| クワコの卵と『襟巻き幼虫』の件 2003/11/17 | | 昨日書き込んだように、今日はクワコの卵を紹介しよう。 キボシカミキリの産卵していたヤマグワにはクワコの卵が多数付いているのだが、これもよく見ればすでに孵化済みの空き卵(写真上)と、産卵から差程時間の経過していないクリーム色した卵(写真中)の両方があることに気付く。クワコの成虫は今活動中のものや、まだこれからも羽化するものがいるはずであるから今後、真新しい卵は増えていくだろう。今の時点では古い抜け殻卵の方が数多く見つかる。丹念にヤマグワの幹や枝を見ていけば、卵を探すのは容易い。クワコは年に3回くらいは繁殖し、冬越しは卵でおこなう。夏場は枝以外に葉っぱの上にも産みつけられていることもよくあるが、さすがに冬には落葉することをクワコのメスは熟知しておるのか、ちゃんと枝や幹に産んでいる。もっとも晩秋の頃のヤマグワの葉は元気もなくみすぼらしいので、産む気になれないのかもしれないが。 クワコの成虫が活動すると言っても、彼らは花にも来なければ樹液にも来ない。もっぱら生殖行動に励むのみである。クワコのメスは梢などに静止したままおしりの先から袋状のフェロモン嚢を突出させ、性フェロモンを放出している姿を昼間でも見ることができる。しかし、こうした場面以外でクワコ成虫に出会う機会は少ないだろう。幼虫はけっこう見かけるのに成虫はさっぱりという理由は、やはり夜行性でありもっぱら繁殖という一筋の行動をとっているせいだと思う。
さて、実は今日も例の『エリマキ幼虫』を観察した。観察場所も柳瀬川下流の雑木林まで少しエリアを広げた(写真下)。言うまでもなく観察対象となる昆虫は数が多いほうがいい。ここ2、3日の目撃談からほんの一部を披露しておこう。まずこの幼虫がエノキワタアブラムシを専門食とするという一連の書き込みは、どうも私の思い込みかもしれないということ。もっとも実際に私が当初目撃した捕食場面の数例は、全てがエノキワタアブラムシであったし、幼虫が見つかるエノキにはいずれもこのアブラムシが繁殖していたのであるから、私の思い込みも当然の成りゆきであったと弁解しておこう。昨日もちょこちょこ歩いていたエノキワタアブラムシが、私の目の前で捕食されるのを見てしまいその思い込みはもう変更不可能なほど私の脳裏にいよいよ深く刻み込まれてしまった。ところがである!その観察のほんの数分後、シロジュウシホシテントウを空中に喰わえ上げている幼虫がすぐそばにいるではないか!そのテントウムシがエノキの葉上に弱々しく止まっているのを事前に見ていたのではあるが、まさか『エリマキ幼虫』の餌食になるとは露とも想像できなかった。しかしこの事実を目の当たりにしたからといって、私の思い込みが一気に氷解したわけではない。そういう例外もたまにはあるのだろう。極めて珍しい場面に遭遇したのかもしれない。昨日のテントウムシ捕食事件についてはそう考えていたのである。 そして本日の午後2時。私は思わず悲鳴に近い声を張り上げながら、急いでカメラをスタンバイした。幸い散歩する人が近くに居なくて良かった。絶叫を抑えたそして笑いも含めた独り事を漏らす中年男はどう見ても、気狂いであったろう。私が驚嘆している物件は、通常の視界で歩く人には全く見えない世界である。まあ、見えたとしてもただのゴミにしか映らないかもしれない。が、しかし私はすでに体裁などにこだわってる場面ではなかった。写さねばならぬ!なんとしても、この瞬間を!! 私の思い込みはここで一気に崩壊し、まさに脳内ディスクが初期化されたのであった。
前にもお話ししたように、こと『エリマキ幼虫』に関しては『ある記』には納まり切らない情報量があり、この1件だけで『ある記』が独占されてしまう。今日も思わず進捗状況に触れてしまったが、やはりこれは別コーナーを新設することにする。今そのネーミングも考慮中にてしばらくお待ち願いたい。 また写真では表現できない行動は動画も記録していくので、 動画クリップもお見せできると思う。乞う御期待!
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