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エノキに登ったゴマダラチョウ幼虫 2004/03/19
数日前から4月並みの暖かさが続き、そろそろ姿を現わすのではないか、そう思って気をつけていたのが「ゴマダラチョウ幼虫」だ。
予感は的中して、マンション裏のエノキにゴマダラチョウ幼虫が2匹、見つかった。落ち葉の中で越冬していたゴマダラチョウ幼虫が目覚めて、エノキの樹上に登るのは例年ソメイヨシノの開花時期とほぼ重なる。
東京地方ではすでに局所的に開花が報道されており、『ゴマダラチョウ観察人間=私』にとってはエノキというエノキを隈無く探査せざるを得ないのである。お花見の席取り算段やアルコール、カラオケの準備等に気もそぞろなサラリーマン諸君が巷には大勢いることだろうが、こちとらは体長1センチ足らずの芋虫の動向に、繊細なる神経を注いでおるのだ。

エノキに登ったゴマダラチョウ幼虫は、とりあえず枝の又など落ち着き易い場所に台座糸を張りそこでじっと休止する。暖かい日には芽吹きかけた新芽をかじったりして少しづつ体が太り始める。こうして早春の陽射しを浴びながらエノキの本格的な芽吹きをゆったりと待つのである。

(写真上:地上高1メートルのエノキの幹で見つかった
ゴマダラチョウ幼虫)
(写真中:同上アップ)
(写真下:幼虫が落ち着く場所は枝の又などが多い)


新開 孝

芽吹き盛んな雑木林 2004/03/19
中里の林では様々な樹木の芽吹きが始まっている。冬芽が完全に開いて小さな若葉を見せてくれるのは、イヌシデを筆頭にエゴノキ、ガマズミ、マサキなど。ケヤキ、ミズキ、そしてコナラ、クヌギなどの冬芽もかなり膨らんで今にもはじけそうなところまで来ている。
クヌギの高い梢では芽のほころびは早く、遠目でも黄色く見えてよくわかる。
ウグイスカグラはもう満開ピークだ。しかし、昨日から気温が急に下がり、花を訪れる昆虫の姿はない。

林床のカタクリ群落では、もう明日にでも開花しそうな株がいくつか見つかる。地上に姿を現わしたばかりの芽から、葉を開き始めたもの、花茎が伸び始めたものなど今ならカタクリの様々な生長段階を見ることが出来て楽しめる。春の到来に伴う歓喜は、こうした生長ぶりを眺めるときにこそ大いに満喫できるのではないだろうか。
しかしながら例えばこういう時期に写真撮影をしようという人は殆どいない。カメラを担いだ人がにわかに目立ってくるのは、カタクリが満開になってからだ。それは当たり前だと思われるかもしれないが、花が満開ピークに達した頃は、すでにカタクリにとっての春はもう足早に去り行く場面であろうと私は感じる。カタクリが雑木林で生きている、生活しているという視点に立つと、咲き誇る花園を眺めて「ああ綺麗や!華やかだね!」で終わらせてしまっては、なんとも寂しい限りである。
私はもちろん開花盛んな頃も楽しみではあるが、さらに花が散ったあと種子がはじけて地上部が枯死してしまうまで林に通い続けるのである。

(写真上:イヌシデの芽吹き。)
(写真中:満開のウグイスカグラ)
(写真下:開花間近のカタクリ)新開 孝

再び、エリマキアブの蛹 2004/03/18
先月11日に雑木林の落ち葉から見つけたエリマキアブ(フタスジヒラタアブ)幼虫が、その後蛹になった。
蛹になった日付けは正確ではないが、今月に入ってからであることは間違いない(写真上:蛹を横から見た)。
(写真中:蛹のお腹側)
(写真下:蛹のお尻は幼虫時代のおもかげを残す)

ではエリマキアブの越冬ステージとは何だろうか?
去年、さんざん登場したこのヒラタアブの一種は、
初冬に成虫となったものがいる一方で、
2月の厳冬期にも幼虫が見つかり、しかもその幼虫は獲物をたいらげていた。つまり厳冬期でもなお活動している幼虫がいたのだ。
そしてこのように3月、蛹になったものもいる。




(もっとも今冬は非常に冬としての季節感が希薄でもあって、まさに暖冬異変と表現してもいいくらいだった。そして晩冬から早春にかけて現われる昆虫たちはまさにフライングの連続である。)

