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チョッキリ君 2004/04/16
所沢市狭山丘陵へ久しぶりに赴いた。ウメの梢でジャコウアゲハの蛹を探していたら、ウメの実に虫喰い痕が多いことに気付いた(写真上)。


これは「ウメチョッキリ」の仕業に違いないと思って実の方を注目して探してみると、おりました!「チョッキリ君」が(写真中)。しかし後でわかったことだが本種はウメチョッキリではない。ウメチョッッキリの体は紫金属光沢色である。

ウメの実を懸命にかじったりしているこのチョッキリ君は「ウメチョッキリ属」の仲間であることは間違いないようであるが、種名までは今のところわからない。体色は藍色をしておりルーペで見ると綺麗な光沢色を堪能できる。

新開 孝

マンション裏の草地とは 2004/04/15(その2)
これまで玄関出て20秒のフィールドと書き込んで来た、その撮影現場となっている草地を紹介しておこう(写真)。
おそらくこの時期の風景が一番わかり易い絵柄であろうと思う。

写真には物置き小屋が並んでいるがこれはガス工事屋が借り受けているもので、主に資材置き場となっている。その余った空地にアブラナやタンポポ、ギシギシ、カラスムギ、オオイヌノフグリなど様々な草植物が生えているだけのことだ。そして画面左寄りにうっすらとけもの道のように地面が剥き出しになっているところが画面奥の駐車場へと続く小道なのである。
画面左端の川が空掘川。

画面中央右寄り近くのアブラナ群落がコアシナガバチたちの営巣場所である。
ここの草地は侮るなかれ、これでもけっこうな昆虫世界があり、私とてまだまだこれから解読しようというところなのである。

毎日、眺める、飽きずに覗き込む、その繰り返しこそが昆虫ワンダーランドへの近道なのである。

くどいようだが、繰り返して申し上げるが、
素晴らしいフィールドがどうこうということより、
どういう感性、いかなる視点、などをどれだけ根気良く注ぎ込むことができるかどうか、
実はそこが肝心なのである。






新開 孝

ヒカゲチョウの幼虫 2004/04/15
アズマザサの茂みでは去年の古い葉に混じってこの春に成長して開いた若い葉が目立つ。そろそろ「ヒカゲチョウ」の幼虫が動き始めているだろうと思い探してみた。真新しい緑色の葉をじっと見ていくと、先端をかじられた葉があった(写真上、矢印先)。

おそらく幼虫の食痕だろうと思いそっとめくってみると、やはりいた(写真中)。葉裏の主脈に沿って静止している。写真画面の向って左側が頭であるが、右側のお尻にも頭と同じような一対の突起があって、むしろこちらの方が目立つ。

伏せている顔を正面から見てみると、まるでウサギのような表情をしている(写真下)。


昆虫には頭に似せた模様や形態をお尻の方に持っている種類が他にもけっこう知られている。ヒカゲチョウ幼虫のお尻も頭そっくりと言えるが、では何故か?という疑問に、はて答えなどあるのだろうか?


『閑話/三脚座を糊付け!』

キャノンのUSM100ミリマクロレンズは、私の仕事において最も稼働率が高いレンズである。
このレンズの良い所は、フォーカスリングをいくら回しても鏡筒が伸びない、つまりレンズ長が変らないにもかかわらず拡大率が等倍まで撮影できることだ。
これはストロボを多く使う昆虫接写では非常にありがたいことで、ライティングの自由度が高いというメリットがある。
さて、もう一つこのマクロレンズの長所とは三脚座が付くようになっていること。
三脚座は別売ではあるが三脚を使って撮影する際、光軸をそのままで縦位置、横位置へと即座に変更できるので重宝する。
ところがこの三脚座は、レンズに取り付けたあといくらネジを強く締めていてもちょっとした力が加わっただけで、するりとはずれてしまうのである。
無論ネジを緩めてカメラの縦横位置を変えようとすれば、がくんとレンズから三脚座が抜け落ちてしまい、いちいちそれを固定し直す必要がある。
これでは使いものにならない。よくよく原因を調べると、最初にレンズに取り付けるアダプターという合成樹脂バンドがただ巻き付けるだけの構造であることだとわかった。
レールが固定されてなければその上を走る電車が脱線するのと同じこと。
これで1万円以上もするのだから腹立たしいとは思うが、怒るよりちゃんと使えるようにした方が良い。
さっそくアダプターをレンズにがっちりと接着してしまった。アダプターをレンズに糊付けすると、いくらネジを緩めても、もう三脚座は外れなくなる。
私にとっては三脚座を取り外しする必要がないのである。
新開 孝

