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雪山 2008/03/07(その1)
 九州では雪景色にはほとんど縁が無いないだろうと思っていたし、実際、三股町やその周辺で積雪のある山容を見ることはほとんど無いに等しい。

 しかし、今日は南阿蘇の道を走ってみると、さすがに阿蘇の山々では雪を冠った山容を見ることができ、おもわず観光写真を撮ってみた(写真上/高森町からの眺め)。

 昆虫写真でも冬越し絡みのシーンでは雪を必要とされ、積雪が身近にないというのも、ちと寂しいと感じることもある。とはいえ、日本の各地でも冬に雪がほとんどないという地域もけっして少ない訳ではないから、冬=雪という捉え方もイメージ上の押しつけではないか、と反発したくなることもある。東京にいたころも、積雪はほんの一日か数日程度であって、そのような短期間の積雪を冬のイメージにこじつけるのもなんとも無理があるような気がしていた。
 ま、しかし雪はたしかに冬にしか降らないし、いくら反発しようと、冬のイメージを端的に示そうとすれば、どうしても雪景色となってしまうのは仕方が無い。

(E-3 14-54ミリズーム)新開 孝

久留米の自然を守る会 2008/03/07
 昨日、ベニツチカメムシ生息地を案内して下さった方は「久留米の自然を守る会」の会員でもあり、写真の『ひとつの川から見えるもの』(2008年1月)という本を会では出されている。

 本書は筑後川支流の高良川流域の自然全般、そして人の営みまで含めた環境読本として構成されている。身近な自然、里山の自然とはいったい何なのか、その具体的な資料集でもあり、またその考察内容はたいへん示唆に富む。

 われわれが失った自然とは何か?を見つめ直すことも大事だ。そして、目の前にある自然とは一体どうなっているのかと、今の現状をきちんと見つめ続ける努力も絶やしてはならないだろう。生物の営みを見つめるということは、本来とっても楽しいことである。楽しいからいろんな人が、それぞれのやり方で嵌っていく。
新開 孝

ベニツチカメムシの越冬 2008/03/06
 本日は福岡県、久留米市へと赴いた。都城ICから久留米ICまで車で約3時間。
目的はベニツチカメムシの越冬の様子を撮影すること。

 今回は久留米市在住の方にご案内いただいた。昆虫をはじめ自然を広く、熱心に観察なさっている方で、以前からベニツチカメムシの情報についていろいろと教えていただいていた。

 さて、現場に着いてみるとボロボロノキはどれも道沿いにあって、きわめて観察がし易く、これなら年間を通しての継続観察も容易であり、生態を写真撮影する上でも最上の条件を備えていると思えた。

 で、越冬中のベニツチカメムシは樹の根元の隙間や落葉層の隙間などに集団で潜り込んでいた(写真上、中)。いづれの場所もボロボロノキの樹の根際近くか離れていても2メートル以内だった。しかし、その越冬集団を見つけるには、根気よく掘り探す必要がある。集団の規模は数匹から20〜30匹くらいであった。
 
 越冬場所は陽射しが入らず、適度な湿度が保たれる場所であり、その条件はたいへん微妙であるように感じる。彼らが土中や落ち葉のベッドの中に潜り込むのは、ある程度、温度変化の少ない安定した場所なのであろう。

 今後、ベニツチカメムシの繁殖期に入ってから、再び今日のフィールドを訪れてみようと考えている。本種を観察する上で、ボロボロノキをきちんと識別できることが必須である。今日はその冬芽をじっくりと観察してみた(写真下)。ボロボロノキについてはその情報が少なく、まずは自分の目でじっくりと観察していくしかないようだ。

 問題はこのボロボロノキをできるだけ早く、三股町近辺でも見つけ出すことだと思っている。

(写真/E-3  50ミリマクロ)

 『RAWデータ』

 昨年の暮れあたりから、デジタル撮影時の記録モードはRAWデータのみにしている。これはデータの軽量化を計るためであり、他には最近のビュワソフトが優れてきてどのメーカーのRAWデータ表示にも対応できるようになったことにもよる。

 しかし、今日出先に持ってきたPowerBookにはOLYMPUSの専用ソフトがインストールされていないことをうっかり忘れていた。そこで急遽、30日限定お試し版をオリンパスのサイトからダウンロードしてRAW現像をすることができた。ホームページに写真画像をアップするには軽量なJPGデータに変換する必要があるが、これもなんだか面倒だなあと感じる。

 明日は南阿蘇周辺を巡る予定だが、道路情報によるとちょうど行程の国道ではタイアにすべり止めが必要とのこと。たしかに阿蘇地方は遠目にも積雪が多い。いったいどうなるのだろう?

