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アカメガシワの樹液 2008/05/29(その1)
 昨夜から今朝にかけてどしゃぶりの雨が続いた。雨樋の3箇所で雨水があふれている。いづれもスズメが溜めた藁屑の巣材が詰まったせいだ。
 今うちの軒下では4つがいのスズメが営巣しているが、巣場所を探しあぐねている3つがいが他にいるようだ。

 さて、一旦は雨が止み日射しもあったりしたが、雲行きは依然怪しい。そしてたいへん蒸し暑い。昼食後、居間から林を眺めていると、アカメガシワの樹液に虫が集まっていた。
 アカメガシワの樹液は、幹内部にコウモリガの幼虫が穿孔したせいで滲み出る場合が多い。コウモリガ幼虫は、将来の羽化脱出口として直径15ミリほどの穴を幹表面に穿っている。穴の周辺は浅くえぐられていることもあるが、穴を広く取り囲むようにドーム型の蓋が被さっている(写真上)。蓋は木屑と糸で出来ており、触ってみると固いスポンジのようだ。
 しかし、コウモリガ幼虫が潜んでいる坑道が外に開口している穴からは、樹液が滲み出る。その樹液の臭いに誘われて、さまざまな昆虫が集まってきて、ドーム状の頑丈な蓋も破られてしまう。クロヒカゲが樹液を吸っていた場所で、破れたドームを完全に取り払ってみれば、コクワガタのオスとヨツボシケシキスイの姿が現れた(写真下)。
 そしてよく見れば、コクワガタのすぐ右脇にコウモリガ幼虫の頭部があるではないか。コウモリガ幼虫は明るい場所には決して体を晒すことはない。これはどうしたことだろう?

 長いササ竿を使って注意深く幼虫の体に触れてみたが、まったく動く気配もない。死んでいるのだろうか?あるいは、これは期待したいことなのだが、もしかしたら蛹化に先立って休眠しているのだろうか?
 もうしばらく待てば、その真相もわかるだろうか?

(写真/E-3  50-200ミリズーム/ ストロボFL-36R使用)新開 孝

ヒメヤママユ幼虫と背負い式草刈り機 2008/05/28(その2)
 今日は正午前から雨。どうやらここ南九州は梅雨入りしたようだ。

 午前中は菜園で収穫を終えたエンドウ豆の片付けをしたり、カブトムシ幼虫を採集しに行ったり、庭の掃除したり、室内撮影をしたり、林の一部でササ刈りしたり、と雨が降り出す前に慌ただしく動いていた。おかげで汗びっしょりとなる。

 ずっと停滞しているホームページリニューアルの下準備を、夕方になってかなり進めることができた。明日の午前中には完了できそうだ。

 そこで今日の写真は昨日、撮影したもの。
 
 昨日の午後、近所の方から電話があった。梅林で大きな緑色した芋虫を見つけたということ。聞いた範囲でその芋虫はヒメヤママユであろうと思った。宮崎に来てから、ヒメヤママユ幼虫はまだ見てないので久しぶりに見ておきたくなった。
 梅林ではすでに梅の収穫を終えており、枝打ち作業中であった。収穫した梅は化粧品加工工場に納品するそうだ。さて、やはりでっかいヒメヤママユ幼虫は2匹いた(写真上)。幼虫はもう成熟しており、辺りの葉っぱが大量に暴食されていた。繭作りももう間近だろう。ヒメヤママユについて、少しその生活史を説明させてもらい、さらに幼虫も引き取らせていただいた。

 ヒメヤママユ幼虫を著書『昆虫放談』のなかで「ムギバタケ」と呼んだのは、小山内龍である。まことその表現はすばらしい。

 さて、新型デジタル一眼カメラより優先された草刈り機とは、背負い式であり、斜面などの作業ではたいへん使い易い(写真下)。エンジンの振動が背中に伝わらないよう、エンジンと背負い部分とはスプリングで繋がっている。
 このような小型内燃機関はたいへんデリケートに出来ており、取り扱いにはいろいろと注意すべきことがある。私はその辺りのことに無知であり、これまで草刈り機の扱いについてはど素人も良い所だった。
 例えば燃料。これはガソリンとオイルの混合燃料を使用するのであるが、市販のお手軽な調合済み混合ガソリンは良くないようだ。混合作業は作業毎にきちんと自分で行なうのが良く、しかもオイル、ガソリンの質には気を配ったほうが良いこともわかった。それだけでも機械の調子がずいぶんと違ってくるし、故障も少なくなる。