何らかの条件に伴いエリマキアブの越冬ステージは、成虫であったり、幼虫であったり、あるいは蛹であったりと定まっていないのではないだろうか?もしそうだとすれば、こういったタイプの昆虫は他にも数多く例が知られている。しかしでは一体どのような理由から越冬ステージが変化するのかというと、個々の昆虫により事情が違うようで、エリマキアブについてもたいへん興味深い問題だといえる。

それにしても今後羽化したり活動を再開する成虫たちは、どのような生活を送るのだろうか?中でもとりわけ、どんな場所に産卵するのかがたいへん興味の湧くところである。なぜかというと幼虫の食性の本質を考える上で重要だからである。食性の問題はもっとも中心的課題なのであるが、それはもう少し先になってからお話しできるときが来ると思っている。
ヒラタアブ類の仲間では、成虫の姿は互いによく似通っている。識別にはある程度慣れも必要のようだ(何と言ってもエリマキアブの成虫を私はわずか1個体しか見ていないのだ!)秋から冬にかけて私が幼虫を見つけてきた現場では、これから暖かくなってからばったり出会うであろう本種に、私がどれだけ敏感に察知し得るのか!?などと考えると、ただそれだけでも妙にわくわくしてきて、夜も眠れなくなることがある。
新開 孝

春の嵐とチョウ 2004/03/17
今朝はヤナギの木で越冬していた、コムラサキ幼虫の様子を見に行ってみた。場所は金山調節池(緑地公園)である(写真上)。

新鮮な「モンキチョウ」がヒメオドリコソウで吸蜜していた(写真中)。羽化して間も無い個体だろう。モンキチョウはすでに先月末に登場したので差程驚くにあたらない。だが、このあとツマキチョウのオスと、アゲハが目の前を飛び去っていった。これは随分と早い登場であろう。
ツマキチョウは小柄なシロチョウでモンシロチョウなどより弱々しいイメージを受けるが、今朝出会ったオスはかなり大柄だった。
アゲハもツマキチョウも蛹越冬のあとこの春に羽化したものだ。特にツマキチョウは春に一回しか姿を見せないスプリングエフェメラルだ。
残念ながら両種とも撮影はできなかった。

肝心のコムラサキ越冬幼虫は姿を消していた。おそらくは梢へと移動したのではないだろうか。ヤナギ(タチヤナギ)は多数、花を咲かせており葉もほころび始めている(写真下)。

正午前から南風が強まり、砂塵があちこちで舞い上がり始めた。サクラの蕾みもピンク色が目立ってきている。新開 孝

オオフタオビドロバチの前蛹 2004/03/16
昨年の夏、ベランダに設置した竹筒に育房巣を作ったのが「オオフタオビドロバチ」だ。
当ホームページ/ギャラリーにも獲物の芋虫を運び込む写真が掲載してある。竹筒の奥から順次獲物と卵を詰め込み、各部屋を泥壁で閉ざしていた(写真上:泥粘土を運び込むメス親)。

さて、ようやく本日、その竹筒の中を覗いてみることにした(写真中:竹筒の断面)。
一つは写真のように3匹の前蛹が納まっていた。彼らは夏に孵化したあと獲物を食べ尽し成長を遂げると、そのまま蛹になる手前の前蛹というステージで冬を越したのである。このあとやがて繭を作って蛹となる。
面白いことに筒の最奥にはメス(写真下:メス前蛹)、手前の入り口側にはオスという具合に産み分けているという。今回の場合、真ん中の部屋にはまるで未熟児のような小さな前蛹が入っていた。こやつの性別はどちらなのだろう?(まさか、オカマではあるまい!?)
また入り口は二重の泥壁で閉ざされ(写真では外側の壁は崩れてしまった)、壁の内側には空き部屋が必ず設えてあるのも芸が細かい。

これまた大きな幼虫だが、大雑把に言えばこれも蜂の子だ。こんがり炙って酒の肴にするとけっこういける、だろうか?
試してみたい気持ちもあるのだが、このオオフタオビドロバチも年々減少しているという。ここは我慢して今年の巣造りの様子をまた見てみようと思う。
新開 孝

