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くずかき、そして日向夏 2008/03/26
 このところは、ある昆虫の卵数種のふ化の撮影の仕事が優先しており、24時間態勢とはいかないまでも、数時間おきにはスタジオに出向いて卵の様子を観察している。昆虫の種名をここに記せないのは、仕事のクライアント先の意向もあってのことなので仕方が無いのだが、、。

 さて、その撮影態勢のなかで待ち時間も長い。かといって自由にどこかへと出掛けることも間々ならない。そこで小刻みに観察を続けながら、今日は空き時間を林の整備に費やしてみた。雑木林の落ち葉かき「くずかき」である。もう春になってしまったが、これも仕方が無い。できるだけ今月中には済ませたいところだ。
 
 「くずかき」をする前に、落ち葉を溜める柵を作った(写真上)。
 まずは太めのホテイチクを数本、刈り集める。刈るといっても回りにはメダケがたくさん立ちはだかっているので、これらを先に刈っておき、そしてようやく目当てのホテイチクを刈り取れる。ホテイチクは節の間も狭く、固く丈夫なので柵をこしらえる材料としてちょうど良い。
 落ち葉入れの柵は、傾斜を利用しているから材料は少なくて済むのだが、ちょっと造りを凝り過ぎてしまった。しかもどうせやるなら、自然の素材を存分に利用してやろうと思い、蔓なども使ってみたがこれはけっこう要領がいった。それでも自然素材をあれこれいじっているうちに、どこをどうすれば一番良いのか、その感触がわかってくると嬉しい。
 林の落ち葉はまだまだあって、それらをかき集めるためには、今日設えたような柵囲いを、あと二箇所には必要だろうと思う。

 さて、旬のおいしい日向夏。こうしてリンゴの皮をむくようにして食べる(写真下)。だから果物ナイフもしくは包丁は必須。ガブリと頬ばったときの酸味が何とも言えず野性味があって、とても良い。


 新開 孝

クスノキの新芽とゴマダラチョウ幼虫 2008/03/25
 クスノキは常緑樹だが、それでも季節によって古い葉を落とし、あたらしい葉へと更新する。

 古い葉は紅く染まり(写真上)、新しい若葉の芽が大きく膨らみ始めた(写真中)。

 クスノキの隣にあったエノキでは、落ち葉の下から登ってきたゴマダラチョウの幼虫が見つかった(写真下)。前にも書いたが、ゴマダラチョウが越冬から目覚めて樹上へと移動し始める時期は、サクラの開花時期とほぼ重なる。三股町のサクラもあちこちで、少しづづ開花し始めている。

(写真上、中/E-330 14-54ミリズーム)
(写真下/E-330  35ミリマクロ+2倍テレコン)

 今日は子供の小学校で卒業式があった。このところそういった行事がいろいろと重なり、この「ある記」更新にもあまり時間が取れない。今夜はその謝恩会などもあるため、撮影の仕事もとりあえず中断することにした。新開 孝

タラノキの芽 2008/03/24
 家の近くにあるタラノキ。その冬芽がようやく膨らみ始めた。犬の散歩のたびにこのタラノキを見てきたのだが、春がどんどん進行していくなかで、タラノキの芽吹きは少し遅いように感じていた。

 敷地林のコナラは冬芽が開き始めており、庭の枝についていたヤママユガの卵も早いのはふ化が始まっている。
 まだ林全体の芽吹きは鈍いが、遠くから林を眺めてみれば、うっすらと色付いてきていることがわかるようになった。なるほど、コナラもクヌギもまだまだ芽が膨らんだり、ほころびかけた段階ではあるけれど、その芽の数はあまりにも膨大だから、遠目には色となって見えるわけだ。その色合いがこれから日に日に濃くなっていくのだろう。

 今日は庭でツマグロヒョウモンの雌雄が舞っていた。オスのほうは終わりかけたアセビの花で吸蜜していたが(写真中)、彼らはこの春に羽化した新成虫だろう。大きな幼虫は冬のあいだにも暖かい日射しを受けて日光浴している姿をよく見かけたものだ。

