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再びフユシャクガの卵 2004/03/06
昨日のフユシャクガ卵塊は
メスの毛束で隠蔽されていた。
そこで今日は
水を含ませた面相筆で
卵を潰さないように丁寧に
優しく毛束を拭い去ってみた。
すると
卵は4個ずつが並んでいた。
(写真上)
筆でなぞったので列が乱れて
しまったが本来はきちんと
整列して産卵されている。

卵塊帯の長さから計算すると
卵の総数は約400個である。

本種はクロテンフユシャクか
ウスバフユシャクの卵と
思われるが、
卵塊のそばには食樹のクヌギや
コナラがないので
こののち孵化しても餓死する
運命である。

また昨日蛹化したベニシジミの
蛹も体色が落ち着いたので
撮影しておいた(写真中、下)。


シジミチョウ類の蛹は
概ねこのような、だるま型を
していて、種類にもよるが
野外で蛹を見つけるのは難しい。



新開 孝

ベニシジミ蛹化する 2004/03/05
昨日のフユシャクガ産卵の
場所に再び赴いてみた。
予告したように
卵塊のアップを撮影した。
(写真上)
この写真を見て、おそらく
「これ何?」と思う方が多い
ことと思う。
どこが卵やねん!?である。
冬尺蛾のメスはこうして
隠蔽工作を施しておるのである。

本日早朝(深夜)1時59分
ベニシジミ幼虫が蛹化した。
この幼虫はバックナンバー
3/2にアップした前蛹である。
午前1時の段階で
蛹化脱皮が近いことを知り
撮影待機に入ったのだが
迂闊にも寝入ってしまった。
ハッと目を醒すと
(写真中)のように脱皮完了
をしていた。
もっとも前にも書き込んだように
シジミチョウ類の蛹化脱皮は
スチールで撮影しても面白くは無い。

(写真下)は午前9時ころの
蛹の様子である。
ベニシジミの蛹はこのあと
さらに色濃くなっていくのだが
その完成した姿は明日、アップしたい。

『モズの番い』

今朝はクヌギ林でモズの
求愛給餌を見た。
この光景をじっくり見たのは
ほんとうに久しぶりだ。
モズのメスがさかんにねだり鳴きすると
やがてオスが獲物をくわえて
やって来た。
獲物は昆虫だろうか?
どこに巣を造るのか興味が湧いてきた。
新開 孝

冬尺蛾の産卵 2004/03/04
フユシャクガの産卵は
今冬はもう撮影できないかと
思っていた。
ところが今朝、意外な場所で
産卵しているメスを見つけた。

空掘川の遊歩道沿いにある
金網柵の廂の縁(写真上、矢印先)
だ。
まさに私が昆虫観察トラップと
名付けた場所の連なりである!

しかしこの金網柵の地点は
雑木林からはかなり離れており
すぐそばにはエノキ一本しか
生えていない。



(写真中)の画面左に無翅の
メスが見えるが、お尻から
画面右端まで3センチほどの長さで
卵塊が産みつけられている。
卵はビロード状の毛束で覆われて
いるのだが、今朝は急いでいたので
卵塊のアップを撮影しそこねた。
これは明日にでも出直して
撮っておこう。

春になって孵化する幼虫たちにとって
こんな場所では非常に困るであろう。
フユシャクガのメスが
そもそも林から離れたこんな場所に
いること自体も妙だ。
この異常な場所での産卵は
なんらかの理由で
メス親がここまで運ばれてしまった
のではないだろうか?
メスが自力で移動してきたとは
考えにくいのだが?