ビロードツリアブ 2004/03/15
朝から室内作業が続き正午前になってマンション裏に
出てみた。すると「ビロードツリアブ」が
ふわりと足下から飛び立った。

急いでカメラを取りに戻り
再び草地に駆け付けると
もうアブの姿がない。
諦めることもなかろうと思い
昼食後に覗いてみると
いつの間にかビロードツリアブが
日光浴していた(写真上、中)。

それにしても玄関出てから
20秒でビロードツリアブに
遭遇できるとは
少し嬉しくなってしまう。



早春に登場する昆虫たちの
その顔ぶれの中でも
ビロードツリアブはまるで
金色のぬいぐるみのようで
人気は高いようだ。
私も毎年、花との組み合わせで
撮影してしまう。
だが、その生活ぶりを掘り下げた
写真が私の手元にも皆無であり、
これまでじっくり観察できる
機会も得ていない。
その可愛げな姿だけでなく
生態についても少々気になるツリアブだ。
文献によればヒメハナバチ科の幼虫(土中に巣がある)に寄生するとあるが、本種の卵や幼虫、蛹などの写真を一度も目にしたことがない。

そういえばアリジゴクの幼虫に寄生する
「アリジゴクツリアブ」
というこれまたけったいなツリアブもいる。
私はむしろそちらの大珍虫に気を惹かれるが
まずは日本海沿岸の砂浜が舞台となるのでそう容易くは遭遇できない。
数年前、新潟の黒川村でアリジゴクを飼育していたら出て来たという本種の成虫の生々しい標本を見せてもらったことがある。
実際、アリジゴクツリアブはそうそう滅多にはいないようなのだ。
故、馬場金太郎先生の名著、『蟻地獄の生物誌』にはこのツリアブについての記載文と生活史解明の観察記が情熱をもって記されている。詳しく知りたい方はこの名著に一度は目を通されるといいだろう。
分類学的にはいろいろ混乱も多いのだが、そんなことより昆虫博物学の素晴らしい観察眼と文章表現力の豊かさに魅了されるのである。
私は生前の馬場金太郎先生には一度だけお目にかかったことがあるが、
お話は始終、政局への批判などが多かったが、そこには人間愛に満ちた人柄を窺えたことが、印象深かったのを今でもよく憶えている。

さて、中里の雑木林では「カタクリ」の花蕾がちらほら姿を見せ始めている(写真下)。

新開 孝

昆虫の訪問客 2004/03/14
日曜日とあって
子供と約束していた
自動車のおもちゃ工作を
朝から始めた。
柔らかい木を切断し削り、
加工して水陸両用の
未来SFカーを作る。
どうも楽しんでいるのは
私自身のようだ。
設計図もなく私の思い付きで
自由にデザインする。

そういうわけで今日は
フィールドには出ていない。
しかし、
玄関の外の植え込みでは
「キバラモクメキリガ」
(写真上と中)

ベランダの洗濯物には
なんと「ルリタテハ」が
やって来た(写真下)。
ルリタテハはちゃんと
私の服を選んでいるから
私の「昆虫招き魔力」も
たいしたもんである。


キバラモクメキリガは10月から
11月ころに羽化して
初冬まで活動し(12月の雑木林で
樹液にくる本種はよく見かける)
厳冬期は休眠した後3月ころから
再び活動を始める。
写真の個体は冬越しから目覚め
マンションの灯りに昨夜あたり
飛来したものであろう。

写真では少し開き気味の
翅を細かく震わせているところ。
通常落ち着いているときは
翅をすぼめており、その姿は
折れた枯れ枝そっくりである。
ちなみに昨年のバックナンバー
11/12にもアップしてある。

5月ころにはいろんな木々の
梢で本種の緑色の幼虫が見つかる。
この頃、野鳥の繁殖シーズンでもあり
本種のような蛾の幼虫は雛たちの胃袋を満たすのに
大いに貢献するわけである。

新開 孝

シャクガ幼虫 2004/03/13
コナラの冬芽も
僅かずつだがほころび始め
その膨らんだ芽を
齧っている「シャクガ幼虫」
がいた(写真上)。
この幼虫は若いので種名までは
わからない。

「クヌギカメムシ」の方は
すでに2令幼虫へと脱皮している
ものが多く、ゼリー状の離乳食は
ほとんどの卵塊で
吸い尽くされ消失している。
(写真中)は脱皮直後の幼虫で
クリーム色の部分はやがて
黒ずんでいく。
幼虫たちはさらに脱皮して
3令となると
木の梢へと離散していき、
これからクヌギやコナラが
芽吹くのをひたすら待つ。

