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ヘラクヌギカメムシの産卵、再び 2003/12/17
昨日、キボシカミキリを久しぶりに見たせいで、林に出掛ける前にはヤマグワを覗いてみた。今日も2頭のキボシカミキリが梢でのんびり休んでいて、すっかり葉を落としたヤマグワではよく目立つ。

林ではクロスジフユエダシャクの舞う姿がまったく見られない。すでにピークを過ぎたのであろうか。
コナラの幹では「ヘラクヌギカメムシ」のメスが産卵をしていた。赤い脚がなんともいい(写真上)。今頃というのは遅い方だろう。この場所は以前にも他のメスが産卵していた窪みの続きで、すでに卵塊が3個以上ある。カメムシにとって好条件の産卵場所であるのか、それとも卵塊そのものが他のメスを呼び寄せるのかわからない。ただ、同じ仲間のサジクヌギカメムシでは多数のメスが同所に卵塊を寄せ合うようにして産む習性があり、つまり卵塊群ができあがるのだが、その場合はもっと剥き出しの幹表面であることが多い。ヘラクヌギカメムシ、クヌギカメムシともに樹肌の窪みなどに分散的に産卵するのであるが、特にヘラクヌギカメムシのメスは樹皮のめくれた裏側などに潜り込むようにして産卵する傾向が強いように思われる。これはきちんと調べたわけでもないが、「ヘラ」のほうが卵塊を隠すようにして産んでいるようなのだ。もっと多数の産卵場面を見ないことには何とも言えないが、数年前の記憶やこの秋の観察ではそういう感触を得ている。
そうすると樹皮のめくれたような条件の産卵場所は数が限られてしまうので、自然と産卵場所が1ケ所に集中するのであろうか?

「アカネズミ」

林の散策路では「アカネズミ」の死体がころがっていた(写真下)。触ってみるとまだ死後硬直はそれほど進んでいない。道のまん中でもあるし時間帯から考えれば人や犬が何度もここを通過しているはずだ。少し不思議な発見ではあったが、とにかく死体処理班の昆虫でもいないかと調べてみたが何も見つからない。アカネズミの死体を林の中の落ち葉の下に移しておいて、明日も覗きに来ることにした。

『脱皮と羽化の撮影』

今、2種類の蛾の幼虫の脱皮を待っている。そして他にも羽化待ちの昆虫が2種いて、気が抜けない。朝晩、これらの昆虫の様子をしげしげ眺めてきたが、今日はシャクガ類の幼虫がいまにも脱皮しそうだ。このシャクガは室内で撮影セットを組み、この原稿を打ちながらも待機中。もう一種の蛾は野外のエノキの幹にいる。特にシャクガの方は、面白い脱皮習性ではないかと前々から思うこともあり、それを今回も確かめたいのである。明日にはアップできるかもしれない。
新開 孝

キボシカミキリ、冬を過ごす 2003/12/16
先月11/16、キボシカミキリの産卵をアップした。そのときでさえ私はこんなにも遅くまで活動するのかと驚いたものであった。
ところが今日のことである。冷たい強風が吹くなか、ふとマンション裏のヤマグワが気になり、よもやいないだろうと思いきや、いたのである!(写真上)しかも3頭。その3頭のキボシカミキリはどれも見覚えのある個体で、ヤマグワにしがみつき木肌を齧ったりしている。ビュービュー強い風に煽られながらも、彼らには冬が来ていないようである。外見上は先月となんら変らぬ生活を送っている。キボシカミキリたちの平静な姿は、やはり暖冬を物語っているのではないだろうか?

中里の林ではまだ葉っぱが残っているコナラも何本かあって、そこではナミテントウがかなりの数、日光浴したりアブラムシを食べたりして活動中だ(写真中、下)。林を巡れば相当数のナミテントウに出会う。しかし、配偶行動を見ることはまずない。中里近辺では大規模な集結を見たことがないが、所沢の雑木林には1ケ所、電柱に集結する場所がある。山地の大集結ほどの数はないが、そこそこ集まって来る。例年だとそろそろその時期にあたる。
アブラムシを食べるナミテントウを見ていると、そのうちアブラムシのいない枝のところに移動して、じっと動かなくなった。何をしているのかよく見てみれば、アブラムシたちが産みつけてあった1ミリにも満たない小さな卵を食べていた。
新開 孝