雨の中のコアシナガバチ 2004/04/14
マンション裏草地で営巣中のコアシナガバチ女王は今のところ4匹いる。いずれもアブラナの茎に巣を構えている。昨日も書いたようにそのうち一番最後に巣を作り始めた女王バチは今日も一日、姿を見せないでいる。他の3匹は巣を下から抱えるようにした姿勢でじっと静止したままである。
昨日も今日も気温が低かったことと、今日は午後から小雨が降り始めたことで、コアシナガバチ女王たちは活動休止状態が続いている。じっと我慢というよりか、寒くて動けないのであろう。おそらく新陳代謝もうんと低下していると思う。もちろん昨日から食事もしていないはずだ。私が近寄ってもほとんど微動だにしない。

『雨の日の閑話/モズの想い出』

 !注意!食事がこれからの方は読まないように。

先月、松山に帰省したのは子供二人を連れてのこと。
早朝6時過ぎ、予約していたタクシーに乗り込んだ時点で二人は睡眠不足もあってぐったりしている。嫌な予感もしたが通勤ラッシュの中、所沢駅から特急レッドアロ−号に乗車。しばらくしてその予感は的中した。膝の上に座らせていた下の子の様子が変なのだ。私がすかさず航空機内用の「吐き袋」を口にあてがってやると、途端に嘔吐した。様子が変という兆しは口では説明しようのない微妙なもので自分ながら感心する。
そもそも下の4歳の子供は今まで乗り物酔いの経験が無いのでなおさらである。しばらくすると今度は隣に座っている上の子(今年から小学3年生)が吐いた。さすがにお兄ちゃん、自分で「吐き袋」を持って嘔吐してくれた。どうもタクシーの中から気分は悪かったようだ。確かにタクシーの運転は少々粗暴で乗客への思いやりが感じられなかった。なんとか羽田空港まで平穏無事に到着したい。そう願いつつ下の子の表情から目が離せない。「吐きたくなったら父やんに言ってね」という言葉もむなしい。本人にとって辛い気分を冷静に捉えて、自分の症状を口で言い現わすことなど無理な注文のようである。4歳上のお兄ちゃんが一年前までそうだったのだから当然だろう。
山の手線に乗り換えるとラッシュの時間帯ながらなんとか座ることができたのは幸いであった。隣には二十歳前後と思われるお兄様が大股広げてふんぞり返って二人分の席を占め、なおかつ回りに気を遣う気配は微塵も無い。「吐くならこのふんぞりお兄の膝にでもぶちまけてやりなさい!」とは思わないまでも、いじわるな気持ちが少しは湧いてくる。
さて東京駅近くの車内でまた下の子が吐いた。これも何の予兆も無し。よくぞキャッチできたものだ、と安堵するも束の間、浜松町のプラットフォームに降り立ったとたん上の子が「吐きそう」と申告!「吐き袋」は大活躍!持って来て良かった!通勤サラリーマンの視線を浴びつつモノレール乗り場へよろけるようにして親子三人は辿り着く。モノレール車中ではまたもや下の子が吐く。兄弟して順番交替に吐く。ここまで来るともう吐くものもないだろう!?だがそう思うのはまだ早かった。
さすがに空港の待ち合い席では二人ともぐったりで、朝食は私一人が立ち喰いうどんを食べた。ここでも「讃岐味」などと銘打っているが、東京は東京の出汁味でいいのではないか、そう思いつつも子供が気になってそそくさと食べ終わる。子供の好きな昆布おにぎりと鮭おにぎりも一応買っておくが無駄のようだ。さて松山行きの機内に搭乗して下の子は少し元気になった。おしゃべりもするようになった。お茶が欲しいというので飲ませてやる。お兄ちゃんは首を90度に曲げてぐったり寝てしまった。1時間ちょっとのフライトで四国上空となったころ機体がけっこう上下に揺れる。そこで待ってましたとばかり下の子が唐突に吐いた。今度はキャッチならず掛けていた毛布を汚してしまう。その気配にむくりとお兄ちゃんが起きて、これまた自分で「吐き袋」に激しく嘔吐する。おお、もう「吐き袋」も全て使い切ったぞなもし!
だがようやく松山空港でレンタカーに乗り込んで、ここで私もやっと安心する。が、まだまだ甘いのだ!嘔吐物は酸っぱい臭いをプンプンまき散らしておるが。ここに来て私は車を運転するのであるから、もう子供の世話はできぬ。声を掛けるだけだ。後部座席の兄弟は自分達で助け合うしかないではないか。しばらく走行すると、なんとお兄ちゃんがビニル袋に吐いている。「もう何回吐いたかなあ?記録もんやなあ!」などと冗談っぽく言いたくもなる。と、さらにやがて下の子が何の前触れもなくふんぞり返ったまま黄色い胃液とお茶の混じったものを垂れ流すように吐いた。お兄ちゃんは私の甲高い声で言われた通りハンカチで拭いてやってくれるが、もう後の祭りだ。「ちゃんと袋持って吐けよ!」とお兄ちゃんは怒りながらごしごし弟の胸元を拭いているが、とっくに手遅れだ。手渡していたビニル袋は座席下にころがっている。車内はもの凄い空気に淀んで慌てて窓を開ける。
私はきちんと「吐き袋」を使えるようになったお兄ちゃんの成長ぶりを認めざるを得なかった。と同時に下の子が早くも乗り物酔いするようになったことは少しショックだった。やはり弟の成長はお兄ちゃんよりかなり早い。

