menu前ページTOPページ次ページspace.gif

ゴマダラチョウ幼虫の命運 2004/04/03
松山市滞在6日目(その2)。
エノキに登った「ゴマダラチョウ」幼虫は
ほころんだ若芽を齧って少しずつ太り始めている。今朝はようやくその食事のシーンを撮影できた(写真上)。
若芽を食べていくうちに体色も変化し始め淡い緑色や紫色の模様が浮き出てくる。
まだ脱皮した幼虫は見つからないがもう数日もすれば終令へと脱皮していくだろう。

一方、命を落としていく幼虫もかなりの数になる。数日前にも書いたが何者かに刺殺されたようで、しだいに体が萎縮していくのである(写真下)。私が見つけた幼虫の少なくとも半数近くがここ2、3日のうちに犠牲者となってしまった。
犯人探しは夜間の見回りも必要のようだ。

今日も正午前から風が強くなってきた。

新開 孝

早春のチョウ 2004/04/03
松山市滞在6日目(その1)。
やっと今年初めての「ツマキチョウ」を撮影できた(写真上:オス)。
スプリングエフェメラルのチョウとしてはなかなか可憐な姿であり、私はこのチョウに出会うと春を一層実感できる。実家の近辺の河川敷ではこのツマキチョウが特に多い。

春一番に現われるチョウでは「ルリシジミ」も目につく(写真下)。こちらは年に数回発生するのでスプリングエフェメラルというわけではないが、この時期に出会うとやはり嬉しくなる。数頭のルリシジミがセイヨウカラシナの花に来ていたが、どれもすでに翅が擦れて傷んでいる。羽化したのは3月半ばあたりだろう。
新開 孝

アオスジアゲハ越冬蛹を探す 2004/04/02
松山市滞在5日目。
朝から風が強く、チョウの撮影はほとんどできない。猛烈な西風は午後になってもいっこうに弱まることがない。
そこで近所の正友神社(写真上)で「アオスジアゲハ」の越冬蛹を探してみた。蛹はクスノキ、ヤブニッケイ、ツバキなどの葉裏や神社の建物などを見ていけば簡単に見つけることができる(写真中、矢印先が死蛹の一つ))。既に死んでいる蛹は次々と見つかり、その数20頭前後に及んだ。


どうしても生きた美しい蛹を見つけたい!粘ること30分ほどでようやくクスノキのひこばえから1頭、発見(写真下)。






この緑色に透けた蛹がこのまま無事羽化できるという100%の保証はない。しかし外見上からではいかなる寄生も受けている様子はない。
ずっと以前、松山の蝶研究家の方が、クスノキなど幼虫の食樹で見つかる越冬蛹は寄生率が高く、建物など食樹から少し離れた場所では比較的寄生率が低いという文章を残されている。
29年も前、私もそのことを実感できる体験を何回か得ている。
ところが本日、神社境内で蛹探しをした観察結果では全ての場所において寄生率が極めて高かったとしか言い様が無い。アオスジアゲハの冬越しにおける生存率そのものが、かなり厳しいような気がする。
新開 孝

ベニシジミ 2004/04/01
松山市、南高井町滞在4日目。土手斜面に朝日が射し始める。するとあちこちで夜露に濡れていたベニシジミがゆっくり翅を広げていく(写真上)。
午前7時前から土手をゆっくり歩けば、足下には無数のベニシジミがいて、日が昇るにつれ彼らの目覚めに立ち会えるというわけだ。
太陽光をいっぱい受ける角度に翅を向け、熱エネルギーをたっぷりと溜め込むと、やがてチラチラと草地の世界を舞い始める。






正午前にもなると土手斜面の草地にはベニ色が錯綜していっそうにぎやかとなる。
オスが執拗にアタックしているので近寄ってみると、スミレの花上に交尾カップルがいた(写真下)。
画面右がメスで、左の翅が擦れているオスに比べるとずいぶん新鮮な個体であることがわかる。メスは今朝、羽化したばかりなのだろう。