ヒメアカボシテントウとセミの産卵痕 2003/12/15
柳瀬川の土手沿いにソメイヨシノが並んでいる。自転車を漕ぎながら通り過ぎようとして、気になるものを発見した。幹にへばりついた縦長の灰色をした繭がいくつもあり、初めて見るものだ。蛾の繭であることは間違いないが、只今調査中である。
ついでにソメイヨシノに巻き付けてあった朽ちた板切れも調べてみた。すると板の裏側にはナミテントウと「ヒメアカボシテントウ」が潜んでいた(写真上、右)。こうして並んだところをみるとヒメアカボシテントウがいかに小さいかわかるだろう。体長は大きいものでも5ミリ程度だ。ヒメアカボシテントウはカイガラムシ類を餌とするのであるが、私はまだその食事風景を撮影したことがない。

板切れの表面にはささくれだったような「セミの産卵痕」まであった(写真中)。少しわかりにくいかもしれないが、赤い矢印の方向から産卵管が差し込まれたのである。それで、この板切れをそっとめくるようにして薄皮をはがすと、材中に産み込まれた卵の殻が顔を見せてくれた。細長い紡錘形の卵カプセルは乳白色の透明殻となっていて、中の幼虫たちが、すでに孵化して抜け出たことを物語っている(写真下)。この卵殻をうちに持ち帰り、双眼実体顕微鏡下で一つ一つをじっくり眺めてみた。極細の昆虫針を使ってそっと材中から抜き取ると、孵化した痕跡である裂け目まで確認できた。おそらくは秋のうちに孵化したと思われる本種は、ニイニイゼミあたりであろうか。孵化した幼虫は地上へと落下し、土中に潜り込むのである。
こうしたわずかな痕跡をたどることによって、昆虫の生き様を夢想するのも実に楽しい作業である。

『クロスジホソサジヨコバイ』
本種については問題点もいくつかあって、現在観察中とはすでに書いたのであるが、今の時期に多数の幼虫、成虫が見つかること自体、けっこう話題にしてよい昆虫ではないだろうか。私の観察によると特にヤツデの葉裏で探すのが効率良いようだ。
新開 孝

フェイスハッガーの正体・マネキグモ 2003/12/14
昨日のエリマキアブ幼虫・捕食シーンでは、餌食となったクモは体が崩れて残っておらず、クモの名前を調べようがなかった。「エイリアン」に登場するフェイスハッガーの脚部を連想させたあのクモの脚には、しかしいつか見たことがあるような記憶もある。そこで夕方になってからフユシャクガの観察も兼ねて、クモを探してみた。
すると見覚えあるクモがさっそく見つかった(写真上)。昨日、エリマキアブ幼虫に喰われてしまったクモであることは、ほぼ間違いないと思われる。実際に見つかった場所はやはり歩道柵の棒杭でもあったのだ。
さて、このクモは学研の図鑑『クモ』を開いてみると、「マネキグモ」のようである。「体長は13ミリ前後。3〜4本の条網をはり、そこに脚をのばしてぶら下がると枯れ枝が糸にかかったように見える」という説明にもぴったり合致している(写真下)。太く発達した前脚がとくに目立ち、おそらく獲物をがっしりと押さえ込むのに役立つのでもあろう。
それにしても昆虫がクモに喰われてしまう場面に出会うことが圧倒的に多いなか、昨日のエリマキアブ幼虫はどうしたことか逆転劇を演じていた。前にも書いたがエリマキアブ幼虫がハエトリグモに捕食されたところを私は見ており、クモにはやはりかなわないのかと思いかけていたのだが、自然界では何が起こるかほんとうにわからないものだ。


