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アカメガシワ樹液、その後 2008/05/31
 先日、紹介したアカメガシワ樹液では、まだコクワガタのオスが陣取っており、メスも一緒にいる。オスがこの場所に居残っているのは樹液そのものよりか、メスのことがあってのことだろうと思う(写真上)。

 さて、気になっていたコウモリガ幼虫だが、写真で見る限り胴体が痩せており死んでいる可能性が濃くなってきた。コウモリガ幼虫は越冬したあと、羽化するのは9月以降が多いようで、稀に6月ころにも羽化するようだ。コウモリガ幼虫は樹肌の開口部近くで蛹になり、羽化に際しては開口部を覆っていたパッドを蛹自身が突き破って半身を突き出してから行なう。その羽化の瞬間をどうしても見ておきたいのである。
 他の樹のパッドをいくつか剥がして調べてみると、穴が白い粉で埋まっているものがあった。これはどうやら菌に侵されてコウモリガ幼虫が死ぬケースも少なからずあると思われた。

 コクワガタのオスがいる樹液のすぐ上にも樹液が出ており、こちらにはサトキマダラヒカゲやクロヒカゲ、ヒメジャノメなどがよく集まっている。今日はそこへ、キスジゴキブリと思われるゴキブリが来ていた(写真下)。
 これまで見たことがないゴキブリなので気になる。本種は四国から南に生息するゴキブリで樹上性のようだ。
 
(写真上、下/E-3  50-200ミリズーム/ストロボFL-36R/写真はいづれも少しトリミング)

新開 孝

ササの新梢を好む虫とは 2008/05/30(その2)
 雨でない限り、うちの雑木林を毎朝歩く。メダケやホテイチクがニョキニョキと新梢を伸ばすので、これを片っ端らから刈っていく作業もしなければならない。冬の間にササ刈りを行なったけれど、その作業はこうして継続していかなければまったくの徒労に終わってしまうからだ。

 さて、明るくなった林床には、も少し小さなネザサの類いの新梢が多く見られる。これらも場所によっては刈っているが、あまり神経質にはならない程度に刈る。背丈の低いササまで刈っているとキリがない。
 以前から気になっていたのだが、そのササの新梢に数多くのキリギリス科の幼虫が見つかる(写真上)。この若い幼虫たちは、どうやらヒサゴクサキリのようだ。今頃若い幼虫が見つかるということは卵越冬だから、その生態からしてもヒサゴクサキリと考えられる。
 長い触角を前にまっすぐに伸ばし、脚もピンっと揃えて伸ばした格好だとササの葉に紛れて、その姿はわかりづらい(写真中)。ササの新梢にはガジガジと齧った跡が多く、糞もあちこちに見られる。

 ササの新梢の茎の部分を好んで齧っているのが、ホオアカオサゾウムシだ(写真下)。本種は茎に長い口吻を使って穴を穿ち、そこから汁を吸っているように見える。

(写真/E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン+ストロボFL-36R)

 ポプラ社から6月に刊行予定の『いのちのカプセル まゆ』はこちらをご覧下さい。 新開 孝

ハキリバチの一種 2008/05/30
 5月20日に紹介したハキリバチの巣(写真上)を、今日開いてみた。

 庭にある電気メーターボックスの中を開いてみれば、通気口近くにクシャクシャになった葉っぱの塊が見つかった(写真中)。
 ハキリバチの営巣場所は朽ち木の隙間や土中の空隙など様々であり、その空間は狭かったり広かったりするのだろう。それでも、育児カプセルを葉っぱで組み合わせて作る場合には、カプセルが納まる手頃な空間のほうが効率が良いだろうと思われる。
 今日の育児カプセルは、あまりにも不格好であり(写真下)、解体してみれば育児カプセルはわずか3室しかなかった。
 やはりハキリバチが育児カプセルを作る上では、そのサイズに見合った外枠があったほうが良いことは明らかであり、今回のような大きなスペース内ではどうやら作業が捗らず、苦労したことがありありと判る。葉っぱを持ち帰っては、プイッと捨ててしまう行為が多かったのも、まさにうまくいかない苛立ちだったのではないか、と思えるのだ。