 草刈り作業中は必ずフェイスマスクを装着する。小石や枝など予期できない飛散物があり、以前にはあわや眼球直撃という事態を何度も経験しているからだ。

 
 新開 孝

コバチのまゆ作り 2008/05/28(その1)
 昨日、紹介したアケビコノハ幼虫から出て来たコバチ幼虫群は、ゆっくりとまゆを紡いでいる。一見、協同まゆのようでもあるが、コバチ幼虫各自で自分のまゆを作っている。

 今回のようなコバチ幼虫は、東京都清瀬市で2年前にも、スモモキリガ幼虫において観察、撮影し「ある記」で紹介したことがある(写真下/2006年5月)。時期はそのときも5月の中頃であったが、コバチ幼虫の姿はたいへん似ている。体の色は違うが姿形はそっくりだ。

 コバチ類の寄生を観察するには、野外で見つけた芋虫を飼育さえすれば意外とチャンスは多いのかもしれない。ただし、飼育中は毎日こまめに幼虫の様子を観察しないといけない。もっとも今回のアケビコノハの場合は、コバチ成虫の産卵行動を見ていたから、おおよその筋書きは最初から読めていた。

(写真上のみ/E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

アケビコノハ幼虫の受難 2008/05/27
 先日、うちの近くの桝安森林公園のアケビでアケビコノハの幼虫を見つけたのはファーブルさんだ。この幼虫には小さな寄生蜂が乗っかっていた(写真上/5月17日撮影)。よく見るとアケビコノハ幼虫に産卵管を突き立てて産卵しているのがわかった。
 そこでアケビコノハ幼虫は私が持ち帰り、しばらく飼育することにした。どのようなやり方で寄生蜂のこどもらが登場してくるのか、それを見届けたいからであった。

 飼育ケースの底には糞が多数落ちていたが、どうもアケビコノハ幼虫の成育は芳しくない。ちょっとおかしいなあと思い、今朝になって飼育ケース内を覗き込んでみれば、なんとその原因がこれだとわかった(写真中)。これはコバチ類の幼虫たちである。コバチ類の幼虫群は、アケビコノハ幼虫の体内で養分を吸収しながら成長し、成長を遂げてからアケビコノハの体外へと姿を現した瞬間なのである。

 時間を経るうちに、コバチ幼虫群はしだいに分散し始めた(写真下)。彼らは繭を紡ぎ始めたのである。その繭の様子は明日には紹介できるだろう。

(写真/E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)

 昨日、霧島山の登山道を歩いた時間は、のべ5時間程度。
 その間に担いでいたビデオ三脚の重量を計ってみれば、約6キロ。まあこれならシンドイはずだ。背負ったカメラザックの重量は左程でもないが、例えば首から下げた一眼デジカメは滴り落ちる汗でドロドロになってしまう。

 今日もたいへんよく晴れたが、フィールドに出掛ける予定を変更して、今継続している様々な撮影準備を立て直し、そして林の草刈り、機材の手入れなど、細々とした作業をこなしておいた。いづれも傍目から見れば地味で退屈な作業でしかないが、こういった作業をこまめにやっておかないと仕事が成立しない。


新開 孝

霧島山、ふたたび 2008/05/26
 先週、霧島山の高千穂峰手前の御鉢まで登った。御鉢の西側斜面は急峻だがそこにミヤマキリシマ群落があって、花の咲き具合は8割程度であった。この場所に出直す前に、他の場所を見ておこうと思った。

 そこで今日は高千穂峰西側の中岳(1332メートル)に登ってみた。高千穂河原ビジターセンターの駐車場から1時間のルートだが、これがけっこうキツかった。おまけに今日は夏日となって滴り落ちる汗の量も半端ではない。なんといっても肩に担いでいるビデオ三脚が重い。これさえ無ければ私も普通の登山客なのだが、これを背負っているがため、ときどき声を掛けられるハメとなる。

 喘ぎ喘ぎ辿り着いた中岳のミヤマキリシマ群落は、まだ3割程度しか開花しておらず、撮影はできなかった。これにはガックリ。しかし眺望はさすがに良い。東に間近に迫る高千穂峰や御鉢の山容は見事だ(写真上)。
 ちなみに御鉢の西側斜面のミヤマキリシマ群落(写真中)とは、写真の矢印先に示したあたり。
 