新開 孝

フェイス・ハッガー!? 2003/12/13
昨日にもアップを予告していた「おもしろ昆虫」とは、この「クロスジホソサジヨコバイ」のことであった(写真上)。当サイトでも相互リンクしている糸崎公朗さんの『フォトモ・ホームページ』の「森の三日坊主」でもすでに紹介された昆虫だ。糸崎さんはこの虫を「マエムキダマシ」と命名されており、うまく特徴を捉えての表現で面白い。「森の三日坊主」の組み写真を御覧いただくと、なるほど!と頷ける。新型新幹線のデザインにでも起用されそうな格好良さもある。そして同じような場所で見つかる本種の幼虫(写真中)は、ゼリーのような「ねずみ男」。成虫、幼虫とも個体数は多く、緑の葉をめくっていけばいろんな植物で見つかる。今日はこのクロスジホソサジヨコバイの成虫がワカバグモに捕食されてもいた。このヨコバイについてはまだいろいろ確認したいことがあり、目下観察続行中である。次回に乞う御期待!
(クロスジホソサジヨコバイの種名確認には埼玉大学の林正美先生、国立科学博物館の友国雅章先生にお願いしました。ありがとうございました。)
「フェイス・ハッガー」とはSF映画『エイリアン』に登場するエイリアンの幼体のことである。そのフェイス・ハッガーを想起させるのが、このエリマキアブ幼虫の捕食シーンである!(写真下)
クモの体はかなり崩れてしまっており、それに対してエリマキアブ幼虫のからだは肥大している。まさに太ったフェイス・ハッガーだ!
実は中里の林の歩道柵、「昆虫観察トラップ」ではこのエリマキアブ幼虫を4匹も見つけることができた。これは昨日の雨により落葉下に降りていた幼虫たちが一時避難で柵の棒杭に登ったと思われる。柵でエリマキアブ幼虫を観察できたのは今日が初めてなのだ。
そしてこの「昆虫観察トラップ」は他にもきわめて効力を発揮し、フユシャクガのメス2種を筆頭に様々なクモ、昆虫を見ることが出来たのである。
新開 孝

雨の日のキチョウ 2003/12/12
三日前の12/9に落ち葉の中で見つけたキチョウだが、あれからどうなったか気になり今朝は一番に見に行ってみた。すると、なんと!同じ場所で黄色く輝いている!さすがに止まっている格好は違うがほとんど動いていない。というか、おそらく動きたくても動けないのであろう。昨夜中降り続いた雨に打たれながらもじっと耐えていたのである。雨滴が体や翅に残っていていかにも寒そうであるが、見る限りキチョウはそうくたびれている様子でもない。昆虫たちの寒さに対する適応は、我々人間の寒い暑いという感覚とはかなりかけ離れているのだろう。私はこのキチョウをもっと安全な場所へ移してやろうかという考えもチラついたが、やはり止めておくことにした。余計な御世話であろう。いずれ天候も回復しそうだ。

『エリマキアブ、共食いをする!』

金網にもエリマキアブ幼虫が静止していることはすでにお伝えした。その幼虫たちも次々と姿を消す中で、今日はついに「共食い」を目撃した(写真下)!こういう事態はあり得るだろうとは考えていたが、(現に飼育ケース内では一度あった)野外で遭遇する機会は極少ない。これはおそらく餌不足の中、移動していた幼虫が他の幼虫に捕獲されてしまったようである。写真では画面奥の白っぽい個体が食べている方である。

P.S:昨日、キヅタで見つけた「おもしろ昆虫」を今日、紹介するつもりであったが、まだ種名を確認中なので先送りすることになった。

新開 孝

逆子でも安産!アブラムシ 2003/12/11
今朝は今にも雨が降り出しそうな雲行きで冷え込む。中里の林を歩いているとポツポツ落ちて来たので早々に帰ろうとすると、エノキの根元に絡んだキヅタの新芽に、黒っぽいアブラムシが群れになってついていた。よく見るとこの寒い中お産の最中のメスがいる(写真上)。アブラムシの仲間は卵胎生といってお腹のなかで卵が孵化して、幼虫が直接産み落とされる。実際にはメス親の体から出て来た幼虫は卵膜に包まれており、外へ体が出てからそれをお尻へとずらしながら脱ぐ。写真ではほぼ脱ぎ終えて脚が自由になる直前である。(アブラムシの名前調べは難しい。今回は種名が不明のままアップした。御存知の方は教えていただきたい。)
またアブラムシの繁殖の仕方は実はもっと複雑で、オスがいたり卵を産んだりと、季節や種類によっても変化する。それについてはいずれ紹介する機会もあるだろうと思う。
アブラムシのコロニーにはトビイロケアリの働きアリが数頭訪れている。アブラムシがお尻から出す甘露がお目当てであるが、さすがのアリも皆、動きは鈍い。アブラムシが逆立ちを始めると、もうすぐお尻から甘露の風船が膨らみ出す合図だ(写真中)。

林の中の歩道柵に「ニトベエダシャク、♀」が止まっていた。ニトベエダシャクの白い粉をかぶったような幼虫は、5月頃エノキやコナラなどでよく見かける芋虫。この芋虫は刺激を与えると体を丸めるので憶え易い。幼虫は成熟すると土の中で蛹となり、なんと半年後の11月頃成虫となって現われる。メスは晩秋に産卵し、卵で越冬する。今朝、出会ったメスは新鮮な翅をしていたが、もう産卵は済ませたのであろうか?