 

新開 孝

今日の桜島 2008/03/05
 本日は鹿児島県の霧島市と垂水市方面に出掛けてみた。風も穏やかで空気も澄み、風景撮影には絶好日和と思われた。

 風景を探しながらハンドルを握れば、たちまち昆虫のような小さな生き物を見る目はほとんど効かなくなる。一度だけアカタテハの姿を車中から見つけたが、撮影はできなかった。一箇所に留まっている時間はわずかだから、今日はそれも仕方が無い。

 垂水市の海岸線を走っている間、桜島の山容が見事だった(写真上)。手前の波穏やかな海面では魚の養殖筏がたくさん並んでいる。内海は豊かな魚場となるようだ。それにしても海水が綺麗に澄んでいる。そして山間部を流れる水路はどこも清らかだ。
 山のせせらぎと、海の海水とがひとつにつながっていることを感じて、なんだかたのもしい気がしてきた。豊かな自然とはなんだろうか?そう考えるときにやはり水なんだなあ、としみじみと思う。水なんだ。

 ところで鹿児島県のお墓は、どこも屋根付きであることが多く、ちょっと驚く(写真中、下)。うちの近所にもそういうお墓が少しあるが、屋根を構える理由についてはまだ調べていないので、たいへん不思議でならない。

(写真/E-330  14-54ミリズーム)
 
 新開 孝

モンシロチョウ、春型の羽化 2008/03/04
 先日、紹介した小松菜のプランターについていたモンシロチョウ蛹が今朝、羽化していた(写真上)。

 今日も北西の風が猛烈に吹き荒れ、午後からまるで砂嵐となってしまった。その強風に煽られながらも、モンシロチョウは必死にプランターにしがみついていた。風があるぶん、気温は低く感じるが日射しそのものはかなり強く、地面やプランターなどの温度はけっこう上がっていたと思う。

 モンシロチョウの顔をアップで撮影してみたが、正面から見た顔は意外とつまらない。それは顔らしい表情が弱いからだ。しかもモンシロチョウのイメージに反して?恐い目つきだ(写真中)。いや恐いのはいいのだが、どこが眼でどこが口?といった顔の基本形が見えてこないのが寂しいのだと思う。その理由ははっきりしていて、モンシロチョウって、ずいぶんと毛深いのだ。横から見ると少しはモンシロチョウのイメージが伝わるかも(写真下)。

  虫が毛深い?それってほんと?毛虫のことじゃない?

 そういうふうに、少しでも興味をもっていただければ良いのだが、世の中は忙し過ぎるようだ。

(写真上/E-330  魚眼8ミリ)
(写真中、下/EOS-5D  65ミリマクロ)

新開 孝

イッシキトゲハムシ(タケトゲハムシ)、ふたたび 2008/03/03
 今朝は黄砂がひどく吹き荒れ、咳が止まないのでマスクをかけた。外を出歩く気があまりしなかったが、うちの林のイッシキトゲハムシをもう一度しっかりと観察してみた。

 とはいえ、彼らはササの葉裏に張り付いたようにじっと静止しているだけだ。風も強いから仕方が無いのだろう。葉っぱに張り付いたままの姿勢でよく吹き飛ばされないものだと不思議に思い、室内に持ち帰ってから脚の様子を観察してみた。

 彼らの脚先は厚いパッド状になっており、そこがまるで粘着材を塗ってあるかのごとく、ササの葉表面にピタリと貼付く。その吸着力は接地面積からしてみれば相当なものと想像できる。そうした状態からノコノコ歩き出すわけだが、そのときに吸着盤が葉の表面から瞬時にはずれる仕組みはどのようになっているのだろうか?とこれまた不思議でならない。

 それにしても、このイッシキトゲハムシがせめてカナブンくらいの大きさもあれば、またたくまに昆虫界のスターになれただろうなあ、と残念でならない気もする。

(写真/EOS-5D 65ミリマクロ)新開 孝

2008/03/02
 このところ、近所の畑ではトラクターがせわしく動き、特にサトイモの植え付けが盛んである(写真上/サトイモの種芋。写真中/サトイモ畑)

 今の農業はかなり機械化されているとはいっても、作業過程で人出が必要な場合も多々ある。先月はご近所の農家の方から手伝って欲しいという電話を受けたが、生憎嫁さんは風邪で寝込んでいた。電話の応対を横で聞いていた私としては、できれば自分がすぐにでも駆けつけたい気持ちもあったのだが、どうしても急ぎの仕事があって、それが叶わなかった。

 私としては地元に馴染む努力を惜しまず、なおかつ農業のことも実体験してみたいと考えている。しかし、そのタイミングがうまく合ないのがもどかしいところだ。

(E-3 14-54ミリズーム)

