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カメノコテントウ 2008/04/13(その1)
 午前6時45分。今にも雨が降り出しそうだったが、犬の散歩に出た。ほとんど毎日、モンシロチョウがねぐらとしているギシギシの大きな株は、ついつい覗き込む習慣となった。今朝も3匹のモンシロチョウが葉陰にぶらさがっていた。
 見落としはないかさらに見ていると、派手な色彩のカメノコテントウが1匹止まっていた。

 近くにはナナホシテントウの成虫や幼虫も多いが、ナナホシテントウの餌はギシギシにたくさん群れてつくアブラムシ類だ。一方カメノコテントウの餌はハムシ類の幼虫であり、餌としてよく知られているのはクルミハムシの幼虫。しかし、カメノコテントウは、クルミハムシ以外のハムシ類幼虫も食べるようだ。
 ギシギシにはコガタルリハムシの幼虫がたくさんついているので、今朝見つけたカメノコテントウはこの幼虫がお目当てだったのではないか?と思えた。

 このことを確認するためにも、カメノコテントウを持ち帰り、コガタルリハムシ幼虫と一緒のケースに入れて、しばらく様子を伺うことにしてみた。

(写真/EOSキッスデジタルN EF100ミリマクロ)新開 孝

『沖縄のトンボ図鑑』 2008/04/12(その3)
 先日、『沖縄のトンボ図鑑』が手元に届いた。
 本書の写真は、そのほとんどが昆虫写真家の尾園暁さんによるもので、豊富に掲載された生態写真はじつに見事である。

 沖縄県だけでもトンボが80数種もいて、それが日本全国に生息する185種のうち三分の一以上にも達するらしい。つまりそれほどに多様な自然環境が沖縄県にはあるということだろう。

 自然が豊だと言葉で言うのは容易いが、実際にその豊かさを表現するのはかなり厄介であり、多くの時間、労力、そして磨かれた自然観察力のセンスが必要だ。
 
 日本列島はよく言われるように南北、そして東西に長く、それに伴って自然環境もじつに多様である。ところがその自然を広く紹介する著作類などが、これまでは人口集中地帯の関東から近畿地方を占める一帯を対象にするものがほとんど主流となってきた。
 しかし、もうこれからの時代はそういうことでは通用しない。地方書はマイナーな世界、というあり方ではなく、まさに地方のそれぞれが発信場所となっていくのであろう。

 尾園暁さんは若手昆虫写真家として活躍しており、HP『湘南むし日記』も毎日更新なさっている。 私のHPもリニューアルがまだできず、リンクできないのが申し訳ないのだが、、、、。新開 孝

春の花 2008/04/12(その2)
 今日は鹿児島県、曽於市に赴いてある風景写真のためのロケハンを行なった。曽於市は都城市のすぐお隣であるから目的地までは1時間と掛からない。

 私の車にはカーナビが搭載されていないので、あちこち目指す場所へ移動するにも、いちいち道路脇に車を止めてから地図を眺める必要がある。迷路のような農道を巡るうち、十字路や別れ道にはいかにも手作りの行き先案内板が細かく立てられてあって、これは有り難かった。
 しかしこうしてアナログ的に運転していれば、自分の体で道を覚えることができるから、効率は悪くても敢てカーナビを導入しようとは考えない。右往左往するのもまた、楽しいではないか。

 さて、そのようにしてあちこち巡るうち、ふと車窓から林縁に咲くスミレの一種に目が止まった(写真上)。これまであまり見たことないような気もして撮影してみた。そのスミレは葉っぱの形状や花柄の毛の状況などからして、ニオイタチツボスミレではないか?と思う。そのニオイタチツボスミレと一緒に群生しているのがタチツボスミレではないだろうか?これも自信が無い(写真中)。

 そこでうちに戻って、敷地内のスミレで以前にタチツボスミレとした写真のものは、詳しく調べてみればアカネスミレとわかった。いやともかく、スミレ類をきちんと識別するには、葉っぱや花の形状、おしべの形など、実物を細かく観察しなければならない。写真から同定しようというのは無理なのだ。