キヅタは常緑のつる性植物でよく知られているが、今日はこのアブラムシ以外に「おもしろ昆虫」を見つけた。明日はそれを紹介したい。


新開 孝

樹上で越冬!ゴマダラチョウ幼虫 2003/12/10
今頃のゴマダラチョウ幼虫といえば、すでにエノキから降りて落葉下で冬を越しているはず。ところが今日、エリマキアブ幼虫でもいないものかと覗いたエノキの小木でそのゴマダラチョウ幼虫を見つけた(写真上)。体の色は枝に溶け込む見事な擬態色。こうした木の上での越冬例は暖冬の年には見られるそうだ(私は四国の松山市で一度見ている)が、やはり数は少ないと言えるだろう。来年の春までは落ち葉をめくらない限りもうゴマダラ幼虫を見ることがないだろうと思っていただけに、少し驚いた。このまま春を無事に迎えるのか、それとも寒さがさらに厳しくなると移動するのか興味深い。

昨日に引き続きシジュウカラの餌捕りシーンをねらってクヌギ林に行った。林のなかで餌探しをするシジュウカラの群れは10羽程度であろうか。ときにコゲラも混じっているが、両者の餌探しにははっきりと違いがある。コゲラはもっぱら木の幹と枝に貼付くようにして特に朽ちているところなどを突いては虫などをついばんでいる。これに対しシジュウカラたちの探索範囲は縦横無尽というべき、落ち葉の下から木のてっぺんに至るまで、あらゆる場所を覗き込み獲物を漁っていく。その身軽な動きを追い、なおかつ餌をくわえ捕った瞬間を写し止めるのはかなり難しい。今朝はなんとかアブかハエの仲間らしき獲物をくわえ捕ったカットが一枚だけ撮れた(写真中)。しかし動きの速いことに加えて、ほとんどの獲物はたいへん小さいことが多くたとえ写し止めても何がなんだかわからない写真にしかならない。おいしそうに昆虫を食べるシジュウカラを撮ることが、この冬の私の課題の一つでもある。
こうしてシジュウカラを目で追っているうちに、クヌギの幹にへばりつきちょこんと突いていったものがあった。そこは何か黒っぽいもので樹肌の皺が埋まっている。そばに寄って見上げれば、おお!
ヨコヅナサシガメの幼虫集団ではないか(写真下)。臭いでもかがされたのかシジュウカラはすぐに去ってしまった。いずれじっくり探そうと思っていたサシガメであるが、シジュウカラに居場所を教えられるとは!当たり前ではあろうが、虫探しはやはり彼らの方が上手である。

『キチョウ、その後』
昨日アップしたキチョウは、今朝もほとんど同じ場所の落ち葉に止まっていた。私の予想に反して今の寒さはやはり堪えるのであろうか?明日は予報によると雨かもしれない。ちょっと気になる。
新開 孝

夜のキリガ 2003/12/09
昨夜から夜の雑木林を訪れることにした。
午後6時から約1時間だけ林を巡ってみると、キリガ類の成虫が5頭見つかった。いずれも同じ種類でしかも歩道柵のロープ上に止まっていたり、落ち葉から這い出て棒杭を登っていたりした(写真上)。時間帯から考えれば、今夜の活動をこれから始めようとウオームアップしていたのであろうと思われる。棒杭やロープは夜空への離陸台になっているようだ。明晩はさらに時間帯を遅らせて林に行ってみるつもりでいる。

(夜の観察、撮影の結果は翌日アップとなることを了承願いたい。)

ツルウメモドキ(写真中)は、中里の林の入り口近くで最近見つけた。かなり大きな株であるが樹上高くに絡んでいたので、ずっと気が付かずにいたのだ。この高さに視線が向いたのは数日前から鳥の撮影も始めたからである。特に林の梢を渡り歩くかのようなシジュウカラ、メジロ、エナガなどの姿、鳴き声に神経を集中すると自然と目線は仰角となってしまう。上へ上へと目がいくのだ。昆虫探しでも高みを意識して見ることがないわけではないが、視線は目線から俯角の方向に集中する傾向が強い。鳥と昆虫では視線の集中する場所も全然、違ってくる。自ずと自然を洞察する脳内の活性部位も微妙に相違してくるわけである。