 この電気ボックス内ではヒメベッコウの一種の泥壷もあったがそれはすでに昨年作られた古いもの。この泥バチは泥壷が雨に当たらない場所を営巣場所として選ぶが、このヒメベッコウにとって電気メーター箱の中は理想的な場所だったようだ。何より箱内は常に乾燥しているから、営巣条件としてはこれ以上のものはないだろうと思う。

 昆虫は誰に教わるでもなく、自分の力で巣作りから育児まで様々な作業を正確にやり遂げていく素晴らしい能力を持ち合わせている。しかしながら、その作業がいつもいつも完璧に進行するばかりでもない。素晴らしい本能とかよく言われるが、生き物には完璧という言葉はふさわしくないようだ。ときにはうまくいかないことだって一杯ある。それが生き物の宿命でもあるようだ。 新開 孝

『いのちのカプセル まゆ』(ポプラ社) 2008/05/29(その2)
 本日、6月刊行予定の拙著『いのちのカプセル まゆ』(ポプラ社)の見本が届いた。本書はポプラ社の「ふしぎいっぱい写真絵本」シリーズの12冊目。

 もう十数年前になるが、ヤママユガのなかまに夢中になった時期がある。とくにこだわったのがウスタビガ。繭の形が出来上がる過程は何度見ても飽きることがないが、その繭から成虫が顔を出す瞬間をどうしても野外の自然状況下で撮影したかった。飼育すれば室内でも撮影は可能だが、ウスタビガのほんとうの羽化時刻というものを知りたいとこだわったからだ。ずいぶんと時間や経費も掛かってしまったが、その努力の結果、オスとメスの野外羽化の瞬間を撮影できた。撮影を思い立ってから3〜4年目のことだったと思う。
 ウスタビガについては月刊誌などで写真の一部を公表したが、いづれは一冊の本としてまとめたいと考えていた。しかしそれは難しいとも思え、急遽ヤママユに変更し、あらためて1年間撮影し直し『ヤママユガ観察事典』(偕成社)が出来上がった。それから10年が経つ。

 今回は「まゆ」というテーマで写真絵本を作ってみた。そのなかでウスタビガは大きなウエイトを占める。と同時に、「まゆ」はカイコなど蛾の仲間だけが紡ぐものではなく、いろんな虫たちが作るいろんな形の「まゆ」があることも盛り込んである。
 「まゆ」には綺麗なものやへんちくりんなものまでいろいろあるが、「まゆ」を不思議に感じるのは、生き物そのものではないが、かといって無機質な物体にも思えないところだろうか。「まゆ」は芋虫たちが吐き出した命の糸からできでいるからであり、その糸の組成が科学的に微細に解明されていても、神秘的な「まゆ」の魅力は少しも色あせることがない。

 新開 孝

アカメガシワの樹液 2008/05/29(その1)
 昨夜から今朝にかけてどしゃぶりの雨が続いた。雨樋の3箇所で雨水があふれている。いづれもスズメが溜めた藁屑の巣材が詰まったせいだ。
 今うちの軒下では4つがいのスズメが営巣しているが、巣場所を探しあぐねている3つがいが他にいるようだ。

 さて、一旦は雨が止み日射しもあったりしたが、雲行きは依然怪しい。そしてたいへん蒸し暑い。昼食後、居間から林を眺めていると、アカメガシワの樹液に虫が集まっていた。
 アカメガシワの樹液は、幹内部にコウモリガの幼虫が穿孔したせいで滲み出る場合が多い。コウモリガ幼虫は、将来の羽化脱出口として直径15ミリほどの穴を幹表面に穿っている。穴の周辺は浅くえぐられていることもあるが、穴を広く取り囲むようにドーム型の蓋が被さっている(写真上)。蓋は木屑と糸で出来ており、触ってみると固いスポンジのようだ。
 しかし、コウモリガ幼虫が潜んでいる坑道が外に開口している穴からは、樹液が滲み出る。その樹液の臭いに誘われて、さまざまな昆虫が集まってきて、ドーム状の頑丈な蓋も破られてしまう。クロヒカゲが樹液を吸っていた場所で、破れたドームを完全に取り払ってみれば、コクワガタのオスとヨツボシケシキスイの姿が現れた(写真下)。
 そしてよく見れば、コクワガタのすぐ右脇にコウモリガ幼虫の頭部があるではないか。コウモリガ幼虫は明るい場所には決して体を晒すことはない。これはどうしたことだろう?

