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三日目の卵の様子 2008/05/04
 メダケの茎室内から見つけたニホンホホビロコメツキモドキの卵。今日になってみれば、かなり変化が見られたので、撮影してみた。

 このまま発生が順調に進んでくれると良いのだが。今の様子から察するとふ化は1週間以内ではないか、などと思える。さて、どうだろう。


(写真/E-3  ズイコー80ミリマクロ+専用クローズアップレンズ+オートベローズ)


 連休に入ったからといって、わが家ではどこかへ出掛ける予定はない。この休みを利用して菜園や林の整備、そして家屋内の掃除、模様替えなどやるべきことが山積しているからだ。嫁さんも今春から働きだしたので、このときとばかり、畑作りや家屋内の整理、清掃に励んでいる。
 昨年までの東京の生活ではずっと賃貸暮らしだったから、せめて休みの日にはどこかへ出掛けようと、狭苦しい日常空間の息苦しさから逃れたい願望も強かった。だから遊園地や動物園などによく出掛けていたものだ。ま、私は一人家に残ってカメラのファインダーを覗く日々を変わりなく続けていたのだが、、、。
 しかし、今はそうではない。日々、静かでのんびりとした空間に浸っている。どこかへ逃げ出したい、というような願望などもうとっくに忘れ去ってしまったように思える。

 ただし、そののんびりゆったりの時間を堪能するためには、体を動かして先に書いたような様々な作業をこなさなければならない。つまり、汗をかかねばならない。広い敷地はそれなりの手入れもしなければ、却って息苦しくもなるからだ。
 草刈り、土掘り、石起こしなどなど、やるべきことは数多い。

 でも汗をかいたあとは冷たいビールで、焼き肉パーティーだ。昨夜はホタテ、サザエなど海産物も加えて味わった。サザエは久しぶり。これが旨い!
 飼い犬のチョロにもお裾分け。手羽先はちょっと贅沢か。真っ赤な夕焼けを背景に、ささやかながら夕餉を家族で楽しむ。つまりガソリン代の高騰などわが家にはまったく関係無い。

 
 新開 孝

2008/05/03(その2)
 今朝は霧が濃くたちこめていた。日の出から日射しも出て来たが、それでも霧がすっかり消えるまでにはかなりの時間を要した。

 いつもの柿の木は、他の柿の木にくらべると若葉の展開がたいへん遅い(写真上)。

 霧の朝にはクモの巣がとても綺麗に見える(写真下)。いかにクモが多く生息しているか、一目瞭然となる。昆虫も多いけれど、クモの繁栄もさらに凄まじい。これは昆虫が多いから、クモも多いということだろう。

(写真/E-3  14-54ミリズーム)

 OLYMPUSのE-3は昨年の11月発売と同時に、主力カメラとして使っている。それ以前までは普及タイプのE-300、E-330、E-500などを使ってきたが、コストパフォーマンスの高さは良いけれど、仕事で使うカメラとしてはいろいろと問題もあった。その問題点をかなりクリアして、しかも洗練されたE-3はたしかに格段に進化したカメラである。

 しかし、5ヶ月間ほど使い込んでみて、いくつか不満に感じる点も出て来た。そのことを書こうかと思っていた矢先、昆虫カメラマンの尾園さんが、『E-3にもの申す』と題してブログ(湘南むし日記)にこと細かく記載してくれたので、興味ある方はそちらを見ていただきたい。的確にわかり易く書いてくれており、ほぼ同じ感想を私も抱いている。

 特に電池の持ちが短いのは気になっている。最近、フォーサーズのカメラ電池は全て更新してみたのだが、それでもやはりE-3の電池消耗は従来のEシリーズのカメラに比べても短い。そして警告が出てからのシャットダウンも速い。この辺の電池残量表示はもう少し細かく示して欲しい。
 ライブビュー機能も、動く被写体では完全に諦めている。これはほとんど室内撮影にのみ重宝しており、野外ではかなり厳しい制約が多過ぎる。

