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イッシキトゲハムシ(タケトゲハムシ)の春 2008/03/15
 今日はとても暖かい一日だった。車は窓を開けたままでないと暑過ぎるくらい。

 以前、うちの林で見つけた多数のイッシキトゲハムシはどうなったか、様子を見てみた。おそらくなんらかの動きがあるはず、そう思ってササの葉っぱを一つ一つ見上げてみた。すると以前見たほどの数はいなくて、やっと交尾つがいを2組と単独個体の1匹を見つけただけであった。

 どうやらイッシキトゲハムシは配偶行動を終えつつあって、交尾を終えたメスは次々と分散していったのではないか、そう思えるのであった。

 オスがメスの後ろからマウントして交尾は行なわれるが、メスの背面の刺がいかにも邪魔のように見える。交尾はちゃんとできるのだから、別に問題はないのだろうが、トゲハムシが装っている刺とは一体何なんだ?と思いたくなる。
 しかし逆に考えれば、生活に支障無い範囲なら、生き物はどんな格好でもできる自由があるのだ、とも言えるだろう。とことん、デザインを凝ってみたり、ひねくれた形態をしようと、首尾よく生きていける限りはどんな姿をしても許されるということだろうか。

(OLYMPUS E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)

新開 孝

小学校でのお話とは 2008/03/14
 上の子供は、小学6年生。卒業式までの登校日もあとわずか6日間を残すだけ。
 そこで今日は、私が6年生のクラスに赴いて、昆虫のお話の授業講演を行なった。生徒も先生も父兄も、皆が顔馴染みとなっているような小さな学校だからこそこういうことも実現できる。

 6年生の生徒数は女子5名に男子3名とあわせて8名。机も教室の前半分に寄せて納まるからじつにゆったりとしている。ようやくクラスみんなの顔と名前を憶えたかと思えば、もうお別れというのも実に寂しい気がする。これまでの一年間、行事のあるごとに卒業アルバム係として撮影に出向いてきたのだが、その一年はあっという間に過ぎ去ってしまった。一つ一つの行事はどれもじつに楽しいものだった。

 虫のお話にはやはり写真も必要だ。A1のパネル5枚にA4プリント写真を目一杯貼付けて、これを黒板に掲げてみた。それは写真絵本のページを大きくしたようなものとなった(写真上)。
 内容は「三股町の昆虫」と題して12種。そして「虫の子育て」と題して5種類の昆虫を取り上げてみた。時間の制約や子供達のキャパシティを考えると、「虫の子育て」は3種程度にしておくべきだったと途中で気付いた。

 お話の前半部分は、私の仕事上でのエピソードを少しお話したが、その内容は20年前と5年前の二つの仕事に関わることで、自分でも懐かしい想い出となっている。

 授業が終わって、職員室で給食をいただいた(写真下)。今日はたまたま宮崎名物の「チキン南蛮」。普段はご飯のようだが、これも今日はたまたまお米パン。うちの子供達は、給食の量が足りないと不満のようだが、それも無理ないかなあと感じた。しかし、これくらいだと、お腹の出たおじさんにはちょうどいいがなあ、とも思える。
 
 それにしても今回、自分の子供を目の前にしてお話をするというのも初めての経験だった。それでちょっと緊張してしまったが、得るものもあった。

 うちに帰ってから、子供がポツリとひと言。
 「お父さん、早口だよ!早過ぎるよ!」だった。

 たしかにそれは自分でも感じていたが、こうして指摘してもらえたのは有り難いことだ。お話のあとの質問時間で、うちの子だけが手を上げなかったが、それでもそれなりに聞いてくれてはいたようだから、少しは安心できた。


新開 孝

おいしそうな変形菌 2008/03/13(その2)
 地面に横たわったコナラの朽ち木で、変形菌の子実体を見つけた。
 子実体の高さは2〜3ミリ程度。変形菌は別名、ホコリカビとも呼ばれる。
 
 写真の子実体は、なんだか綿菓子のようでもあり、ユーモラスだ。そっと触れてみると、ホコリのような胞子が煙のように舞う。


 (写真/E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)
 (撮影地/三股町 上米公園))