 長いササ竿を使って注意深く幼虫の体に触れてみたが、まったく動く気配もない。死んでいるのだろうか?あるいは、これは期待したいことなのだが、もしかしたら蛹化に先立って休眠しているのだろうか?
 もうしばらく待てば、その真相もわかるだろうか?

(写真/E-3  50-200ミリズーム/ ストロボFL-36R使用)新開 孝

ヒメヤママユ幼虫と背負い式草刈り機 2008/05/28(その2)
 今日は正午前から雨。どうやらここ南九州は梅雨入りしたようだ。

 午前中は菜園で収穫を終えたエンドウ豆の片付けをしたり、カブトムシ幼虫を採集しに行ったり、庭の掃除したり、室内撮影をしたり、林の一部でササ刈りしたり、と雨が降り出す前に慌ただしく動いていた。おかげで汗びっしょりとなる。

 ずっと停滞しているホームページリニューアルの下準備を、夕方になってかなり進めることができた。明日の午前中には完了できそうだ。

 そこで今日の写真は昨日、撮影したもの。
 
 昨日の午後、近所の方から電話があった。梅林で大きな緑色した芋虫を見つけたということ。聞いた範囲でその芋虫はヒメヤママユであろうと思った。宮崎に来てから、ヒメヤママユ幼虫はまだ見てないので久しぶりに見ておきたくなった。
 梅林ではすでに梅の収穫を終えており、枝打ち作業中であった。収穫した梅は化粧品加工工場に納品するそうだ。さて、やはりでっかいヒメヤママユ幼虫は2匹いた(写真上)。幼虫はもう成熟しており、辺りの葉っぱが大量に暴食されていた。繭作りももう間近だろう。ヒメヤママユについて、少しその生活史を説明させてもらい、さらに幼虫も引き取らせていただいた。

 ヒメヤママユ幼虫を著書『昆虫放談』のなかで「ムギバタケ」と呼んだのは、小山内龍である。まことその表現はすばらしい。

 さて、新型デジタル一眼カメラより優先された草刈り機とは、背負い式であり、斜面などの作業ではたいへん使い易い(写真下)。エンジンの振動が背中に伝わらないよう、エンジンと背負い部分とはスプリングで繋がっている。
 このような小型内燃機関はたいへんデリケートに出来ており、取り扱いにはいろいろと注意すべきことがある。私はその辺りのことに無知であり、これまで草刈り機の扱いについてはど素人も良い所だった。
 例えば燃料。これはガソリンとオイルの混合燃料を使用するのであるが、市販のお手軽な調合済み混合ガソリンは良くないようだ。混合作業は作業毎にきちんと自分で行なうのが良く、しかもオイル、ガソリンの質には気を配ったほうが良いこともわかった。それだけでも機械の調子がずいぶんと違ってくるし、故障も少なくなる。

 草刈り作業中は必ずフェイスマスクを装着する。小石や枝など予期できない飛散物があり、以前にはあわや眼球直撃という事態を何度も経験しているからだ。

 
 新開 孝

コバチのまゆ作り 2008/05/28(その1)
 昨日、紹介したアケビコノハ幼虫から出て来たコバチ幼虫群は、ゆっくりとまゆを紡いでいる。一見、協同まゆのようでもあるが、コバチ幼虫各自で自分のまゆを作っている。

 今回のようなコバチ幼虫は、東京都清瀬市で2年前にも、スモモキリガ幼虫において観察、撮影し「ある記」で紹介したことがある(写真下/2006年5月)。時期はそのときも5月の中頃であったが、コバチ幼虫の姿はたいへん似ている。体の色は違うが姿形はそっくりだ。