 中岳を下る「もみじモース」の途中で、足下から「シュル、シュル、シュル」という連続音が聞こえ、ハタと脚を止めた。この「もみじコース」を歩く人はわずかしかいない。なんと登山道のすぐ脇にマムシが横たわっており、尻尾を上げて小刻みに振るわせている。さらに鎌首を上げてこちらを睨んでもいる(写真下)。
 どうやらマムシは私に警告しているようだった。この警告音が無かったならマムシのすぐそばを踏みつけ、噛まれる事態もあったのではないか。
 通りすがりの方から聞いた話では、マムシが尻尾を振るときには独特な臭いも出すそうだ。

 マムシはしかし、おとなしいヘビだ。踏みつけたりしないかぎり咬んでくることは滅多にない。マムシと出会ったときには、薮の中へそっと去っていくことの方が多い。
 さて、汗だくになりながら一旦は高千穂河原ビジターセンターに降りたものの、御鉢を見上げるとミヤマキリシマの花色が濃くなっているのがよくわかる。
 疲れてはいたが今日にも撮影しておかないとこの先の天候も不安だ。したがって、今度はふたたび御鉢直下を目指して高千穂峰登山ルートを歩き始めた。さすがに、シンドイ。途中、ニホンジカの親子に出会ったりしながら、先週訪れた撮影ポイントへようやく辿りついたのであった。

(写真/E-330  14-54ミリズーム)

新開 孝

鰐塚山に登る 2008/05/25(その1)
 三股町の最高峰が標高1118メートルの鰐塚山。鰐塚山は宮崎市、北郷町、そして三股町にまたがり、昔から昆虫の宝庫としてもよく知られている。

 宮崎市から山頂まで続く登山道は台風の災害復旧工事で長らく通行止めとなっていた。それでこれまで鰐塚山へ登ることは諦めていたのだが、北郷町側から山頂までの車道があるとの情報を得て、今日はそのルートで頂上まで登ってみた。登るといっても全ルートを車でいけるわけだ。途中、出会った地元の人に聞いたところでは、宮崎市側からのルートもつい先日に開通したという。

 山頂までの道沿いは自然植生が豊かで、ミズキの花も咲き始めていた。とくに目についたのはオオバウマノスズクサで、この蔓植物はたいへん多い。そして、このオオバウノスズクサを食草とするジャコウアゲハの個体数も多かった。
 ともかく車から降りて歩き出すと、いろんな昆虫に出会える。じつにたのもしい環境だと感じる。四季折々ここに通えば、多様な昆虫種を撮影できるのは確実のように思えた。花蕾をつけたアブラギリも多く、オオキンカメムシの繁殖も見られるかもしれない。

 ただし頂上はいたってつまらない(写真上)。とくに観光目当ての一般の方にとっては退屈でしかない場所だ。アンテナ関係の施設が立ち並んでいるがゆえ、まさに冷たい風景一色。しかし森の植生環境にはたいへん心なごむものがあり、雲がなければ眺望も良いようだ。そしてここには灯りが無いので、発電機を用意してナイターを行なえば、飛来する昆虫も多いことだろう。

 登山道の途中ではキブシでゆりかご作りをするウスモンオトシブミが多かった(写真下)。

(写真上/ E-3  14-54ミリズーム)
(写真下/ E-3  50ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 新開 孝

ネブトクワガタ 2008/05/25(その2)
 鰐塚山を降りてから、北郷町の広渡川ダム支流の谷間に入ってみた。
 今日は都城市在住の虫屋さん、KSさんが同行。KSさんは甲虫のなかでもクワガタ、カミキリ、タマムシに詳しく、そして出身はなんと福島県。KSさんとは草刈り機のことでお世話になり、それをきっかけにお知り合いとなった。
 広渡川ダムの支流沿いに道を進むとニレが多く、その樹液にはシーズン中には多くのクワガタムシが集まるとのこと。南九州の樹液といえばニレの樹がもっとも普通であり、ここにはミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、ヒラタクワガタなどが集まる。

 もうそろそろノコギリクワガタも活動しているだろうと樹液を見て回ったが、まったくその気配はない。しかし、KSさんはネブトクワガタの少し大きいオスを見つけた(写真上)。このニレの樹液では他にもオス、メスが各1匹づつ見つかった。
 車を止めていたすぐ脇には大きなヤマグワの樹があって、ふと見れば葉うらでヒメツノカメムシのメスが幼虫を保護している最中であった(写真下)。