新開 孝

ヒロハアマナ咲き始める 2004/03/04
近くのクヌギ林は
毎年、落ち葉のくずかきを
行うので林床がすっきりして
明るい。
今朝はここの地面で
「ヒロハアマナ」の開花を
みることができた(写真上)。

まだ芽を出したばかりのもの
(写真中)が多く、
花を開いたものは数株しかない。

ヒロハアマナの
アマナと違うところは
葉の中央に白い筋が
あることらしい。
らしい、というのも
私はアマナもヒロハアマナも
撮影するのは初めてだからだ。
アマナに似たヒロハアマナが
あることも今日知ったばかり。新開 孝

カタクリとクロクサアリ 2004/03/03
中里の林ではすでに
「カタクリ」の芽が出始めていた。
(写真上)

カタクリの葉もちらほらと
顔を見せており(写真中)
今年の開花はずいぶんと
早くなるのではないだろうか。
いきなり葉が現れた株は
若くて花芽は出さず
数年先にようやく花を咲かせる。







クヌギの根元から幹にかけては
「クロクサアリ」がさかんに
活動しており、これも早い春の
到来を感じさせる。
中には獲物のダンゴムシを
運んでいる者もいた(写真下)。


クロクサアリは刺激を与えると
山椒のようなツーンとした
臭いを放つのですぐわかる。
この臭いを嗅ぐと
いよいよ本格的な春がすぐそこ
まで来ているのだな、
と少し焦りさせ憶える。



新開 孝

ベニシジミ前蛹の運命! 2004/03/02
昨日アップしたベニシジミ前蛹は
今朝早くに死んでいた。

死因は寄生バエによるものだ。
前蛹の頭部近くに大きな穴があき
寄生バエのうじ虫が一匹、
這い出てきたのである。
うじ虫はしばらくして体が萎縮し
俵型の固い蛹となった(写真上)。
SF映画「エイリアン」などは
このような寄生昆虫の生態を
パクったものだ。

うじ虫の体長はベニシジミ前蛹の
それとほぼ同じ位に大きく
前蛹の中にどうやって
納まっていたのか不思議だ。
「エイリアン」どころではない!
凄まじさだ!
ベニシジミ幼虫を野外から
持ち帰り飼育していると
こうして寄生バエの犠牲になるものが
多いことに気付く。

昨日の前蛹は体色が異様に朱色で
しかもよく見ると頭部近くには
小さな黒いものが肌を透かして
見えていたのであった。

(写真下)は緑色型の前蛹。
こちらはどうであろうか?
画面向って左側が頭だが
今の所異変は見当たらない。
しかし、寄生の有無は
もうしばらく様子を見ないと
判断ができない。

昆虫の魅力の一つは
「変態」という劇的な変身だ。
変態は英語で「metamorphosis」
とも言うが、しかしもう少し
まっとうな日本語はないものか?


新開 孝

オオミズアオ繭殻の中身 2004/03/01
昨日アップした繭殻、
何気なく持ち帰っていた。
(写真上)
外部から何者かが繭壁を裂いた
痕跡がよくわかる。
オオミズアオの繭は今までにも
落ち葉の中からよく殻を拾ったし
中に蛹の入った繭も見つけた
経験がある。

で、今日はその繭殻を切断し
中を覗いてみた(写真中)。
矢印先は幼虫の抜け殻。
そして瓜型のものは植物の
種子のようだ。これは非常に硬い。
試しにカッターナイフで割ってみたが
なんだか内容がわからないほど
乾燥しきっている。

繭殻の中には
蛹のかけらも残っていないので
やはり蛹そのものは、何者かによって
食べられたのであろう。
とは思うが何故に種子が紛れ込んだ
のであろうか?
いずれにせよこの繭殻、
本来なら今年の5月ころには羽化
するはずのものが、あえなく天敵に
捕食されてしまったわけである。

2/28にアップしたベニシジミ前蛹
が、いよいよ蛹化間近となった。
(写真下)
体表面が透けた感じとなり
節間の皺が深くなった。
シジミチョウの仲間の蛹化脱皮は
例えばアゲハ類と比べると
劇的な変身とはならず、
写真で表現しても差程面白くない。

もともとシジミチョウ類の幼虫が
わらじ型をしていて、芋虫としての
特徴ある姿をなしていないからだ。
脱皮中も脱皮終了後も、
そのままこけし型の蛹になりました
という地味さに終始する。
シジミチョウ類の蛹化脱皮は
ビデオで撮影して早送りすれば
そこそこ面白いのではあるが。