 コバチ類の寄生を観察するには、野外で見つけた芋虫を飼育さえすれば意外とチャンスは多いのかもしれない。ただし、飼育中は毎日こまめに幼虫の様子を観察しないといけない。もっとも今回のアケビコノハの場合は、コバチ成虫の産卵行動を見ていたから、おおよその筋書きは最初から読めていた。

(写真上のみ/E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

アケビコノハ幼虫の受難 2008/05/27
 先日、うちの近くの桝安森林公園のアケビでアケビコノハの幼虫を見つけたのはファーブルさんだ。この幼虫には小さな寄生蜂が乗っかっていた(写真上/5月17日撮影)。よく見るとアケビコノハ幼虫に産卵管を突き立てて産卵しているのがわかった。
 そこでアケビコノハ幼虫は私が持ち帰り、しばらく飼育することにした。どのようなやり方で寄生蜂のこどもらが登場してくるのか、それを見届けたいからであった。

 飼育ケースの底には糞が多数落ちていたが、どうもアケビコノハ幼虫の成育は芳しくない。ちょっとおかしいなあと思い、今朝になって飼育ケース内を覗き込んでみれば、なんとその原因がこれだとわかった(写真中)。これはコバチ類の幼虫たちである。コバチ類の幼虫群は、アケビコノハ幼虫の体内で養分を吸収しながら成長し、成長を遂げてからアケビコノハの体外へと姿を現した瞬間なのである。

 時間を経るうちに、コバチ幼虫群はしだいに分散し始めた(写真下)。彼らは繭を紡ぎ始めたのである。その繭の様子は明日には紹介できるだろう。

(写真/E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)

 昨日、霧島山の登山道を歩いた時間は、のべ5時間程度。
 その間に担いでいたビデオ三脚の重量を計ってみれば、約6キロ。まあこれならシンドイはずだ。背負ったカメラザックの重量は左程でもないが、例えば首から下げた一眼デジカメは滴り落ちる汗でドロドロになってしまう。

 今日もたいへんよく晴れたが、フィールドに出掛ける予定を変更して、今継続している様々な撮影準備を立て直し、そして林の草刈り、機材の手入れなど、細々とした作業をこなしておいた。いづれも傍目から見れば地味で退屈な作業でしかないが、こういった作業をこまめにやっておかないと仕事が成立しない。


新開 孝

霧島山、ふたたび 2008/05/26
 先週、霧島山の高千穂峰手前の御鉢まで登った。御鉢の西側斜面は急峻だがそこにミヤマキリシマ群落があって、花の咲き具合は8割程度であった。この場所に出直す前に、他の場所を見ておこうと思った。

 そこで今日は高千穂峰西側の中岳(1332メートル)に登ってみた。高千穂河原ビジターセンターの駐車場から1時間のルートだが、これがけっこうキツかった。おまけに今日は夏日となって滴り落ちる汗の量も半端ではない。なんといっても肩に担いでいるビデオ三脚が重い。これさえ無ければ私も普通の登山客なのだが、これを背負っているがため、ときどき声を掛けられるハメとなる。

 喘ぎ喘ぎ辿り着いた中岳のミヤマキリシマ群落は、まだ3割程度しか開花しておらず、撮影はできなかった。これにはガックリ。しかし眺望はさすがに良い。東に間近に迫る高千穂峰や御鉢の山容は見事だ(写真上)。
 ちなみに御鉢の西側斜面のミヤマキリシマ群落(写真中)とは、写真の矢印先に示したあたり。
 
 中岳を下る「もみじモース」の途中で、足下から「シュル、シュル、シュル」という連続音が聞こえ、ハタと脚を止めた。この「もみじコース」を歩く人はわずかしかいない。なんと登山道のすぐ脇にマムシが横たわっており、尻尾を上げて小刻みに振るわせている。さらに鎌首を上げてこちらを睨んでもいる(写真下)。
 どうやらマムシは私に警告しているようだった。この警告音が無かったならマムシのすぐそばを踏みつけ、噛まれる事態もあったのではないか。
 通りすがりの方から聞いた話では、マムシが尻尾を振るときには独特な臭いも出すそうだ。