 ニオイタチツボスミレとおぼしきスミレを撮影した場所の近くには、とても花の濃いレンゲ畑があった(写真下)。しばらくそのレンゲ畑を見ていると、その先の薮から2頭のアナグマが賑やかに唸りつつ走り出て来た。まるで追っかけ合いをしているようだ。余程夢中なのか、私の存在に気付かないかのようだ。ドドッド、ドドッド!!と猛烈に薮中を走り抜けたあとは車道に出て、そのまま舗装された道を走り去っていった。アナグマを昼間に見たのは3年前の熊本県小国町の牧場で、真夏の8月のことだった。そのときは、丘の下から登ってきたアナグマとダイコクコガネを探し歩いていた私とが、鉢合わせしたのであった。

(写真上/E-3 35ミリマクロ)
(写真中、下/E-3 7-14ミリズーム)


新開 孝

脱皮したゴマダラチョウ幼虫 2008/04/12(その1)
 昨日紹介した、エノキの枝又に静止していたゴマダチョウ幼虫。
 今朝になっても(午前6時半)まだ脱皮していなかったので、これは読み違えたかと少し不思議に思えた。それというのも以前に観察した数回の脱皮時刻は、いつも夕方からせいぜい午後8時くらいまでに行なわれたので、その時間帯に脱皮するものと思い込んでいたせいだ。

 午前10時過ぎに再び見てみれば、すでに脱皮したあとだった(写真上)。どうやら脱皮してからそれほど時間は経っていない。つまり脱皮は午前7時〜10時の間に行なわれたようだ。

 今日は昼前からお隣、鹿児島県は曽於市内をあちこちとロケハンで回ってみた。そのロケハンを終えて午後3時頃に戻ってみれば、ゴマダラチョウは梢の方へと移動していた(写真下)。

(写真/E-3 35ミリマクロ)新開 孝

ゴマダラチョウの幼虫 2008/04/11
 サクラの開花時期と同じ頃に地面の落ち葉下からエノキ樹上へと登った、ゴマダラチョウ幼虫。
 エノキへ登った当初は、越冬幼虫の姿のままだったが、今になってその面影は頭部のみにしか残っていない。なぜならエノキの若芽や若葉を日々食べて過ごしてきたからだ。体は太って全体に薄く灰紫色となり、うっすらと緑色も透けて見える。

 そしていよいよ脱皮も間近となってきた。おそらくは今晩あたりに脱皮すると思われる。
 明日、その変身ぶりを紹介できるはずだ。

(写真/EOSキッスデジタルN  EF100ミリマクロ)新開 孝

イシガケチョウのふ化 2008/04/10
 4日前に紹介したイシガケチョウの卵が、今日になってふ化した。

 ふ化が近づくと卵の殻を透かして中の幼虫の姿がくっきりと見えるようになり、その色といい形といいまるでプリンそっくり(写真上)。 茶色の部分は幼虫の頭部で、山吹色のところは胴体。

 ふ化は、まず卵上部の外周壁に小さな窓穴を穿つことから始まる(写真中)。窓穴は11本ある隆起状の間の側壁11枚全部に穿たれる。幼虫は窮屈な姿勢のまま頭部を回転させ、口器で卵殻を噛み破るわけだ。
 11の窓穴が完成すると、今度は11本の隆起状を一本づつ噛み切る作業となる。幼虫の作業をずっと観察していると、なるほど隆起状というのは卵の構造をしっかり強固に保つ骨組みの役目を果たしているように思えた。例えて言えば傘の骨のようなもの。
 だから隆起状を食い破るためには、あらかじめ隆起状の両端に穴を用意し、隆起状に口器を深くガッチリと喰い込ませることができるのではないか?
 これは傘を分解しようと思ったとき、まずは傘の布地を先に破り捨てて、ついでペンチを使って骨をガッチリと挟んで切断する、というような作業手順に似ているようにも想像できる。

 しかし、タテハチョウの仲間の卵で同じように隆起状のある種類でも、例えばゴマダラチョウなどではこういった2段階の卵殻破り作業は無くて、いきなり缶詰の蓋を缶切りで開けるような単純な作業なのである。それを思えばなおさらイシガケチョウのふ化過程は、じつに丁寧なやり方に思える。
 イシガケチョウのふ化の仕方が、それがいかなる理由で2段階作業という回りくどしいことになっているのか、ほんとうのところはよくわからない。隆起状の構造が他のチョウとは違って、余程強力にできているせいなのだろうか?

