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阿蘇山のキスミレ 2008/04/08
 阿蘇に着いたのは正午過ぎ。午前中は仕事部屋で片付けておく作業があり、家を出たのは午前9時半過ぎだった。

 しかし天候に恵まれてギリギリの時間内でキスミレのハイビジョンビデオ撮影ができた。キスミレは広大な草原の野焼き跡のあちこちで群落をなしていた。 外輪山の斜面から阿蘇山を望む場所の群落はほんとうに見事だった。

 野焼きの跡を徘徊しているうちに、ズボンや衣類は黒炭で汚れてくる。その黒炭と可憐なキスミレとはいかにも対照的だ。

 天気情報によれば明日は午後から雨となるようだ。明日は草千里に上がって撮影するつもりだが、予定の撮影を終えることができるか微妙なところだ。

(写真/E-330   14−54ミリズーム/熊本県 小国町)


 
新開 孝

林の芽吹き 2008/04/07
 わが家の雑木林(写真)も、
 遠目に見ればようやくパステル色に染まってきた。

 とりわけコナラの芽吹きの進行は早く、クヌギは一足遅れている。クヌギもコナラも、植えられてから13数年以上経ており、こうした熟令木は山間部以外ではあまり多くはない。わが家の敷地は背後をスギやヒノキの植林地に取り囲まれているから、雑木林の芽吹きの様子も際立って見える。
 
 今日は正午前から日射しが出て、たいへん暖かい一日となった。しかし、室内撮影をしなければならず、ほとんど野外を歩く時間がなかった。
 そこで撮影の合間に宮崎に引っ越してからずっと気になっていた、室内スタジオの整備を進めてみた。
 まずはライトスタンドをほとんど使わないように工夫し、足場をスッキリとさせた。これだけでも室内撮影がかなり快適にできるようになった。

 明日は阿蘇山へ赴く予定。

(写真/EOSキッスデジタルN  100ミリマクロ)

 新開 孝

モンシロチョウ幼虫の嗜み、とは? 2008/04/06(その2)
 今年はモンシロチョウの生活史を撮影している。モンシロチョウはとてもポピュラーな昆虫ではあるが、それでも彼らの生活の様子を細かく眺めていると、意外な発見も多い。それは単に私が知らないだけのことかもしれないが、どんな虫であれ、継続観察をしてみると興味深い発見がいくつも出て来るものなのだ。

 さて、今日は終令幼虫の食事の様子を撮影してみた。この幼虫は先日、4令から脱皮するシーンの撮影を逃したものだ。せめて食事のシーンくらいは撮っておこうと、パソコンデスクの傍らににわかセットを設置して、いつでも撮影できるようにしておいた。というのもスタジオの撮影台は他の昆虫の撮影待機でふさがっている。

 幼虫が食事を終えて、元の足場糸(これを台座という)に反転して戻っ行く途中、もうじき脱糞することがわかった(写真上)。脱糞が近いのはお尻の方に糞が透けて見えることからも容易にわかる。それで脱糞シーンも撮影しようとカメラを構えていると、一旦は台座に落ち着きそうになった幼虫が、ゆっくりと後退を始めたのであった。そのとき、なるほどと合点がいった。幼虫はおそらく葉っぱの縁まで後退し、そこからお尻を突き出して糞を葉っぱの外へ捨てるつもりなのだろうと。

 その予想通り、幼虫は後退してお尻が葉っぱの縁から突き出ると、やおら糞をポトリと落としたのであった。(写真下)。虫の気持ちがわかるとはこういうことだろう。食欲や排泄衝動というような、動物の生きる上での根源的なものに関わることは、人と昆虫の間にも共通するものがあるのだろう。

(写真/Eー330   35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

イシガケチョウの卵 2008/04/06
 昨夜から降り始めた雨は、今朝も断続的に降り続けている。気温も低い。
 
 このところイヌビワの芽吹きがたいへん目立ってきているので、イシガケチョウの産卵もとっくに始まっているはず。そこで朝早く犬の散歩がてらに道沿いのイヌビワを少し見てみた(写真上)。
 イシガケチョウの卵の大きさは直径、高さともに約0.7ミリ程度だが、1メートルくらい離れた位置からでも簡単に見つけることができる。卵の色が緑色の若葉上だとたいへん際立つせいだろう。並んだ2株の小さなイヌビワで、3卵が次々に見つかった。