新開 孝

ヒメナガメの卵 2008/03/22(その2)
 庭のアブラナはずいぶん長く花を咲かせており、これまで多数の昆虫たちが訪れている。
 種から蒔いて育てたアブラナは、昨年の暮れ頃から花を咲かせ始めたのだからすでに3ヶ月も経ている。

 さて、今朝はアブラナの長角果(果実)でヒメナガメの卵塊が見つかった(写真上、中)。卵塊を撮影していると、近くで交尾しているカップルもいた(写真下)。写真では下の個体がメス。お腹も大きく膨らんでいる。

新開 孝

アマガエルの今日とは 2008/03/22(その1)
 庭の竹筒の中には一昨日からずっと、一匹のアマガエルが潜んでいる。
 
 このところ雨もなく乾燥しているから、昼間はさすがに動かない。夜も出歩くことはないのだろう。そう思うのも、同じねぐらにきちんと戻ってくるとは考えにくいからだ。

 今日ふたたび竹筒アパートを窺ってみれば、アマガエルの体色上には緑色が増えてきていた。アマガエルの体色は回りの環境の色や模様に影響を受けて変化することは知っているが、このように竹筒内にじっとしたままで、色変わりするということはどういうことだろうか?
 そこで少し調べてみると、アマガエルの体色変化には、光りだけでなく、気温、湿度の変化なども影響するらしい。

 なお、写真のアマガエルが潜んでいる位置は、竹筒の切り口から1センチほど奥になる。撮影には内蔵ストロボにさらに外部ストロボ2灯を加えないと光りが回らない。

(写真/OLYMPUS E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)

 新開 孝

ヤマトヤブカの水面羽化 2008/03/21(その2)
 先日、紹介したオニボウフラがこのところ羽化するものが出て来た。
 羽化した成虫を調べてみれば、本種はヤマトヤブカと思われる。

 さて、今朝になって羽化しそうなオニボウフラを見つけたので、しばらく観察してみた。場所は庭の西側に置いている睡蓮鉢の中だ。

 羽化間近となったオニボウフラは、ピンピンと動くことはできるが、もはや自力で水中へと沈むことはできない。その浮力は、オニボウフラの体内に取り込まれた空気層によるものだろうか。新しい成虫の体とオニボウフラつまり蛹の体皮との隙間に空気が入ったせいだろうか?

 水面に浮遊しながら、やがて羽化が始まる。羽化直前には細長い腹部がピンと真っすぐになり、その形態はSF映画「2001年宇宙の旅」の探査宇宙船にそっくりだ(写真上)。エビのように曲がっていたオニボウフラが、こうして体を一直線状にすると、羽化はすぐに始まる。まずは胸部の背中がパックリと割れる。

 水面で羽化した成虫はしばらくは、そのままの姿勢で体がしっかりするのを待つしかない。つまり、彼らは水面上をアメンボのごとくスイスイと移動することはできないのだ。風が吹けば、その風下へと流されるに身をまかせるしかない。
 しかし、翅がしっかりと乾くと、この翅をはばたきながら、それはさながら水上飛行機のように水面移動が可能となる。

 今回の撮影は風もあって、かなり苦労させられた。ともかく被写体であるオニボウフラは水面を流れていくのである。それもいきなりあらぬ方向へとクルクル回転しながら、、、、。

 ヤマトヤブカはあまり人からは吸血しない。だから昨年の夏も、家屋の中で蚊に刺されたことはほとんどなかったのだが、その理由もわかったような気がする。
 蚊に刺されるのは、ササが繁っていた林の際に近づいたときくらいだったが、そういった環境ではヒトスジシマカなどが多かったのだろうと思う。

 (写真/E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)