3/4には「ヒロハアマナ」の
開花を紹介したが
そのときは数株の花しかなかった。
今日林を訪れてみると
多数の花が開いており
開花ピークを迎えたようだ。
(写真下:ヒロハアマナの花)


『自然愛好家とはなんだ!?』

今日は土曜日とあって
私は子供二人を連れて近くの
林を訪れた。
天気も良くやはり外に連れ出すと
兄弟は元気にはしゃいで遊ぶ。
ヒロハアマナの群落には
入らないよう子供には注意し
そこから離れた
林のまん中の通路で遊ぶように
させていた。
子供は落ち枝でチャンバラに
興じていた。
やがて下の子が飽きてきたので
帰ろうとしていた。
すると林の反対側からやって来た
男性からいきなり
そこらはこれからイチリンソウや
ニリンソウが咲くので踏み込むなと
注意勧告を受けたのである。
男性はカメラと三脚を抱えており
年齢は65才以上のお方。

私はこのとき不快感を憶えたが
それよりなにより
これはまずいなあ、と思ったのだ。

まず、その野草愛好家か自然愛好家
かわからぬが、私たち親子3人づれ
の林での散策に危機感を憶えて
むしろ不快に感じていたのは
その男性の方であったことは明白。
人生経験では私らよりはるかに
豊かなお方が、初対面の私たちに
「こんにちわ」の挨拶も無しに
即注意勧告とは、信じ難いこと
ではないだろうか。
そのお方は余程腹立たしかった
と想像するしかないのである。
あるいは野草など自然を理解できぬ
凡人に挨拶などする価値もあらぬ、
という考えの持ち主であったのか。

私はそのお方が植物写真を熱心に
されているだろうと察した。
所持されている機材を一瞥して。
しかし自分の大事なフィールド
を荒らされてはたまらん!という
写真マニアにありがちの
自分勝手な独占欲でもって
注意したのではあるまいと好意的に解釈したい。
おそらくは何処かの自然保護団体に
も所属し、熱心な保護活動もなさっている方ではないかと思う。
だがそうであればなおさらだが
人へ注意を促す際の心遣いや言葉の選択、
そしてなにより社会人としての礼儀などをわきまえるべきであろう。
もっともそういう立場であろうとなかろうと、人と人が接する上での礼儀という
基本は誰でも同じであるはずだが。
私より年輩のお方が子供らの前で礼儀知らずの見本をさらしてどうするのだ!

これから早春を迎え、雑木林では春の野草が次々と姿を見せ始める。
野草を盗掘したりするのは稀だが皆無でもない。そうでなくとも花を摘んだり、犬を連れ込んで荒らしたり、私のように
子供を遊ばせたり、と自然愛好家の方々の神経を逆撫でする者が多いのも実情だ。だからぴりぴりと神経を尖らせ目を吊り上げる気持ちもわからぬではない。
しかし、せめて笑顔で話せぬものか。知らずと踏み込んだ人は大方の人が注意を受けると素直にしかもちょっとした罪悪感さえ抱いているはずだ。




新開 孝

オオミドリシジミの卵 2004/03/12
昨日の仙台市で採集した
「オオミドリシジミ」の
越冬卵を撮影してみた。
卵の直径は約1ミリだ。
(写真上)

オオミドリシジミの産卵場所は
コナラやクヌギの細い枝。
それも低い所の枝やひこばえ、
ひょろひょろの小木などを
選ぶので探すのも簡単だ。

通常1個ずつ産んでいることが
多く、写真のように
2個並びあるいは稀に
5個以上が固めて産みつけられて
いることもある。

去年の夏に産卵された本種の
卵は風雨に曝されて
灰色に薄汚れているが
産卵直後は純白で美しい
おまんじゅうである。
しかしそのころは木の葉も
繁っており、純白の卵を
探そうとしても一寸しんどい。

(今回の写真はトリミングしていない。
マクロ20ミリレンズと
ベローズの組み合わせで倍率を
稼いでいる。)