 さっそく卵を室内に持ち帰って拡大撮影をしてみた。卵側面には縦方向に11本の隆起条が並んでいる(写真中、下)。同じタテハチョウ科の仲間の卵では、タテハモドキで12〜15本、ゴマダラチョウで19本前後、コムラサキで14本前後などとなっており、種類によって数が違ってくる。

 (写真上/リコー Caplio GX100 )
 (写真中、下/E-3  ズイコーマクロ38ミリ+オリンパスベローズ)

 
 新開 孝

水滴型さなぎ、とは? 2008/04/05(その2)
 先日、近所の方から高菜をたくさんいただいた。
これは漬け物にするとほんとうにおいしい。だからさっそく大きな漬け物桶を買って来た。もちろん漬け物重しも一緒に。6株もあるから、これまでの卓上漬け物器ではまったく間に合わないのだ。

 さて、その高菜を水洗いしていたら、葉っぱのあちこちにヒラタアブ類の蛹がついていた。これはちょっと勿体無いなあ、ということで急遽、蛹を回収しておいた(写真上)。
 蛹の姿でわずかに幼虫時代の面影を残しているのはお尻にある呼吸管だ(写真下)。

 ヒラタアブ類の幼虫は植物につくアブラムシを餌として食べる。だから野菜においては、害虫防除にもなる益虫という位置付けもできる。が、はたして農薬に変わりうるほど活躍できるかどうかは微妙である。
 われわれ人間社会では農作物をたくさん作っており、それは同時に害虫と言われる昆虫の餌を生産していることでもあるから、まずは害虫にとっての天国が用意されていることになる。その勢力たるや凄まじいので、天敵の威力が功を奏すまでには至らないようだ。

 (写真/E-330 35ミリマクロ+2倍テレコン)

 新開 孝

デジタルカメラのライブビュー 2008/04/05(その1)
 昆虫写真のなかでも、卵のふ化や幼虫の脱皮というシーンはある程度の高倍率接写が必要となる。しかもその撮影をうまくこなすには、卵や幼虫の状態をきめ細かく継続観察して、微妙な変化を把握しないといけない。

 その場合、やり方はいろいろだが、事前に撮影態勢を組んでおくこともある。そうしないと、いざふ化や脱皮が始まるというギリギリの瀬戸際になってから撮影態勢を構えようとしても手遅れになることが多いからだ。

 こうしたとき、カメラにライブビュー機能があるとたいへん助かる。カメラの背面モニターかあるいは、外部接続の大型モニターで被写体の様子を観察しながら撮影待機できるから、これはほんとうに便利な機能だ。しかも画面の任意の箇所を拡大表示できるので、微妙な変化も仔細に観察できる。

 ところがこのライブビュー機能にも落とし穴がある。長時間この機能を継続すると撮像素子の温度が上昇し、画像にノイズが生じることがあるからだ。そこでカメラ側では、一定時間のライブビュー状態が続くと警告を発し、いづれは自動停止するようになっているようだ(写真画面左上の警告マーク)。
 昨夜はこの警告マークが出たときに意味がわからず、少し驚いてしまった。長丁場の撮影待機だったから、できればモニター画面はずっとつけっぱなしにしておきたかったのだが、そうはいかないようだ。

新開 孝

モンシロチョウとキャベツ 2008/04/03(その2)
 この春はモンシロチョウの生活史を撮影するために、キャベツを種から育てている。宮崎に引っ越してから、野菜作りに励んでいるのは嫁さんの方だが、今回のキャベツに関してだけは、目的が食べるためではなく仕事用である。近所の農家ではキャベツ栽培はほとんどされておらず、あっても自家用のみの小規模栽培だ。もちろん畑の栽培規模が大きくなれば消毒も徹底されて、モンシロチョウが繁殖するどころではなくなる。
 それでもしも、うちの近辺で敢て冒険をして大規模のキャベツ畑を作ってみたらどうなるだろうか?それも無農薬で!おそらくは想像を絶するモンシロチョウの乱舞を見ることになるのではないだろうか?まさに白い吹雪のごとく!!
 そのような実験をいつかやってみたいと密かに思っているが、実現するにはあまりにも乗り越えねばならない問題が多い。

 さてキャベツの種が萌芽し本葉が出ると、まもなくモンシロチョウが次々と卵を産みつけていくようになった。これではキャベツが大きく育つ前に葉っぱが無くなってしまいそうだ。そこで撮影用に必要な株は、ネットで囲んで栽培することにした。すでに卵がたくさん付いている株は鉢植えとし、これは必要に応じて取り出して撮影に使うことにした。

