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ダイミョウセセリ 2004/04/25(その2)
オオスズメバチ女王の営巣(4/23)のことが気になって、中里の雑木林に行ってみた。

女王バチを待っているうちに、頭上をカラスアゲハ、クロアゲハ、アゲハがせわしなく飛び交った。そういえばコミスジも3日前から見かけるようになったなあ。
で、ふと足下のハルジオンの花にはいつのまにやら「ダイミョウセセリ」が吸蜜に来ていた。
新開 孝

オキナワツノトンボの繭 2004/04/25(その1)
一昨日アップした「オキナワツノトンボ幼虫」が繭を造った。

細かい枯れ草を容器に敷き詰めておいたら、幼虫はやがてその中に潜り込み繭を綴った(写真上)。

枯れ草の隙間から白い糸がわずかに見えるが、繭本体の姿はわからない。

そこで余分な枯れ草をできるだけ切り詰めて除去したものが写真下。

繭はほぼ球形で直径は約1センチ。しかしこのような状態ではどこが繭なのか全くわからない。
これが野外にあるとなおさらだろう。発見は困難を極めるか不可能に近い。

偕成社『アリジゴク観察事典』に掲載したキバネツノトンボ繭の写真(私が撮影したもの)もよく似ているが、繭の違いと言っても単に外壁材の種類が違うだけのことである。
つまりオキナワツノトンボの繭の外形も幼虫がどんな場所で繭造りするかによって決まる。
キバネツノトンボの繭は実際に野外で見つけたものだが、必死に目を凝らして探していたら、球形状の繭が識別できたのである。
だが今回のオキナワツノトンボ繭を見ていると、以前に私がキバネツノトンボ繭を見つけたのはかなり運の良い繭にあたっただけの話であり、実際には発見不可能な繭を多数見落としていたのだなあ、とあらためて感じた。

オキナワツノトンボ幼虫の野外探索はまだ諦めてはいない。
八重山諸島を訪れるたびにそれなりの努力はこれからも試みるだろう。
しかし、さすがに繭の方は探してみようという気にすらなれない。
新開 孝

ラクダムシ成虫、羽化する 2004/04/24
近所の八幡神社境内で「ラクダムシ幼虫」を見つけたのは1月2日のこと。

その幼虫はシロアリなどを与えて飼育してきたのだが、いつのまにかケース内で成虫となっていた。



体長は12ミリ程と小さいが、奇妙な姿をしており思わずルーペで覗きたくなる。
ラクダムシとは頭の格好が駱駝に似ていると見立てての名前だろうか。和名そのものも実に奇怪ではある。

本種の生態についてはほとんどわかっていないようだ。
成虫は樹木の花に来ることもあるようだが、なかなかお目にかかれない。
その理由のひとつはあまり飛翔移動しないせいかもしれない。

せっかく昆虫を飼育していても今回のようにうっかり成長段階を見落とすことがある。
飼う種類を増やし過ぎた場合に犯しやすい失敗だが、普段からできるだけあれもこれもと種類を欲張らないよう戒めてはいる。

しかし、昆虫では卵や幼虫を見つけて撮影しても、その種類を同定するのは普通種といえどほとんどの場合が困難だと思っていたほうがいい。

そうであるから種名を見極めるという目的のため、飼育昆虫がいつの間にか増えていくのである。

新開 孝

オキナワツノトンボ幼虫、動く!! 2004/04/23(その2)
昨年の7月28日、石垣島にて私の襟首に軟着陸して以来、飼育していた「オキナワツノトンボ幼虫」。

この幼虫は一度脱皮して終令幼虫(3令)となったが、私が用意した小枝の又に落ち着いてから、なんと昨日までの約9ヶ月もの間!一歩足りとも動くこと無く過ごして来たのである。

その幼虫がついに枝を降りた(写真上)。

写真下はアリジゴクとして馴染みある「ウスバカゲロウ幼虫」(画面左)を並べてみたところ。オキナワツノトンボ幼虫(右)は体長15ミリもあり大きい。

沖縄地方でのオキナワツノトンボ成虫の出現期は5月頃から。そうすると今時分が繭を造る時期に当たると思われる。してまさに、うちの幼虫は動いたのである!