  今日は三股町の矢ヶ淵公園でしばらく虫探しをしていたら、めがね橋のすぐ下流で、ヤマセミが私の姿に驚いて飛び立った。ヤマセミはそのまま近くの枝に止まり、しきりに鳴いていた。すると姿の見えないもう一羽が鳴き交わし始めたから、雌雄がすぐ近くに居合わしていたのであろう。川の対岸であり距離も離れていたが、ヤマセミはずいぶんと警戒心が強い鳥だ。
 にぎやかな鳴き交わしのすぐ直下の川面を、カワセミが一直線に通り過ぎていった。そして目の前のアカメガシワの梢では、先程からジョウビタキのオスが何度も何度もフライキャッチングを繰り返している。
 このような光景を学生の頃の私なら、かなり興奮して見ていたはずだ。今はそれほどでもないが、しかし、こうして身近な環境にヤマセミが棲んでいるというのは嬉しいことに変わりない。虫探しの手を休めて、しばしヤマセミの同行を観察してみた。
 カワセミに関しては、ときおりうちの庭の中を通り過ぎていくこともあって、去年の春にはうちの林のわずかな崖で巣穴を掘っていた。水辺の生き物としては他に、オニヤンマのオスが夏にはよく庭の中をパトロール飛行していた。

 
新開 孝

ツマグロキチョウ 2008/03/13(その1)
 林の合間に広がった草地で、ツマグロキチョウに出会った(写真上)。
 ツマグロキチョウを見るのは久しぶりのこと。

 キチョウも同じ場所を飛んでいたが、ツマグロキチョウのほうが小柄であることと翅裏がオレンジ色に見えることなどで、遠目にもすぐ区別がつく。
 草地のあちこちで数匹のツマグロキチョウが舞っていたが、どれも低空飛翔をしており、ときに地面に降り立つとすぐに姿を見失ってしまう。

 枯れ枝に静止していた個体は、ほんとうにわかりづらい(写真下)。

 一度、ツマグロキチョウがキチョウのメスをさかんに追飛していた。しかし、キチョウは高く舞い上がって、振り切ってしまった。
 ツマグロキチョウは局地的な分布をしており、食草のカワラケツメイが生えていても生息していない所も多い。

 (E-3 50ミリマクロ+2倍テレコン)新開 孝

水田の春とナンバープレート 2008/03/12
 今日は朝一番で、宮崎市内の陸運支局へと赴いた。
 東京から引っ越して来てからほぼ一年、ようやく自家用車の登録変更ができた。

 車検証の登録変更とはじつに厄介だ。まずは最寄りの警察署に赴き、自動車保管場所証明書の発行を受けねばならず、これには少なくとも3〜4日間以上掛かる。
必要書類を揃えて出向く陸運支局とは県内に一箇所しかなく、辺鄙な地域に住んでいる人なら、丸一日掛かる作業となるだろう。

 ともあれ、今日から私の車のナンバープレートは、やっと宮崎ナンバーになった(写真上)。少しでも地元に馴染みたいという気持ちに追い風を受けた気分だ。

 宮崎市内の田んぼでは、あちこちで田植えの準備が始まっていた。これは二期作なのだろう(写真中)。

 午前中いっぱい、登録変更などの雑事を済ませて我が家に戻ってみれば、庭のアブラナの花に、イシガケチョウのメスが来ていた(写真下)。

 ※ 同じ水田で稲を一年に2回作る場合、これを二期作といい、稲に続いて別の作物を植える場合に二毛作といいます。今回も私の誤りをご指摘いただきました。訂正して深くお礼申し上げます。新開 孝

高倍率接写、ふたたび 2008/03/11(その1)
 昨日、モンシロチョウの卵を高倍率接写で撮影した。そのとき、画像の右上におびただしい黒点状のゴミが写り込み、びっくりした。使ったカメラはE-3。
 OLYMPUSのフォーサーズカメラは数台をこれまで主力として使ってきたが、撮像素子上(厳密にはローパスフィルター上)につくゴミについては、ほとんど気にしなくても良かった。さすがOLYMPUSのダストリダクションは優れているなあ、と安心感が強く持てていた。

 昨日の画像チェック結果をさらに検証するために、さっそく今日はテスト撮影をしてみた。まずはレンズを50ミリマクロにして焦点距離は無限大で青空を撮影してみた。そしてその画像をパソコン上で精細に調べてみたのだが、まったくゴミ写りが認められない。
 これはちょっとおかしいなあ、と思い、さらに昨日と同じベローズとマクロレンズの組み合わせに戻して高倍率撮影をしてみた。
 すると昨日の画像とまったく同じにゴミ写りが多い。そこで、Canonのセンサークリーニングキットを使って、撮像素子のクリーニングを行なってみた。このキットはスタンプ式だからやり方は簡単。
 クリーニング後、高倍率撮影をしてみたところ、問題のゴミはほとんど除去できていた。つまり、やはりゴミは付いていたわけだ。しかし青空の撮影ではそのゴミが見当たらないというのが不思議だ。近日中に撮影した様々な画像を調べ直してみてもゴミはどうしても見つからない。これは何故だろうか?