オオミドリシジミの卵が
孵化するのは4月に入って
芽吹きのピークを迎える頃だ。
ところが、
こうして卵を野外から持ち帰ると
孵化の時期が早まってしまい
木々の芽吹きとタイミングが
合わず慌てることになる。
うまく孵化時期を芽吹き後に
もっていくには
3月半ばあたりから
卵を冷蔵庫に入れておくといい。

もっともそんな苦労をしなくても
春の雑木林でオオミドリシジミの
幼虫を見かける機会は多い。


新開 孝

カメノコテントウ 2004/03/11
生憎、仙台滞在最終日は
前線が南下してきて
雨がぱらつくあり様。
陽射しも束の間あって
期待したのだが風も強く吹き始め早々に帰京することに
した。

引き上げる前に立ち寄った
大和町、宮床では
冬越しする「カメノコテントウ」が見つかった(写真下)。

潜んでいた場所は材が積まれた所の隙間である。
(写真上の矢印先)




この辺りでは梅もほとんど開花しておらず
まだ冬景色が色濃い。
しかし陽当たりのいい草地ではナナホシテントウが歩いており
みちのく仙台の平野部でも
早春の気配がそこまで来ている
のを感じる。

三日間、車を運転してフィールドを
案内していただいた
中瀬潤さんに感謝したい。

新開 孝

雪虫 2004/03/10
今朝の仙台はよく晴れて
しかも気温は10度以上に
上がった。
雪面を歩いても汗をかくほど
陽気がいい。

さっそく「カワゲラ類」が
次々と見つかる。
皆、忙しそうに歩いている。
(写真上)
ときおり雪面上に口を押し付け
何かを食べているようだ。

数がやたらと多いのは
「トビムシ」の仲間だ。
名前のごとくピョンピョンと
ノミのように跳ねる。
数は多いが種類はこの
黒色の地味なものばかりだ。

他にはユスリカ類やセッケイカワゲラ
も歩いているが、数は少ない。
セッケイカワゲラの配偶行動や
食事シーンを撮影したかったのだが
個体数が少ないのでは仕方が無い。



二口峡谷の奥で野ざらしのバスを
発見!宮城交通から払い下げられた
ものだろうが、バスの中には
薪がぎっしり積まれてあった。
バスの屋台などはよく地方で
見かけるが、「薪バス」は
初めて遭遇した物件だ(写真下)。

今夜は仙台の地酒「田酒」を
飲もう!この酒は酒屋でも
見つけたがけっこうなお値段!!
新開 孝

二口渓谷の謎の幼虫 2004/03/09
みちのく仙台には正午前到着。
仙台市在住の昆虫写真家、中瀬潤さんと合流し
中瀬さん運転するジムニーで
秋保温泉奥の「二口渓谷」へと向かった。
本日はロケハンのみ。
日本海側の奥山はどんより曇っているが、
仙台側は日射しと青空がある。
雪原にはけものの足跡が多い。
ツキノワグマも
よく徘徊しているようだ(写真上、サルの足跡)。
雪原の上を見ていくと
オナシカワゲラの仲間や
セッケイカワゲラといった雪虫が
多数歩いている。
今回の撮影の目的はこの雪虫の類いだ。
渓流の川辺で面白い幼虫を見つけた
(写真中が現場)。
さっそく私が撮影状況をセットし、
中瀬さんが撮影を担当(写真下)。
この幼虫は川岸の石ころの下に
潜んでいるものが見つかった。
甲虫類の幼虫と思うが種名はわからない。


さあ、今晩は「栗駒山」純米吟醸で一杯やろう!新開 孝

オオハリアリとモンシロチョウ 2004/03/08
手のひら大の石を起すと
そこに「オオハリアリ」の
巣口があった(写真上)。
このアリは体長4ミリ程度。

細長い体型や褐色をした
口(大顎)、脚などが特徴。
(写真中)
全国に生息している普通の
身近なアリだが
人を刺すこともあり
痛みと痒みが残る。
日常でアリに刺されるとしたら
ほとんどが本種だそうだ。

まだ地上での活動はしていないが
他の昆虫を狩りしたりして
生活する。

本日は少しだけ気温も上がり
「モンシロチョウ」が2頭飛んでいた。
羽化したての弱々しい個体で
すぐに日光浴をする(写真下)。
体力が乏しいと侮って近寄ると
敏感に反応してサッさと
飛び去る。


