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電柱クヌギ 2004/04/09(その1)
同じ町内の雑木林。
そこには主にクヌギが生えておりケヤキも少し混じる。ここの林の特徴は、なんといっても枝という枝を切り落とされ、しかもどの木も同じ高さでぶつりと切断、頭打ちになっていることだ。つまり冬など遠目にみれば電柱が林立するかのごとき眺めなのである。
電柱のような幹だけにされたクヌギやケヤキ。一見、痛々しいのだが、どっこい彼らの萌芽力はたいしたもんである(写真上、下:クヌギの萌芽)。
木は生きるために光合成が欠かせない。枝を張り、葉を繁らせるのは、太陽の光エネルギーから生きるための糧を得るためだ。生きねばならない!その活力が萌芽力に見て取れる。幹のあらゆる場所から無茶苦茶に枝を突き出す。伸ばす。これでもかと目一杯!
今朝、この撮影をしている私の横を御婦人が犬の散歩で通りかかった。カメラを構える私に「綺麗ですね、新芽がねー。」とのどかに話し掛けられる。うーん、新芽の華やかさよりか、私にはクヌギやケヤキの悲痛な訴えが聞こえるような気がしているのですが、、、、。逞しいとは言っても、こりゃあ、人様も随分なことしなはるなあ!!



新開 孝

武蔵野の雑木林 2004/04/08(その2)
私の住んでいる清瀬市には武蔵野の面影が濃い雑木林がいくつも点在する(写真上)。日々の昆虫観察は主にこうした林を巡って行っている。写真の場所は正確には、お隣の東村山市の林と畑であるが、東村山市も環境的には清瀬市と同じような風景が広がる。
武蔵野の雑木林という自然環境に私はかつて憧れた。そのきっかけは、故、足田輝一さんの記した著書(代表的なものでは『雑木林の博物誌』『草木の野帖』など)から受けた影響が大きい。ナチュラリスト、足田輝一さんの文章、写真に魅せられいつしか武蔵野に住んでみたいと思い始めたのは大学生の頃だった。その当時、カメラは入学祝いで買ってもらったニコンFM。レンズはマイクロニッコール55ミリ一本だけ。おお、この手の話しは長くなるので今日はここまで。

春の雑木林では昆虫のことはさておき、なにかとカメラを向けたくなる風景に溢れている。「エゴノキ」の芽生え(写真中)をはじめ、何もかもが華やいでいるからだ。今日は山桜も随分、撮影した。
風通しの良い明るい林も(写真下)もうじき緑のフィルターに遮られた暗室となってしまう。
そしたら、今まで頻繁に訪れていた散策の人数もガクンと減ることだろうと思う。



新開 孝

林の芽吹きと昆虫 2004/04/08(その1)
中里の雑木林はすっかり芽吹いて淡いウグイス色に染まった(写真上)。
林内の様子を外から窺うことはもうできない。コナラの芽吹きを低い梢で見ていくと様々な昆虫に出会すようになった。地味ながらも活動する昆虫たちの姿が多くなったことは嬉しい。
初々しい「ミバエの一種」は葉陰でゆっくりくつろいでいる(写真中)。この仲間は求愛ダンスを葉上でいずれ見せてくれるはずだ。
ほころびかけた芽のところでは「トビイロケアリ」の働きアリがさかんにアブラムシをせっついている(写真下)。アブラムシの姿は小さくて見えないが、時々お尻からアリの口へと甘露滴が吸い取られていくのがわかる。