幼虫の生息場所はこれまでの間接的な観察、採集報告例などからして、樹上である可能性が極めて高い。(もっともそれを直接観察で確認しようと今年の2月には石垣島、竹富島に渡ったのであるが惨敗に帰した。)

さて繭を造るとなると幼虫はどのような場所で、どのような材料を利用するだろうか?
うちの幼虫の場合で考えてみると、幼虫の過ごして来た枝は枯れ枝であるから、繭の外壁用材が皆無である。

オキナワツノトンボの属するツノトンボ類の仲間では、キバネツノトンボの繭を私は知っている。
キバネツノトンボの幼虫は地上生活を送り、地上で枯れ草などを糸で綴って繭を造る。カイコの繭のように自分の吐いた糸だけで造る繭とは構造が違う。
おそらくオキナワツノトンボ幼虫もなんらかの外壁用材を必要とするのではないかと思う。
だからここにきて、幼虫は困ったのだ。
繭材を求めて動かねばならない。
今日がその初日であったのだ。と、思う。

そこで私は急遽、枯れ草などを容器に敷き詰め、幼虫をそっと落ち葉の上に誘導しておいたわけである。

さあ、ここで無事に繭造りをしていただきたい!!
本邦初、オキナワツノトンボ繭の写真がいよいよ撮影できるのであろうか!?

新開 孝

オオスズメバチ女王 2004/04/23(その1)
中里の雑木林。5日前の日曜日、アオダイショウに襲われたアカネズミ親子(バックナンバー4/20)を目撃した同じ場所、時刻もまったく同じ正午前のことである。

体長4センチを超える「オオスズメバチ女王」が切り株上を這っていた(写真上)。

写真下の矢印先からしきりに潜り込もうとしている。そこはアカネズミの巣があった所だ。切り出したクヌギの丸太材や刈り枝がぎっしり積まれた小山が小道に沿って帯び状に続いている。この小山の中は大小様々な空間があると思われ、オオスズメバチが営巣するにもうってつけの場所なのであろう。

中に潜り込んだオオスズメバチ女王は10分ほどで外へ出て来た。カメラを構えて近寄ると、飛び立つなりレンズ目掛けて迫って来た。私がゆっくり後ろへ下がったら、そのままくるくると旋回しながら上空へと飛び去っていった。
旋回しつつここの場所を記憶しているのだろう。

もしこの場所で営巣が進行するとなるといずれ問題が発生することだろう。女王一匹で営巣をしている間は気付く人もほとんどいないだろうが、多数のワーカーが誕生して出入りし始めたら厄介なことになる。この小道は散策する人がよく通るから、ハチに刺される危険性が高い。いや刺されずには済まないだろう。
そしてやがて巣は駆除されることになる。
そうなる前に営巣場所を早めに変えさせる手立てを考えたい。
いずれにせよ、この場所での営巣が今後進行するのかどうか気が抜けなくなった。
新開 孝

群馬県水上町は早春 2004/04/22
谷川岳を背にした群馬県水上町に赴いた。標高1900メートルを超える山岳地帯はまだ残雪でまぶしい(写真上)。

うちから車で1時間半程。この位の所要時間で通えるフィールドが遠隔地としては限界であろうと思う。

水上町周辺には私のお気に入りの場所があり、今日は季節をほぼ一ヶ月遡ってみた。さすがにサクラは葉っぱが目立ち始めているがまだ花もわずかに残り、止めた車内に花びらが次々と舞い込んで来る。

ツツジの開ききらない蕾。そこへ「コツバメ」のメスが現われた(写真中)。彼女のお腹は卵巣が発達して大きく膨らんでいる。しきりに触角で蕾の表面を触診して、産卵場所を探していた。やがて生まれる幼虫は蕾の中に潜入して花を餌とするのである。

芽吹き始めたばかりのコナラの若葉では、「カギシロスジアオシャク」の若い幼虫がしがみついている(写真下、芽の左側の茶色の幼虫)。うちの近所の(清瀬市)雑木林ではすでに終令幼虫にまで育っているから、季節進行の差がよくわかって面白い。

少し時期的には遅かったが、それでもよく探せば「土筆」のおいしそうなものがまだ見つかる。仕事を終えての帰り際、土筆を少々採ってみた。
私は毎春、この土筆の玉子とじを賞味するのが習慣となっている。面倒ではあるが一本づつ「はかま」をはずす作業も楽しんでいる。


