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駆け足の春(その2) 2008/05/13
 長時間の運転のあとは腰が痛む。午後5時すぎころ犬の散歩に出てみた。歩くと痛みも鎮まる。

 田んぼのキツネアザミはすでに花盛りも過ぎ、種子の白い綿毛がよく目立つようになった(写真上)。チガヤの花穂も次々と開花が進み、白くて細長い穂がちらほら増えてきている。チガヤの穂はキツネの尻尾のようにも見える。カヤネズミの巣作りではこの柔らかい穂を使って産座を設えるそうだ。

 キツネアザミと入れ替わるようにして花が目立ってきたのは、ノアザミ(写真中)。ノアザミの蕾みや花の姿には力強さを感じる。葉っぱには触ると痛い刺が多いから、その力強い印象をより強めるのだろう。
 ノアザミは花期も長いうえ、訪れる昆虫の種類も多い。よく見かけるのがモンキチョウだが、大柄なカラスアゲハ、クロアゲハ、ジャコウアゲハそしてアオスジアゲハなども、ノアザミの赤い花にはよく似合う気がする。

 畦道に沿ってカラムシの群落も元気に葉を広げている。夕陽の逆光を透かしてみれば、もうラミーカミキリが活動していた(写真下)。

(写真/E-3  シグマ105ミリマクロ)新開 孝

駆け足の春(その1) 2008/05/13
 大分市内を出たのは午前9時前。少し迷ったが一般道をひたすら南下して、延岡経由で帰宅することにしてみた。

 途中、延岡市内の愛宕山にでも寄ってみたかったが、そうすると帰宅時刻が夜遅くになってしまう。どうせなら、じっくりと虫探しをしたいので今日は止めておくことにした。
 愛宕山にはベニツチカメムシが生息している。国道を走りながら車窓からその愛宕山が見えた。鬱蒼とした照葉樹林に山全体がおおわれており、いかにも自然が豊そうだ。
 延岡から先は海岸線に近い国道10号線で、平地の道が延々と続く。日向まで下って見えてきた海はたいへん時化ており、高波がおおきくうねっていた。
 宮崎県は全国の中でも道路整備が一番遅れていると言われているが、とくにこの県西部の南北を結ぶ主要道路の高速道路化が大きな課題だろう。九州の高速道路網を見渡すと、宮崎県の途中でプツンと途切れており、九州内を大きく南北に移動するときには高速道路が整備された熊本県側を走る必要がある。
 何でも便利になる方向へと進むのが世の常だが、ま、のんびり走るのもたまには良い。遅かれ早かれ良いも悪いも関係なく、いづれ九州内の高速道路網もしだいに延長整備されていくはずだ。

 うちに着いたのは午後2時半。日射しはたいへん強い。敷地のクヌギでは樹液レストランが開業中。昨年とほぼ同じ場所で樹液が出始めたようだ。
 

(写真/E-3 50-200ミリズーム  /ゴマダラチョウとサトキマダラヒカゲ)
新開 孝

阿蘇山のオオルリシジミ 2008/05/13
 昨日は阿蘇山に赴き、オオルリシジミのビデオ撮影を行なった。
 現地では日射しも強かったが、風が強く次々と雲も流れてくる。そのたびに大きな影ができて、撮影はたびたび中断しなければならなかった。

 肝心のオオルリシジミは、午前中にわずか1匹のオスを見たのみ。そこで午前中は風景やクララの撮影を優先して行なった。昼過ぎになってようやくクララ上で交尾中のカップルを見つけた。しかもそこへ別のオスがやって来て、さかんにまとわりつくように飛翔し始めた。さっそくカメラを三脚に載せようとした途端、オスは飛び去り、しかも交尾ペアまで風に流されるように姿を消してしまった。
 ともかく風のせいか飛翔する個体は少ない。そこでクララの生えているところを重点的に歩き回ることにした。そうしているうちにポツポツと静止しているオスやメスを見つけることができた。それにしても個体数は少ない。