昨日、シジュウカラたちが枯れ葉の塊や、樹肌などで獲物を探していた姿が気になり、今朝はその様子をしっかり写しておくことにした。400ミリレンズを構えてクヌギ林に座り込む。シジュウカラたちはにぎやかにさえずりながら移動するので、とりあえずは耳だけに神経を集中しておけばいい。鳥を待ちながら朝の日射しに白く照る落ち葉を見渡していると、ぽつんと黄色く強く輝くものが目に入った。
「おや、何じゃろか?葉っぱにしては濃い色しとるなあ」
そっと近づくとキチョウが落ち葉に止まっていた(写真下)。太陽と逆の方向に翅を少し傾げている。昨夜はこうして落ち葉の中で一夜を過ごしたのだろう。私が林にいた2時間近くの間微動だにしなかったが、午後から気温が上がればもう少し安全で風を凌げる場所に潜り込むだろう。
新開 孝

シジュウカラと昆虫 2003/12/08
中里の林でヒメシロモンドクガの幼虫が数匹、枯れかけたフジの葉にしがみついていた。この蛾は若い幼虫で越冬するらしいが、今日見つけた幼虫はみな中令以上まで育っている。フジの葉はほとんど落ちてしまい餌には困っているようであった。飢えて死んだものもいる。これも温暖な気候のために産卵期が遅くなってしまったことが原因なのであろうか?

林を歩いているとシジュカラの群れが私の頭上をにぎやかに追い越していく。そのうちクヌギの大きな枯れ枝に2、3羽が次々と降りて来て餌を探し始めた(写真上)。枯れ葉が塊になってついているところへ来ては、なにかをしきりについばんでいく。何度も繰り返すので余程、獲物が多いのだろう。私も近寄って枯れ葉の塊をポンポンと下から手で叩いてみた。するとクサカゲロウの一種が次々に飛び出して来た(写真中)。その数が多いのには驚いた。小さな蛾も混じって姿を現わす。シジュウカラたちは枯れ葉の間に潜んでいる昆虫を摘み出しては食べていたのだ。枯れ葉の塊を次々と叩いていると、一端は遠ざかっていたシジュウカラがまた近くまで戻って来た。こちらを恨めしそうに覗き込んでいるのがわかる。私はゆっくりと後ろへ退いた。

林のなかの日溜まりでは2mくらいの高さでヒラタアブの一種がホバリングしている。何か目的があるのだろうか?これから異性を見つけて交尾するとも思われないが。
新開 孝

ツチノコと一弦楽器 2003/12/07
天気は良いが今日は日曜日。私は子供の相手もせねばならない身の上によって、じっくりフィールドを巡るわけにもいかない。
それでもボール遊びを適当に織り込んで、子供と中里の林を歩いた。
気温が高いせいか林ではクロスジフユエダシャクのオスが多数、飛んでいる。気になるエリマキアブ幼虫は半数もが姿を消した。おそらくは餌となる小昆虫も激減していることもあって蛹化への準備のため、移動しているのではないだろうか?もちろんシジュウカラなど鳥による捕食圧も季節的にはより高まっているであろうから、姿を消した理由を簡単に決めつけるわけにもいかない。

コナラの葉上ではヤマトカギバの幼虫が見つかった(写真上)。初めは真直ぐな姿勢も私が振動を与えると、すぐさま体を丸めてしまう。子供はこの幼虫を見て「ヘビみたい!」と叫んだ。1B足らずの芋虫が子供にもヘビを連想させるとは、凄いことではないか。

葉っぱもほとんど落として、残るは黄色い葉のみとなったフジではシャクガ類の幼虫を見つけた(写真下)。この幼虫が熟令幼虫なのかどうかもわからず、当然種名も確定できていない。口から出した絹糸がピンと張り詰め、そうしながら体を小刻みに左右にゆする。その様をじっと見ていると、なんだか怪しい音楽が流れてくるのではないか、そんな気がしてくる。
新開 孝

クロスジフユエダシャク 2003/12/06
昨日はクロスジフユエダシャクのオスを撮影できなかった。しかし今日はまたしても「観察トラップ」に救われ、じっと静止するオスを紹介することができた(写真上)。とにかくオスはメスを探すのに懸命でほとんど飛び続けているため撮影チャンスは少ない。

カンツバキの花ではヒラタアブの一種が蜜や花粉をなめ取っていた(写真中)。
彼らは成虫越冬だから冬でも日射しのある暖かい日には活動する姿をよく見かける。
林では散歩というより運動で歩く人も多い。よく声を掛けて下さる方もいらっしゃる。今日は「あちらでも昆虫を撮影している人がいるよ。」と教えてくれた。私はその人に後で出会ったのだが軽くお辞儀をしただけで話し掛けなかった。普段ならお話をするところだがなんともかんとも二日酔いでフラフラの私であった。