 マムシはしかし、おとなしいヘビだ。踏みつけたりしないかぎり咬んでくることは滅多にない。マムシと出会ったときには、薮の中へそっと去っていくことの方が多い。
 さて、汗だくになりながら一旦は高千穂河原ビジターセンターに降りたものの、御鉢を見上げるとミヤマキリシマの花色が濃くなっているのがよくわかる。
 疲れてはいたが今日にも撮影しておかないとこの先の天候も不安だ。したがって、今度はふたたび御鉢直下を目指して高千穂峰登山ルートを歩き始めた。さすがに、シンドイ。途中、ニホンジカの親子に出会ったりしながら、先週訪れた撮影ポイントへようやく辿りついたのであった。

(写真/E-330  14-54ミリズーム)

新開 孝

鰐塚山に登る 2008/05/25(その1)
 三股町の最高峰が標高1118メートルの鰐塚山。鰐塚山は宮崎市、北郷町、そして三股町にまたがり、昔から昆虫の宝庫としてもよく知られている。

 宮崎市から山頂まで続く登山道は台風の災害復旧工事で長らく通行止めとなっていた。それでこれまで鰐塚山へ登ることは諦めていたのだが、北郷町側から山頂までの車道があるとの情報を得て、今日はそのルートで頂上まで登ってみた。登るといっても全ルートを車でいけるわけだ。途中、出会った地元の人に聞いたところでは、宮崎市側からのルートもつい先日に開通したという。

 山頂までの道沿いは自然植生が豊かで、ミズキの花も咲き始めていた。とくに目についたのはオオバウマノスズクサで、この蔓植物はたいへん多い。そして、このオオバウノスズクサを食草とするジャコウアゲハの個体数も多かった。
 ともかく車から降りて歩き出すと、いろんな昆虫に出会える。じつにたのもしい環境だと感じる。四季折々ここに通えば、多様な昆虫種を撮影できるのは確実のように思えた。花蕾をつけたアブラギリも多く、オオキンカメムシの繁殖も見られるかもしれない。

 ただし頂上はいたってつまらない(写真上)。とくに観光目当ての一般の方にとっては退屈でしかない場所だ。アンテナ関係の施設が立ち並んでいるがゆえ、まさに冷たい風景一色。しかし森の植生環境にはたいへん心なごむものがあり、雲がなければ眺望も良いようだ。そしてここには灯りが無いので、発電機を用意してナイターを行なえば、飛来する昆虫も多いことだろう。

 登山道の途中ではキブシでゆりかご作りをするウスモンオトシブミが多かった(写真下)。

(写真上/ E-3  14-54ミリズーム)
(写真下/ E-3  50ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 新開 孝

ネブトクワガタ 2008/05/25(その2)
 鰐塚山を降りてから、北郷町の広渡川ダム支流の谷間に入ってみた。
 今日は都城市在住の虫屋さん、KSさんが同行。KSさんは甲虫のなかでもクワガタ、カミキリ、タマムシに詳しく、そして出身はなんと福島県。KSさんとは草刈り機のことでお世話になり、それをきっかけにお知り合いとなった。
 広渡川ダムの支流沿いに道を進むとニレが多く、その樹液にはシーズン中には多くのクワガタムシが集まるとのこと。南九州の樹液といえばニレの樹がもっとも普通であり、ここにはミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、ヒラタクワガタなどが集まる。

 もうそろそろノコギリクワガタも活動しているだろうと樹液を見て回ったが、まったくその気配はない。しかし、KSさんはネブトクワガタの少し大きいオスを見つけた(写真上)。このニレの樹液では他にもオス、メスが各1匹づつ見つかった。
 車を止めていたすぐ脇には大きなヤマグワの樹があって、ふと見れば葉うらでヒメツノカメムシのメスが幼虫を保護している最中であった(写真下)。

 今日、巡ったフィールドは少し標高が上がる。標高が上がったぶんそれなりにたいへん植生豊かであり、渓流環境も良かった。普段は平地にかじりついている私だが、30分程度でこのような環境に行けることは、とても嬉しいことだ。