 以前、高倍率撮影を行なうと、通常ではほとんど目立たないゴミが際立って目立つという話を知り合いのカメラマンから聞いたことがある。高倍率で撮影すると撮像素子に付着したゴミが際立つという、その理屈がよくわからない。

 さて、昨日のモンシロチョウ卵の写真では、卵そのものにゴミが付いていた。とりあえずはテスト撮影にしておこうと敢てそのゴミを取り除かなかったのだが、今日は撮像素子上のゴミ問題も解決したので、卵自体のクリーニングを丁寧に施した。
 野外から持ち帰ったほとんどの卵には、肉眼ではまったく気付かないゴミが付いていて、これを除去する作業が必要だ。しかし、この作業も細心の注意を払わないと、卵が葉っぱからはずれて、最悪は卵がどこかへ吹っ飛んでしまう危険性も孕んでいる。クリーニング作業は、実体顕微鏡を覗きながら、極上の面相筆を使い丁寧に時間をかけて行なうしかない。
 
 え!?卵のクリーニングにオリンパスのダストリダクション技術を使えないか?って。いや、それはやはりイカンでしょう。卵が砲弾のごとく吹っ飛んでしまいそう。

(写真/E-3 オートベローズ+38ミリマクロ)
 新開 孝

ナカジロサビカミキリ 2008/03/11(その2)
近所のエノキの梢で、ナカジロサビカミキリを見つけた。
 体長は約1センチ。枝にしがみついた格好だと、その姿は鳥の糞か木のこぶのように見える。うっかりすると見落としてしまいそうだ。ほんとうに上手な隠れ技だと思う。

 本種は背面から眺めると、その紋様が人面のごとく見えるらしい。明日はその人面を観察してみよう。 
 
 (写真/E-330  50ミリマクロ+2倍テレコン)

新開 孝

高倍率接写 2008/03/10(その1)
 OLYMPUSにはかつて、すばらしい接写システムがあった。

 他のどこのメーカーにも無い独自の接写システムのため、とりわけ自然写真家の中には、何がしかの形でOLYMPUS機材を使う人は多かった。私も昔はメイン機材はPENTAX645だったけれど、同時にOLYMPUSの接写レンズ数本と OMシリーズのボディ3台を使っていた。

 さて、今のフォーサーズ オリンパスEシステムでは、レンズとコンバーターの組み合わせにより(35ミリマクロ+2倍テレコン)、35ミリ判換算で倍率4倍の接写撮影ができる。もっとも実質倍率では2倍なのだが、、、、。それでもこれはたいへん優れた接写システムではある。レンズが軽いからだし、描写力も良い。

 しかし昆虫写真では、例えば今日のようなモンシロチョウの卵の写真をアップで撮影する場合、倍率4倍程度ではまだまだ倍率が足りない、ということになる。モンシロチョウの卵はその高さにして1ミリ足らず。これを画面上、目一杯に拡大撮影するには、10倍前後の倍率が必要だ。
 
 そこで旧OMシステムの資産を有効に使い、高倍率撮影を行なってみた。といっても大げさなことではなく、オートベローズにマクロ20ミリや38ミリレンズを取り付けただけのこと(写真上)。ただし、自動絞りで撮影するにはダブルレリーズがあった方が便利。
 写真のダブルレリーズはNikonの製品を使い、カメラ側のリモートケーブルはOLYMPUSのリモートケーブルRM-CB1に取り替えている(写真下)。E-3用のリモートケーブルを切断するわけだから、この工作にあたって2本のケーブルを購入しておいた。ちょっとした改造にもえらくお金が掛かるのだ。

 さて、ベローズとズイコー20ミリマクロの組み合わせでは、ベローズ最長時で倍率×13が得られ、ズイコー38ミリマクロでは最大倍率×5.7まで撮影可能だ。

 
新開 孝

モンシロチョウの卵 2008/03/10(その2)
 今日はほんとうに暖かい一日だった。地面にはいつくばっていると、日射しが肌に痛く感じるほど強かった。

 何匹ものモンシロチョウが庭を飛んでいたので、デスクワークの合間に少しだけ外に出てみた。するとプランターに植えてある小松菜には、モンシロチョウの卵が数個、見つかった(写真上)。