 『カメラを手にした動機とは、、、、』

 昨日、あるテレビ局の方が私のうちを訪れてくれた。今年も何かとお客さんが多いけれど、特に遠路はるばる来ていただくのは何とも申し訳ない気もする。
 いろいろとお話をしているうちに、私がカメラを持つきっかけとは何だったのか、という質問を受けた。

 たしかにその動機については、これまでほとんど書いたことも喋ったこともないような気がする。私がカメラとか写真について興味を強く抱き始めたのは、写真家、田淵行男の『安曇野』という写真文集に出会ったことが大きかったと思う。

 それは高校生の頃、大学進学間近の微妙な時期ではなかったと思う。当時、松山市内の「丸三」という本屋にはよく立ち寄っていた。この本屋では昆虫専門雑誌の「昆虫と自然」と「月刊むし」を市内では唯一扱っていたからでもあり、足繁く通うちに写真文集『安曇野」という一冊の本に心惹かれたのであった。
 山岳写真家であり、優れたナチュラリストでもあった田淵行男の感性に大いに影響を受け、幾度となくその文章や写真に触れたくて、本屋に通い詰めた。そして当時としては高額な写真文集を買い求めるまでにはかなりの時間を要したのであった。
 

 

 新開 孝

木のシルエット 2008/03/01(その2)
 写真上は近くの柿の木。樹齢は若くどこがどうという木でもないが、ぽつんと忘れ去られたように孤立しているこの木は、なんとなく気に掛かる。これから先5年、10年後と年月を重ねていくと、この柿の表情も違ってくるのだろう。
 
 写真下は庭のクヌギの木。背景は霧島山。このクヌギは夏場には心地良い日陰を作ってくれていたが樹液もそこそこ出ていて、そして幹にはヤママユの卵もたくさんついている。

(写真上/E-330  14-54ミリズーム)
(写真下/E-3 14-54ミリズーム)新開 孝

モンシロチョウ、舞う 2008/03/01
 今日はほんとうに暖かい一日だった。西風が強かったけれどそれでも日射しは強く、朝からモンシロチョウが3頭ほど庭に飛来した。

 モンシロチョウは春型の新鮮なオスばかり。どの個体も神経質そうに思えたので、EOSキッスデジタルNに100ミリマクロの組み合わせで撮影してみたが、これは明らかにレンズ選択の誤りだった。中途半端な写真なら撮らないほうがよかったと後悔した。
 久しぶりに春らしい躍動感ある場面に出会して、すこし焦ったようだ。今日からまた、玄関にはレンズ付きのカメラを置くようにしてみた。

 宮崎県三股町では、春本番間近という気配が強く漂う。


新開 孝

夕暮れ 2008/02/29(その2)
 庭の西側に一本の大きなクヌギがある。

 このクヌギがつくる日陰のおかげで、夏には強い日射しを避けることができ、まさに天然クーラーの役目を果たしてくれた。ところがこのクヌギについては、西隣の畑を耕す農家の方から、畑にとっては落ち葉のことや日射しを遮るということで、切らせて欲しいと言われていた。前の住人とは話がついており、その約束通りに切らせてもらう、ということだった。

 しかし、これは話がおかしい。前の住人はもうここにはいないのだ。もしもクヌギを切りたいなら、前の住人うんぬんではなく、私とあらためて交渉し直すべきだ。どうしたものかと思っていたら、そのクヌギを切りたいとおっしゃっていた農家の方は、土地の持主となにかもめ事があったようで、畑には来なくなった。

 つまりうちの敷地の西側に隣接する畑は、地主の方が別の農家の人に耕作を委託していたのであった。そしてそのあとに、あらたに耕作の委託を受けた農家の方がやってきて、畑では焼酎用のさつまいも作りを昨年の6月から始めていた。今年に入ってここ数日間、2回目の耕作が始まっているところだ。
 次に来た農家の方は寡黙でありながら、ときどき嫁さんとは会話をしているようだ。その会話のなかでも、例のクヌギを切らせて欲しいということはないそうだ。

 (写真/E-330  50-200ミリズーム) 

 新開 孝

モンシロチョウ 2008/02/29(その1)
 先日、24日にモンシロチョウ春型がうちの庭を飛んでいた。これが今年のモンシロチョウ初見ということになる。すぐにも紹介したかったが、成虫の写真を撮ることができなかった。

 そこで気になって、近くの畑で見つけてあったモンシロチョウ蛹を覗いてみれば、たしかに羽化済みの蛹殻をいくつか確認できた。つまり昨年の暮れから観察していた越冬蛹が、このところ次々と羽化しているようである。