で、今回その弟の嘔吐の兆候をなんとか掴もうとした私の緊張感は、12年も前に体験した「モズの撮影」時の緊張感とダブって見えたのである。ふと想い起したのはブラインドの中で撮影待機していた自分と数メートル先のモズの姿であった。
モズはよく知られているように不消化物をペリットという固形物にして吐き出す習性がある。その瞬間を撮影しようと毎日モズに張り付いていたのだ。ニコンの超望遠レンズ600ミリにボディはニコンF3。モータドライブは高速連写モードにして指をレリーズボタンに置いたままファインダーを睨んでいる。今ではいかにもクラシックな撮影スタイルとなってしまった。まあそんなことはどうでも良い。ペリット吐き出しの素振り、兆候を適確に掴むことが一番大事なのだが、とにかくねらった場所でいつやるかはまったく油断ができぬ。ブラインドの中で辛抱強く待つ間、集中力を維持するのはけっこうたいへんだが、当時33歳という若さは今思えばうらやましい程体力に余裕があった。よ、なあ、、、、。
子供の表情を読むのは日頃接していても、とくに嘔吐の前兆を掴むなどは難しいことを知った。ある程度そろそろかな、とは判断できても言わばシャッターを切る瞬間の頃合は微妙なんである。そうモズのペリット吐き出しも3回ほど撮影して終了したが、うんこれか!?という表情を掴むまで、それこそ吐きたくなるような緊張感と疲労があったことを今、懐かしく想い出す。

新開 孝

コアシナガバチの寝姿 2004/04/13(その2)
今朝8時頃、アブラナの茎で巣作りを始めているコアシナガバチを覗いてみた。すると女王バチは巣を下から抱えるようにして休んでいた。昨日よりぐんと気温の低い朝となった。午後になってもあまり気温が上がらず寒いせいか、3匹の女王とも巣を抱えたまま動こうとしない。昨日、作り始めたばかりの巣では、朝からずっと女王バチの姿が無い。昨夜は別の何処かで夜を過ごしたのであろうか?そういえばその巣では、まだ卵を産んでいない。