河川敷の土手に長々と連なる草地環境は、ベニシジミにとって格好の住処である。
この草地はもちろん人為的に保たれているわけだが、そこには意外と多様な植物が繁茂しそれと関わる昆虫世界も一層複雑なものとなる。
自分が高校生の頃にこの土手道を毎日、自転車で通学していたころが懐しい。今日こうしてベニシジミを撮影しながら草むらにころがっていると、ふとその当時の新鮮だった感激の数々が蘇ってくるようだ。

「近所のネット喫茶」

松山の実家近く(歩いて3分!!)の喫茶店2階には
デスクトップ5台とプリンターが置いてある。
これまでずっと知らなかったのだが、、、、。
松山での更新アップ3回目はこの店を利用している。
ただ、パソコンの調子は当たりはずれがあり、
ディスクドライブが使えなかったり、USBドライブを認識できなかったりするので、まずはマシンの癖を掴む必要がある。
とはいえ便利この上ない。30分100円だが、15分くらいで作業を済ませるとただにしてくれるという、良心的なお店だ。もちろんコーヒーもおいしい。
新開 孝

ヒメカギバアオシャク 2004/03/31
昨日、アップを予告した虫とはこのシャクガ幼虫のこと(写真上)。
まさか実家の庭でこの幼虫に出会えるとは驚きだ。
高さ1メートル程のクリの木で若芽を齧っていた。
面白いことに夜から早朝にかけては、枯れ葉の中に入って過ごしていたことだ(写真下)。

枯れ葉蒲団に潜り込んだことに気付かず、鳥にでも食べられたのでは!と今朝はあせって探してしまった。
午後からは拝みポーズをとってじっと静止していることが多い。
この幼虫はこれまで所沢郊外のクリ園で何度か見ていたが、いつも冬越しの若い幼虫であった。
ようやく熟令まで育った姿を拝めそうだ。新開 孝

松山のエリマキアブ成虫、幼虫 2004/03/30
3月29日(その3)。
ゴマダラチョウ幼虫が多数見つかったエノキでは、
「エリマキアブ(フタスジヒラタアブ)」成虫(写真上)と
幼虫(写真下)が見つかった。本種はおそらく全国各地の平地に普遍的に分布しているのであろう。
成虫を野外で見るのはこれが初めてだが、つい最近羽化したことを窺わせる新鮮な体だ(写真上)。


さすがに昨日の更新アップはできなかったが、
今日は義理の兄宅のパソコンでアップできた。
今日は朝から雨でほとんど撮影できなかったが、
自宅庭で面白い虫を見つけた。
明日にアップしたいと思う。





新開 孝

ゴマダラチョウ幼虫、登攀ラッシュ! 2004/03/30
3月29日(その2)。
実家のすぐ近くのエノキでは、
狭い範囲でゴマダラチョウ幼虫が12匹も見つかった。
松山でのエノキの芽吹き状況は、東京とほとんど変わらない。
ただしエノキの梢へと登ってきている幼虫の数は
やたら多く、おかげで台座の場所不足が生じていた(写真上、中)。
2匹がこうして窮屈そうに静止しているのは初めて見る。
しかもそれが3例もあり、幼虫の密度の高さには驚かされた!!

また幼虫のなかには体のまん中あたりがくびれて、
死んでいる。過去にもこういう死亡例は多数見ているが、まるで刺殺されたような傷が残っている。もしかしたら吸血性昆虫などの仕業かもしれないが、未だにその現場は見たことが無い。
新開 孝

松山市南高井町の春 2004/03/30
3月29日(その1)。
午前10時50分定刻、松山空港に到着。
さらに車で30分も走れば私の実家、
南高井町となる。
ここは松山平野を東西に流れる重信川中流域に
あたり、実家は河川のすぐ脇にある。
土手をかけ登れば目の前には畑と雑木林が広がり(写真上)、
画面左奥には四国山地の「皿ヶ峰」が
が聳えている。

土手ではセイヨウカラシナの黄色い花群が鮮やか。
花をぬうようにシロチョウ類が多数飛んでいる。
地面に目を落とすと「スミレ」があちこちで
咲いている(写真中)。このスミレでは南方系の
ツマグロヒョウモン幼虫が見つかる。
今頃はけっこう大きくまで成長しているだろう。
(最近は東京でもこのチョウの姿を見るようになったが。)