 イシガケチョウのふ化幼虫は卵から抜け出ると、そのまま葉っぱの先端へと移動してしまう。ゴマダラチョウやモンシロチョウなどの幼虫が卵殻を食べてしばらく時間を置いてから立ち去るのとは違って、いかにもせっかちだ。
 そのわけはイシガケチョウのふ化幼虫には、すぐに取り掛かるべき作業が控えているからなのだと思われる。その作業の様子も一通り撮影しているうちに、今日の仕事は終わりとなってしまった。
 
 今日はモンシロチョウのふ化、脱糞シーンなども合間に挟んでの室内撮影をずっと続けていた。天気は悪く、屋外へ出たい誘惑もなかったことが幸いした。ともかくも、1ミリ以下の被写体に一日中向かい合っていると、外での重労働とはまた違った疲れ方をする。ずっと前から肩こりは慢性的となっているが、マッサージを受けるのもぜいたくだから、少し外を歩くのが一番良い療法と思える。
 
 さて、明日は気持ちよく晴れてくれるだろうか。

(写真/E-3  38ミリマクロ+OLYMPUSベローズ)

新開 孝

阿蘇山のキスミレ、ふたたび 2008/04/09
 今日は朝一番で阿蘇山上に赴いてみた。朝から空は曇っていたが、薄日がときおりあるから、なんとか午前中だけでも撮影できるかと期待してみた。

 まずは草千里に入ってみたが、風がかなり強く寒い。4年前の5月のころに花を見た辺りを歩いてみたが、まったく春植物の花が無い。おもな狙いはハルリンドウだったが、以前に草千里でハルリンドウを撮影したのは5月中旬だったことを思えば、少し時期が早いのだろうか?

 草千里を出てから南阿蘇方面へと下ってみた。途中、ダイコクコガネの撮影場所を通り過ぎながら、ふとアセビ(馬酔木)が花盛りであることに気付き、車を降りてみた(写真上)。
 まだ枯れ野風景の阿蘇山上だが、そこに緑濃く生い茂る常緑低木は、そのほとんどがアセビなのであった。これまでアセビが花をつけていない時期だとそのことに意識が向かなかったが、今日はじめてこの時期に阿蘇を訪れて、やっと一つの景色を読むことができたわけだ(写真中)。
 たしかに広大な草原環境のなかで馬酔木のみが繁茂しているというのは、たいへんいびつな光景とも思える。これは馬酔木が有毒植物であり、牛馬が食べないからという理由によるのだろう。そして馬酔木にとっても阿蘇の草原は居心地の良いうってつけの乾燥地帯なのである。

 さて、オオルリシジミの多産地を覗いたりしながらさらに下っていけば、昨日に外輪山で撮影したキスミレの群落地をここでも見つけた(写真下)。雲はますます濃くなり今にも雨が落ちてきそうな空模様となったが、ともかくビデオ撮影を押さえておくことにした。今日は外輪山を背景にしてのキスミレ群落という、昨日とは逆方向の絵柄だ。風は猛烈に強く花のアップなどはまったく撮影不可能。少し先に進んだところでショウジョウバカマの群落を見つけたが、花のアップが撮れなかった。ビデオ撮影での野外接写ではたいへん制約が多く、とくに風は強敵だ。もっともまったくの無風も困る。適度なそよ風があってこそ動画の面白みがある。
 撮影の準備をしていると登山着姿のおばさまが一人、車を止めて同じ場所にやってきた。「キスミレ、ですよね!」と嬉しそうに私に声を掛けてからコンパクトデジカメで撮影し始めた。野焼きの跡に点々と咲くキスミレの群落とは、たしかに感動する場面だ。夢中になってキスミレ群落にカメラをむけるおばさま(私より一回り歳上かな)。こちらがビデオ撮影している画面にもちょこっとお姿が入っているのだが、雲行きのこともあって立ち去ってくれることを待っている余裕はない。風はますます強烈となり、耳の中まで砂が入って来る。
 
 強風、そしてポツポツと降り始めた雨とあって、今日は午前中に引き揚げることにした。さて、昼食は何にしようか?じつはこれが大切な問題だ。

(写真/E-330  14-54ミリズーム)
新開 孝

阿蘇山のキスミレ 2008/04/08
 阿蘇に着いたのは正午過ぎ。午前中は仕事部屋で片付けておく作業があり、家を出たのは午前9時半過ぎだった。

 しかし天候に恵まれてギリギリの時間内でキスミレのハイビジョンビデオ撮影ができた。キスミレは広大な草原の野焼き跡のあちこちで群落をなしていた。 外輪山の斜面から阿蘇山を望む場所の群落はほんとうに見事だった。