新開 孝

クワコの若令幼虫 2004/04/13
孵化したばかりの「クワコ」幼虫は肉眼では全身黒っぽい色に見える。これは明るい場所でルーペを使ってよく見ると、灰色と白色の微妙な模様であることがわかる。しかも日々ヤマグワの葉を食べて体が肥えてくると、孵化当初のイメージとかなり違ってくる(写真上)。体はどんどん太るのに対して頭の部分は大きくならないので、相対的に頭は小さく見える。

今日、マンション裏のヤマグワでは、すでに孵化幼虫が脱皮して2令になったものがいくつか見つかった(写真下)。2令幼虫はまだあまり食事を取っていないので体は小さく、頭だけが一回り大きくなっている。したがって頭でっかちの体型から、孵化幼虫つまり1令幼虫とは区別できる。しかもお尻に一本の突起がある。突起は1令にもあるが2令になるとより目立ってくる(写真下、矢印先)。
新開 孝

コアシナガバチ巣作り盛んとなる! 2004/04/12(その2)
昨日は2匹のコアシナガバチが巣作りをしていたが、今朝はさらに1匹が私の目の前で巣作りを始めた(写真)。口にくわえ持ったパルプ粘土を器用に盛り付けるのである。これがまず巣を支える基礎となる。そしてこの様子を撮影しているうちに、2メートル離れた場所でも巣を構えている女王が新たに見つかった。これで狭い範囲に4匹が巣作りを始めたことになる。みんなアブラナの茎に作っているのだが、すでに書いたようにここの草地は人様の都合でいつ草刈りされるやら、子供らの暴挙で破壊されてしまうやら知れない、危険地帯なのである。もちろんそういう事情を知らないアシナガバチの女王たちは、次々とこの営巣地へ集結しているかの様相を呈してきた。
振り返ってみれば昨年の秋、私の部屋のベランダ外側で大きな巣を構えていたコアシナガバチ。あの巣から旅立った女王たちが、今ここに再び姿を現わしておるのではないだろうか。
新開 孝

ヤマグワとクワコ孵化幼虫 2004/04/12(その1)
近所の「ヤマグワ」は葉も開き始め雄花の小さな蕾み(写真上)も多数ぶらさがっている。





葉っぱを仔細に見ていけば「クワコ」の孵化幼虫(写真中、矢印先)もかなりの数が見つかる。この黒っぽい孵化幼虫は卵から誕生して24時間以内であろうと思う。




しかしなかにはもう飽食しきって丸々と肥えた幼虫(写真下、2匹いる)も見かけるから、数日前から孵化は始まっていたようだ。
新開 孝

ツマキチョウ、産卵する 2004/04/11(その3)
マンション裏の草地にはここ数日、ツマキチョウのオスがよく飛んで来る。いつもせわしなくメスを探しており、まず花には来ない。時間帯のこともあるだろうが、オスはラブすることに懸命なのだ。したがって飛んでばかりいるオスの撮影は極めて難しい。彼らの飛翔を眺めていると、あきらかにコースが定まっていて「蝶道」と言えるものがはっきりと認められる。

今日はやたらと大柄なツマキチョウのメスが現われて、アブラナの蕾みに産卵していった(写真上)。メスの翅先には橙色模様が無く地味であるが、人間の女性がけばけばしく化粧するのとは正反対である。もっとも女性の素顔は本来、男より地味だということを学生のころにようやく気付いたのだが。で、夕刻、5時過ぎに再び草地を覗いてみるとアブラナの蕾みをねぐらに選んだオスを見つけることができた(写真下)。メス探しに疲れたのであろうか。橙色模様をそっと閉じて、地味な翅裏模様を纏い微動だにしない。

新開 孝

コアシナガバチの巣作り始まる 2004/04/11(その2)
アブラナの茂みを縫うようにアシナガバチが飛んでいる。2、3日前から目にしていたので気になっていたのだが、今朝覗き込んでみると既に巣作りが始まっており、巣部屋には卵も産んであった(写真上)。女王バチはときおり近くの朽ち木から巣材を削り取ってきては、巣の拡張工事に余念が無い(写真中)。もう一匹の女王はまだ巣の基礎を作り始めたばかりだ(写真下)。先の女王バチの巣とは40センチほどしか離れてない。
ここのアブラナ群落はマンション裏の草地にある。いずれは子供らの破壊行動や地主による草刈りなどが行われるので、巣が大きくなるまで存続しないと思う。残念ながらコアシナガバチは新天地へ移住するしかないだろう。