ベニシジミも土手斜面に多数舞っているので、
撮影していると「シキビ」の花が満開となっていた(写真下)。
シキビはお墓でのお供えには欠かせないが、
近年、松山での栽培はさかんである。
とくにミカン畑をシキビ園に転向した山もよく見かける。
シキビはアカスジキンカメムシの産卵木、つまり
ホストでもある。おかげでアカスジキンカメムシは
以前より多く見かけるようになった気がする。


追記:ベニシジミの写真データはうっかり消去してしまいアップできなかった。
使ったカメラはパワーショットG5だが、このカメラでは写真のデータファイル番号がある数字を超えると自動的にフォルダが新規に追加され、そちらへ書き込まれていく。撮影後のパソコンへの取り込み時に、フォルダーが増えていることに気付きはしたのだが、新規フォルダーからの追加取り込みをうっかり忘れてしまい、そのままカメラに戻したCFカードを初期化してしまったのだ。
こういう人災によるデータ損失は今後も気をつけないと、また繰り返してしまいそうだ。



新開 孝

オスの春闘!? 2004/03/28
今朝もマンション裏の草地。
地面に腹這いになって「キタテハ」を撮影していると、じりじり焼き付くような陽射しを受ける(写真上)。
これからの紫外線は要注意!

ギシギシの葉上では「コガタルリハムシ」が三角関係。
オス2匹がメスを巡って争っていた(写真中)。
けっこう激しい取っ組み合いを続けていたが、
軍配は先にプロポーズした真ん中のオスに上がった。

メスのお腹はもうはち切れんばかりに卵を抱えている(写真下)。交尾しながらもメスは食事に余念が無い。卵の写真はこちら。コガタルリハムシの卵が孵化したあとは、
無数の幼虫が葉っぱを網目状に暴食する。
ギシギシにとっては有り難く無い存在だろう。


新開 孝

ビロードツリアブとヘビイチゴ 2004/03/27
ようやく春らしい陽気だ。
空掘川の草地や畑をモンシロチョウ、スジグロシロチョウが飛び交っている。ツマキチョウの姿も探してみたが
見当たらない。でもきっと、今日あたりは何処かを舞っているに違い無いと思う。



マンション裏の草地では「ビロードツリアブ」が
花を訪れさかんに吸蜜していた(写真)。
花は主にオオイヌノフグリと写真のヘビイチゴだ。
ビロードツリアブの体型はなんとなくだが、
メスであろうと思われる。
今朝は玄関出て20秒で撮影したあと、
すぐにアップとなった。

午後からお隣の東村山市、富士見図書館で
スライド講演があるからだ。


新開 孝

久々の晴れ間とゴマダラチョウ 2004/03/26
ここ数日の冷え込みが緩み、久しぶりに晴れ間も出た(写真上)。
空掘川の緑も一段と濃くなってきた。
ちらほらセイヨウカラシナも開花し始めている。
川沿いの遊歩道ではエノキに登ってきたゴマダラチョウ幼虫が何匹も見つかる(写真下)。そのほとんどが写真のように枝又に頭を伏せている。
Y字型の分岐部にこうして静止していると、隠蔽効果も高いように見受ける。越冬から目覚めたゴマダラチョウ幼虫が最初にとる行動がこの一時休止である。
エノキの芽吹きは木によってかなりばらつきがあるが、幼虫が登って来るころの芽はほんのわずかほころびかけた程度のことが多い。
幼虫たちはその芽吹きが始まるのを静かに待つのである。
生憎と今日は冷たい北風が強く、活動する昆虫はスジグロシロチョウを見たくらいであった。


「新開 孝からのお知らせ」

3月29日から4月4日まで、四国、松山市に行きます。
私の実家のある松山ですから帰省するとも言えますが、
あと3年も経つと故郷で過ごした年月より、
今の東京での生活のほうが長くなります。
あちらでの楽しみの一つはうどんを食べること。
本場、香川県の讃岐うどんのブームもあってか、
松山のうどん屋もずいぶん様変わりした店鋪が
競うようにしてあちこちに増えました。
けっこうどの店も繁盛しているようです。
私の実家は市街地から離れた農作地の田舎にあるのですが、
数年前の道路拡張に伴い、すぐ近所に小奇麗なうどん屋が開業しました。(昔、味の良い喰い物屋はたいてい小汚い印象がありましたが、、、、、。)
驚いたのはその店前に行列ができることです。
食堂で行列したり、待ったりするという光景は東京くらいだろうと思っていたので、松山もずいぶん変ったものです。