 午後2時を過ぎたころからわずかに風も弱まり、クララの頂点で休んでいるメスの姿も少しずつ増えてきた。新鮮なオスの日光浴の姿も撮影できた。
 オスが翅を広げた姿を見るのは今回が初めてだが、撮影できたのはビデオのみ。写真のほうはメスしか撮れなかった。

(写真上/E-3  50ミリマクロ+1.4倍テレコン/ツクシシオガマで吸蜜するメス)
(写真中/E-3  8ミリ魚眼/ツクシシオガマ)
(写真下/E-3 8ミリ魚眼/クララ上で交尾するオオルリシジミ)

    ※撮影日は全て、5月12日。場所は阿蘇山、南阿蘇村。

 オオルリシジミの撮影を終えたあとは、阿蘇神社経由で大分市内へと移動。知り合いの方のお宅に到着したのは午後7時前ころ。さて、それからは楽しい酒盛り!

 
 新開 孝

セグロアシナガバチの女王 2008/05/11
 去年は庭や私の林内でキボシアシナガバチの営巣が多く見られた。
今年はできるだけ早めにアシナガバチ類の初期巣を見つけておきたいので、毎日気をつけてはいる。

 一昨日は偶然、玄関前の植え込みでセグロアシナガバチの初期巣を見つけた(写真上)。すでに独房が6部屋あって、卵もそれぞれに産みつけられていた(写真下)。単独女王が巣の拡張工事や卵の世話につきっきりだ。
 うちにはキアシナバチもよくやって来るが、セグロ、キアシ両者共に初期巣の段階で巣を放棄してしまう例がたいへん多い。

 その理由の多くは、アシナガバチ類を獲物とするヒメスズメバチの脅威によるものだろう。

(写真/E-500  シグマ105ミリマクロ)

 昨夜は室内撮影で徹夜だったが、今朝の早朝4時過ぎに地震があった。ここ宮崎県三股町に引っ越して来て1年と1ヶ月間ほどだが、体感できる地震としては初体験だ。徹夜したせいで今日一日がたいへん長く感じられる。

 明日はまた、阿蘇山に赴く。
新開 孝

ニジュウヤホシテントウとクチブトカメムシ 2008/05/09(その2)
 うちの菜園に植えてあるジャガイモには多数のニジュウヤホシテントウが集まっている。ニジュウヤホシテントウは、ジャガイモを植える以前から敷地内のイヌホオズキによく着いていたが、ジャガイモという御馳走を見逃すはずがない。

 朝の犬の散歩から戻って仕事部屋の西側の斜面に登ってみれば、なんとクチブトカメムシがニジュウヤホシテントウを吸血していた。イヌホオズキの葉っぱを食べていたニジュウヤホシテントウが獲物となったのだ。クチブトカメムシの通常の獲物はチョウやガの幼虫など芋虫のことが多い。だからちょっと意外な気がした。

 したがって、菜園のジャガイモ畑にこのクチブトカメムシを移しておいたとしても、ほぼ間違いなくニジュウヤホシテントウの駆除には役立たないだろう。そう思ってみると、ニジュウヤホシテントウの天敵とはなんだろうと?と気になってきた。

(写真/E-3 50ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 新開 孝

イトトンボの羽化 2008/05/09(その1)
 仕事部屋のすぐ脇に置いてある睡蓮鉢で、イトトンボの一種のヤゴが上陸していた。ヤゴは睡蓮鉢の縁にしばらく静止していたが、そのうち歩き出して縁に接していたススキの葉っぱに登って定位した(写真上)。

 午前8時26分に羽化脱皮が始まり(写真中)、体が抜け切ってさらに翅が伸展し終えたのが午前9時半ころ(写真下)。ここからさらに処女飛行に飛び立つまでに2時間かかった。この飛び立つ瞬間も撮影したかったのだが、他の昆虫の観察も平行してせねばならず、叶わなかった。が、しかしその瞬間を見ることだけはできた。

