| 先月11日に雑木林の落ち葉から見つけたエリマキアブ(フタスジヒラタアブ)幼虫が、その後蛹になった。 蛹になった日付けは正確ではないが、今月に入ってからであることは間違いない(写真上:蛹を横から見た)。 (写真中:蛹のお腹側) (写真下:蛹のお尻は幼虫時代のおもかげを残す)
ではエリマキアブの越冬ステージとは何だろうか? 去年、さんざん登場したこのヒラタアブの一種は、 初冬に成虫となったものがいる一方で、 2月の厳冬期にも幼虫が見つかり、しかもその幼虫は獲物をたいらげていた。つまり厳冬期でもなお活動している幼虫がいたのだ。 そしてこのように3月、蛹になったものもいる。
(もっとも今冬は非常に冬としての季節感が希薄でもあって、まさに暖冬異変と表現してもいいくらいだった。そして晩冬から早春にかけて現われる昆虫たちはまさにフライングの連続である。)
何らかの条件に伴いエリマキアブの越冬ステージは、成虫であったり、幼虫であったり、あるいは蛹であったりと定まっていないのではないだろうか?もしそうだとすれば、こういったタイプの昆虫は他にも数多く例が知られている。しかしでは一体どのような理由から越冬ステージが変化するのかというと、個々の昆虫により事情が違うようで、エリマキアブについてもたいへん興味深い問題だといえる。
それにしても今後羽化したり活動を再開する成虫たちは、どのような生活を送るのだろうか?中でもとりわけ、どんな場所に産卵するのかがたいへん興味の湧くところである。なぜかというと幼虫の食性の本質を考える上で重要だからである。食性の問題はもっとも中心的課題なのであるが、それはもう少し先になってからお話しできるときが来ると思っている。 ヒラタアブ類の仲間では、成虫の姿は互いによく似通っている。識別にはある程度慣れも必要のようだ(何と言ってもエリマキアブの成虫を私はわずか1個体しか見ていないのだ!)秋から冬にかけて私が幼虫を見つけてきた現場では、これから暖かくなってからばったり出会うであろう本種に、私がどれだけ敏感に察知し得るのか!?などと考えると、ただそれだけでも妙にわくわくしてきて、夜も眠れなくなることがある。
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