新開 孝

若葉に扮するゴマダラチョウ幼虫 2004/04/07
いささか足早に近所のゴマダラチョウ幼虫を見て回った。すでに半数近くの幼虫が姿を消したが、松山に行っている間にどうなっただろうか?
まず3/26にアップした幼虫は御覧のごとく体を曲げて死んでいた(写真上)。この場所は空掘川の遊歩道沿いの小さなエノキであり、散歩する人が絶えることがない。もっともその中でこの芋虫に気付く人など皆無であろう。しかしながら私がカメラを携えて植え込みの中を繁々と眺めている姿は、やはり気になるらしい。視線の矢が次々と降り注いでくるのは言わずもがな。
「死」もまた生物の宿命なり!
およそ人様の感覚からはすり抜けてしまう小さな生き物の世界に想いを馳せる。つい先まで生きていたであろう哀れな幼虫から目を離して去ろうとしたときなんと!一回りも大きいゴマダラ幼虫がいるではないか!もう脱皮を終えて立派な角と綺麗な緑色の衣装を纏っている(写真下)。この幼虫はおそらく以前私が見落としていたのであろう。
まさに生と死は背中合わせ、紙一重の狭間で命運は決まってしまう。

この大変身を遂げたゴマダラ幼虫は、展開していくエノキの若葉に見事なまでに溶け込んでさらに次ぎなるステップへと成長していく。そこでまた、命に関わる何らかの振り落としの憂き目に遭うかもしれないだろうが。
エノキという植物とゴマダラチョウという共生者との間に、私は何か微笑ましいものさえ感じてしまう。生物世界に惹かれることの妙味とは、こうした生き物同士のつながり、複雑な関わりあいの中に見い出し得る神秘性だろうと思う。
ゴマダラチョウとエノキがその永い進化の過程でどのような密約を交わしたのか、どのような葛藤があったのかなどと、人間的に考えてみるのも面白い。世間の感覚では計り知れないと言ってしまえばそれまでだが、勝手に想像してみる楽しみは何より捨て難いものだ。そのときにエノキとゴマダラチョウという二つの役者がどう演じているのかという設定をあれこれにんまりと頭に描いてみるわけである。

とか、なんとか想いにふけって歩いているうちに、ハッと我に帰る。おっと、もう保育園のお迎えの時刻が近い。子供らの喧噪とともに帰宅し、午後6時も過ぎると、私のマンション横の草むらではクビキリギスが「ジィー」と長く伸ばして鳴くようになった。

もう完璧に春です。


新開 孝

今朝も羽化台のキアゲハ 2004/04/06(その1)
昨日羽化した「キアゲハ」のオス。
このように広げた翅の模様が前翅と後翅できちんとつながるところがなんとも不思議だ。そもそもチョウやガの4枚の翅は体からそれぞれが別個に生えているからだ。よく知られたことではあるが改めて驚く。
私がキアゲハの側を歩くとサッと閉じていた翅を広げるのも、やはり一種の威嚇行動なのだろうか。キアゲハはそっと割り箸ごと手に取ってマンションの裏に放してやった。

新開 孝

蛹化したヒメカギバアオシャク 2004/04/06(その2)
(写真)はクリの枯れ葉にくるまって蛹となった「ヒメカギバアオシャク」。
先日、松山の実家の庭で見つけた幼虫が蛹化したのである。
つまり3/31にアップしたヒメカギバアオシャクの幼虫は撮影した段階ですでに終令だったことになる。クリの木はまだ芽吹きかけたばかりなので冬越しのあと、幼虫は餌をあまり食べていないのではないだろうか。写真の蛹は蛹化後さして時間が経過していないので体の色素が浮き出ておらず、体前半部はスケルトン状態だ。
新開 孝

ベニシジミ蛹、羽化間近 2004/04/06(その3)
3/6にアップした「ベニシジミ蛹」が羽化間近となった。翅の橙色が浮き出て、体全体が黒っぽくなったことがわかる。
この蛹は去年の秋から育った幼虫がそのまま冬越しをし、私に見つかってからはベランダで過ごして春を迎えたわけである。
そろそろ羽化するのではと思い松山にも持ち帰っていたのだが、なんとか蛹のまま東京に戻って来ることができた。
新開 孝

