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『ぐんま昆虫の森』で昆虫観察会 2008/06/07
昨日、上京して今日は群馬県『ぐんま昆虫の森』で友の会の総会と昆虫観察会に参加した。

 今回は天候にも恵まれ、いろいろな昆虫を観察することができた。カメムシのなかまも数種類見つけて、参加者の方には臭いを嗅いでもらったりした。とくにクヌギカメムシは何度も旋風行動を繰り返してくれて、面白かった。

 観察会のあとヨコヅナサシガメの卵塊があったヤマザクラを見に行ってみれば、ちょうどメスが産卵中だった(写真上)。本種の産卵を見るのは初めてだが、しかし時期としてはとても早いように思える。卵はまとめて産みつけるが、そのときに薄い粘膜で塗り固めていき、出来上がった卵塊はちょうどヒナカマキリの卵のうにもよく似ている(写真中)。

 ヨコヅナサシガメはもともと群馬には分布してなかったカメムシだが、近年になって分布北上の末、群馬県内でも生息するようになった。これも温暖化のせいかどうかはよくわからない。むしろ別の要因があるのではないかとも考えたい。

 埼玉から車を出してくれた森上信夫さんは、フル装備のカメラザックを背負って元気に駆け回っていた。ザックの重量は19キロもあるそうだ。観察会の講師もしていただいたが、でっかいカメラザックを担いだままとは頭が下がる。ぼくなんかは、Caplio GX100だけ。

(写真/Caplio GX100)


新開 孝

霧島山、ふたたび 2008/06/05(その3)
 今日は久しぶりに青空となった。風もカラッとしており、梅雨とは思えない清々しい天候。しかしこの風、標高が高い場所ではとんでもない危険なヤツなのであった。

 ミヤマキリシマのビデオ撮影のため、今回も高千穂河原から中岳へと登り、さらに新燃岳まで進んでみた。新燃岳は標高1395メートル。
 新燃岳の火口池は緑色に染まっており、ここを撮影しようと火口縁に近づくと猛烈な強風に煽られた(写真上/画面奥の山が最高峰の韓国岳山頂)。いやほんとうに凄まじい!三脚を立てるのも一苦労。ビデオを回すにもがっちりとカメラ、三脚を体で包むように押さえていないと吹き飛ばされそうになる。何度も煽られ撮影の失敗を繰り返した。なにより心配になったのは細かい砂塵に混じって軽いとはいえ小石まで飛んで来るから、レンズに傷がつくことだった。あとで登山地図を見るとこの辺りは「強風時は危険」と書いてあった!
 
 ほんとうはさらに稜線を進んで大幡山のほうまで脚を伸ばすつもりだったが、今日は時間が足りなかった。これは来週また出直すつもりだ。なんとかそれまでミヤマキリシマの花も咲いていて欲しい。

 しかし新燃岳〜中岳までの縦走路は緩やかな道が続き気持ちが良い(写真中)。木道も整備されており歩き易い。強風には閉口したが、そのおかげで雲のダイナミックな動きもたくさん撮影できた。
 今回の登山ルートは霧島山のなかでももっともお手軽コースなのだが、それでも重い機材を担いで歩くとけっこう息が切れる。そんなときに羽化して間もないヒオドシチョウが目の前で翅を広げてくれた(写真下)。これはなによりの癒しとなる。

 高標高での昆虫の数も種類も、前回登ったときよりあきらかに増えていた。そうした昆虫たちのこともいづれ紹介できると思う。

(写真全て/リコー Caplio  GX100)


 
新開 孝

朝の虫たち 2008/06/05(その2)
 今朝は日射しもあって、気持ちが良い。庭の虫たちはどうだい、そんな声をかけたくなる。

 コガネムシの活動もいよいよピークに入ってきたようだ。たくさんの交尾カップルを見る(写真上)。今年こそは卵や幼虫も撮影したいものだ。

 ハラビロトンボのオスはまだ目覚めていないようだった(写真下)。先日はメスを見たが、うちの庭にハラビロトンボがやって来ることは滅多に無い。ハラビロトンボが好きそうな湿地環境を人工的に造るのは難しそうだ。