 まあ、こと細かくここで書かなくてもいろんな方の意見がOLYMPUSの開発部に届いていることだろう。したがって、そのような様々なカメラマンの方々の意見を取り入れて、いづれE-3の改良型が登場するのは当然のことだろうと思う。そう思うと、E-3の2台目の導入については慎重にならざるを得ない。
 ほんとうはすぐにでも主力カメラの2台目が必要なのだけど、ちょっとブレーキが掛かるのもやむを得ないのだ。E-3の登場まで4年も待ったのだから、1年やそこらは、じっと我慢もできそうだ。

新開 孝

ナナホシテントウの異常紋 2008/05/03
 田んぼや畦道に多いのがキツネアザミ(写真上)。
 背丈が高いためによく目立つ。葉っぱには刺が無い。刺があってもっと大きな花をつけるのがノアザミだが、ノアザミはようやく咲き始めたばかりで、まだあまり目立っていない。

 キツネアザミの茎には濃い小豆色したアブラムシが多数群れていることがあって、そこには大抵、ナナホシテントウが陣取っている。アブラムシが群れているおかげで、ナナホシテントウはよほどのことがないかぎり、そこから離れない。じつは一昨日、雨の中でじっとしているナナホシテントウを撮影してみた。そのときに撮影したナナホシテントウ2匹が、そのまま今日も同じ場所に居座っている。

 で、気になったのが一匹のナナホシテントウ(写真中)。よく見れば黒点は7個あるのだが、中央の4コが小さいので遠目にはミツボシテントウに見えてしまう。
 ナナホシテントウの黒点模様にはわずかな個体差が見られるが、今回のような異常紋を私はこれまでほとんど見たことが無い。
 一昨日から同じヤツが居座っているな、とわかったのもそういった特徴的な姿をしていたおかげ。

 (写真/E-3  50ミリマクロ)新開 孝

霧島山 2008/05/02
 昨日の雨に引き続き、今朝もどんよりとした空模様だ。
 家の窓から見える霧島山には、三度笠のような厚い雲が被さっていた(写真上)。しかし、日が高くなるにつれ天候は回復して日射しも出て来た。すっきりとした青空はないが、気温はけっこう上がったようだ。

 日没時には綺麗な夕陽を見ることが出来た。霧島山にかなり近い方角だ(写真下)。
 毎日、霧島山を中心にしてスケールの大きい空の風景を眺めることができるのはとても心地良い。

 (写真/E-330  14-54ミリズーム)

 今日は初めて、都城社会保険事務所に赴いてみた。国民年金についてはたしかに不安がつのる一方だが、今日出向いたわけは、年金支払いの口座引き落としの手続きのためだった。この手続きは金融機関でも良いのだけど、銀行よりか事務所の方が近いので見学も兼ねて事務所を選んでみた。不安はあっても、ともかく年金は毎月支払う必要がある。これまでコンビニなどで毎月現金払いしていたが、時間の無駄や、支払い忘れなどもあって、ようやく口座引き落としにすることにした。
 連休前ということもあって、事務所は来客で一杯だったのには驚いた。これでは待ち時間がどうなることか、と暗い気持ちになりかけたが、すぐに係の人が駆け寄ってきて、私の用件を尋ねてくれた。
 私のような用件の場合は、ほとんど待ち時間ゼロで対応してくれた。しかし、事務所のフロアをざっと見渡した限りでは、なんともかんとも慌ただしい様相に満ちている。これでは職員もたまらんだろうなあ、などと余計な心配もしたくなった。
 

 
 


 新開 孝

見つかった卵!! 2008/05/01
 今日は朝から雨。しかも肌寒い。

 ニホンホホビロコメツキモドキの産卵痕がついているメダケを昨日中に回収しておいた。時間があるときに調べておこうと思ったからだ。そのメダケは節の数が5個だから、産卵痕も5箇所ある。