新開 孝

ゴマダラチョウ幼虫、脱皮する 2004/04/11(その1)
昨晩、午後9時過ぎ頃、ゴマダラチョウ幼虫が脱皮した(写真上)。エノキの枝又で見つけておいた幼虫に2日前から脱皮兆候が現われ、ずっと監視してきたのだ。脱皮兆候とは幼虫の後頭部にあたる部分が盛り上がってくることや、しかもそこが薄赤色となることなど。体全体も皮膚を透かして薄緑色と白の帯模様が見えるようになるから、脱皮が近いことはすぐわかる。
そして脱皮は夕方から夜にかけて行われる。過去の観察経験に照らし合わせてみると、今回の脱皮時刻は遅いほうだ。脱皮を終えてしばらくすると立派な角がしっかりする(写真中)。古い皮を脱いだ直後は短く曲がっている角はしだいに伸長していくわけである。
今朝、再び幼虫を見に行くとエノキの若芽に移動して食事を終えたばかりであった(写真下)。

新開 孝

コハナバチの一種 2004/04/10(その2)
昨日、ヤドリバエにねらわれていたコハナバチ。ハチはさかんに花粉団子を持ち帰ってくるので、訪花している場面も撮影しておこうと思ったが生憎見つからなかった。今日はヘビイチゴの花に来ているところを撮影できた。
本種の仲間は地下にトンネルを掘り育房室を作る。そこに子育てするための花粉団子をため込むのだが、その様子を撮影するにはかなり土掘りを要する。そんな好き勝手ができる場所はそうそうありはしない。地主さんと懇意になってじっくり交渉できればいいのだろうが、世の中人のいい地主ばかりでもない。いっそできればフィールド自体を所有したいと思う。昆虫写真家が好き勝手にやりたいならそれしかない。



新開 孝

ナガメ 2004/04/10(その1)
身近に見られるカメムシの代表種としては、この「ナガメ」をはずせない。アブラナ類についてそこで産卵し幼虫たちも育つ。まさに菜っ葉につくカメムシだから「菜亀」だろうか。とにかくアブラナの黄色花と体の朱色のコントラストが際立っており、けっこう目立つ。写真では右側の少し体が大きいのがメス。これだけ派手なせいか非常に敏感な虫で、ちょっとした振動で逃げ出したり、ぽろりと地面に落下してしまう。個体数は多いので一匹でも見つかれば近くに次々と仲間が見つかるはずだ。



新開 孝

ヤドリバエの企み 2004/04/09(その2)
雑木林の地面で「コハナバチの一種」の巣穴を見つけた。というのもしきりにハチが出入りしていたから、いやでも目に入る。体長5ミリほどの小さなハチは両後ろ脚に黄色い花粉を一杯くっつけてこの巣穴に入っていくのである(写真上)。多い時には一度に4頭ものハチが出たり入りたがったりと、にぎやかな光景となる。
ハチは地下トンネルの中で育房巣を作っているようだ。おそらくは運び込んだ花粉で育児のための準備をしていると思われる。作業を終え、巣穴から出て来るハチの体に花粉は付いていない。
ところがそのうち巣穴近くにふわりと降り立ったのが「ヤドリバエの一種」だ。こやつ明らかにハチの巣穴に関心を寄せているのがわかる(写真中)。出入りするハチにかまうことなく、じっと巣穴を見据えているのだ。そしてハチの出入りが止んだ瞬間、そそくさと巣穴に進み寄り、中を窺っている(写真下)。おおっと!大胆にもトンネル内に侵入しようともするではないか!
しかし、なにせハチの出入りは激しく忙しい。ハチはこのヤドリバエには無関心を装っているのか、黙々と花で集めてきた花粉塊を運び込んではまた出掛ける。その頻繁な出入りのために、ヤドリバエはいっこうに侵入できないでいる。
だが、どうなるだろうか?この結末。


新開 孝
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