 仕事で使われるモンシロチョウの写真は、その舞台がキャベツと決まっており、それが小松菜やブロッコリーでは通用しない。まさにこのあたりの制約こそが仕事ゆえなのである。例えばアゲハの場合ならサンショとなる。ミカンの要望もあるにはあるが、サンショの方が圧倒的に人気が高い。

(写真/リコーCaplio Gx100)
新開 孝

ツクシの胞子、ふたたび 2008/04/03
 昨日、紹介したツクシの胞子飛散の写真は、胞子の数が少なくそして風で飛んでいく様子も伝わらない。
 今日は仕事先から戻ってみると、ツクシの状態が良さそうだったのでさっそく撮り直しをしてみた。 
 写真はいづれも画面右方向から風を吹き付けている。

 シャッターを押すタイミングによっては、写真上のように胞子全部が空中で静止している。これは風が当たった瞬間からわずかに撮影タイミングが遅れているからだ。写真中、下の2カットは風が吹き付けた瞬間にうまく同調しており、胞子が飛び出す様子がよくわかるし、胞子の色まで再現できた。
 ツクシの一株から生産される胞子の数は、じつに200万個というから驚く!それだけの胞子のうち、無事に萌芽して成長できるのはほんのわずかなのだろう。

 今回のような写真撮影では気合いを込めた一発勝負、という緊張感があってそれはそれなりに面白いが、やがて高解像度の優れたビデオカメラが登場すれば、そのような気合い勝負という撮影方法も昔語りとなるだろう。ビデオならダラダラと撮影しておき、あとで気に入ったカットを選べば良いことになる。

(写真/E-3  50ミリマクロ+2倍テレコン)

 OLYMPUSフォーサーズのマクロレンズでは、やはり等倍撮影まで可能な90ミリマクロレンズが欲しい。今は50ミリマクロに2倍テレコンを付けて使っているが、テレコンを付けるとファインダーがその分暗くなるのが気になって仕方が無い。画質は良くても解放F値の明るいレンズが暗くなるのは勿体ない。
 OLYMPUSフォーサーズレンズで早く90ミリマクロレンズを出して欲しい。
新開 孝

ツクシの胞子 2008/04/02(その2)
 昨日は土筆の卵とじを食べた。
 さて、土筆狩りや土筆のはかま取りをしながら、ツクシの胞子分散を撮影してみようと思った。このような撮影は反射神経の鍛錬にもなるだろうけれど、いづれはカメラの技術進歩によって、そのような反射神経の俊敏さも必要なくなる。

 ツクシの胞子分散はどのような段階で始まるかといえば、けっこう早い時期から盛んに胞子を飛ばすことを改めて知った。まだ亀甲部が少し割れ目を見せ始めた段階でも、風を受ければかなりの胞子を放出するのである。

 この胞子分散の撮影はいたって簡単で、ブロアーを使って風を吹き付けるだけ。右手でブロアーを押し、左手でカメラのシャッターを押す。そのタイミングは反射神経の鋭敏さに頼るしかないが、もうそのような時代は終わろうとしている。

(写真/E-3 50ミリマクロ+2倍テレコン)新開 孝

コマダラナガカメムシ 2008/04/02(その1)
 ちょっとした時間を作って敷地内を歩くだけでも、いろいろな昆虫の姿に出会える時期になった。

 コマダラナガカメムシは四国以南に分布する、南方系のカメムシ。彼らはキク科の植物につくそうだがその鮮やかな紋様は印象的だ。これは毒々しいという捉え方もできるが、さてそう感じるのは鳥か、人か?あるいは猫か犬か?


 (写真/ E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
新開 孝

スミレ3種 2008/04/01
 わが家の敷地内には3種のスミレが自生している。
 写真上から順に、スミレ、タチツボスミレ、ニョイスミレ、かと思われる。
 ただし、スミレ以外の2種については自信が無い。もう少しきちんと調べたほうが良いだろう。ツマグロヒョウモンの幼虫が食草とするのは、スミレであることが多い。

 菫と言えば、阿蘇山の野焼き跡にはキスミレの大群落が見られるそうだ。もしかしたらその撮影に出掛けるやもしれない。これは突然の依頼の仕事であるからどうなるかわからないし、前もってスケジュールを組んでいたわけではない。

 菫は春を象徴するかのような可憐な花だが、一方で姿は地味ながら春の楽しみとも言えるのが、土筆狩りである。私はツクシ狩りが大好きで、とくに土筆の卵とじは好物のひとつ。春の食膳としては、欠かせない一品なのだ。