 今日、巡ったフィールドは少し標高が上がる。標高が上がったぶんそれなりにたいへん植生豊かであり、渓流環境も良かった。普段は平地にかじりついている私だが、30分程度でこのような環境に行けることは、とても嬉しいことだ。

 (写真/E-3  35ミリマクロ)新開 孝

フタモンアシナガバチの巣 2008/05/24
 近くの畦道でフタモンアシナガバチの初期巣を見つけたのは、4日前のこと。
フタモンアシナガバチの巣を見るのは久々のことだったので、少し嬉しかった。しかし同時に巣場所の位置には問題があった。

 一昨日のこと、私は敷地の西側斜面の草刈りを行なった。新しく買い求めた背負い式草刈り機を使ってみたのだが、これがたいへん調子良い。ノリ面などの傾斜地では背負い式だとたいへん作業効率が上がる。というか肩掛け式の刈払機だと傾斜地では脚元が不安定となって危ない。
 今回買った背負い式刈払機は、ゼノア(ZENOAH)というメーカーのもので、ハイブリッドスタートといってボタンを押すだけでエンジン始動できる。まあ、良い機械はそれなりのお値段もする。もうじき発売となるOLYMPUSの一眼デジカメ、E-520がちょうど買える金額。
 昆虫写真家がカメラと刈払機とどちらを買い求めるべきか選択をせまられたなら、その選択肢は決まっているようなものだ。しかし私の場合、まず刈払機を優先すべき状況にある。E-520は購入するつもりだったが、少し延期するつもりだ。

 さて、その草刈り中にすぐ下の畑からも刈払機の唸る音が聞こえてきた。Kさんが牧草畑周囲の草を刈リ始めたのだ。その瞬間、あの数日前に見つけておいたフタモンアシナガバチの巣も終わりだなあ、と思った。ま、仕方が無いか。

 翌日、犬の散歩でフタモンアシナガバチの巣があったところを見に行ってみると畑の周囲は綺麗に草刈りが施されていた。やはりダメだったか、と思いきや、なんと巣がある!女王もちゃんといる。

 よく見ると草刈りの刃は巣の直前で止まっており、まさに寸止めの技で巣を回避していることがわかった。そうか!Kさんはアシナガバチの巣に気付いて、刈り残してくれたのだ。
 そういえば、去年の6月、私はKさんのお家を訪れアシナガバチの巣を探したことがある。あのとき一生懸命に巣を探していた私のことをKさんは覚えていてくれたのだろう。

(写真/E-3  50ミリマクロ)

新開 孝

ラミーカミキリのメス 2008/05/23
 昨日、ラミーカミキリのオスの顔写真を紹介したので、今日はメスの顔を撮影してみた(写真)。小雨がパラつくなか犬の散歩に出てみたのだが、カラムシを見てみるとすぐにメスは見つかった。

 ラミーカミキリは普通に見られるカミキリムシだが、けっこう綺麗な色紋様をしておりその姿を見ているだけでも心なごむ気がする。しかし、ふりかえってみればこのラミーカミキリの生活史をしっかりと観察しているわけでもなく、私にとっては謎の多い虫の一つと言える。普通にいてしかも派手な姿をしたカミキリムシが、例えば児童書ではこれまでほとんど扱われていない。これは少し意外な気もする。 
 もっとも本種の生息分布は関東以西に偏っているから、普通とはいってもそれは西日本での話。でも、やはりもっと広く紹介されてもいいカミキリムシではないだろうか。本種の幼虫期なども鮮明な生態写真で表現できれば、と思うのは私だけではないだろう。

(写真/E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)新開 孝

ノコギリクワガタ初見 2008/05/22(その2)
 夕方の犬の散歩の途中、カラムシを眺めてはラミーカミキリのメスを探してみた。それというのもオスはけっこう見つかるのだが、いっこうにメスの姿が見えないからだ。

 ラミーカミキリのオスとメスの区別は、顔を正面から見ればすぐわかる。それでオスはこの顔(写真上)。ついでメスの顔写真をここに並べてみれば歴然とその雌雄の違いを紹介できたのだが、、、残念。

 ところがカラムシの葉上でノコギリクワガタのオスを今年初めて見かけた(写真中、下)。

 小柄なオスだったが、ファイト満々!!元気に大アゴを振り上げては威嚇してくる。

(写真/E-3  50ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

スッコン谷渓谷 2008/05/22
 霧島山へ通うなかで気に掛かっていたのがこの看板(写真上)。
「スッコン」とはどういう意味でついたのかわからないが、川岸は常緑樹林に覆われており、今日はこの怪しい渓谷へと降りてみた。

