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『アシナガバチの親子』 2008/02/26
 「ぼくたち親子だよ」シリーズ(全5巻)旺文社刊、のうち『ダンゴムシの親子』と『アシナガバチの親子』の写真を私が担当し、このあと武田晋一さんが『カタツムリの親子』『ザリガニの親子』『アマガエルの親子』の写真を担当される。すでに『カタツムリの親子』も刊行されたが、このシリーズは図書館向け専用なので今の所、書店に並ぶことはない。

 こういった写真単行本の仕事で、私が写真のみ提供するというやり方は、これまで『親子でたのしむストロー工作』(福音館書店)と『うんちレストラン』(ポプラ社)の2冊のみ。いづれも本作りに際して、ライターや編集者の方と数回は会って相談しながら進めたが、今回の「ぼくたち親子シリーズ」では編集会社の方と2回お会いしただけで仕事が進んでいった。

 生き物の親子というコンセプトで、どういう本ができるのか、いろいろと試行錯誤しながら自分なりに撮影をしてみた。しかし、撮影を一通り終えて写真データを編集者の方へ手渡したあとになって、自分の写真を一体どうやって料理し、そしてどんな文章が出来上がっていくのだろうか?といささか不安にもなったものだ。

 それでもダンゴムシのほうは、もしも編集作業の結果、足りないカットやあらたな注文が出てきても充分に対応できる準備はできていた。しかし困ったのはアシナガバチの方だった。アシナガバチは営巣期間が終了してしまえば、ハチはみんな分散してしまう。被写体が一斉にいなくなってしまう。その時期はだいたいどの巣でも同じで、しかも年一回しか営巣はしない。当たり前だが、撮影は巣があってさかんに育児を行なっているうちに全てを撮りきらないといけない。
 一旦は写真データを手渡したあと、しばらくして自分でもこういうカットは必要だったなあ、と思いついたシーンが出て来てしまった。そこで一旦離散した新女王をなんとか捕獲し、撮り足りなかったシーンを撮影しておいた。そのシーンはやはり役に立った。

 ところが編集者の方からの追加注文の一つに、かなり難しいシーンの要求が入っていた。撮れてしまえばどうということのない写真なのだが、その時点で手元に確保できていたハチは一匹しか残っていなかった。撮影の難易度としては中くらいだが、相手は生き物だ。撮影がうまくいくまでに弱ったり、最悪死んでしまってはアウトだ。通常なら撮影の段取りとしてはハチが数匹以上確保できていることに付け加え、ある程度、撮影に時間が掛かる、という二つの条件が絶対に必要だった。写真データ入稿の締め切り日も目前で時間の余裕はあまりなかった。

 しかしとりあえず私は期限付きで撮影することを編集者の方に約束し、撮影してみた。これはちょっとした賭けだったと思う。結果は何とか使えるシーンの写真が撮れた。じつは撮影直後、虎の子一匹のハチには逃げられてしまい、もっと撮影チャンスが欲しいところだったが断念するしかなかった。締め切り日が来てしまい、それまでに追加のハチを捕まえることができなかったからだ。

 先週、東京の飯田橋駅近くのレストランでお会いしたのは「親子シリーズ」を編集した編集会社の方とそして『アシナガバチの親子』の文章を書いていただいた童話作家の深山さくらさんだった。深山さんとは初対面。

 深山さくらさんは今回のシリーズ中、『ザリガニの親子』の文も書かれたそうだ。物語を創作するという仕事は、私などにはとても想像のつかないたいへんな作業かと思うのだが、その辺のことを御聞きしたかったなあ、とあとで思った。しかし、私が今の自分の田舎暮らしのおしゃべりをダラダラとしたせいもあって短い時間もあっというまに過ぎてしまった。

 作家の方にお会いするのが本が出来てから、というのも珍しいような気もするが、写真がすでにある中で、そこから物語を組む場合に、事前にあまり詳しい情報などあっては、かえって邪魔になるのかもしれない。
 私の仕事は昆虫という生き物のドキュメンタリーを写真と文で表現することだ。しかし、いづれは私の撮った写真をまったく別の方が眺めて感じたままに構成するような本作りもまたしてみたくなった。もしもそれが童話本になるなら、それもいいのかもしれない。

 童話作家の深山さくらさんのホームページは、こちら↓

   http://miyamasakurasaku.com/ 
 
 
新開 孝

イッシキトゲハムシ(タケトゲハムシ) 2008/02/25
 天気情報によれば、明日から天候が崩れるとのことで、今日は串間市方面へロケハンに出掛けていた。フィールド探索も大事だが、自分の車が走っている道がどこからどこへと抜けるのか、地形や道順を体で覚えていく作業も必要だ。ついでに昨年見つけたムササビのねぐらも覗いてみたが、今日はいなかった。しかし寝床はしっかりとしていたから、また戻ってくるのではと思った。

  さて、うちに帰ってからたいへん気に掛かっているオオテントウのことをネットで調べてみれば、『土佐の自然ギャラリー』や『相模国の自然』というサイトで餌の情報が出ていた。どうやらオオテントウはササ類につくアブラムシ類を(例えばササコナフキツノアブラムシなど)を食べるということだ。
 先日、私の林の縁でオオテントウを見つけたことは、なるほどそれなら合点だ!