(写真/E-3  50ミリマクロ)新開 孝

サンパックPF20XDのその後とは 2008/06/05(その1)
 小型スレーブ機能内蔵ストロボとして期待したサンパックPF20XDだったが、
今は室内撮影用、あるいは写真のごとくCaplio GX100のホットシューに付けてマニュアル発光用として地味に活用されているに過ぎない。

 かつては知人の方からアドバイスをいただき、野外でのスレーブ発光もなんとかこなせるようになったサンパックPF20XDだが、しかしいろいろと使っているとやはり作動不良が多く、ついに野外での使用を断念したのであった。しかもその後に導入したOLYMPUSのストロボFL36Rのスレーブ機能がたいへん優れており、図体は小さいとは言えないが、野外でのスレーブストロボはこのFL36Rで充分に仕事ができている。

 地味とはいえPF20XDの活躍の場はあって、内蔵ストロボがオート発光のみのCaplio GX100を使いこなす上では重宝している。この場合、接写時の光りを回すための工夫も必要で、NikonのSW-11というアクセサリーがなかなか案配が良い。Nikonの機材のほとんどを処分したとき、このアクセサリーだけは気になって手元に残しておいた。この発光アダプターは光路を反射板でもって長くし、さらに乳白板で拡散するという凝った仕組みで、ちょっと気に入っていたからだが、たしかにその効果はかなり良い。なによりPF20XDの発光部にほぼ合うサイズ。ちなみにGX100のレンズキャプは紛失したので何かのレンズリアキャップを流用しての自作。

 明日から上京してしばらく関東に滞在するのだが、今回の撮影機材はCaplio GX100のみ。これにいろいろなアクセサリーをフル装備してもたいした荷物にはなりません。

 ところで、昨日『自然観撮.org』という掲示板の中の「世界の中のカメラと工夫BBS」を初めて閲覧してびっくり!PF20XDのことで一時スレッドが盛り上がっていたことを知った。昨年の9月のことだが、そのなかでぼくの名前が連呼されていて、さらにびっくり!『自然観撮.org』のURLアドレスを知り合いの方から教えてもらったのはつい最近のことで、昨年はまったく掲示板を閲覧する機会がなかった。名前をマグマ大使のごとく連呼されながら、書き込みしなかったのは、無視したわけではないことを今更ながら書いても、、、遅過ぎるよなあ、、、、。

 (写真/E-3 35ミリマクロ)

新開 孝

ペーパーハウスとは? 2008/06/04
 ペーパーハウスと言えば聞こえはいいが、じつは酒パックなのだ。
なんと酒パックをスズメの巣箱にしようというのだ。それもぼくが毎晩飲んでいる芋焼酎『明月』の25度酒パックだ。この試みがうまくいくかどうか、それはまだわからない。しかし、このところスズメたちにとっての住宅難は切実であり、それはガソリン代高騰の人間様の混乱以上のようである。

 うちの西側の縁側に吊ってある簾(写真上)に何とか営巣しようと、スズメが巣材を押し込むのであった。その簾を降ろしてみればパラパラと巣材が縁側に散乱する(写真中)。つまりスズメの住宅難はよほど差し迫っているのであり、これをぼくは放っておくわけにはいかなくなった。

 スズメは人につく、とよく言われる。だから人が住まなくなった家からはスズメもいつのまにか姿を消してしまう。つかず離れずという、本当に微妙な間合いをとりながら生きているのがスズメだ。そのスズメたちは、1年間無人であったわが家に戻ってきたのだ。そうぼくたち新開家が新たに入居するまでの一年間は遠のいてたのが、人の生活の気配を察知してから、明らかに舞い戻ってきたのだ。
 しかし、それはなんだろうか?人のありがたみ、とは何だろう?カラスの脅威から逃れる?それもあるだろう。それ以外には適度な自然錯乱だろうと思う。つまり何かと草刈りしたり、農作したりと人が自然に手を加えることが、スズメにとっては餌を得るにも子育てするにしても都合が良いことが多いに違いない。人は明らかに生態系を破壊するだけの存在では無い、そうではないか?

