| 午後5時半頃。 中里の草薮で「サトキマダラヒカゲ」が気ぜわしく飛んでいた。
これはメスの産卵行動であろうと思われた。 あちこちの草に止まってみては、慌ただしく草むらを縫うようにして舞う。
ようやくアズマネザサの葉にしがみつくと(写真上)、 腹部を大きく内側に曲げ、 産卵を始めた。
しかし、なんとも神経質である! 撮影しようと接近すれば、わずかな気配を察知して即飛び立ってしまう。
通常は10個以上まとめて産むのだが、2個で(写真中)中断したり、3個までいっても(写真下)さっさと場所替えしてしまう。
さすがに今日は惨敗であった。 今回はみっともない写真だが敢てアップしたのも、今度こそは産卵ポーズのかっこいいシーンを是非とも紹介したい!という意気込みもあってのこと。
私が高校生の頃、実家のすぐ近くでサトキマダラヒカゲの産卵を偶然にも目撃したことがある。 もう28年も昔のことだが、 当時はカメラを持っていなかったので、私は興奮しつつもじっくりその現場を観察した。 真珠のような卵が次々と並んでいく様はなんとも神秘的であった。 そのときの記憶からも、 サトキマダラヒカゲは一旦産卵し始めれば寛容になると、 今まで思い込んでいたのである。
そういえば2年前の北海道、旭川でヒメキマダラヒカゲの産卵シーン撮影に失敗したことも思い出す。
ササに止まってからグイッと腹部を曲げるメスを見つけ、 それとばかり慎重に接近しても、1メートルも寄せてはくれないのであった。 それを何回も繰り返したがついに撮影できなかった。
| |