 さて、今朝になってその産卵痕を一つ一つ注意深く削り開いてみた。するとなんと!すでにふ化幼虫がメダケの筒内にいた(写真上)。しかもそのふ化幼虫はしばらくすると卵の殻らしきものを食べ始めたのである。(幼虫のお尻の先に貫通孔も見える)

 幼虫の入っていた産卵痕は、産卵日を特定できない。 ただし産卵痕はかなり新しいようなので、卵のふ化に要する日数はきわめて短いと考えたほうが良い。

 ところで今朝は、雨が降るなかエンドウ豆の柵で産卵しているメスを見つけた。それも居間の窓越しに。メダケの竿にしがみついてるメスのシルエットは、遠目にもたいへん目立つからだ。
 ふ化幼虫の撮影を終えてからなおさらのこと、今朝見た産卵痕は早めに調べておく必要を感じ、雨のなか梯子に登って回収した。産卵痕のついた節をノコギリで切り取るわけだ。

 で、産卵痕のついた節を部屋に持ち帰って慎重に割り開いてみると、あったのである!ニホンホホビロコメツキモドキの卵(写真下)が。長さは3ミリ近くと大きい。はじめて見る卵だ。
 なんと卵はメダケの節の内壁にあった。産卵痕はメダケの壁をわずかに貫通してるのだが、その貫通孔のすぐ近くに、卵は反り立つように鎮座していたのだ(写真中/右下の黒点が貫通孔)。産卵管は長く伸び、さらに屈曲も可能なのだろう。

 あまりも大きい卵にびっくりしたが、節内に産み落とされている可能性はあらかじめ少しは予想していた。しかし、これまで注意深く卵を捜索してきものの、一昨日には見つからなかったのだ。もしかしたら節を割り開く際の衝撃でもって、卵が降り落とされてしまったことも考えられる。

 卵の一端は僅かに茶色で、その部分が節内壁に吸着するための役目を果たしているようだ。メス親が頻繁に産卵管を突き刺していたのは、自分の産卵管がメダケの壁を貫通して内部まで到達できるか否かの検討をつけるためではなかっただろうか。産卵管を通すことさえできれば、穿つ孔はできるだけ小さくしたい、というメス親の計らいなのだろう。外敵の侵入の危険を少しでも防ぎたいという願いがそこに込められているように感じる。

 そして産卵を終えたあと、穿った孔をきっちり埋め戻しておけば、安全な密閉ゆりかごが完成する。

 

(写真上、中/E-3 35ミリマクロ+2倍テレコン)
(写真下/E-3   ズイコー38ミリマクロ+オートベローズ)

 
 新開 孝

大きく歪んだ顔!その謎は解けるのか? 2008/04/30
 ニホンホホビロコメツキモドキの産卵は、今がピークのようだ。今朝は4匹のメスの産卵を観察できた。

 観察場所は、エンドウ豆の竹柵(写真上)が主で、一昨日設置した産卵トラップはその後メスを誘致できていない。
 しかしともかく、エンドウ豆の柵が産卵トラップとして役割を果たしてくれて、今日はメスの産卵行動や交尾など、きわめて興味深い観察ができた。
 今日見た産卵メスのうち、オスがマウントしたままのカップルは三組あった(写真中)。

 マウントしたオスは口器でメスの上翅背面をなめるような仕草や、あるいは前脚を交互に動かしてメスをなだめるかのような、そんな行動を見せてくれた。産卵行動にあるメスにとっては、オスは邪魔者以外の何者でもないように見受けるのだが、、、。

 さて、もっとも関心のあった産卵孔の掘り方であるが、昨日紹介した産卵痕にあるように、四角い産卵孔の両脇に小さな穴が二つ並んでいる。実はこの穴には、大アゴの片方を刺し込んでおき、そこを支点としてもう片方の大アゴで産卵孔を穿つという作業を行なうのであった(写真下)。