 壊す、とはなんだ?壊すことで内が失われのだろうか?問題は壊し方か?

 もしも、今日ぼくが設置した酒パックの巣箱がうまくいったなら、これは愉快だ。まあ、酒パックの焼酎くささが抜けるには、も少し時間がかかるかもしれませんね。

(写真/リコー Caplio GX100)

 新開 孝

コクワガタ 2008/06/03
 今日も朝から雨で、午後になっても日射しはほんの束の間あっただけ。ほぼ一日中、霧のような雨が降っていた。

 天気が回復すれば霧島山に登るつもりだったが、予定を変更して今日は一日中室内撮影をしていた。その仕事の合間に林の樹液をときどき見に行ってみた。
 樹液を出しているアカメガシワを見上げてみれば、今日はコクワガタの大きなオスが陣取っていた(写真上)。黒々した体色とその体型は、コクワガタと言えど立派でカッコいい。

 居間から一番近くてよく観察できるクヌギ樹液にもコクワガタのオスが来ていた。サビキコリやヨツボシケシキスイと仲良く?並んで食事をしている(写真下)。じつはこのクヌギ樹液の近くにはコクワガタのメスが樹肌の窪みに身を隠していて、オスがいなくなってから樹液にやって来た。

 先日、アカメガシワの樹液で長らく陣取っていたコクワガタのオスを見て、その理由はメスがいたからであろうと書いたけれど、これは訂正したほうが良さそうだ。というのもここ1週間ほどの観察の中で、コクワガタのオス数匹の動きを見ていると、例えメスが傍にいても配偶行動をとることはなく、むしろ樹液を独占しようとメスを排除する行動がよく見られた。つまりコクワガタのオスにとって、今の時期は色恋沙汰より、体力増強の時期なのかもしれない。もっともこのあたりの生態についてはよく知らないので安易に断定できない。もしかしたら昼間はそうであっても、夜の時間帯はメスを巡ってオス同士が争っているかもしれない。
 昨夜はクヌギの樹液に多数のコクワガタ♂が集まっていたが、どうもその雰囲気は昼間の態度とは違うようにも感じ取れた。たしかにコクワガタの配偶行動は夜によく見られる。

(写真上/E-3  50-200ミリズーム/ストロボFL-36R)
(写真下/E-3  8ミリ魚眼+1.4倍テレコン/ストロボFL-36R)
新開 孝

ノコギリクワガタ 2008/06/02(その2)
 昨夜、仕事部屋の灯りにノコギリクワガタのオスが飛来していた。

 毎晩、窓には15Wの蛍光灯を点しているが、この小さな光源にもさまざまな昆虫たちがやって来る。

 ノコギリクワガタのオスは今年に入って初めての飛来だが、土中の蛹部屋から出てきてまだ日が浅いのだろうか。傷ひとつない新鮮な体にはうっすらと土粒がついているだけだった。昨日、アカメガシワの樹液に来ていた個体だろうか?などと想像してみた。

(写真/E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

ハエとりリボン 2008/06/02
 一昨日あたりから急激にハエが増えた。
 三股町では畜牛が盛んでもあるし、ハエが多いのは当然のこと。今年に入ってから久しぶりにハエが多いなあ、と感じた。とくに台所の換気扇の外には多数群れている。調理の熱源のせいだろうか。人の体温にも反応してよくたかってくる。