新開 孝

ルリタテハの幼虫と卵 2004/04/21
雑木林の林床に生えている「サルトリイバラ」
の若葉に、穴ぼこが目立つようになった(写真上)。

これは明らかに「ルリタテハ幼虫」の食痕だ。葉を裏返すと黒い1令幼虫が次々と見つかる。どれも体を丸く曲げている(写真中)。

幼虫は必ず葉っぱの裏側で見つかるが、それに対して卵の方は表裏両方に産み付けられている。

葉表で見つけた卵を拡大し透過光を強めにして覗いてみると、色が一様ではない。これは卵の中で幼虫の発生が進行しているものと思われる(写真下)。
新開 孝

アオダイショウ 2004/04/20
先日見つけておいた「カギシロスジアオシャク幼虫」を撮影しておこうと中里の雑木林に行った帰りである。

遊歩道沿いの金網柵をちらちら眺めつつ歩いていると、「アオダイショウ」と目が遭った(写真上)。

アオダイショウは朝の陽射しを浴びてのんびりやっている。金網はヘビにとって中空移動するにはうってつけのようだ。ここの金網は遊歩道側にヤマブキの植え込みがあり、また様々なツル植物が絡んだりしているので身を隠すにも好都合(写真下)。

『アオとアカの運命』

実は一昨日の日曜日、ここ中里の雑木林で「アカネズミ」の災難を目撃したので、少し触れておこう。

いや災難というよりそれは野生動物の普段の生活の一場面、と表現すべきだろう。

雑木林の小道でコナラの梢に見つけたカギシロスジアオシャク幼虫を眺めていたら、小道脇の薮からいきなりアカネズミが足下へ飛び出してきたのである。それも正午近くの真っ昼間のこと。

しかもなんと赤ん坊を少なくとも2、3匹、引き連れている。
毛が生えていないまさに赤子だった。
親ネズミがくわえていたのであろうか、確と見定める暇もなく小道を横切って反対側の薮へと姿を隠した。
すぐ近くの薮の中に留まっているのがガサゴソという音でわかる。

何がどうなったかわからぬまま、じっとアカネズミ親子の動向を窺っていると、
やがて親ネズミがちょろちょろと姿を現わして元の場所へ戻ろうとしている。
「うん!?」私にも少し事情が読めて来た。
「なるほど巣に残した他の子ネズミを連れてこようというのだろう。
一度にはくわえて運ぶことができなかったのだな!」
私はそっと後ろへ下がった。
しかしながらそんな危険な引っ越しを
私のような人間がいてさらに真っ昼間であるにもかかわらず、
何故やる必要があるというのか!?

親ネズミは巣場所としてはうってつけの朽ち木が積まれた暗がりへと戻りかけたが、そこで飛び上がるようにしてまた元の薮へとダッシュで引き返してしまった。

どうした!?なんだ!?

親ネズミがはねた瞬間、私が見たものは
大きくくねるアオダイショウだった!

お引っ越しなどという呑気な話ではなかった。アカネズミ親子の決死の脱出劇だったのだ。

アカネズミもこの雑木林で生きているなら、もちろんアオダイショウも生きいる。それは薄々わかっているつもりでもこういう血なまぐさい場面を直接見る機会はそうそうあるものでもない。

新開 孝

クヌギかヘラか? 2004/04/19
本日の写真は昨日撮影したものだが、クヌギカメムシ類の幼虫について少し触れておきたい。
さて中里の雑木林も含めて武蔵野台地に広く生息するクヌギカメムシ類には2種類いる。

「クヌギカメムシ」と「ヘラクヌギカメムシ」である。

厄介なことに両種は極めて似ておりしかも混生している。成虫の区別点は以前にも書いたように腹部気門の黒いふちどりがあるかないか(あるのがクヌギ)でおおよそわかる。ところが幼虫となるとこれは難しい。

今回の写真の幼虫はいずれかの4令幼虫である。コナラの葉裏で汁を吸っている。下の写真ではクロクサアリが乗っかっているが、これは幼虫の排泄物を吸い取りたいがためである。