 昨日書いたように、この穴掘り作業は、ときおりメダケの繊維方向に沿って180度向きを変えながら行なう。 向きを変えるやり方も、一旦前進して産卵孔を踏み越えてから、やおら方向転換を行なうのである。口を中心点にしてそのまま回転移動すれば迅速に方向転換できるのに、と思うのだが、彼女らはじつに厳格な作法に従っているかのようだ。見ていると滑稽にすら感じるほど悠長である。

 しかし、このような掘削作業の方向転換が、左右の大アゴの支点の転換につながるかといえば、そうではないのである。どちら向きであっても、掘削作業中には頻繁に左右の支点位置移動を行なうのである。つまり左アゴを支点にしていたのが、それを引き抜いたかと思えば、次は右アゴを支点として突き刺し直すのである。どちら向きであっても同じように。
 したがって、掘削姿勢の180度方向転換が、メスの大アゴの大きさの左右非対称の説明にはなり得ないのであった。
 ニホンホホビロコメツキモドキのメスの歪んだ顔つき、その極端なまでの左右非対称顔については、未だ謎めいたままなのである。 

 大アゴの非対称な形態は、その力学的な使い分けをしている、とも考えられるが
しかし、それならば似たような生態をもつ他の昆虫種でももっとたくさん、左右非対称な顔つきの昆虫がいても良いはずだが、実際にはそうではない。ニホンホホビロコメツキモドキという種は、その奇異な形態においてきわめて特異な存在なのである。

 ただ、メスの前脚の附節が大きく広がっていることは、産卵孔を穿つ際にしっかりと体を保持するために、とても有効であるように思えた。こういう作業を必要としないオスの前脚附節は、メスにくらべて小さい面積となっている。

 メス同士の産卵場所を巡る争いが凄まじいことも、初めて観察できた。
すでに産卵孔を穿っているメスのところへ、他のメスが侵入してくると、その侵入者への攻撃は激しく、大アゴでもって相手の体に噛み付きにかかっていく。そして相手が去ってしまうまで執拗に追い回すのである。

 そのメス同士の闘争のあいだ、マウントしていたオス達双方はびっくりしたようにメスの体から離れ、オロオロしながら、まことに情けないことに自分の伴侶のメスを取り違えてしまうほど、混乱してしまう。

 去年の今頃、昆虫観察に時間を割く余裕が足りなかったと言えば、そうなのであるが、様々な観察ができなかった理由はもっと別にあるように思う。
 つまりニホンホホビロコメツキモドキの生態観察が昨年の春にはまったくできなかったことは、引っ越しに伴うドタバタの事情だけではなく、むしろ敷地フィールドの整備が為されてなかったことのほうが大きいと思う。

 以前に何度も書いたことがあるけれど、自然観察、あるいは昆虫観察に適した環境とは、人の手が入らないまったくの手付かずの環境ではなく、ほどほどに整備された環境のほうが都合が良いのである。もちろんそれは園芸感覚のみで造成していく公園などではなく、例えば程よく刈り込みや植生のバランスに配慮した管理が施された自然公園などのことであって、そういう場所は、放置された荒れ地などとは比較にならないくらい、生物の多様性が維持されている。
 そのことと同じように、私の敷地内の小さな自然環境もこの1年間でずいぶんと様変わりしてきた。小さいながらも菜園や花壇ができたことにより、しだいにそこが自然観察スポットになってきたわけである。
 ニホンホホビロコメツキモドキも以前から多数生息していたはずだが、その暮らしぶりを観察しようにも、密生した笹薮や繁茂し放題の草地のままでは、観察の前提自体が成立しようもなかったのだと思う。

 奮闘努力の結果は、少しづつ実を結んで来たのではないか、そんな気もした一日であった。新開 孝

庭のチョウ 2008/04/29(その4)
 サツマシジミのメスはこのところ毎日、庭で見かける(写真上)。
なんとかその翅の表の紋様を見てみたいものだが、サツマシジミは滅多に翅を開かないので、飛んでいる瞬間でも撮影しないかぎり、難しい。