新開 孝

『重大なミスとは!?』 2004/02/29


石垣島で見つけ、
ヤママユガ科の卵と孵化幼虫として
2/23、2/26の2回に渡りアップした
蛾の一種は、
「クヌギカレハ」のようです。

本日、石垣島在住の昆虫の専門家の方
から指摘を受けました。
たしかに孵化幼虫は見れば見る程
「カレハガ」!です。
現地ではクヌギカレハの成虫は12月から
1月に発生するそうで、その親が産卵した
卵であったようです。
クヌギカレハの食樹もカシ類を広く食します。
八重山諸島に生息するヤママユガ科は
現在、ヨナクニサンとシンジュサンの
2種だけのようです。
ああ、なんという失態でしょうか!!
本当にお騒がせして申し訳ありませんでした。

しかしこのような初歩的ミスを犯した
原因は、クヌギカレハの卵を
今まで見たことが無いことに加え
その卵の形態の特徴、産卵位置、
そのいずれもがヤママユガ科のものと
思わずにはいられない程
似通っていることから
早合点したことによります。

過ちを犯したことで
もしやヤママユガの未知種!?
などというわずかな夢をみることができ
それはそれで良かったのかもしれませんが
今回はいい勉強になりました。
『昆虫ある記』に登場する昆虫や生き物の
種同定については、慎重かつ正確にという
姿勢は保持しますが、
たまにはこのようにつまずくことが
今後もあるやもしれません。
そのときは御指摘や御指導の程よろしく
お願い致します。新開 孝

モンキチョウ、登場! 2004/02/29
柳瀬川の土手でモンキチョウが
飛んでいた。
気温が低いため、
地面に横倒しになって日光浴する
ことが多い(写真上)。
うしろ翅がすでに破れているので
数日前に羽化したのだろう。


コブシの蕾みが多数、
地面に落ちていた。
鳥のしわざだろうか、と
眺めていたら繭殻を見つけた。
油紙のような感触の薄い壁で
できた「オオミズアオ」の
繭殻(写真下)だ。
おそらく鳥に見つかり
中身の蛹は食べられたのだろう。
オオミズアオは梢や
落ち葉の中で繭を作る。

重大なミスが発覚しました!
本日、2回目アップを御覧下さい。


新開 孝

再びギシギシと昆虫 2004/02/28
ギシギシはタデ科だが
同じ仲間にスイバがあり
私はスイバの姿や花が
とても気に入っている。
スイバもベニシジミの食草だが
うちの近所ではたいへん少ない。
ほとんどがギシギシばかりだ。
今日もマンション裏の草地で
ギシギシの葉をめくってみた。

葉をめくる振動で
ころりと丸くなって姿を
現わすのが「ヨトウガ類」の
幼虫だ(写真上)。本種は
飼育して名前を調べるつもり。
個体数は多い。

「クビキリギス」も葉っぱに
包まれるようにして潜んでいた。
(写真中)。(バックナンバー
1/7に本種緑色型が登場)

ベランダで飼育していた
ベニシジミ幼虫のうち1頭が
落ち葉で前蛹になった。
矢印先に帯糸が数本架かって
いる(写真下)。
糸は細いので見づらい上
簡単に切れてしまう程弱い。
前蛹期に入ったかどうかの
判定にはこの帯糸を
ルーペで確認するのがいい。
帯糸は頭部の方よりに
架かっている。
新開 孝

ギシギシと昆虫 2004/02/27
柳瀬川沿いの土手で
ベニシジミ幼虫を再び
探してみた。
ギシギシの群落では
近頃の陽気のせいか
どの株も茎が伸び上がって
きている。

葉っぱをめくると
御覧のように黒いアブラムシが
びっしりとついている。
「ギシギシアブラムシ」の
コロニーだ(写真上)。
体の小さいのは幼虫。

このアブラムシたちを
ナナホシテントウ幼虫が
貪り喰っている(写真中)。
一日中陽射しを受ける
土手斜面でナナホシテントウに
冬はないに等しい。
若い幼虫から成虫まで
ナナホシテントウの楽園のようだ。

そして「コガタルリハムシ」の
成虫も数匹見つかり、
すでに産卵も始まっていた。
(写真下)