 勝手口の出入りには気を配っても、ハエの動きは素早い。うちの中の方が居心地良いとみえて、スルリスルリとハエ軍団が侵入してくる。
 
 ハエへの対処法は、一つに素手ハエ叩きの技を習得した。もう一つは百円ショップの虫網による捕獲法。素手ハエ叩き技の極意は、ハエを潰すこと無く気絶させるところで寸止めすること。これは衝撃波砲みたいな技であり、習得には鍛錬を要する。虫網での捕獲は言うまでもないが、これも一匹づつでは効率が悪いので最低でも2匹以上を次々と捕らえるのが良い。

 こうして気絶させたり叩きのめしたハエは、水槽の魚の餌となる。うちのタカハヤは水面に落とされたハエを一瞬にして頬張り、水中に潜ってからごっくんと飲み込む。このところタカハヤはみるみる太ってきたが、どうやら4匹いるうちでも上下関係があるのか、とくに太っているやつは一匹でこれがもっとも俊敏にハエをさらっていく。

 しかし、衝撃波砲や虫網作戦もハエの数の多さの前にはとても力及ばない。せっかくの飲みかけのコーヒーカップの縁にハエが止まっていたりすると、「おのれーっ!!」と怒りがこみ上げてくる。
 ま、そこで次なる作戦に出る。
 その作戦とは昔懐かしい、「小型蚊帳」(写真上)と「ハエとりリボン」(写真中、下)。いづれも防御や待ち伏せ方式とあって、いかにもおとなしい作戦だ。しかし、小型蚊帳の効果は素晴らしい。ハエも地団駄踏んで悔しがっているようだ。でもね、このままでは食事ができないわけで、まあ、防戦一方では一時休戦にしかならない。

 ハエとりリボン!!ハエがこのリボンに吸着する瞬間を2回見ることができて、とても嬉しかった。リボンの効果は数が多ければ多いほど効果も高くなるだろうけれど、こんなのが何十本も部屋の中にぶら下がっていれば、そのうち自分達がくっついてしまいそうだし、それ以前に気がおかしくなってしまいそうだ。ちなみにハエとりリボンには「プロ使用の業務用」と書かれてある。プロって、つまりは調理する人達のことだろうか?それとも飲食店のことかな?いやもっといろいろな職場を連想できるけれど、プロって表現、面白いと思えた。ハエとりのプロって意味ではないはずで、これはむしろハエにたかられるプロってことだろうか?

 (写真/リコーCaplio GX100)
新開 孝

クヌギ林と虫 2008/06/01(その2)
 先頃まで閉店していたクヌギ樹液酒場も昨日あたりからまた賑やかになってきた。
 コクワガタやそしてヒラタクワガタ(写真上)も姿を現し、もう初夏本番という感じだ。ゴマダラチョウも力強く滑空している。
 ちょうど目線の高さあたりにクヌギの樹液が出ているところが2箇所あって、虫がよく集まっており、たいへん観察し易い。 

 他にも樹液が出ているところがないか細かく見ていると、ヤガ科のゴマケンモンがいた(写真中)。本種の幼虫はクヌギやコナラを食樹としているので、クヌギの幹に成虫が止まっているのも当然のこと。しかし、まだ幼虫は見たことがない。

 地面にころがっているクヌギ朽ち木では、キノコを食べているキマワリがいた(写真下)。キマワリもこのところ成虫がたくさん姿を現してきている。キマワリは腐って崩れたようなキノコを食しているところを見たことがあるが、こうして新鮮なキノコを齧っているのは初めて見る。これだとキマワリのヤツ、旨そうに喰っているなあ、と思える。

(写真上、下/Canon EOSキッスデジタルN 超深度広角レンズ使用)
(写真中/E-3  8ミリ魚眼+1.4倍テレコン/FL-36R2灯使用)
新開 孝

アカメガシワ樹液ふたたび 2008/06/01
 昨日まではコクワガタのオスが陣取っていたアカメガシワの樹液に、今日はノコギリクワガタのオスが来ていた(写真上)。そしてコクワガタのオスは別の樹液へと追い払われていた。ノコギリクワガタが樹液に登場して、昆虫酒場もいよいよ盛大にオープンした感じがする。