 野焼きの跡を徘徊しているうちに、ズボンや衣類は黒炭で汚れてくる。その黒炭と可憐なキスミレとはいかにも対照的だ。

 天気情報によれば明日は午後から雨となるようだ。明日は草千里に上がって撮影するつもりだが、予定の撮影を終えることができるか微妙なところだ。

(写真/E-330   14−54ミリズーム/熊本県 小国町)


 
新開 孝

林の芽吹き 2008/04/07
 わが家の雑木林(写真)も、
 遠目に見ればようやくパステル色に染まってきた。

 とりわけコナラの芽吹きの進行は早く、クヌギは一足遅れている。クヌギもコナラも、植えられてから13数年以上経ており、こうした熟令木は山間部以外ではあまり多くはない。わが家の敷地は背後をスギやヒノキの植林地に取り囲まれているから、雑木林の芽吹きの様子も際立って見える。
 
 今日は正午前から日射しが出て、たいへん暖かい一日となった。しかし、室内撮影をしなければならず、ほとんど野外を歩く時間がなかった。
 そこで撮影の合間に宮崎に引っ越してからずっと気になっていた、室内スタジオの整備を進めてみた。
 まずはライトスタンドをほとんど使わないように工夫し、足場をスッキリとさせた。これだけでも室内撮影がかなり快適にできるようになった。

 明日は阿蘇山へ赴く予定。

(写真/EOSキッスデジタルN  100ミリマクロ)

 新開 孝

モンシロチョウ幼虫の嗜み、とは? 2008/04/06(その2)
 今年はモンシロチョウの生活史を撮影している。モンシロチョウはとてもポピュラーな昆虫ではあるが、それでも彼らの生活の様子を細かく眺めていると、意外な発見も多い。それは単に私が知らないだけのことかもしれないが、どんな虫であれ、継続観察をしてみると興味深い発見がいくつも出て来るものなのだ。

 さて、今日は終令幼虫の食事の様子を撮影してみた。この幼虫は先日、4令から脱皮するシーンの撮影を逃したものだ。せめて食事のシーンくらいは撮っておこうと、パソコンデスクの傍らににわかセットを設置して、いつでも撮影できるようにしておいた。というのもスタジオの撮影台は他の昆虫の撮影待機でふさがっている。

 幼虫が食事を終えて、元の足場糸(これを台座という)に反転して戻っ行く途中、もうじき脱糞することがわかった(写真上)。脱糞が近いのはお尻の方に糞が透けて見えることからも容易にわかる。それで脱糞シーンも撮影しようとカメラを構えていると、一旦は台座に落ち着きそうになった幼虫が、ゆっくりと後退を始めたのであった。そのとき、なるほどと合点がいった。幼虫はおそらく葉っぱの縁まで後退し、そこからお尻を突き出して糞を葉っぱの外へ捨てるつもりなのだろうと。

 その予想通り、幼虫は後退してお尻が葉っぱの縁から突き出ると、やおら糞をポトリと落としたのであった。(写真下)。虫の気持ちがわかるとはこういうことだろう。食欲や排泄衝動というような、動物の生きる上での根源的なものに関わることは、人と昆虫の間にも共通するものがあるのだろう。

(写真/Eー330   35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

イシガケチョウの卵 2008/04/06
 昨夜から降り始めた雨は、今朝も断続的に降り続けている。気温も低い。
 
 このところイヌビワの芽吹きがたいへん目立ってきているので、イシガケチョウの産卵もとっくに始まっているはず。そこで朝早く犬の散歩がてらに道沿いのイヌビワを少し見てみた(写真上)。
 イシガケチョウの卵の大きさは直径、高さともに約0.7ミリ程度だが、1メートルくらい離れた位置からでも簡単に見つけることができる。卵の色が緑色の若葉上だとたいへん際立つせいだろう。並んだ2株の小さなイヌビワで、3卵が次々に見つかった。

 さっそく卵を室内に持ち帰って拡大撮影をしてみた。卵側面には縦方向に11本の隆起条が並んでいる(写真中、下)。同じタテハチョウ科の仲間の卵では、タテハモドキで12〜15本、ゴマダラチョウで19本前後、コムラサキで14本前後などとなっており、種類によって数が違ってくる。

 (写真上/リコー Caplio GX100 )
 (写真中、下/E-3  ズイコーマクロ38ミリ+オリンパスベローズ)