 ヤゴの尾鰓の形や体長から、本種はアオモンイトトンボあたりだろか?まだ睡蓮鉢のなかにはヤゴがいるので、ヤゴをしっかりと観察すれば種名も判明するのだが、今日はともかく撮影やその予備観察に追われる一日だった。そして撮影はまだ深夜まで続く予定。

(写真/E-3  50ミリマクロ+1.4倍テレコン)
 新開 孝

ハラビロトンボの額 2008/05/08(その2)
 午前11時過ぎ。玄関前の植え込みにハラビロトンボの成熟オスが止まっていた。

 午後4時45分頃。今度は谷津田の畦道の草むらで未熟なオスを見つけた(写真上)。

 これまでハラビロトンボはあちこちで数多く見ているが、今日は額が綺麗な青色を帯びていることに初めて気付いた(写真下)。

(写真/E-3  50ミリマクロ+1.4倍テレコン、内蔵ストロボ使用)新開 孝

覆面レスラー 2008/05/08(その1)
 プロレスに熱を上げたのは中学生の頃まで。特にメキシコの覆面レスラー、ミルマスカラスの試合は見逃せなかった。「千の顔を持つ男」と称され、その華麗な覆面は数多く披露された。派手なタイツとそしてマントを広げ、宙を舞うようにリングに登場する姿もじつに格好良かった!

 マスカラスの人気は華麗な仮面や姿だけではない。リング上での空中殺法、あるいは巧みな寝技など、様々な技をたいへんリズミカルに繰り出して、観る側を飽きさせなかった。そして、絶対に反則技を使わずルールに忠実であり、悪役レスラーをこらしめる、いわゆる正義の見方なのであった。

 ところが、身が軽いということもあってか、意外と打たれ弱い面もあった。パンチやキックをもろに受けると、すぐにでんぐり返ってしまう。もっともそのへんも計算尽くめのようでで、かなりオーバーアクションをしていた。外人レスラーは日本人レスラーに比べて、痛手をオーバーアクションする傾向が強かったが、マスカラスも例外ではなかったようだ。

 前置きが長くなったが、ナナホシテントウの蛹を集めて眺めていると、それはまさに覆面レスラーなのであった。千の顔ほどにバリエーションが揃うとは思えないが、この面々の違いにはそれなりに意味があるようだ。

 

(写真/E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン) 新開 孝

猫顔 2008/05/07
 散歩の途中、メダケの花が開花しているのに気付いた。あたり一面というわけではなく、そこの株だけのようだ。ササ類の開花は珍しくはなく、毎年どこかで見かけるが、それでも大規模な一斉開花というのは、まだ見たことが無い。

 メダケの花を撮影していると、やけに虫喰いのあとがある葉っぱが目に入った。葉っぱを裏返してみると、大きなヒメジャノメ幼虫が隠れていた。体長は3センチ以上ある終令幼虫だ。胴体は褐色型だったが、ヒメジャノメ幼虫は緑色型のほうが多いようだ。しかし体色が緑色か褐色かを問わず、頭部の色はみな写真のような褐色となっているのも面白い。

 そういえば、4月25日に紹介したクロヒカゲ幼虫は昨日、蛹になっていた。

(写真/E-500   50ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 昨日から、仕事部屋のすぐ脇に網部屋を設置する作業を行なってきた。この網部屋はビニールハウス用のフレームを組んだもので、以前にハチの撮影で使ったものだ。今回はこれをコンクリート地面にしっかりと固定して、しばらく常設することにした。この網部屋では、クモの巣作りの様子を撮影するのが目的だ。