 昆虫酒場を開拓したコウモリガ幼虫のほうは、姿が消えてしまった。もしやと思い、樹液の出ている直下の地面を探してみれば、やはりコウモリガ幼虫の死骸がころがっていた(写真下)。しかもその死因は菌に侵されての病死のようだ。このような病気がうちの林で蔓延するのも困るなあ、と思いつつもかと言って打つ手があるわけでもない。せめて幼虫の死骸を土に埋めておくことにした。

 (写真上/E-330 50ー200ミリズーム/ストロボFL-36R)
 (写真下/E-330 シグマ105ミリマクロ/ストロボFL-36R)


新開 孝

アカメガシワ樹液、その後 2008/05/31
 先日、紹介したアカメガシワ樹液では、まだコクワガタのオスが陣取っており、メスも一緒にいる。オスがこの場所に居残っているのは樹液そのものよりか、メスのことがあってのことだろうと思う(写真上)。

 さて、気になっていたコウモリガ幼虫だが、写真で見る限り胴体が痩せており死んでいる可能性が濃くなってきた。コウモリガ幼虫は越冬したあと、羽化するのは9月以降が多いようで、稀に6月ころにも羽化するようだ。コウモリガ幼虫は樹肌の開口部近くで蛹になり、羽化に際しては開口部を覆っていたパッドを蛹自身が突き破って半身を突き出してから行なう。その羽化の瞬間をどうしても見ておきたいのである。
 他の樹のパッドをいくつか剥がして調べてみると、穴が白い粉で埋まっているものがあった。これはどうやら菌に侵されてコウモリガ幼虫が死ぬケースも少なからずあると思われた。

 コクワガタのオスがいる樹液のすぐ上にも樹液が出ており、こちらにはサトキマダラヒカゲやクロヒカゲ、ヒメジャノメなどがよく集まっている。今日はそこへ、キスジゴキブリと思われるゴキブリが来ていた(写真下)。
 これまで見たことがないゴキブリなので気になる。本種は四国から南に生息するゴキブリで樹上性のようだ。
 
(写真上、下/E-3  50-200ミリズーム/ストロボFL-36R/写真はいづれも少しトリミング)

新開 孝

ササの新梢を好む虫とは 2008/05/30(その2)
 雨でない限り、うちの雑木林を毎朝歩く。メダケやホテイチクがニョキニョキと新梢を伸ばすので、これを片っ端らから刈っていく作業もしなければならない。冬の間にササ刈りを行なったけれど、その作業はこうして継続していかなければまったくの徒労に終わってしまうからだ。

 さて、明るくなった林床には、も少し小さなネザサの類いの新梢が多く見られる。これらも場所によっては刈っているが、あまり神経質にはならない程度に刈る。背丈の低いササまで刈っているとキリがない。
 以前から気になっていたのだが、そのササの新梢に数多くのキリギリス科の幼虫が見つかる(写真上)。この若い幼虫たちは、どうやらヒサゴクサキリのようだ。今頃若い幼虫が見つかるということは卵越冬だから、その生態からしてもヒサゴクサキリと考えられる。
 長い触角を前にまっすぐに伸ばし、脚もピンっと揃えて伸ばした格好だとササの葉に紛れて、その姿はわかりづらい(写真中)。ササの新梢にはガジガジと齧った跡が多く、糞もあちこちに見られる。

 ササの新梢の茎の部分を好んで齧っているのが、ホオアカオサゾウムシだ(写真下)。本種は茎に長い口吻を使って穴を穿ち、そこから汁を吸っているように見える。

(写真/E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン+ストロボFL-36R)