新開 孝

竹筒の中のアマガエル 2008/03/21(その1)
 昨日、紹介したアマガエルは、気になって今日も覗いてみれば、まだ竹筒の中に留まっていた(写真)。

 しかし今日もかなり暖かい一日だったから、さすがにどこかへと移動しただろうと思い、午後6時頃になって再び覗いてみれば、なんとアマガエルの姿があった。

 竹筒の中はよほど居心地が良いのか、それともまだアマガエルにとっては春本番と感じられないのか、とかいろいろと想像してみたくなる。
 アマガエルの顔を、よ〜く見れば、薄い緑色も迷彩色さながらににじみ出ている。

(写真/OLYMPUS E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)
新開 孝

アマガエル 2008/03/20(その2)
 竹筒アパートを点検してみた。
 竹筒の切り口はどれも、親蜂が施した蓋がそのままだから、昨年、竹筒の空洞内で成長した花蜂や泥蜂の子供たちはまだ巣内で眠っていることだろう。もちろん寄生されたりして、無事に生きているかどうかはわからないのだが。

 さて、その竹筒の穴の一つに変わったお客さんがいた(写真上)。

 アマガエルだ(写真下)。竹筒の色に合せてか、顔が白っぽい(おそらく体全体)。この場所に入り込んだのはこのところの陽気のせいで、冬眠から目覚めたあとだろうか。しかし、ちょうど良い隠れ家を見つけたものだ。

(写真/OLYMPUS E-330  14−54ミリズーム)新開 孝

モンシロチョウのねぐら 2008/03/20(その1)
 ベニシジミ幼虫の食草ともなるギシギシとスイバ。
 両種とも田の畦道などに多く生えている。どちらかと言えば、スイバのほうが私は好きで、ベニシジミ幼虫探しをするならスイバしか見ない。
 スイバは葉っぱもおとなしく、赤みを帯びていたりして綺麗だし、花穂も桃色が鮮やかである。一方、ギシギシはライオン草とも呼ばれるように、その生命力の逞しさはあるが、波打つ葉っぱの猛々しさが好きになれない。花穂の色も地味だ。

 しかし、今朝は逆光に透けたギシギシの葉が、まるで海中の潮のうねりに揺れる昆布のようにも見えて、思わず足を止めた。午前7時半。
 それでもっとよく見ようと、ギシギシに近寄ってみればモンシロチョウが一列に並んで止まっていた。これは集団ねぐらだ。全部で6匹いる。
 おそらく互いの姿を見てから次々とそこへと集まったのだろう。
 確認できた4匹はオスだった。

(写真/OLYMPUS E-330   14-54ミリズーム)

新開 孝

鬼ボウフラ 2008/03/19
 庭の手水の水面には多数のオニボウフラが漂っている(写真上)。

 オニボウフラとは、蚊の蛹のことで頭部に呼吸角という突起が一対あることからそう呼ばれている。蚊の蛹は、体をくねらせてエビのような遊泳ができる。
 オニボウフラが泳ぐときには、尾端の遊泳片という一対の団扇をたくみに使う。この遊泳片の形状も、種類を見分けるときに役立つらしい(写真中)。

 オニボウフラの体を仔細に見ると、成虫の体の脚や触角、翅などがスケルトン状になってよくわかる(写真下)。


 さて、今日のオニボウフラがやがて羽化すれば、成虫の形態から種名の同定も可能となるだろう。

(写真上/E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
(写真中/EOS-5D  65ミリマクロ)
(写真下/E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)新開 孝

イチゴの味とは 2008/03/18
 これまでの「昆虫ある記」で、果物が登場するのは日向夏や金柑に次いで、3回目かと思う。

 私が幼少の頃に味わっていたイチゴと、今の時代のイチゴとはその味があまりにもかけ離れていることに気付いたのは、少なくとも10数年前のことだと記憶している。ほんとうはもっと前だったのかもしれないが、ともかくイチゴはずいぶんと様変わりした。品種改良が盛んなことは、何もイチゴに限ったことではないが、もうかなり前から、イチゴの味に魅力を感じない。まあ、滅多にイチゴを食べることもないけれど。