カメムシの排泄は唐突であり、アリの催促とのタイミングがうまく合わないことが多い。

このカメムシ幼虫は4令になってからの日令が浅いのかも知れない。
いずれにせよもう少し様々な幼虫を観察撮影してから種名確定の努力をしてみたい。

実は幼虫期の区別に関して、専門家の方からの御教示をいただいている。その成果をなんとか今年は生かしたい。


新開 孝

アオオサムシ逝く 2004/04/18(その2)
中里の雑木林近くの路上で「アオオサムシ」が死んでいた。

車にでも轢かれたのであろう。冬越しからやっと目覚め、春の陽気につられて歩き出したまさにその瞬間の出来事だったのかもしれない。




『ヨコヅナサシガメ、埼玉県で確認』

昨年の秋、私の住む清瀬市でヨコヅナサシガメの生息を確認しこの「ある記」でも何度か触れた。
そしてその分布拡大が埼玉県まで及んでいるかもしれないと想像してきたのだが、いかんせん自転車でのフィールド巡りには時間的にも限界があった。
さて先日、これまで7ヶ月間に渡る車無し生活に終止符を打った。とは、いささか大袈裟な表現だがさすがに仕事上の支障をきたすようになりやむを得ず車を購入したのである。
そこで先日16日には車の調子を観るのも兼ねて、あちこちのフィールドを巡っての下見をしてきた。
なかでも「さいたま市、秋ケ瀬公園」では予想通りヨコヅナサシガメ幼虫集団をクヌギ大木で見つけることができた。
すでに埼玉県内広くに分布している可能性も高いようだ。

新開 孝

羽化したヒメカギバアオシャク 2004/04/18
先月、3/31に松山で撮影した「ヒメカギバアオシャク幼虫」は、4/6には蛹となった。

その蛹が12日目にして羽化した。オスである。

透明プラケース内の壁に張り付いた姿はびっくりするほど鮮やかな色をしていて、すぐさま撮影を開始した。

写真上は背面で、下は腹面、つまり翅の裏側である。




翅表の色模様は青チーズを想い起すが、これに旨いビールがあれば、などと横道にそれる話しは止めておこう。

そして翅裏の輝くような色模様を見て、私はまず「黄八丈」が頭に浮かんだ。

「黄八丈」は八丈島に古くから伝わる絹織物。「黄」「樺」「黒」の3色からなる草木染め絹糸で織り上げる。
なかでも黄色はイネ科の「コブナグサ」を使って染めるという。
コブナグサは関東以南に普通に生えていて、八丈島ではこの草を「カリヤス(刈安)」と呼んでいるそうだ。
黄色の染色剤としてコブナグサを使用することは今回調べて初めて知った。

それにしても八丈島を語るに、産業としては花き園芸が盛んだが、豊富な魚類はともかく「アシタバ」「くさや」などの食ベ物やそしてなんといっても焼酎などははずせない。昔、島の人から秘蔵の古酒を御馳走になったことがあるが、絶品!の旨さだった。
新開 孝

石垣島のヤノヤハズカミキリ 2004/04/17(その3)
ハイイロヤハズカミキリが登場したついでに、
2月の石垣島では「ヤノヤハズカミキリ」を撮影しているのでここに紹介しておこう(写真上/下、2/14、バンナ公園で撮影)。日本にいるNiphona属は(その2)で紹介したハイイロヤハズカミキリとこのヤノヤハズカミキリの2種のみ。

写真のヤノヤハズカミキリは枝表面をかじっており、その齧り痕が枝のあちこちに点々と見られた。実はこのカミキリムシを発見できたのはその食痕のおかげであった(写真下、矢印先)。

本種の種名の確認にあたっては徳島県の大塚さん(ホームページは『四国のカミキリムシ』)に御教示いただいた。
大塚さん、ありがとうございました。
新開 孝

かぐや姫に再会する 2004/04/17(その2)
昨日、狭山丘陵方面に赴いたとき久しぶりに「ハイイロヤハズカミキリ」を見つけて懐かしく思った。

エノキの小枝に抱きつくような格好は隠蔽擬態の効果絶大。最初は脚だけが見えていたので、クモがいるのかと思った(写真上、4/16、所沢市山口にて撮影)。
飛び立つ瞬間には前翅、後ろ翅の順に開き、ついで中脚(写真中の矢印先)をまず浮かせてから離陸する。この離陸手順は他の甲虫類においてもだいたい同じようだ。

さて、ハイイロヤハズカミキリは別名「かぐや姫」と称される。その理由はリンクさせていただいている大塚さんの『四国のカミキリムシ』を御覧いただくとよくわかる。

新開 孝

ヒカゲチョウ幼虫、受難! 2004/04/17
先々日の4/15に紹介したヒカゲチョウ幼虫に異変が生じた(写真上)。

体側面から6個の繭が出現したのである(写真下、矢印先)。これは寄生バチの一種、コマユバチの仲間の繭だ。

モンシロチョウの幼虫などを飼っていると、よくこのコマユバチ(アオムシコマユバチ)が出てくる。モンシロチョウの場合はもっと多数の繭が出現し、幼虫の体もそれに伴い萎びてしまう。いかにも壮絶なシーンだ。

ヒカゲチョウ幼虫の運命は去年秋の頃、すでに尽きていたのである。

新開 孝
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