 サツマシジミのメスは庭の様々な花で吸蜜しては、ときおり高く舞い上がって庭の西側に一本だけあるナナミノキの梢で翅を休める。そのメスをじっと眺めていたら、さらに高い梢をかすめるようにして4匹のサツマシジミがめまぐるしく追飛していた。どうやら1匹のメスを3匹のオスが追いかけているようだ。
 うちのナナミノキには、産卵をしにメスが訪れ、そしてメスを求めてオスたちも集まってきているようだ。
 昨年の今頃にはこういったサツマシジミの乱舞にはまったく気付かなかった。引っ越し後の後片付けや庭の整備などでとても忙しい日々だったからだろう。

 ナナミノキは春の時期にはサツマシジミ幼虫の食樹となるが、それ以降の夏、秋には別の食樹へと渡り歩くことになる。つまり、こうしてサツマシジミの姿が庭で見られるのも、今の時期限定ということだ。

 サツマシジミはレンゲやシロツメクサなどの他にも、園芸花のヤグルマギク(園芸ではヤグルマソウと呼ぶけれど、これはユキノシタ科に同名の種があり、たいへん紛らわしい。ヤグルマギクはキク科に属する。)でもよく吸蜜している。
 
 1週間ほど前から庭を飛び交うチョウの数、種類ともに爆発的に増えた。とくにベニシジミと入れ替わるようにして多くなったのが、ヒメウラナミジャノメ(写真下/ベニバナギクで吸蜜)だ。

(写真/E-500  50ミリマクロ+2倍テレコン)

新開 孝

ニホンンホホビロコツキモドキの産卵痕 2008/04/29
 昨日、産卵された産卵痕を三つ回収し、産み込まれた卵を見てみることにした。

 その産卵痕をあらためて見てみると、産卵孔を穿ったあとにはその掘り屑をぎっしりと詰め込んである(写真上)ことがわかる。

 この産卵痕の断面を繊維方向に沿って少しづつ削り進めると、産卵痕はV字状の溝となっており、その中央部においてはもっとも深くえぐられておりメダケの茎壁をわずかながら貫通していた(写真下)。

 しかし、3箇所の産卵痕を削ってみたものの、いづれも卵を確認することができなかった。削り方がマズかったのか?どうにも腑に落ちない。
 
 新開 孝

田んぼにころがるマシュマロ 2008/04/29(その2)
 お菓子のマシュマロは大好きでよく買い求めるが、東京でもここ宮崎でも、メーカーが同じ製品であることが気になっている。マシュマロを製造する業者というのは、例えば昆虫写真家のごとく、極めて少ないのだろうか?

 まあそれはともかく、今朝の谷津田には大きなマシュマロがいくつも並んでいた。三股町の田んぼでは、秋の稲刈りのあと牧草が栽培されることが多く、その牧草の刈り取り作業が盛んである。 

 牧草は特殊な機械で円筒状に丸めてから、さらにそれを白いビニール膜できっちりと包み込んでいく。大きなトラクターとそれに繋がれた装置が活躍するのだが、ビニール皮膜作業はなんと昨夜の10時過ぎに行なわれていた。
 すでに布団に入って寝静まっていたわが家は、なんの騒ぎかと飛び起きたのだ。

 マシュマロの数は田んぼの面積に比例しており、一番多いとこころで5個。他は1個から2個、3個まで。マシュマロ一個でどの程度の餌量となるのか、とても興味深い。

新開 孝

産卵トラップとは 2008/04/29(その1)
 昨日、ニホンホホビロコメツキモドキの産卵行動を観察できたことから、それなら積極的に産卵誘致もやってみようと思った。つまり産卵トラップを用意してみたのだ。今の時期が産卵ピークと捉えるなら、少しの努力も惜しんではいけない。