 そこで急遽、オオテントウの餌となるアブラムシを探してみた。ササコナフキツノアブラムシに関しては、昨年からまったく見かけず、このアブラムシを餌とするゴイシシジミも死骸を一頭見ただけだ。したがって、ツノアブラムシのコロニーを見つけておきたい、という気持ちも強かった。しかし、ついにツノアブラムシ類は見つからず、他のアブラムシが一種だけ見つかった。そのアブラムシがオオテントウの餌となるかどうかは、あとで調べてみたい。

 ササを丁寧に見ていくと、あちこちでイッシキトゲハムシ(タケトゲハムシ)の成虫が見つかった(写真)。数はたいへん多い。どれも必ず葉裏に張り付いたようにじっとしており、葉っぱを触ってもまったく動かない。
 本種は昨年の8月11日に紹介したことがあるが、成虫も幼虫もササ類の葉を餌とする。今の時期に見つかる成虫は、はたして越冬から目覚めて活動を始めたものなのか、それともこれが越冬スタイルなのか?私には判断しかねる。

(E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
新開 孝

朝日選書『昆虫にとってコンビニとは何か?』 2008/02/24(その2)
 この本の表題を見て最初は驚いた。このようなテーマの絞り込みで一冊の本が書けるものだろうか?そう単純に驚いてしまったのだが、手に取ってみると本書は「昆虫にとって○○とは何か?」という問いかけ28項目で構成されていることがわかった。

 著者の高橋敬一さんは自称「カメムシ採集人」を名乗っていらっしゃるが、じつは農学博士で優れた昆虫学者であり、たいへん濃い虫屋さんである。『八重山列島昆虫記』という著書を以前に読み、高橋さんのことを少しは知っていた。しかし、本書は自然に対する人の認識論まで踏み込んだ、かなり思想的な部分にまで及ぶ考察記となっており、読み応えのある異色な一冊。

 とくに21、22章の「昆虫にとって昆虫マニアとは何か?」、「昆虫にとって昆虫採集禁止論者とは何か?」というくだりは、語り難いところをうまく整理して手短くさらりと論じていて、たいへん共感を得た。
 
 昆虫と文明の関係を考察する本書とは、ときおりヒステリックにあるいは情緒的に報道するテレビや新聞報道の自然関係記事を読むについて、健全な解毒剤として一読すべき本と思える。新開 孝

ギンシャチホコの繭 2008/02/24
 ギンシャチホコの繭は、茶色に染めた東京ドームとでも形容できるだろうか(写真上)。大きさは長径が3.5センチ程度。かなり固い。ドーム全周の裾は白く、ところどころに風抜き穴が見られる。薄膜でドームテントをしっかりと支えているかのようだ。茶色の屋根部分と白い裾の部分も全体に固く、どうやら幼虫が吐いた絹糸には、繭完成時に糸を固くする成分を含んだ液体が塗り込まれたのではないかと想像する。

 私の林ではこの繭を樹の幹や朽ち木上などあちこちでよく見かける。繭が付着している場所の共通点は、いずれも接地面が固くて頑丈なこと。接地面の状態は平面に近い所から細枝の曲面までとさまざまだが、丸枝の直径はせいぜい13ミリ程度が許される曲率度として限界のようだ。それ以上に細い枝では繭が紡がれることはないように思われる。

 この茶色ドームがギンシャチホコの繭であると判明したのは昨年の8月頃だった。ギンシャチホコの幼虫は私の林のコナラやクヌギで多数見つかり、飼育した結果、繭の形状も知ることが出来た。ここに昨年撮影したギンシャチホコ幼虫の写真も載せておこう(写真中、下)。ギンシャチホコ幼虫はいかにも奇怪な姿をしているが、周囲の葉っぱにうまく溶け込んでしまい隠蔽効果はけっこう高い。

 ギンシャチホコは、いづれ固い繭に穴を穿ち、成虫が羽化して姿を現すのだが、その羽化脱出口は綺麗な丸穴となっている。これはイラガの繭のようにあらかじめミシン線がしこまれていて、内側から強く押せばそこがハッチのようにポッカリと開くという仕組みなのだろうか?
 ギンシャチホコ成虫の羽化シーンをどうしても見てみたいものだ。そのためにせっせと繭を集めてもいる。