羽化台のキアゲハ 2004/04/05
去年の秋、ミツバで育ったキアゲハ。
その越冬蛹が羽化しそうになった。昨日、松山から東京に戻ってこのことに気付いた。
蛹をつなぎ止めていた帯糸は切れており、容器の底にころがしておいたものだ。そのままではうまく羽化できないかもしれない。
そこでフィルムケースにティッシュを詰め、蛹を立てておいた(写真上)。足場として割り箸を添えておく。
電球で少し暖めてやりながら待つこと数時間。
パキっと、蛹頭部が割れてキアゲハの成虫が姿を現わした(写真中)。慌ただしく割り箸を駆け上がり足場をきめると、今度はゆっくり翅を伸ばし始めた(写真下)。

このキアゲハは去年、幼虫の姿を撮影したものだ。
その後、蛹となって冬越しをしたが羽化のための対策を怠ってしまい、今日慌てて羽化台にセットしたわけである。
帯糸が切れてしまったアゲハ類の蛹はこうした羽化台を工夫してやれば、何とか無事に羽化できる。羽化兆候がかなり進行した蛹を摘んだりすると殻が破れることもあるので、早めに対処したほうがいい。



新開 孝

ゴマダラチョウ幼虫の命運 2004/04/03
松山市滞在6日目(その2)。
エノキに登った「ゴマダラチョウ」幼虫は
ほころんだ若芽を齧って少しずつ太り始めている。今朝はようやくその食事のシーンを撮影できた(写真上)。
若芽を食べていくうちに体色も変化し始め淡い緑色や紫色の模様が浮き出てくる。
まだ脱皮した幼虫は見つからないがもう数日もすれば終令へと脱皮していくだろう。

一方、命を落としていく幼虫もかなりの数になる。数日前にも書いたが何者かに刺殺されたようで、しだいに体が萎縮していくのである(写真下)。私が見つけた幼虫の少なくとも半数近くがここ2、3日のうちに犠牲者となってしまった。
犯人探しは夜間の見回りも必要のようだ。

今日も正午前から風が強くなってきた。

新開 孝

早春のチョウ 2004/04/03
松山市滞在6日目(その1)。
やっと今年初めての「ツマキチョウ」を撮影できた(写真上:オス)。
スプリングエフェメラルのチョウとしてはなかなか可憐な姿であり、私はこのチョウに出会うと春を一層実感できる。実家の近辺の河川敷ではこのツマキチョウが特に多い。

春一番に現われるチョウでは「ルリシジミ」も目につく(写真下)。こちらは年に数回発生するのでスプリングエフェメラルというわけではないが、この時期に出会うとやはり嬉しくなる。数頭のルリシジミがセイヨウカラシナの花に来ていたが、どれもすでに翅が擦れて傷んでいる。羽化したのは3月半ばあたりだろう。
新開 孝

アオスジアゲハ越冬蛹を探す 2004/04/02
松山市滞在5日目。
朝から風が強く、チョウの撮影はほとんどできない。猛烈な西風は午後になってもいっこうに弱まることがない。
そこで近所の正友神社(写真上)で「アオスジアゲハ」の越冬蛹を探してみた。蛹はクスノキ、ヤブニッケイ、ツバキなどの葉裏や神社の建物などを見ていけば簡単に見つけることができる(写真中、矢印先が死蛹の一つ))。既に死んでいる蛹は次々と見つかり、その数20頭前後に及んだ。


どうしても生きた美しい蛹を見つけたい!粘ること30分ほどでようやくクスノキのひこばえから1頭、発見(写真下)。






この緑色に透けた蛹がこのまま無事羽化できるという100%の保証はない。しかし外見上からではいかなる寄生も受けている様子はない。
ずっと以前、松山の蝶研究家の方が、クスノキなど幼虫の食樹で見つかる越冬蛹は寄生率が高く、建物など食樹から少し離れた場所では比較的寄生率が低いという文章を残されている。
29年も前、私もそのことを実感できる体験を何回か得ている。
ところが本日、神社境内で蛹探しをした観察結果では全ての場所において寄生率が極めて高かったとしか言い様が無い。アオスジアゲハの冬越しにおける生存率そのものが、かなり厳しいような気がする。
新開 孝