 しかしトラップと言っても簡単なことで、刈って積んであるメダケを数本選んでから、それを地面に突き立てるだけのこと(写真上)。枯れたメダケの鮮度も大事で、あまり腐朽の進んだものは適さない。適度に枯れて、適度に乾燥したメダケが良い。

 さて、今朝になってその産卵トラップを見て回れば、なんと一箇所だけだが真新しい産卵痕がついていた(写真中)。昨日の夕刻もしつこく見ていたことから判断すれば、この産卵痕は少なくとも深夜から今日の早朝までの間につけられたことは間違いないようだ。

 産卵痕が一つだけというのも気に掛かったので、もしやメスが付近に潜んでいるのではないか、と思えた。そこでしつこく探してみた挙げ句、どうもメダケ頂上の空間が怪しい。ちょうどその空隙には割れも入っていたので、そっと割り開いてみれば、やはりいたのである!写真ではわからないが矢印の先に頭を下向きにしてメスが潜んでいた(写真下)。ニホンホホビロコメツキモドキのメスが休息をする場所も、メダケの節の中がやはり落ち着くのかもしれない。

(写真/E-3  14-54ミリズーム)新開 孝

ニホンホホビロコメツキモドキの産卵 2008/04/28
 菜園のエンドウ豆はずいぶんと大きく成長した。そのため先日は柵を設えたばかりだ。

 柵は林で刈ったメダケを組んで作った。そのメダケを刈ったのは昨年の暮れから今年の2月頃までの間のこと。刈る前は青かったメダケも、2〜4ヶ月経て色が抜けてしまいベージュ色となっている。
 今朝、その枯れメダケの一本にニホンホホビロコメツキモドキのメスが一匹、貼付くように止まっていた。高さは3メートルほどの位置だ。よく見ればその傍らには木屑が盛り上がっていた。
 これはもしや!と思いさっそく作業梯子を運んできて近づいて見てみれば、産卵作業の途中であることがわかった。

 ニホンホホビロコメツキモドキの産卵は四角い小さな溝を掘る作業から始まる。その溝を掘る作業はメダケの繊維方向に体軸を向け、ときおり上から下、下から上と、180度向きを変えながら丹念に時間を掛けて行なわれる。そして掘削作業の合間に産卵管を刺し込む動作が数回見られた。
 どうやら産卵管を挿入してみては、穴の掘り具合を確かめているのではないだろうか?
 このメスはすでに他の節でも産卵を何箇所にも渡って済ませていることもわかった。通常、産卵は節一つに対して一箇所しかしない(稀に2箇所の産卵痕が認められることもあるが)。そしておそらく産卵痕一つには一個の卵だけしか産んでいないはずだ。なぜなら節一つの小部屋には幼虫一匹しか見つからないからだ。
 この点については明日にでも確認してみようと思う。

(E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
 新開 孝

シロハラの災難 2008/04/27
 うちの敷地内ではシロハラをよく見かける。
ピョンピョンと地面を低くジャンプしながら移動しては、目ざとく獲物をついばんでいる。どんな獲物を食べているのか興味深いが、一瞬にして飲み込んでしまうからいくら双眼鏡で観察してもなかなか正体が掴めない。
 そこでシロハラになったつもりで、しばらく地面に横たわってみれば意外といろんな小動物や虫の存在に気付く。もっともそんな暇なことできるかい!と言われてしまいそうだが、ともかくどこでもいい、草むらとかにゴロンとしばらく佇んでみれば、小さな生き物の世界が見えてくる。

 シロハラはうちの敷地のあらゆる場所を餌場としているが、玄関先の庭の植え込みもお気に入りらしく、毎朝のように彼らと出会す。こちらは脅かすつもりはないのだが、庭をうろつけばすなわちシロハラをびっくりさせることになる。

(写真/E-330  8ミリ魚眼)

 さて、今日の写真はどのようにして撮影したのかという説明を要するだろう。魚眼レンズを使っての鳥の接写撮影など通常は不可能に近いから、これは何か訳ありだと気付かれた方も多いと思う。