実家の電話機は未だにジーコ、ジーコと指で回すダイヤル式の黒電話。よもやネット環境なんぞ縁の無い世界です。
したがって松山での滞在期間中の『ある記』更新アップは滞る可能性が高いです。
新開 孝

ベニシジミ蛹と寄生バチ 2004/03/25
2月の初め頃に蛹化したベニシジミの蛹が、どういうわけか1ヶ月以上経っても羽化する様子がない。ずっとベランダに置いておいた蛹である。
そこで今日、蛹の内部を覗いてみた。
指で蛹を摘むとわずかに外皮がへこむ感触がある。蛹の色も少し褪せた感じだ。この時点ですでに健康な蛹ではないことがよくわかった。
慎重に外皮を切り開いていくと、やはり中には寄生バチの蛹が一匹納まっている(写真上)。寄生バチはヒメバチの一種だろう。そっとベニシジミ蛹から取り出してみた(写真下)。


バックナンバー3/2ではベニシジミ前蛹から出て来た寄生バエの蛹について触れたが、この寄生バエと寄生バチ2種によるベニシジミ幼虫の犠牲者はかなり多い。
今回の寄生バチの親バチは、ベニシジミが蛹になってから産卵をしたのか、それとも幼虫時代にすでに産卵していたかのいずれかであろう。
ただ2月の寒い時期に親バチが活動しているとは考えにくい。
昨年の秋、ベニシジミ幼虫が小さかった頃すでに寄生産卵を受けていたと
考える方が自然のような気がする。
だとすると、ベニシジミ幼虫の体内に産みつけられた寄生バチの卵は、
いったいどのような巧妙な仕組みで孵化のタイミングや成長の調整をとっているのだろうか?新開 孝

シラホシコヤガ幼虫、動く 2004/03/24
樹木の幹表面につく地衣類にはシラホシコヤガ幼虫が住んでいる。
冬のあいだはじっと静かに過ごしてきたが、
このところ活発に動き始めた。

中里の林ではクヌギやヤマザクラの幹で観察できるのだが、地衣類をびっしりと体全体にまぶして隠蔽しているので、その特徴を掴まない限り普通は気付きもしないだろうと思う。

この幼虫はやがて不思議な形をした繭を紡ぐ。
一本の柄で支えられた紡錘型の繭だ。
もちろんこの繭も地衣類で覆われており、隠蔽効果は非常に高い。
私はこの繭作りの様子を是非一度は見てみたいと思う。
その繭から成虫が羽化して姿を現わすのは5月に入ってからだ。
一見、ウスタビガの繭に似通ってもいるから、余計気になる。

新開 孝

石垣島の?クサカゲロウ 2004/03/24
一昨日、クサカゲロウの一種が羽化した(写真上)。
これは先月、石垣島で見つけた幼虫が東京に持ち帰った数日後に繭を紡いだもの。それがようやく一ヶ月近くも経って羽化したわけである。
体長は1センチ程と小柄なクサカゲロウで、当然種名はわからない。

2月の石垣島において本種の幼虫を見つけたのはバンナ公園内(写真中、幼虫の頭は右向きでお尻をくの字型に曲げている)。なんともでかいゴミを背負っておりとても目立った。でかいとはいっても軽いゴミだから歩く速度は意外に速い。
体の大きさは5、6ミリしかないので歩く幼虫を撮影するのはけっこう手こずった。

幼虫には申し訳ないが背負っているゴミを面相筆で落としてみたのが、写真下。
体には長い体毛が多数生えていることがわかる。

幼虫を撮影しても種名を調べようがない。
成虫の姿がわかればまだ同定する手立てもある。
そこで幼虫を大事に持ち帰ったのであった。


新開 孝
menu前ページTOPページ次ページspace.gif
Topics Board
ホーム | 最新情報 | 昆虫ある記 | ギャラリー | リンク | 著作紹介 | プロフィール