ベニシジミ 2004/04/01
松山市、南高井町滞在4日目。土手斜面に朝日が射し始める。するとあちこちで夜露に濡れていたベニシジミがゆっくり翅を広げていく(写真上)。
午前7時前から土手をゆっくり歩けば、足下には無数のベニシジミがいて、日が昇るにつれ彼らの目覚めに立ち会えるというわけだ。
太陽光をいっぱい受ける角度に翅を向け、熱エネルギーをたっぷりと溜め込むと、やがてチラチラと草地の世界を舞い始める。






正午前にもなると土手斜面の草地にはベニ色が錯綜していっそうにぎやかとなる。
オスが執拗にアタックしているので近寄ってみると、スミレの花上に交尾カップルがいた(写真下)。
画面右がメスで、左の翅が擦れているオスに比べるとずいぶん新鮮な個体であることがわかる。メスは今朝、羽化したばかりなのだろう。

河川敷の土手に長々と連なる草地環境は、ベニシジミにとって格好の住処である。
この草地はもちろん人為的に保たれているわけだが、そこには意外と多様な植物が繁茂しそれと関わる昆虫世界も一層複雑なものとなる。
自分が高校生の頃にこの土手道を毎日、自転車で通学していたころが懐しい。今日こうしてベニシジミを撮影しながら草むらにころがっていると、ふとその当時の新鮮だった感激の数々が蘇ってくるようだ。

「近所のネット喫茶」

松山の実家近く(歩いて3分!!)の喫茶店2階には
デスクトップ5台とプリンターが置いてある。
これまでずっと知らなかったのだが、、、、。
松山での更新アップ3回目はこの店を利用している。
ただ、パソコンの調子は当たりはずれがあり、
ディスクドライブが使えなかったり、USBドライブを認識できなかったりするので、まずはマシンの癖を掴む必要がある。
とはいえ便利この上ない。30分100円だが、15分くらいで作業を済ませるとただにしてくれるという、良心的なお店だ。もちろんコーヒーもおいしい。
新開 孝

ヒメカギバアオシャク 2004/03/31
昨日、アップを予告した虫とはこのシャクガ幼虫のこと(写真上)。
まさか実家の庭でこの幼虫に出会えるとは驚きだ。
高さ1メートル程のクリの木で若芽を齧っていた。
面白いことに夜から早朝にかけては、枯れ葉の中に入って過ごしていたことだ(写真下)。

枯れ葉蒲団に潜り込んだことに気付かず、鳥にでも食べられたのでは!と今朝はあせって探してしまった。
午後からは拝みポーズをとってじっと静止していることが多い。
この幼虫はこれまで所沢郊外のクリ園で何度か見ていたが、いつも冬越しの若い幼虫であった。
ようやく熟令まで育った姿を拝めそうだ。新開 孝

松山のエリマキアブ成虫、幼虫 2004/03/30
3月29日(その3)。
ゴマダラチョウ幼虫が多数見つかったエノキでは、
「エリマキアブ(フタスジヒラタアブ)」成虫(写真上)と
幼虫(写真下)が見つかった。本種はおそらく全国各地の平地に普遍的に分布しているのであろう。
成虫を野外で見るのはこれが初めてだが、つい最近羽化したことを窺わせる新鮮な体だ(写真上)。


さすがに昨日の更新アップはできなかったが、
今日は義理の兄宅のパソコンでアップできた。
今日は朝から雨でほとんど撮影できなかったが、
自宅庭で面白い虫を見つけた。
明日にアップしたいと思う。





新開 孝
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