 じつは早朝、犬の散歩から戻ってさて玄関に向かおうとしたそのとき、「ゴツン!!」と鈍い音がして、ふと足下を見ればシロハラが横たわっていたのである。
どうやらシロハラは私の姿に驚いてか、台所の出窓ガラスに衝突してしまったようなのである。
 その衝撃はかなり強烈だったようで、今にも昇天しそうなくらいに弱り果てていた。しばらく様子を見てみたが、いづれにせよ台所の勝手口のすぐ前だから、このままではイカンだろうと移動を試みてみた。幸いそっと枯れ枝を差し出してみれば、うまくその枝に乗っかってくれる程度の元気を取り戻した。そこでそのままゆっくりと庭の木立へと移したのであった。そこは以前からシロハラたちのお気に入りの場所でもあるだろうからである。
 ともかくも自力で枝に踏ん張ることができるのだから、ガラス窓にぶつかったダメージは大したことはなかったようだ。しばらくの間は呆然という表情のままじっと静止したままだったが、10分ほどしてからさすがに衝突のショックから立ち直り、一気に林へと飛び去っていった。

 シロハラは冬鳥だから、いづれ彼らも北方へと帰っていく。
 新開 孝

虫のことは虫に聞いてみちゃり! 2008/04/26
 数日前、そして今日と、サツマシジミを庭のほぼ同じ場所で見かけた(写真上)。

 去年の春にもじつはこの場所の近辺でサツマシジミを見かけている。これまで数回の目撃で共通していることは、いづれもがメス個体であったことだ。
 それで少しばかり期待したことは、うちの敷地内のどこかにサツマシジミの食樹があるのではないか?ということだった。しかし、目撃回数がきわめて少ないこともあって、その可能性を探ってみようという気持ちはすぐに萎えてしまった。

 今朝は、数キロ先の生け垣サンゴジュから見つけたサツマシジミの卵がふ化していることに気付いた。見ればすでに蕾みを食べ尽くしてケース内を彷徨い歩いている。これはイカン!と慌ててサンゴジュのある近所の公民館へと走った。公民館までの距離は数百メートルに過ぎない。持ち帰ったサンゴジュの蕾みに、幼虫たちは面相筆便で無事にお引っ越しだ。
 つまりこんなに近くに食樹があるからには、そこからうちの庭にサツマシジミの成虫が偶発的に飛来したとしてもおかしくはないと言える。
 で、今日も見かけたサツマシジミのメスは、どこからかフラフラと訪れてくれたお客さんであろうと眺めていた。
 しかし次の瞬間、サツマシジミのメスはいきなり上空へと高く舞い上がった。なにかしら感ずるところがあって、しつこくその小さくなっていく姿を目で追ってみた。強い西風に煽られながらも、メスの飛翔進路はしっかりと定まっている。なにか目的を抱いている姿だという確信がもてた。

 その確信はまこと適中した。メスは高い木の梢にまとわりつくように舞ったあと、その梢にすがりつくや、グイッとお尻を曲げて、産卵をしたのであった。強い日射しに浮かび上がるサツマシジミのシルエットを見ながら、なるほど!そうだったのか、と一挙に二つの疑問が氷解する思いだった。

 一つ目の疑問は、わが家の敷地内にサツマシジミの食樹があるや否や?
 二つ目の疑問とは、その食樹の樹種名はなんであるか?