見つかったベニシジミの幼虫は
どれも終令幼虫だった。
蛹もどこかに潜んでいても
おかしくないと思えるほど
食痕があった。

今年の春は異常に早く
到来するように思える。
昨日も都内、大田区では
モンシロチョウが飛んでいた。

新開 孝

再び石垣島のヤママユガ科幼虫 2004/02/26
先日アップした石垣島の
ヤママユガ科1令幼虫は
体長1センチまで成長した。
そこで今日の様子を撮影してみた。
(写真上、下)

これはどう見ても
「クスサン」ではないだろうか?
台湾には生息しているのだから
八重山地方にいても
おかしくはないはずだ。
保育社の『蛾類幼虫図鑑』では
「クスサンの1令は黒灰色」という
記載しかなく、これでは判別の
しようがないが、これまで
調べた結果ではクスサンしか
該当種がない。

幼虫は孵化してから熟令するまで
脱皮しては姿が一新するので
その全てを図鑑の写真で
掲載するのが困難でもあろう。

ただ気になっているのは
産卵方式が他の地域とは
違う点である。
クスサンの卵は直立させて
産まれてあり、それはタガメの
卵塊に似ている。
ところが私が石垣島で見た
卵塊は4例ともそうではなく、
2/23にアップしたごとくの
並び方であった。
それとクスサンが生息するなら
あの編目状の繭殻がそこそこ
見つかってもいいのではないか?

『御注意!!本種は後日2/29にカレハガ科の一種と判明!!訂正アップをしています』


新開 孝

春めく野原 2004/02/25
近所の公園ではアブラナが開花し始め今日は「ニホンミツバチ」もさかんに飛来した(写真上)。
どこに巣があるのか気になるが目立つ場所だとすぐ駆除されるのでいつも困っている。

暖かい日射しを浴びて「スジグロシロチョウ」もついに姿を現わした(写真中)。
越冬していた蛹が羽化した春一号だ。
ホトケノザで吸蜜したり日光浴の回数も多い。

ここの公園では他にモンシロチョウ、ヒメアカタテハ、キタテハが見られた。

そんな春の光景の中、落ち葉の下を覗いてみると
まだ冬ごもり中の「ホソヘリカメムシ」(写真下)
がいた。
このカメムシはスマートでかっこいい。色が地味なのが惜しい!

このところの陽気続きでもうどんな昆虫が飛び出しても驚かない、そんな気分だ。

明日は都内の出版社で打ち合わせやら親戚の会社のホームページ用撮影(会社は青山にある)があるので
フィールドに出る時間がない。
もしかしたら明日のアップは無理かもしれない。



「新開孝からのお知らせ」

最新情報、更新しました。
そちらも御覧下さい。

札幌行きは中止して正解でした。
やはりあちらは悪天候続きで
しかも最終日の飛行機は欠航と
なりました。
「雪虫」の撮影は別途、予定して
おりますので、また改めてお知らせします。新開 孝

肉食バエの空中殺法!! 2004/02/24
ラクダムシ幼虫を探しに
近所の神社に行ってみた。
すると陽当たりのいい場所で
体長6ミリほどの小さなハエが
休んでいた。

まさに小さなハエであり
興味を惹くほどでもないよなあ
と、何気なく眺めていると、
いきなり空中へと舞い上がり
ユスリカの一種を瞬時に捕らえた!
その巧みな技に私は驚いてしまった。

先程まで日光浴していた板切れの上に
戻りくるくると体の向きを
替えながら獲物の体液を
啜り始めたのである。
(写真上)



何喰わぬ顔をしていながら
肉食バエとは恐れ入った。
このハエについては
今しばらく食い下がってみよう。

肝心のラクダムシ幼虫は一匹
見つかったが、
ついでに姿を現わしたのが
「カニムシの一種」だ。(写真下)
サソリの尻尾をちょん切った
ような格好だが、
トビムシ類などを捕まえて
食べているらしい。
このカニムシ類は樹皮の裏側など
でよく見つかるのだが、
その生活のあり様を見る機会は
全く無い。
体長は4ミリ程度と小さい上
暗がりでの暮らしを好む。




新開 孝
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