 卵の色からして、今朝、あるいは昨日あたりに産卵されたことがわかる。

 さっそく、ベローズを使ったフォーサーズ高倍率撮影のテストをしてみた。もっともテストというよりか本番のつもりだった。

 写真中は、ズイコーマクロ38ミリレンズ(実質倍率5倍)、
 写真下は、ズイコーマクロ20ミリレンズ(実質倍率13倍)、で撮影したもの。

 (写真上/E-3 50ミリマクロ+2倍テレコン)


(写真中下/E-3 OLYMPUSオートベローズ+高倍率マクロレンズ)


新開 孝

ヒメナガメ 2008/03/10(その3)

 庭のアブラナの花に訪れるセイヨウミツバチの数は、たいへん多くなった。寒い時期はせいぜい2、3匹だったのが、今では二桁を数えるほどだ。

 そのアブラナの花上に、ヒメナガメの姿もあった(写真)。

 ナガメとの区別は、胸部の紋様ですぐにわかる。

 (写真/E-3  50ミリマクロ+2倍テレコン)

新開 孝

激突事故 2008/03/09(その2)
 今年、1月8日の当「ある記」で、トラツグミがうちの家の窓に激突したのではないか、という記事を書いた。
 そのときは状況証拠からの推測であり、ほんとうにトラツグミが激突したかどうかは定かでなかった。

 しかし、今日、縁側で撮影した鳥の死骸は、紛れもなく激突死である。
なぜなら、鳥が窓ガラスにぶつかる瞬間を、室内で遊んでいた子供が見ているからだ。
 聞けば激突事故があったのは3日前の木曜日、午後5時過ぎとのこと。この日はよく晴れて、しかもこの時間帯だと室内の照明はまだつけていない。窓は西向きだが太陽の高さからして、日射しは室内まで射し込まない。つまり、外から見れば室内は薄暗く見えていただろうし、鏡面となって外界の様子が写っていたかもしれない。窓には鳥の羽毛がこびりついていた(写真上)。

 鳥が縁側で死んでいるという話を聞いたのは今朝のこと。
 犬が嗅ぎ付けると困るから見て、と嫁さんがいうのでさっそく私が見てみれば、事故死したのはビンズイだった(写真中、下)。すでに死後硬直が始まっている。あ〜、なんでもっと早く言ってくれないかなあ!

 数羽の群れで庭に降りて餌をついばんでいるビンズイの姿はよく見かけていたが、それがどうして1羽だけが窓へと激突したのだろうか?
 なにか差し迫ったことが生じ(例えばモズが急降下で襲いかかってきたとか)て、慌てて逃げる必要があったとか、いろいろ想像はできる。

 今朝、傘をさして犬の散歩をしていると、モズの♀のねだり鳴きを聞いた。きっと近くに♂がいたのだろうと思う。モズはすでに繁殖期に入っているのだ。そのモズも我が家の庭にはよくやってくる。

 昨日は、ツマキチョウやモンキチョウ、キタテハ、ルリタテハを近所で見ている。
 もう春だ。

(写真/リコー  Caplio GX100)
 
新開 孝

タイワンクツワムシの卵 2008/03/09(その1)
 今日は朝から雨。
 昨日はかなり気温が上がり、ポカポカ陽気だったが、今日は少し肌寒い。そこで、昨日のことをもう少し補足しておこうと思う。

 昨日紹介したクビアカサシガメの幼虫を見つけた場所は、道路によって削られた斜面の崖。崖のわずかにえぐれ部分は雨も掛からず、通年、乾いた砂地となっていてアリジゴクの巣穴がいくつも見られる(写真上)。
 砂粒を体にまとっているクビアカサシガメ幼虫を目で見て探すのはたいへん難しい。以前、群馬県水上のフィールドでは目視だけで探し出した経験はあるものの、時間的な制約もあって、昨日は砂地表面の砂をスコップで掬い、「ふるい」にかけて幼虫探しをしてみた。次々とアリジゴクの若い幼虫がふるいに掛かるのだが、目的のサシガメ幼虫はなかなか現れてくれなかった。ようやくのことで1匹の幼虫がふるいに掛かったのだが、その姿はとても生きた昆虫には見えないものだった。

 さて、クビアカサシガメ幼虫はこうした砂地環境に生息しているわけだが、このような環境にはアリジゴクの巣穴も多い。となると、サシガメ幼虫がアリジゴクの巣穴に落ちてしまう危険性もあるのではないか、という疑問が湧く。
 アリジゴクとの関わりもたいへん気になるが、クビアカサシガメ幼虫の生活についてはまだほとんど判っていない。およそ想像できる範囲では、砂に紛れて獲物が通りかかるのを待ち伏せし、獲物を察知できた瞬間にはすばやく襲いかかり、これを吸血するのではないか、などと考えている。
 アリジゴクの巣穴があるくらいだから、待ち伏せ式でもそれなりの獲物を得ることができるのだろう。