『閑話休題』

もう季節感覚としては
早春と言ってもいいのだろうが
私としてはまだ冬の撮影で
やり残しているものが多々ある。
毎年ながらそういう撮影のために
北へ、標高の高い所へ、と走る。
タイムスリップというわけだ。

そう言えば去年のいつ頃か
書き込んだ「シジュウカラの
昆虫を捕食するシーン」だが
これはなんとか撮影できた。
あっという間にでかい昆虫を
解体しつつ食べてしまうので
このシーンはビデオ映像の
方がはるかに面白い。

シジュウカラは大きい獲物を
捕らえると
安心して食事のできる梢へと
急いで移動する習性がある。
これは番いで行動していても
変わりは無く
連れ添いにも奪われまいと
もう無我夢中なのがよく伝わって
くる。それはもちろん予想していた。
だからこちらも猛ダッシュで
シジュウカラを追跡する!
どうか低い梢で落ち着いてくれ!!
そう心の中で叫ぶ。走る!
私の願いがシジュウカラに
届いたかのようにまずまずの
梢で食事をしてくれた。

撮影を無事終えて、思ったのだが。
もう400ミリに中間リング装填
そういう時代でも無いよなあ、と。
重いことこの上なくカメラを構えた
ときのバランスも悪い。
そういえばキャノンから
EF70-300ミリで振れ防止装置内蔵
のしかもコンパクトなレンズが
発売されるそうな。
私の所有する400ミリも塗装が
はげるくらい長年使い込んでいる。
そろそろ買い替え時かもしれない。

さて明日からは仙台だ。
毎年、年中行事のように
「みちのく」のフィールドに赴く。

明晩は仙台、みちのくの地から
アップすることになる。






新開 孝

モンシロチョウ蛹とサクラ 2004/03/07
ソメイヨシノの蕾みが
ずいぶんと膨らんだ(写真上)。
清瀬市内のこの公園では
樹齢40年近くの
古木が多数並んでいる。

アブラナ花壇の様子も気になって
いたが開花はまだほんの少しだ。
風も強く気温も低めなので
チョウの飛んでいる姿はなかった。

ソメイヨシノの幹を見て回ると
モンシロチョウの蛹が二つ
見つかったが、どちらも
(写真中)のごとく変色して
かさかさに乾いていた。
そこで
蛹の体壁をそっとはがすと
空洞になった中には
寄生バチの幼虫が一匹
潜んでいた(写真下)。
こやつはモンシロチョウの
蛹の内部をすっかり喰い尽くして
成長を遂げ、あとは自らが
蛹となっていくのだ。
幼虫は歩いて移動する必要がない
ので蛆虫型をしていて脚は退化
している。

このような蛆虫タイプの幼虫は
どちらかと言えば可愛げがない。
私は芋虫、毛虫が大好きだが
いわゆる蛆虫は
やはり少々気味が悪い。
幼少の頃、「どっぽん便所」
の暗がりの底で無数の蛆虫が
うごめいているのを眺めては
恐怖心をつのらせた
そんな経験もあるからだろうか。
あるいは大学1年生のとき
山道で子犬の死骸を
つついて昆虫探しをしたとき
これまた夥しい蛆虫群が
うごめいており
息も詰まる程の腐臭とともに
不快感をつのらせもした。

これら蛆虫たちはしかしながら
生態系のなかでの重要な役割を
果たしており生命のエネルギー
循環という観点に立てば
恐怖心こそ湧いてもその気持ちが
憎悪に発展してはいけんのである。
そっと現場から立ち去ればよい。
そっと蓋をしておけば良い。

それでも今回の寄生バチ幼虫は
まだ頭部がしっかり形をなしており
脚が退化していることを除けば
まだましな方だ。動きも鈍い。
後ろにくっついて来た子供が
「これ食べれる!?」と
聞いてきたので、
「おお、これは蜂の子だから
うまいよ!!」と答えておいた。
どこで仕入れた知識なのか
子供はつい最近
「蜂の子はおいしんだよね!」
と言ってたのを思い出したのだ。

もっとも北アメリカの
あるインディアン部族では
獣の死骸から蛆虫を取り出して
食べており、貴重な蛋白源と
なっていたそうだし、
外見による気味悪さなどは
時代や人種や個人差や
いろんな条件を考えると
実に曖昧にもなってくるものだ。
そういう際どいモノが
昆虫界には実に多い。


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新開 孝
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