 今日は庭で遅めのツクシ狩りをしばし楽しんだ。採ったあとの土筆のはかま取りもまた楽しい。これを面倒だと言う人も多いが、ときには日常の煩わしい時間を忘れることも必要だろう。はかまを剥く間に、心穏やかになれるのである。

(写真/E-3 35ミリマクロ+1.4倍テレコン) 
 新開 孝

クマゼミの幼虫 2008/03/31
 昨日は一日中、雨。
 そんな中、子供2人を連れて宮崎市へと赴いた。春休みの映画鑑賞の付き添いであり、私は久しぶりに丸一日オフとした。三股町から宮崎市内へと出てみれば、やたらと車が多く、そして何と信号待ちが多いことか!?三股町でのゆったりとした生活と比べれば、宮崎市内の様相は、とんでもなく都会に感じられる。

 映画館は巨大なショッピングモールの中にあり、フロアーは人であふれていた。まるで東京の雑踏を思い起こすほど、凄まじい!

 さて、宮崎市内の叔父のうちで一夜を過ごし、裏の畑でビワの実生を掘りおこしてみれば、そこにはクマゼミの幼虫がしがみついていた(写真上、中)。幼虫が潜んでいた場所は、地下数センチの浅い場所。

 幼虫を水洗いして、仔細に見てみれば、腹端に産卵管のレリーフが見える(写真下)。つまり、この幼虫はメスなのであった。

 (写真上、下E-330  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
 (写真中/E-3  50ミリマクロ)

 
新開 孝

モンシロチョウの交尾 2008/03/29
 午前6時半。犬の散歩で外に出ると手袋が欲しいくらい冷え込んでいた。
 それでも東の森からはサンコウチョウのさえずりが聞こえてきて、なんとなく足取りも軽くなる。
 サンコウチョウのさえずりを実地で覚えたのは、学生時代のことで、場所は愛媛県の伊方原発の近くだったと思う。その当時、環境アセスのバイトをしていたのだが、日給が1万以上、民宿では酒も飲み放題と、なんともゴージャスなバイトだった。そのバイトで動物調査中に同行していた鳥専門の先輩から、サンコウチョウの聞きなしを教わったのであった。

 さて、明日は天候が崩れるようだから、今日のうちにと思って近くの畑の回りでしばらく撮影してみた。おもにアブラナの花に来るモンシロチョウをねらってみた。モンシロチョウの舞う数はたいへん多かったが、それは舞い方がゆったりしていることと、白い翅が遠目にもよく目立つからだ。同じような場所で、ベニシジミやモンキチョウも数はけっこう多いはずだが、大きさや飛ぶ速度の速さからしてモンシロチョウに比べればはるかに目立たない。
 アブラナで吸蜜していたタテハモドキ秋型もいたが、けっこう神経質で証拠写真程度しか撮影できなかったのは、残念。

(写真/E-3  50ミリマクロ/写真下側がオス)

 昨夜は睡眠時間が4時間程度。スタジオに籠り、卵のふ化の撮影だったが、カメラのすぐ傍らにころがり、シュラフのなかで撮影待機を続けた。早めに2時間ほど寝てから、そのあとの仮眠は15分程度を小刻みに行なう。夜はかなり冷え込むから、ときおり暖房を入れたりした。
 結局、撮影ができたのは今日の正午過ぎ。昆虫の変態には個体差もあって、待機すべき頃合いを微妙に読み違えることも多い。ともかく夜にきちんと寝れないのは疲れる。
新開 孝

イトトンボのヤゴ 2008/03/28
 先日、ヤマトヤブカが羽化した睡蓮鉢。じつはヤマトヤブカの羽化を撮影しているときに、イトトンボのヤゴの脱け殻が数個、睡蓮鉢の水面に浮かんでいることに気付いた(写真上/21日に撮影)。

 抜け殻は1センチ程度とたいへん小さかったが、その前日まで見たことがないので、当日の午前中にでも脱皮したのではないか、そう思っていた。しかし、睡蓮鉢の底をいくら眺めてもヤゴの姿はまったく見えない。そこで網を入れて底の砂ごと掬ってみたら、一匹のヤゴが上がった(写真中、下)。

 ヤゴの体は透けており、まるでレントゲン写真を見ているようだ。体長は1.5センチ程度だからまだ若いヤゴだ。

(写真/E−3  35ミリマクロ+2倍テレコン)
 新開 孝
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