今朝もクロスズメバチ(写真下)を撮影しているとすぐ頭上にアオゲラが現われた。「ピューイ、ピューイ」と甲高い声とともにムクノキの枝で餌を探し始めた。枝には朽ちている所があるのだろう。そこに潜む昆虫などを掘り出しているようだ。そういえば以前にクリ園の地面でクロヤマアリの巣を掘り返していたが、アオゲラはアリ類を好むのかもしれない。NHKの自然番組『生きもの地球紀行』で「武蔵野台地の四季」の制作に携わった際、私はアオゲラの雛への給餌をブラインドの中から間近でビデオ撮影した。そのときの親鳥は嘴からあふれんばかりのアリの幼虫を持ってくることが多かった。
昆虫を糧に生活する鳥には特に興味が湧く。アオゲラが朽ち木からカミキリムシ幼虫を引っぱり出すところなど撮影してみたいものだし、シジュウカラがフユシャクをフライキャッチする様もかっこいい。写真のクロスズメバチは女王であろう。まだ冬ごもりの場所に潜り込んでいない。これもよくモズのはやにえに立てられているから動きの鈍い今頃が一番危ない。
新開 孝

フユシャクガ、舞う 2003/12/05
午前中のみ中里の林を歩く。

アオゲラのドラミングが聞こえる(午前9時)。
エリマキアブ幼虫はエノキで8匹を確認できた。
林内ではフユシャクガの一種、クロスジフユエダシャクのオスが地面すれすれを舞っている。ときおり落ち葉に着地しては処女雌を探しているが、長くは歩かずすぐに飛び立ってしまう。オスの撮影ができないまま歩いていると、例の歩道の柵の棒杭をつなぐロープで、翅の退化したメスを見つけることができた(写真上)。図鑑でフユシャクガのメスの名前を調べるのはたいへんだが、クロスジフユエダシャクについては以前に交尾を撮影しているので、本種のメスであることがわかった。どんより曇っていて気温も低く、活動する昆虫はクロスジフユエダシャクくらいのものだ。そこで観察トラップの金網を覗いてみると、エリマキアブ幼虫が3匹見つかった(写真下)。この幼虫たちも金網を足場として利用することは前々から見ていたのだが、いかにも寒くて冷たい足場のようである。

今日はさらに金網でヘラクヌギカメムシのオスをようやく見つけたのだが、持ち帰る途中で逃げられてしまった。残念。

新開 孝

木曽福島のウスタビガ 2003/12/04
12/2〜本日4日までの木曽福島、「美食・美酒の旅紀行」じゃなくて!「撮影仕事記」は『最新情報』に書き込むのでそちらを読んでいただきたい。
さて、今回の木曽福島行きの中でのトピックはなんといってもこのウスタビガのメスである(写真上)!
この写真は12/3の朝、木曽駒高原の新和スキー場で撮影した。繭の付いていた木はシラカバ。
実は前日の夜、スキー場の自動販売機に集まる蛾を観察していたときに、ふと見上げた電飾の巻き付くシラカバにこのウスタビガのメスを見つけたのであった。もしやオスが飛来して交尾しているのではないかと期待して再び訪れた朝であったが、時期が時期である。
こうして今頃、ウスタビガが御当地で羽化するというのはまさに異例中の異例なのである。関東でさえもウスタビガの羽化ピークはすでに終わろうとしているのだ。スキー場には未だに雪は無く(写真中)、例年にない暖冬を迎えているのである。所沢の雑木林でのウスタビガ探索に失敗という雪辱をはらすことができた私。だがしかし地元の方々にとってはスキー場オープンの目処が立たず、たいへん困った事態なのである。
ウスタビガを撮影したシラカバの木には、他にも5個の繭がぶら下がっていた。去年の秋、自動販売機の灯りに飛来したメスが産卵し、ここで幼虫が育ったものであろう。
スキー場ではミズナラの冬芽で、ジョウザンミドリシジミ(写真下,写真中央左の白いまんじゅう型)と、ウラミスジシジミの越冬卵を見つけた。ちょうど道路から梢に手が届く位置にミズナラがあったのだ。さすがに木のてっぺん近くの頂芽を見ることはできなかったが、おそらくほぼ確実にアイノミドリシジミのでっかい卵が付いていたはずだ。

新開 孝
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