 昔、イチゴと言えば、酸っぱかった。しかも固かった。だから砂糖をまぶしながら酸味をおさえながら食べたものだ。でもそれが美味しかった。歯ごたえがしっかりとあり、砂糖に混じり合った果汁がまた何ともいえない味わいだった。

 しかしながら、「甘い」、「柔らかい」。この二文字に先導されて改良されていく果実や野菜がなんと多いことか。
 食物の味の好みに対しての個人差は大きい。だから、それぞれの嗜好に合せて味の中身が多様化することも自由だろうと思う。でもやはり、どこか変だと感じることが、このところの日常の食卓ではあまりにも多いように思う。
 このことは例えば、トマトの品種についても強く感じる。以前、トマトの味については、ある雑誌にエッセイを書いたこともあるが、柔らかい、甘いの二言で何もかもの味わいを極上と決めつける風習には、どうしても馴染めないのだ。

 そういうなかで、私の住む宮崎の日向夏は、とてもおいしい果物の一つだ。酸味があって、果汁もたっぷり。味わいがどこかおとなしく、何といっても素朴さが良い。果物は旬の食べ物だ。それを無理して人工的に造ろうとすれば、やはりどこかおかしくなる。

(写真/E-3  50ミリマクロ+1.3倍テレコン)
 

 
新開 孝

モンシロチョウの今日 2008/03/17
 先日、紹介したモンシロチョウの卵が今朝になって、ふ化した。 

 ふ化した幼虫は、なぜか卵殻に乗っかったままで、その姿勢のままで卵殻を食べてしまった。残念ながらこの写真は、仕事では使えない。

 モンシロチョウはこのところ、うちの庭では毎日のように産卵していくので、いろいろな段階の卵が手に入る。しかし、卵の産み付けられた位置によっては、撮影に向かないことも多々ある。ルーペを片手に、日々、モンシロチョウの卵を眺めるのも、仕事の一つだ。

(写真/E-3  OLYMPUSオートベローズ+ズイコー38ミリマクロ)

今日になって、うちの近辺ではツマグロキチョウが少なからず生息していることに気付いた。ときには庭にもやってくる。去年はまったく見ていないから、少し奇妙にも感じる。
 新開 孝

今朝の柿の木 2008/03/16(その2)
 春の到来はうれしいけれど、その歩みをもう少し緩めて欲しいと思うこともある。

 冬の間にやり残したことがいくつもあって、それらはほとんどが室内作業だ。しかし、今の時期に朝から晩まで部屋にこもっていることなどできない相談だ。
 3月半ばともなったが部屋の中は寒く、外はポカポカ陽気という状況は変わらない。とくに仕事部屋は朝からずっと気温が上がらず、ますます外に出ていたくなる。室内気温が外気温よりか低いという現象は、これから先の季節では有り難いのだが、まだまだその恩恵に預かるほどでもないからなんとも悩ましい。

 今朝は犬の散歩の途中で、いつもの柿の木を撮影してみた。
 朝日の射し込み始めたころで、強烈な逆光を浴びている条件だった。写真はOLYMPUS Studioで自動トーン補正を使い、暗部を立ち上げてみた。

 (OLYMPUS E-330 14-54ミリズーム)

新開 孝

ジロボウエンゴサク 2008/03/16(その1)
 漢字では「次郎坊延胡索」。ケシ科キケマン属Corydalisにはよく似た種類が多くある。本種もCorydalisの仲間だが、数日前から近所のあちこちの草むらで花を見かけるようになった。

 ジロボウエンゴサクの花は、これまでにも撮影する機会はよくあったが、今日は花の一つ一つをクローズアップしてみた。蕾みも含めてたいへん面白い形をしている。

 今日もかなり気温が上がって、うちの林ではナミアゲハがせわしく飛んでいた。モンシロチョウはたいへん多い。昨日はベニシジミもアブラナの花に来ていた。

(OLYMPUS E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)新開 孝
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