 するとさっそく現れたのがアオハダトンボのオス(写真中)。他にもミヤマカワトンボが多く、カワトンボも褐色翅型のオスが一匹だけ見られた。

 川床には甌穴が多数あって、そこが水溜まりとなりオタマジャクシが群れ泳いでいる。岩棚にはミソサザイの巣跡らしきものも見つかった(写真下)。
 「スッコン谷渓谷」は狭い渓谷で階段を降りたところはとても人臭くて好きにはなれない雰囲気だったが、アオハダトンボが出迎えてくれたことで気分を取り直すことができた。そう少し上流、下流へと歩いてみれば、けっこう面白そうな自然環境のようであった。

(写真上/E-330  14-54ミリズーム)
(写真中、下/E-3  50-200ミリズーム)新開 孝

小さな小学校(昨日を振り返って) 2008/05/22
 高千穂峰から下山して、もう午後3時だったが高千穂河原の店で遅い昼食をとった。出て来た肉うどんは、麺や具がこんもりと盛り上がっておりつゆが見えない。食べ進んでいくとようやくつゆに到達。ぶっかけうどんではないのにつゆが少ないというのはどういうことか。しかし、腹が減っていたので文句言う間もなく食べ終えてしまった。
 そういえば群馬大学の食堂で出てきたカレーうどんを思い出す。こちらはつゆがほぼない。カレールーに麺を絡めながら食べるのであったが、それが群馬のあたりでは当たり前らしい。ぶっかけカレーうどん、とでも言うべきだろう。カレーうどんを食べた気がしなかったが、他のテーブルを見てみると大学の事務の方などはおいしそうに食べていた。

 さて、帰路についてからしばらく車で走っていると「吉之元小学校」という看板が目に入った。小高い丘の上に校舎が見える。人口が少ない地域の小学校は、こじんまりとしていてそしてのどかな風景のなかにある。自分もこんな学校に通いたかったなあ、などと思いながらついついカメラを向けてしまう。学校の向こうには霧島山がせまり(写真上)、校庭も落ち着いた雰囲気が良い(写真中)。学校のHPを見ると全校生徒はわずか16名。校舎は3階建てだから、昔はもっと児童数が多かったのだろう。
 近くの道沿いにはこんな看板まであった(写真下)。サルやイノシシはうちの近所にも出没するが、さすがにシカはいない。

(写真/E-3  14-54ミリズーム)新開 孝

霧島山のミヤマキリシマ 2008/05/21
 今日は霧島山に登ってみた。ミヤマキリシマの撮影にあたって下見をしておくのが目的だった。霧島山といっても多数の山からなり、そこを巡るルートもいろいろあってミヤマキリシマを撮影するにはどこが良いのか、それを現地で見ておく必要がある。世の中にはさまざまな情報が溢れているが、結局のところは自分の目で見なければ何事も始まらない。

 毎日のように庭から眺めてきた霧島山だが、その霧島山に登るのは今回が初めて。さて、どこのルートにしようかと車を走らせてみたところ、間違って高千穂川原の駐車場に入ってしまった。ほんとうはえびの高原方面に向かうつもりだったのだが、、、。しかし駐車料金は410円。入ってしまったからには勿体ないので、高千穂峰を目指してみることにした。案内板を見ればミヤマキリシマ群落地点などもあるようなので、ともかく出発だ。
 いつものカメラザックの仕切りを全部取っ払い、そこへハイビジョンビデオカメラHDR-FX1を収納する。このカメラザックはOLYMPUSのEシステム専用のものだが仕切りをはずしてみると、ゴミがたくさん出て来た。カメラザックは少なくとも週に一度くらいは掃除しなければいけない、と反省する。
 今回は下見とはいっても花の様子しだいでは本番撮影も想定しているので、ビデオ三脚も担いで登った。これが重くて厄介だ。

 高千穂峰への道は、樹林を抜けるとたちまち火山礫の険しい急峻な道となる。それまでは石畳の道でいかにも素人向きなのだが、この急変には初めての人は戸惑うだろう。火山礫の斜面はトレッキングシューズなど本格的な登山靴でないと脚を痛めそうだ。場所によってはズルズル滑って危険だ。

 休み休み喘ぎながらゆっくり慎重に登っていると、上から降りて来たおじさんが、私の姿を見て、
 「そんな重そうなもの担いで、兄さん大丈夫かい!ええ。なんだろうね、たいへんそうじゃねえか。ほんとに大丈夫かい!!」とべらんめえ調に声を掛けてくれた。