 サツマシジミのメスが卵を産んだ常緑樹の種名については、去年引っ越してきたときから謎のままであった。少なくとも関東辺りでは見かけない暖地性の樹であろうことは感じていたのだが。
 サツマシジミの食樹については過去に詳しい調査があって、チョウの生態図鑑をひも解けば、どの季節にどのような食樹を利用しているのかがすぐにわかる。
 その食樹リストから検討がついたのは、モチノキ科、モチノキ属の「ナナミノキ」であった(別名/ナナメノキ)。ちょうど今の時期には小さな蕾みをたくさんつけている(写真中)。まさにサツマシジミ幼虫の餌としてあつらえむきだ。しかし蕾みはたいへん小さく、その蕾みはうっかりすると見過ごしてしまうところだった。その点でもサツマシジミのメスには感謝せねばならない。
 
 ナナミノキは、これまでの敷地探索では敷地の西側に一本しか確認できていない。ナナミノキはたいへん萌芽力が旺盛のようで、枝を切るとその手前あたりから次々と新梢が立ち上がるように伸びてくる(写真下)。さし木などで増やすことも可能かもしれないが、植えたい樹は他にもたくさんあるので、ナナミノキは大木一本あれば良いと思う。去年、小さな果実を多数つけていたから、雌株であり、その実生で増殖する可能性もあるかもしれない。
 
 虫を見て、そこに疑問を得て、その疑問の答えをまた虫に教わる。

 虫に教わったからと、こんな些細なことで幸せになれるのだから、なんとも安上がりな人生もあるということだ。

(写真上、中/E-500 シグマ105ミリマクロ)
(写真下/E-330   14-54ミリズーム)

 今日は下の子供のお友達2人が午後から遊びに来ていた。一人は同級生だが、もう一人は6年生。うちの子は3年生だが、小学校の児童数が少ないこともあって、学年を飛び越えた付き合いも多い。
 子供達はうちの林でロープを使ったりして、野遊びを楽しんでいるようだった。ノコギリやハンマー、ビニール紐などを持ち出してはなにかと工作の真似事をしていた。しかしときおり覗いてみれば、その遊び方はお世辞にも上手とは言えず、あまりにもギクシャクしている。まあそれはそれで良いかと思っていたが、そのうち草滑りのソリ遊びがうまくいかなくなったあたりから、遊びに飽きて行き詰まったのがよくわかった。

 そこで、私の撮影スタジオに子供達3人を呼んで、今撮影中のセットを見せたり、パソコンのモニター上で去年の行事写真や昆虫写真をたっぷりと鑑賞させてあげた。このあたりから、お友達は気分転換できてかなり惹き込まれているようだった。
 そこで次には林へと連れ出し、カブトムシとクワガタムシの幼虫探しだ。少しヒントを出してあげると、しばらくしてでっかいカブトムシ幼虫を見つけ、興奮しながら私の部屋まで報告しにきてくれた。

 カブトムシ幼虫だけでは物足り無さそうにしているので、土にめり込んだ朽ち木を削ってノコギリクワガタ幼虫を出してみた。もう、子供たちの目はキラキラと輝いている。そうだろうなあ、きっとびっくり!なんだろうなあ。わくわくしている子供らに幼虫の持ち帰り方や世話の仕方、オスとメスの見分け方を説明した。

 野遊びや虫探しについては、本来ならそれに長けた先輩などが一人や二人はそこかしこにいて(いわゆるガキ大将)、その子らが歳下の子らを引き連れてはなにかと学習できる場があったと思う。しかし今の時代ではそういうガキ大将は絶滅したのかもしれない。
 キラキラと目を輝かせる子供らの表情を見ていて、たのもしい気持ちになった反面、これからの子供らはどうなっていくのか、なんともわびしい気持ちもぬぐえないのであった。


新開 孝

コガネムシ、初見 2008/04/25(その3)
 コガネムシは去年の春から初夏にかけて、たいへん多かった。

 コガネムシの発生ピークとコガネグモの成長とが、ほんとうに見事に同調しており、したがって「コガネグモ」という名前の根拠となった、と言う説には納得のいくものがあった。

 さて、今年の春、コガネムシを見たのは今日が初めて。まだ初登場で恥ずかしいのか、ギシギシの葉っぱに身を包んでいるところが面白い。

(E-500  シグマ105ミリマクロ)新開 孝
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