 
 新開 孝

水滴型さなぎ、とは? 2008/04/05(その2)
 先日、近所の方から高菜をたくさんいただいた。
これは漬け物にするとほんとうにおいしい。だからさっそく大きな漬け物桶を買って来た。もちろん漬け物重しも一緒に。6株もあるから、これまでの卓上漬け物器ではまったく間に合わないのだ。

 さて、その高菜を水洗いしていたら、葉っぱのあちこちにヒラタアブ類の蛹がついていた。これはちょっと勿体無いなあ、ということで急遽、蛹を回収しておいた(写真上)。
 蛹の姿でわずかに幼虫時代の面影を残しているのはお尻にある呼吸管だ(写真下)。

 ヒラタアブ類の幼虫は植物につくアブラムシを餌として食べる。だから野菜においては、害虫防除にもなる益虫という位置付けもできる。が、はたして農薬に変わりうるほど活躍できるかどうかは微妙である。
 われわれ人間社会では農作物をたくさん作っており、それは同時に害虫と言われる昆虫の餌を生産していることでもあるから、まずは害虫にとっての天国が用意されていることになる。その勢力たるや凄まじいので、天敵の威力が功を奏すまでには至らないようだ。

 (写真/E-330 35ミリマクロ+2倍テレコン)

 新開 孝

デジタルカメラのライブビュー 2008/04/05(その1)
 昆虫写真のなかでも、卵のふ化や幼虫の脱皮というシーンはある程度の高倍率接写が必要となる。しかもその撮影をうまくこなすには、卵や幼虫の状態をきめ細かく継続観察して、微妙な変化を把握しないといけない。

 その場合、やり方はいろいろだが、事前に撮影態勢を組んでおくこともある。そうしないと、いざふ化や脱皮が始まるというギリギリの瀬戸際になってから撮影態勢を構えようとしても手遅れになることが多いからだ。

 こうしたとき、カメラにライブビュー機能があるとたいへん助かる。カメラの背面モニターかあるいは、外部接続の大型モニターで被写体の様子を観察しながら撮影待機できるから、これはほんとうに便利な機能だ。しかも画面の任意の箇所を拡大表示できるので、微妙な変化も仔細に観察できる。

 ところがこのライブビュー機能にも落とし穴がある。長時間この機能を継続すると撮像素子の温度が上昇し、画像にノイズが生じることがあるからだ。そこでカメラ側では、一定時間のライブビュー状態が続くと警告を発し、いづれは自動停止するようになっているようだ(写真画面左上の警告マーク)。
 昨夜はこの警告マークが出たときに意味がわからず、少し驚いてしまった。長丁場の撮影待機だったから、できればモニター画面はずっとつけっぱなしにしておきたかったのだが、そうはいかないようだ。

新開 孝

モンシロチョウとキャベツ 2008/04/03(その2)
 この春はモンシロチョウの生活史を撮影するために、キャベツを種から育てている。宮崎に引っ越してから、野菜作りに励んでいるのは嫁さんの方だが、今回のキャベツに関してだけは、目的が食べるためではなく仕事用である。近所の農家ではキャベツ栽培はほとんどされておらず、あっても自家用のみの小規模栽培だ。もちろん畑の栽培規模が大きくなれば消毒も徹底されて、モンシロチョウが繁殖するどころではなくなる。
 それでもしも、うちの近辺で敢て冒険をして大規模のキャベツ畑を作ってみたらどうなるだろうか?それも無農薬で!おそらくは想像を絶するモンシロチョウの乱舞を見ることになるのではないだろうか?まさに白い吹雪のごとく!!
 そのような実験をいつかやってみたいと密かに思っているが、実現するにはあまりにも乗り越えねばならない問題が多い。

 さてキャベツの種が萌芽し本葉が出ると、まもなくモンシロチョウが次々と卵を産みつけていくようになった。これではキャベツが大きく育つ前に葉っぱが無くなってしまいそうだ。そこで撮影用に必要な株は、ネットで囲んで栽培することにした。すでに卵がたくさん付いている株は鉢植えとし、これは必要に応じて取り出して撮影に使うことにした。

 仕事で使われるモンシロチョウの写真は、その舞台がキャベツと決まっており、それが小松菜やブロッコリーでは通用しない。まさにこのあたりの制約こそが仕事ゆえなのである。例えばアゲハの場合ならサンショとなる。ミカンの要望もあるにはあるが、サンショの方が圧倒的に人気が高い。

(写真/リコーCaplio Gx100)
新開 孝
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