 18年くらい前だったか、狭いアパートの部屋でコガネグモの巣作りの撮影を試みたことがあった。ずいぶんと待たされたが、それでもようやく巣作りを始めてくれたときには、ほんとうに嬉しかった。しかし、しばらくして様子がおかしいことに気付いた。巣網の形が段々といびつになってきて、ついには巣作りを止めてしまったのであった。初めての試みは失敗に終わったのだ。
 その数年後、クモの専門家の方に伺った話では、クモの巣網作りは野外でないとまず無理だ、ということだった。そんな初歩的なことも知らず、がむしゃらに撮影しようとした私は、いかにも未熟だったのだ。ともかく人の写真を見ては、自分も挑戦してみたくなって次々と真似事をしていた時期があったわけだ。

 網部屋の位置は敷地北側の道路に面しているため、作業中には近所の農家の方たちがときおり不思議そうな顔をしては通り過ぎていく。
 「今度は、なにができるんと?」
 そういう質問を受けては、大声を張り上げて簡単ながらきちんと説明をせねばならない。

 「この中で!虫の撮影しまあ〜す!!皆さんのやり方とは逆ですね!ハハハ」

 「ご苦労なこってすね。」(笑)

  
新開 孝

寝姿 2008/05/06(その2)
 朝の畦道で見つけたのが、トガリハナバチの一種。

 本種の寝姿はこのように口で草を噛んで体を支えている。人の感覚からすれば、とてもしんどそうな姿勢に思えるが、どうやらトガリハナバチの仲間はこれが一番リラックスできるようだ。

 近づいて撮影しているうちに、ハチはグイッとお尻を下方に曲げ産卵管をニョキッと出した。こちらの気配に気付き、「刺すわよ!」との警告のつもりだろうか。ハナバチ類も手で掴んだりするとチクリと刺される。これはけっこう痛い。
可愛い顔して、なんてことするんだ!なんて怒っても仕方が無い。むこうは生死がかかっているのだから。

(写真/E-500  50ミリマクロ+1.4倍テレコン)
 新開 孝

庭の虫 2008/05/06(その1)
 庭先の地面からふわりと舞い上がったのはキイロサナエ(写真上)。 サナエ類のなかでは中型のトンボだ。先日はカワトンボを見かけたが、撮影できなかった。これはまた逃げられたか、と急いでカメラを持って引き返してみたら、すぐ近くに舞い降りていた。
 仕事部屋の西側に置いてある睡蓮鉢の縁には、イトトンボ類のヤゴの羽化殻が二つ見つかった。これも近々、羽化の現場を撮影し種名を確認したいところだ。

 その睡蓮鉢ではヤマトヤブカが産卵に来ていたので、その様子を撮影していたら、ハネカクシの一種も現れた(写真下)。一瞬、交尾している小甲虫かと見間違えた。
 睡蓮鉢もようやくホームセンターなどの売り場に出始めたので、あと数個は買い求めて庭に設置したいものだ。小さな睡蓮鉢の水環境であっても、さまざまな昆虫が集まり、そこで生活を営む。さらにはそこに魚でも泳がせれば、カワセミやあるいはアカショウビンなどがやって来はしないだろうか?


 ※ 写真のハネカクシは、モンクロアリノスハネカクシあたりではないか、というご指摘をいただきました。本種はヒゲブトハネカクシ亜科に属し、このグループにはアリやシロアリと共生関係にあるものも多く、日本では250種記録されています。モンクロアリノスハネカクシの体長は約6ミリ。
 写真の個体はしばらく佇んでいたあと、画面奥に向かって飛び立っていきました。小さく折り畳んだ後ろ翅を拡げる瞬間を撮影できると思い、ねらってみましたが、前翅が開いた瞬間には後ろ翅は全速ではばたいており、写ったカットにはフワリと浮き上がった姿でした。もちろんピントはお尻にしかなく、ボツ写真でした。

 今回の記事をアップした際、うっかりと「シリアゲムシの一種」と書き込んでしまいました。翌朝になって自分の間違いに気付きすぐに訂正しましたが、たしかに本種の姿は「尻あげ」です。なんでこんな格好するのでしょうか?
(写真上/E-500  50-200ミリズーム)
(写真下/E-500  シグマ105ミリマクロ)
新開 孝