 「オレはよう、水筒ひとつで身軽だけどよお〜、お前さんそりゃあ、ないぜ!」
 「ええ?仕事ですってか!こりゃあおったまげたね。ご苦労なこって。」
 「オレはよう、園芸の仕事やってからよ、そういう目でしか見ないけれどよ、写真家ってのは、やっぱりこういう自然も見方が違うんだろうなあ、兄さん。ここに来る前には屋久島の宮ノ浦を縦走してきたんだけど、二日間とも雨降らずで良かったよお。」
 「なに?毎年来てるかだって!よしてくれよ、こちとら東京住まいだぜ、そんなしょっちゅう来れないよ。今日だって仕事さぼって来てんのよ。今晩は帰るけどね。まあ、がんばってなあ。」

 そのような会話もまた楽しい。御鉢の火口縁(写真上)でお弁当を食べていたおばさんともしばらく話し込んでしまった。

 「こんにちわ。」こんどは大阪弁だ。
 「私はね、姫路に嫁入りしたんだけど、生まれは大分なんですわ。」
 「いろいろあってね、それでも霧島山と阿蘇山、そして指宿が大好きでね、こっちに戻ってくると必ず登るんやわ。ええ、アンタ宮崎に引っ越してきたん!そんな思い切ったこと、うちらようできへんわ。でもそれはエエなあ。」
 「ミヤマキリシマはまだ遅れているみたいやなあ。そにしてもなあ、ほら、あそこの中岳なあ、昔はなあ、いっつも噴煙が登っていたんやでえ。それが今はな全然ないんや。これは噴火が近いんと違うのかいなあ。ほんま恐いわあ。」

 九州に来てからこういった具合に、すぐに打ち解けて会話する機会があきらかに増えた。

 肝心のミヤマキリシマだが、御鉢の西側斜面ではかなりまとまった群落を見ることができた(写真中)。ここの群落は霧島山のなかでももっとも急峻な場所かもしれない。ここより少し標高が上がるとまだ蕾みの段階が多い。
 最初は撮影を諦めかけていたが登山ルートからそれてみると、その急峻な斜面の群落を撮影するポイントに出ることができた。もっともそこから別ルートを辿って正規登山道に戻ろうとすると、途中たいへんな薮こぎせをねばならず、ズボンは破れる、腕はかすり傷だらけとなってしまった。

 今日はミヤマキリシマの開花状態のこともあって、標高1200メートルほどの御鉢で引き返し、高千穂峰(1574メートル)までは登らなかった。それにしてもこういった高標高の自然環境には、心なごむ。それはなぜだろう?

 広大な照葉樹林の樹海を目の前にして、昔憧れていたこの霧島山にようやく辿り着いたのだなあ、と感慨深いものがあった(写真下)。

(写真上/E-3  魚眼8ミリ) 
(写真中、下/ E-3   14-54ミリズーム)

 
新開 孝

せっかちなのか?几帳面なのか? 2008/05/20
 今シーズンに入ってからのハキリバチの活動は早く、すでに4月の上旬頃には庭木の葉っぱに切り跡が見られた。そこで先月の終わりころには慌てて竹筒アパートの更新をしたのであった。
 
 さて先日から、ハキリバチの一種が電気メーター箱(写真上)の底面にある通気口を出入りしている。けったいな場所を巣に選んでしまったものだと思ったが、ハキリバチにしてみれば、人工物であろうが自然物であろうがそんなことは関係ないのだろう。育児室をこしらえる空間さえあれば、それで良いのだ。

 しかし、通気口は地面に向いて空いており、その表面は滑り易いようだ。巣穴を出入りするには垂直上昇する必要がある。そのためか葉っぱを抱えて戻って来ても(写真中)、なかなか巣穴に入れずになんどもホバリングを繰り返すことが多い。しかもその挙げ句入れないと判断したのか、プイッと抱えていた葉っぱを捨てることがしばしばある。
 葉っぱを捨てたあとは、とりあえず手ぶらのまメーター箱の中に入って点検をしているようだ。地面に捨てられた切り葉はかなりの枚数が見つかり、古いものは茶色く枯れているものもある。

 巣が完成してハキリバチの出入りが見られなくなったら、電気メーター箱を開いてみて中の巣の様子を見てみるつもりだ。
 
新開 孝
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