 ポプラ社から6月に刊行予定の『いのちのカプセル まゆ』はこちらをご覧下さい。 新開 孝

ハキリバチの一種 2008/05/30
 5月20日に紹介したハキリバチの巣(写真上)を、今日開いてみた。

 庭にある電気メーターボックスの中を開いてみれば、通気口近くにクシャクシャになった葉っぱの塊が見つかった(写真中)。
 ハキリバチの営巣場所は朽ち木の隙間や土中の空隙など様々であり、その空間は狭かったり広かったりするのだろう。それでも、育児カプセルを葉っぱで組み合わせて作る場合には、カプセルが納まる手頃な空間のほうが効率が良いだろうと思われる。
 今日の育児カプセルは、あまりにも不格好であり(写真下)、解体してみれば育児カプセルはわずか3室しかなかった。
 やはりハキリバチが育児カプセルを作る上では、そのサイズに見合った外枠があったほうが良いことは明らかであり、今回のような大きなスペース内ではどうやら作業が捗らず、苦労したことがありありと判る。葉っぱを持ち帰っては、プイッと捨ててしまう行為が多かったのも、まさにうまくいかない苛立ちだったのではないか、と思えるのだ。

 この電気ボックス内ではヒメベッコウの一種の泥壷もあったがそれはすでに昨年作られた古いもの。この泥バチは泥壷が雨に当たらない場所を営巣場所として選ぶが、このヒメベッコウにとって電気メーター箱の中は理想的な場所だったようだ。何より箱内は常に乾燥しているから、営巣条件としてはこれ以上のものはないだろうと思う。

 昆虫は誰に教わるでもなく、自分の力で巣作りから育児まで様々な作業を正確にやり遂げていく素晴らしい能力を持ち合わせている。しかしながら、その作業がいつもいつも完璧に進行するばかりでもない。素晴らしい本能とかよく言われるが、生き物には完璧という言葉はふさわしくないようだ。ときにはうまくいかないことだって一杯ある。それが生き物の宿命でもあるようだ。 新開 孝

『いのちのカプセル まゆ』(ポプラ社) 2008/05/29(その2)
 本日、6月刊行予定の拙著『いのちのカプセル まゆ』(ポプラ社)の見本が届いた。本書はポプラ社の「ふしぎいっぱい写真絵本」シリーズの12冊目。

 もう十数年前になるが、ヤママユガのなかまに夢中になった時期がある。とくにこだわったのがウスタビガ。繭の形が出来上がる過程は何度見ても飽きることがないが、その繭から成虫が顔を出す瞬間をどうしても野外の自然状況下で撮影したかった。飼育すれば室内でも撮影は可能だが、ウスタビガのほんとうの羽化時刻というものを知りたいとこだわったからだ。ずいぶんと時間や経費も掛かってしまったが、その努力の結果、オスとメスの野外羽化の瞬間を撮影できた。撮影を思い立ってから3〜4年目のことだったと思う。
 ウスタビガについては月刊誌などで写真の一部を公表したが、いづれは一冊の本としてまとめたいと考えていた。しかしそれは難しいとも思え、急遽ヤママユに変更し、あらためて1年間撮影し直し『ヤママユガ観察事典』(偕成社)が出来上がった。それから10年が経つ。

 今回は「まゆ」というテーマで写真絵本を作ってみた。そのなかでウスタビガは大きなウエイトを占める。と同時に、「まゆ」はカイコなど蛾の仲間だけが紡ぐものではなく、いろんな虫たちが作るいろんな形の「まゆ」があることも盛り込んである。
 「まゆ」には綺麗なものやへんちくりんなものまでいろいろあるが、「まゆ」を不思議に感じるのは、生き物そのものではないが、かといって無機質な物体にも思えないところだろうか。「まゆ」は芋虫たちが吐き出した命の糸からできでいるからであり、その糸の組成が科学的に微細に解明されていても、神秘的な「まゆ」の魅力は少しも色あせることがない。

 新開 孝
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