 しかし一方、うちの庭のプランターに植えてある小松菜(写真上)では、モンシロチョウ幼虫がいて、このところの穏やかな日射しを受けて、元気に活動している(写真中)。この幼虫たちは昨年の暮れに産卵された卵からふ化したものだ。おそらく3令〜4令だろう。寒さの厳しいときは葉陰でじっと耐えて、ゆっくりゆっくりと成長しているようだ。つまり、少なくともこの三股町ではモンシロチョウの越年ステージには蛹と幼虫の二通りがあると言えるだろう。

 小松菜のプランターにはスジグロシロチョウ蛹とこれ以外にモンシロチョウ蛹が4個もついていた(写真下)。

(写真上、下/E-330  魚眼8ミリ)
(写真中/E-3  50ミリマクロ+2倍テレコン)新開 孝

桜島と鹿児島ラーメン 2008/02/28
 「桜島」の名称の由来にはいくつか説があるようだが、その噴煙を上げるどっしりとした山容を眺めていると、たしかに何故「桜島」なのか?と不思議に思えてくる。

 写真は、鹿児島市内の城山公園展望台から撮影した今日の「桜島」。じつはこの展望台に立つのはこれで2回目となる。1回目は14年前の1月末だった。
 その14年前、私はあるビデオ映像の仕事に関わり、生き物コーディネーターとして随伴したのであった。鹿児島県の様々な自然を映像に納める作業のなかで、昆虫の冬越しシーンをいくつかまとめる必要があった。
 その中でもシジミチョウの仲間のムラサキツバメ越冬集団の撮影については、ずいぶんと想い出深い。ビデオスタッフと城山自然遊歩道を登りながら、ここならいるはず!と横道にそれたところに越冬集団を見つけることができ、無事に撮影できたのであった。

 今日はその14年前の現場を再び訪れてみたわけである。桜島をまだ見たことが無いという嫁さんを伴って。しかし、ムラサキツバメ越冬集団のポイントはすでに様変わりしたのか、どうしてもその場所を見つけ出すことができなかった。

 城山公園を歩き回ったあとは、ずいぶんとお腹が減った。せっかくだからと町に出て、鹿児島ラーメンを食べに行ってみた。友人から聞いていた店は「のり一」。ここは塩ラーメンのみだが、たしかに旨い!昨年11月に50円値上げしたようだが、それでも(中)と(大)がそれぞれ300円と350円。女性でも大は無理無く食べれる量だった。お腹が減っているときはおにぎりか、ご飯も頼んだほうがいいかもしれない。

(写真/E-3 14-54ミリズーム)

新開 孝

ヤママユの卵 2008/02/27(その2)
 今日はよく晴れたが、気温は低くしかも風がたいへん強かった。

 玄関出て、林のクヌギを見上げると雲の配置が心地良い。さっそくカメラを取ってきて戻ってみたが、もうその心地良かった配置は崩れてしまっていた(写真上)。風が強いと雲の撮影も難しい。

 さて、前から気に掛かっていたコナラの枝を高枝ノコギリで切り落としてみた。隣のモチノキの梢と枝がぶつかっていて、窮屈そうだったからだ。落としたコナラの枝を見てみれば、ヤママユの越冬卵がたくさんついていた(写真中)。
 この卵が産卵されたのは昨年の7月から9月の間。そしてこのあと卵がふ化するのは4月ころとなる。卵が受精卵かどうか調べてみると、中にはシロオビタマゴバチの幼虫が入っていた(写真下)。この寄生バチの幼虫が大事そうにお腹に抱えているのはおそらく排泄物だろう。

 してみれば、たくさん産み付けられたヤママユ卵の全ての運命は決まったようなもの。春になって卵から次々と姿を現すのは、シロオビタマゴバチの成虫ばかり、ということになるだろう。ヤママユにとってはまさに災難だ。

(写真上、中/E-3  14-54ミリズーム)
(写真下/E-3    ズイコーマクロ20ミリ、手動絞り/F8) 

 新開 孝

ウラギンシジミ 2008/02/27(その1)
 近くの公民館裏にはオガタマノキが一本植えられてある。

 昨年はそこを通りかかるたびに、ミカドアゲハの卵や幼虫の姿をしつこく探してみた。5月のころはなんともいえない香ばしい臭いが花から漂っていて、オガタマノキを見上げながらしばし佇む時間はまさに至福のひととき。しかし、結局、卵も幼虫も見つからなかった。

 夕方、犬の散歩途中にオガタマノキの下で休んでいると、ウラギンシジミの姿が目に入った。じつはミカドアゲハの越冬蛹でもついていないかと、まだしつこく嗅ぎ回っているのである。ウラギンシジミは越冬場所から移動してきて、このオガタマノキの葉裏でビバークしていたのだろう。

(写真/リコー Caplio GX100)

新開 孝
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