 クビアカサシガメの幼虫は、このようにたいへん極限された砂地環境に、まるではりつくような生活を送っている。ところが一方、ひとたび成虫へと羽化したあとの生活空間は、広い林の梢へと移る。そこでは様々な小昆虫を捕獲し、吸血するのだが、成虫はほっそりとした体型に比較的大きな翅を持っていて、たくみに空中移動ができるからだろう。その成虫の姿は、例えばヒメセアカバエなどのケバエ類などに似ていなくもない。

 さてさて、最後になったが、クビアカサシガメ幼虫を探していて面白いものが副産物として見つかった。どうやらタイワンクツワムシの卵と思われるが、地表近くの浅い場所から掘り出された(写真下)。

(写真上/E-330 14-54ミリズーム)
(写真下/E-3   35ミリマクロ+2倍テレコン)新開 孝

里芋 2008/03/08(その2)
 我が家の西側はひな壇状に畑となっており、そこを下って行くと谷津田に至る。

 先日も里芋の植え付けのことを書いたが、今日はひな壇の最上段となる畑で、農家の方が一人で種芋を植えていた(写真上、下)。ここの畑で耕作する農家の方はいつも日暮れ近くにやってきて作業することがほとんどで、聞いてみればご自宅は少し離れているそうだ。夏の頃は、真っ暗な中で草刈りをしていることもあった。

 作業の手を休める農家の方と、少し立ち話をしてみるが、その独特な訛り言葉はほとんど聞き取ることができない。「いも」「しょうちゅう」といったわずかな単語がわかるだけで、あとはチンプンカンプンだ。きちんと会話をしようと思えば、何度も何度も聞き直すか、あるいは自分なりに解釈できた内容を反復してその内容がどこまで正しく聴き取れているか判定を請うなどするしかない。
 この言葉の問題は、特にお年寄りの一部の方との会話において生じるだけで、通常の生活にはほとんど支障ない。
 日常生活に支障はないものの、私としてはたいへん困ることもある。私は仕事上、あちこちの山や農地などに入り込む。その場合は土地の方々にきちんと挨拶しなければならない。そしてできればその現場の過去の様子や、農業の営み方などについてなど土地の詳しい情報を得ておきたい。で、そのような現場で出会う方というのは、決まってお年寄りの方である。したがって、いつまでもチンプンカンプンとばかりも言っておれない。言葉の問題はかなり切実でもある。

 地方言葉の会話レッスンでもあればいいと思うが、もう実践会話で解読努力を積み重ねていくしかないようだ。

(写真/E-330 14-54ミリズーム)新開 孝

クビアカサシガメ 2008/03/08
 アリジゴクの巣が見つかるような乾いた砂地。そのような環境に生息するサシガメの幼虫がいる。

 サシガメとはカメムシの仲間で、このグループは文字通り他の昆虫などを襲って吸血する、肉食カメムシだ。このところ分布を北上させて東京にまで進出したヨコヅナサシガメなどもサシガメ科の代表種と言えるだろう。
 ただし、このサシガメをうっかり指でつまんだりすれば、チクリと刺されることもある。刺されればこれはけっこう痛い。しかもズキン、ズキンとくる痛みが1週間以上続く場合もあるから御用心のほどを。

 さて、クビアカサシガメ幼虫はなぜか、砂地に好んで棲んでいる。そして体には砂粒を付着させ、自らの姿を回りの環境に見事に同化させている。まさに忍法、砂隠れの術、とういうわけだ(写真上)。
 彼らは砂地に紛れて秋冬を過ごし、成虫へと羽化するのは5月〜6月にかけてだ。

 今日はそのクビアカサシガメ幼虫を砂地から掬い出してみたのだが、彼らは脚をすべて体にぴったりと貼付け、微塵とも動かない。つまり死に真似をする。その継続時間はたいへん長く、多少いじったところでまったく動くことが無い。頑固だ。
 しかし、面相筆を使って彼らの体についた砂を剥がす作業をしばらく進めていくと、急にモゾモゾと息を吹き返したように動き出す。ウ〜ン、もう堪らん、とばかりしっかりと脚をふんばって、歩き出す(写真中)。

 クビアカサシガメ成虫の姿は夏の時期に木々の梢で見かけるが数はそう多くはない。ここに紹介した成虫の写真(写真下)は、昨年の6月末ころに、今日幼虫を見つけた同じ砂地で撮影したものだ。

(E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)
 

 新開 孝
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