早かったふ化日 2008/05/05(その2)
 5月1日に産卵されたニホンホホビロコメツキモドキの卵が、今日ふ化した(写真上)。
なんと卵期間はわずかに4日間。1週間以内との予想は適中したことになる。それにしても早い。卵は室内に持ち込んだので、野外での状況とは少し違うかもしれないが、卵期間がきわめて短いことは間違いないだろう。

 もう少し卵を観察しておきたいので、今日はさらに真新しい産卵痕を見つけ、卵を数個、追加採集しておいた。
 卵の産み付けられている位置はおよそわかったので、メダケを割るのは止めてノコギリでギリギリの位置まで切リ詰める方法にしてみた。卵がメダケ内壁に付着している場所は、産卵痕を中心とする半径3〜6ミリの円内域である。メス親の産卵管が伸びる限界値がその辺りのようだ。
 今日入手できた卵はすでに発生が進行しており、ふ化日が間近と思われる(写真中)。

 ニホンホホビロコメツキモドキの卵のふ化率はたいへん高いのではないか、とも思える。まずこれだけ卵期間が短ければ、例えば寄生バチが産卵するのも難しいだろう。
 ただし、ちょっと気に掛かる卵もあった。それは竹筒内壁にベタリとくっついた卵が1例あったのだが、どうも様子がおかしい。卵表面がブヨッとしていて、これはふ化できないだろうと思えた。
 通常、卵の姿勢はバナナのごとく反り返った姿で、竹筒内に一端のみで付着している。このような起立した格好で卵が産み付けられる理由とはなんだろうか?

 それともう一点。前にも書いたが、産卵痕は一つの節に一個というのが原則となっている。しかし稀に2箇所ダブって付いていることもある。今日はそういう重複産卵痕を3例見つけた。しかし、そういう重複産卵痕の節内ではいづれも卵が見つかっていない。これも不思議だ。もちろん幼虫がふ化して早くふ化したほうが片方の卵を食べてしまうという可能性もあるだろう。しかし、いくら探しても幼虫、卵とも見つからなかった。この点については、まだまだこれから観察を深める必要がある。

 そして、今一つ本種の周年経過についてはよくわからない。
 昨年の秋にメダケ内部で見つけた幼虫たちは、いまだに幼虫のまま過ごしているからだ。この幼虫たちが成虫になるのはいつ頃だろうか?一年に何世代、成虫は現れるのだろうか?

(写真/E-3  ズイコーマクロ80ミリ+オートベローズ)
新開 孝

サツマシジミの幼虫 2008/05/05(その1)
 サンゴジュの蕾みを食べて育っているサツマシジミ幼虫。0.65ミリの卵からふ化してから、すでにだいぶ日数も経てかなり大きくはなったが、それでも肉眼で見つけるのは容易くない(写真上)。

 とりあえず飼育ケースの底に落とされた黒粒の糞でもってだいたいの居場所の検討をつける。糞のちらばり具合から、何匹くらいが順調に育っているかもわかる。しかし、その先はルーペが必要だ。

 やっと見つけた幼虫も少し目を離すとすぐ蕾みに紛れて消えてしまう。じっとしてた幼虫が黒い頭部を現してモゾモゾ動き出してくれると、その姿もよく判るようになる(写真下)。

 うちの敷地に一本あるナナミノキには、今日もサツマシジミのメスが梢にチラチラと舞っては蕾みの合間に姿を潜り込ませていた。いったいどれくらいの数の卵や幼虫が付いていることだろうか。ちょっと想像もつかないくらい、もの凄い数のサツマシジミが育っているはずだ。

(写真/E-3  ズイコーマクロ80ミリ+オートベローズ)新開 孝

白い花 2008/05/04(その2)
 犬の散歩で、午前6時に家を出る。

 すぐに目についたのは、ススキの葉で朝を迎えたクロモンサシガメだった(写真上)。このサシガメに昔、指先を刺されたことがあるが、飛び上がるほど痛かった。しかもそのズキンズキンとくる痛みは、2週間近くも続いた。