 (写真/E-3  35ミリマクロ)新開 孝

フタモンアシナガバチの巣 2008/05/24
 近くの畦道でフタモンアシナガバチの初期巣を見つけたのは、4日前のこと。
フタモンアシナガバチの巣を見るのは久々のことだったので、少し嬉しかった。しかし同時に巣場所の位置には問題があった。

 一昨日のこと、私は敷地の西側斜面の草刈りを行なった。新しく買い求めた背負い式草刈り機を使ってみたのだが、これがたいへん調子良い。ノリ面などの傾斜地では背負い式だとたいへん作業効率が上がる。というか肩掛け式の刈払機だと傾斜地では脚元が不安定となって危ない。
 今回買った背負い式刈払機は、ゼノア(ZENOAH)というメーカーのもので、ハイブリッドスタートといってボタンを押すだけでエンジン始動できる。まあ、良い機械はそれなりのお値段もする。もうじき発売となるOLYMPUSの一眼デジカメ、E-520がちょうど買える金額。
 昆虫写真家がカメラと刈払機とどちらを買い求めるべきか選択をせまられたなら、その選択肢は決まっているようなものだ。しかし私の場合、まず刈払機を優先すべき状況にある。E-520は購入するつもりだったが、少し延期するつもりだ。

 さて、その草刈り中にすぐ下の畑からも刈払機の唸る音が聞こえてきた。Kさんが牧草畑周囲の草を刈リ始めたのだ。その瞬間、あの数日前に見つけておいたフタモンアシナガバチの巣も終わりだなあ、と思った。ま、仕方が無いか。

 翌日、犬の散歩でフタモンアシナガバチの巣があったところを見に行ってみると畑の周囲は綺麗に草刈りが施されていた。やはりダメだったか、と思いきや、なんと巣がある!女王もちゃんといる。

 よく見ると草刈りの刃は巣の直前で止まっており、まさに寸止めの技で巣を回避していることがわかった。そうか!Kさんはアシナガバチの巣に気付いて、刈り残してくれたのだ。
 そういえば、去年の6月、私はKさんのお家を訪れアシナガバチの巣を探したことがある。あのとき一生懸命に巣を探していた私のことをKさんは覚えていてくれたのだろう。

(写真/E-3  50ミリマクロ)

新開 孝

ラミーカミキリのメス 2008/05/23
 昨日、ラミーカミキリのオスの顔写真を紹介したので、今日はメスの顔を撮影してみた(写真)。小雨がパラつくなか犬の散歩に出てみたのだが、カラムシを見てみるとすぐにメスは見つかった。

 ラミーカミキリは普通に見られるカミキリムシだが、けっこう綺麗な色紋様をしておりその姿を見ているだけでも心なごむ気がする。しかし、ふりかえってみればこのラミーカミキリの生活史をしっかりと観察しているわけでもなく、私にとっては謎の多い虫の一つと言える。普通にいてしかも派手な姿をしたカミキリムシが、例えば児童書ではこれまでほとんど扱われていない。これは少し意外な気もする。 
 もっとも本種の生息分布は関東以西に偏っているから、普通とはいってもそれは西日本での話。でも、やはりもっと広く紹介されてもいいカミキリムシではないだろうか。本種の幼虫期なども鮮明な生態写真で表現できれば、と思うのは私だけではないだろう。

(写真/E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)新開 孝

ノコギリクワガタ初見 2008/05/22(その2)
 夕方の犬の散歩の途中、カラムシを眺めてはラミーカミキリのメスを探してみた。それというのもオスはけっこう見つかるのだが、いっこうにメスの姿が見えないからだ。

 ラミーカミキリのオスとメスの区別は、顔を正面から見ればすぐわかる。それでオスはこの顔(写真上)。ついでメスの顔写真をここに並べてみれば歴然とその雌雄の違いを紹介できたのだが、、、残念。

 ところがカラムシの葉上でノコギリクワガタのオスを今年初めて見かけた(写真中、下)。

 小柄なオスだったが、ファイト満々!!元気に大アゴを振り上げては威嚇してくる。

(写真/E-3  50ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝
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