挙げなさい!!
新開 孝

シオヤアブの交尾 2004/07/06(その2)
先日、ドウガネブイブイを
吸血するシオヤアブを紹介したが今日は交尾カップルを見つけた。
画面左の大きい個体がメス。

交尾しているときでも近づこうとすればすぐに飛んで逃げてしまう。


動くものにはとても敏感なのが
昆虫全般の傾向だが、さすがに交尾中はそう遠くまで飛び去ることができない。
辛抱強く追いかけてやっと撮影できた。



『お父ちゃん、テレビに出てたよお!』

先月末に収録したNHK学校放送の番組が今日にも放映されることを私はすっかり忘れていた。
うちの長男は小学3年生。番組は小学3年対象の理科「ふしぎいっぱい」だから当然、学校の授業で観るわけである。そして息子はいきなり画面に現れたおのれの父親に驚いたようだ。
だが、まあ私はテレビに映った自分の姿をわざわざ見ようとは思わない。
しかも今回の番組では昆虫写真家という肩書きではなく「虫採り名人」!などという
取って付けたようなキャラであるから、、、なあ。
新開 孝

ゴマダラチョウとカナブン 2004/07/06(その1)
クヌギの樹液には
カナブンとゴマダラチョウが
来ていた(写真上、午前10時ころ)。

カナブンはそういう性格なのかいつも忙しい。
そして仲間同士の小競り合いも多い。
自分より大きいカブトムシに
喧嘩を売るほど元気だ。
その傍若無人な振舞いがときにノコギリクワガタの怒りに触れ、挟み投げに遭う場面は、少し哀れだが滑稽でもある。



今日はピカピカの新鮮なゴマダラチョウと肩を並べていたが、
早くも体当たりを頻発(写真下)!
ゴマダラチョウもたまったもんでない。


新開 孝

ナナフシは夜が好き 2004/07/05(その2)
樹液のカブトムシたちを撮影したあとの帰り道。
エノキの梢ではやたらとナナフシが見つかる。
昼間にもナナフシはよく見かけるが、夜の林では少なくとも昼間の倍の数が活動しているのに出会す。

そういえば八丈島の森で夜になると、トゲナナフシがわんさか姿を現わし、食事していたのを思い出した。

ナナフシ類は擬態の典型としてよく知られるが、それでも主な活動時間帯が夜であることは実に興味深い。
いくら擬態が完璧でも、動いてしまえば鳥などの天敵にはいとも簡単に見つかってしまうはずだ。
昼間はできるだけおとなしくしている方が得策なのであろう。
新開 孝

夜のカブトムシたち 2004/07/05(その1)
午後8時。
中里のクヌギ樹液にはカブトムシが群れていた。
中でも一番大柄なオス(写真上、下の赤っぽい個体)は次々と他のオスを追い払うことに忙しい。
その隙をねらうかのように小柄なオスが2匹、待ってましたとばかり、メスにマウントする(写真中)。
樹液酒場はカブトムシの喧噪でにぎやかだが、この騒ぎで他の蛾たちは遠目で静観しているしかなく
なかなか樹液にありつけないでいる。

ライバルを追っ払うことに夢中になっていた大柄オスは、うかうかしていると小さいオスにメスを奪われることに気付いたか、今度はひたすらメスたちにアタックし始めた(写真下)。
だがしかし、メスの方は色気より食事の方を優先してオスには見向きもしない。
肘鉄を次々とくらっても、オスは言い寄ることを止めようとはせず
ガサゴソという音がいつまでも暗闇の林で響いていた。

新開 孝

ヒグラシ 2004/07/04
ヒグラシの鳴き声を聞いた。
腕時計を見ると午後6時過ぎであった。

鳴いているのは1個体のようだ。ヒグラシの真新しい抜け殻は1週間ほど前から目についていた。



今日は子供の相手や夕食用のカレーの仕込みなどに時間を費やし、
フィールドに出たのも夕刻の散歩がてらとなった。
しかし、今年初めて聞くヒグラシの声はなんとも夏を感じさせてくれる。
新開 孝
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