 刺された場所は、松山市郊外の五明牧場だった。オオフタホシマグソコガネの採集が目的で11月の秋。成果は上がらずやけくそになって朽ち木起こしなどしているうちに、越冬中のクロモンサシガメをつまんでしまったのだ。
 五明牧場は牧草を食べる牛に配慮して農薬を散布しないので、草地環境の昆虫も多く、そのためここでは毎年、「鳴く虫を聞く会」が催されたりした。私もこの会に参加して初めていろんな鳴く虫を知るきっかけとなった。とても印象的な一晩だった。

 さて、そんなはるか昔のことを思い出しながら歩いていると、スイカズラの花が足下にあった(写真中)。蕾みは数日前からあちこちで見かけていた。スイカズラの花といえば、関越自動車道の埼玉県から群馬県に入るあたりだったか、防音壁に連なるもの凄い群落があって、花の時期には白いすだれのような風景が印象に残っている。

 スイカズラの花の横には、エゴノキの落花があった(写真下)。ふと見上げればエゴノキの花盛りだ。しかもこのエゴノキは私の敷地の中。これまでエゴノキがあるとは気付かなかった。おそらくこの一本だけだろう。
 エゴノキは埼玉の所沢市で長く通った雑木林や、あるいは清瀬に近所の林にも多かった。花盛りを少し過ぎると、路面が真っ白い絨毯を敷き詰めたようになった。思えば懐かしい光景だ。

(写真/E-3 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 今日は、シマヘビをうちの林で見かけた。それも落ち葉を溜めるために設置しておいた網に自ら入り込み、出口を見失って右往左往していた。けっこう大きいシマヘビだ。これは良い機会だと、子供を大声で呼んだ。

 ヘビと聞いて子供ら二人ともすっ飛んで来た。よしよし、それで良い!ということで、まずは尻尾をガラガラヘビのごとく振っている様子を観察。「これは威嚇のつもりなんだなあ。シマヘビはたいへん緊張しているようだね。怒っているのかな?」子供らと三人でしばしシマヘビを見つめる。

 でともかく、網から助け出してやろうということで、竹棒を使って脱出口へと誘導を試みる。かなり窮屈な経路を通るしか無いが、シマヘビの力もたいしたもんだ。「ほら、凄い力持ちだぞ」などと実況しながら子供達とシマヘビの動きを見守った。

 よし出て来た!そこで私はトングを使って後ろ首をはさみ、シマヘビを空中に持ち上げてみた。「おお、重いなあ!それに力も強いぞ!」片方の手に持った竹棒で尻尾のほうを支えてみながら、「どうだ!大きいだろう」などと言いつつ、林の下へと移動して、薮に放ってやった。
 
 それから数時間後、こんどは私の仕事部屋の裏口を開けた途端、その足下にシマヘビが。今度は少し小柄なヤツ。
 またもや子供を呼ぶと、すぐにすっ飛んできた。今度は木に登ろうとする様子も観察できた。これまたトングで押さえ込み、道路をはさんだ向かいの林にシマヘビを護送する。

 「こんどのは小さかったね!」子供は冷静に感想を言う。
 そうなんだけどね、お父さんね、じつはかなりドキドキしてしまったんだ。
 とは言えなかった。私のヘビ恐怖症は幼い頃からだが、できるだけそれを克服しようと、日々努力しているのだ。今度は、トングなど使わず、せめて手袋はめてヘビを掴んでみようと思う。しばらく体がゾクゾクと興奮覚めやらない。

 そんな出来事のあと、「キャアー!!」とでっかい声張り上げて、台所へすっ飛んで来たのは嫁さんだった。

 「あのね、恐い、恐いとばかり言ってても、それって辛いでしょ。だから慣れなきゃね。ヘビにも。」なんて、ちょっとお説教のように言う私であった。新開 孝
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