(写真上/E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
(写真中/EOSキッスデジタルN シグマ50ミリマクロ)
(写真下/E-330 8ミリ魚眼)

新開 孝

タラノキとクヌギカメムシ 2008/02/23
 タラノキとクヌギカメムシの両者になんの関係もない。たぶんそう思う。

 今日は朝から西風がたいへん強く、まるで春一番のように感じた。たしかに気温も高めで、強風の割には寒くない。東京に赴いていた数日間に宮崎ではいきなり
春が進行したのではないか、そんな落ち着かない気分になった。

 そこで小さな春探しをしてみた。といっても、場所は私の林とすぐ近所の畑など。
 クヌギの幹に産み付けられたクヌギカメムシの卵塊ではすでにふ化が始まっていた(写真上)。クヌギカメムシは関東地方でも2月中にふ化が始まるから、宮崎でのふ化時期としては何も驚くことはない。むしろ宮崎という暖地にしてはふ化時期が遅いなあと感じる。
 私の林では写真の卵塊2つしか見つかっておらず、観察不足もあるのだろうけれど、大きなクヌギが周辺には少ないせいかもしれない。クヌギカメムシは幹回りの太く大きなクヌギに好んで産卵する。ふ化した幼虫たちは緑色のゼリー物質を吸汁しながら芽吹きを待つ。つまりゼリー物質は離乳食とも言えるわけだ。

 タラノキも覗いてみたが、さすがに冬芽は固いままだ(写真中、下)。刺が小さく少ない樹は、メダラというらしいが、そのメダラは私の林にも生えていると思う。

※20日の記事の写真は、クリック拡大すると画像が荒れていましたが、これを改善しました。新開 孝

宮崎の今日は雨 2008/02/22
 昨日の朝は柏市から都内へ移動。つくばエクスプレス(成田エクスプレスと前には書いたけれど)で秋葉原に着いた時から、あたまの中がクラクラしてきそうになった。ともかく東京は人が無茶苦茶に多い。
 飯田橋近くのレストランで編集者とライターの方とお会いしたあと、さらに出版社へ移動。私としては異色な読みもの本の企画を相談。

 今回は東京でいろいろな方とお会いして喋ってきたが、いづれも有意義な時間であった。人と顔を合せてお話するということは大切なことだと改めて感じる。今は仕事の打ち合わせなどもメールなどで迅速にできてしまう時代ではあるけれど、微妙なニュアンスをお互いに共有して仕事を進める上では、相手の顔が見えてなおかつ同じ空気を吸うことが大事だと思う。

 さて、昨夜はそして東京滞在最後の夜。池袋のお気に入りの居酒屋にて、昆虫カメラマンお二人、ライター、フォトライブラリーのスタッフの方と、まあ生き物好きの業界仲間たちが集結してささやかな新年会を催した。仕事仲間でもあるけれど、むしろ友達仲間の色濃い集まりと言えるだろう。午後6時から宴が始まり、店を出たのはもう零時。話は昆虫写真から映画の趣味、海外遠征の体験談等々、数限りない話題で盛り上がった。

 今朝は羽田空港に向かう前に、池袋のジュンク堂書店に立ち寄ってみた。

(1)蠢動 〜昆虫食フェア 水ぬるみ、虫甘き春〜 
  7Fカウンター前 2月12日〜3月10日
(2)世界の昆虫食展 〜虫食む人々の暮らし〜 
  パネル作製・展示協力 伊丹市昆虫館 7F壁面 2月2日〜2月29日
 
 という催しがあったからだ。

 東京は快晴だったけれど、宮崎に戻ってみると雨だった。そして霧の濃い三股町に帰り着いたのは午後5時半ころだった。


 『ホームページのリニューアル』

 東京から宮崎に移転したこともあって、さすがにこの『新開孝の昆虫写真工房』もリニューアルせねばと思っており、その準備を始めているところです。『昆虫ある記』というタイトルも変えるのが当然、という意見の方もいらっしゃるのですが、そのあたりのことはまだ迷っております。少なくともこれからはバックナンバーをもう少し見易くするつもりです。

 それと現在の表紙にある『最新情報』については、昨年の3月の清瀬での写真展告知がそのままで、これを勘違いなさった方が少なからずいらっしゃることも、今回の上京中に知りました。その犠牲者の方々にはほんとうに申し訳ないと思い、出来る限りリニューアル作業を迅速に進めたいと考えています。
新開 孝

北温泉 2008/02/20
 本日は栃木県、那須温泉郷に行ってみた(写真上)。
とくに「北温泉」は山間の谷間深くにあって、駐車場から雪の細道を400メートルも歩いて下る必要がある。しかし、雪に覆われた落葉樹林の光景を見るのは久しぶりでいかにも新鮮な気がした。

 天狗湯には巨大な天狗面が飾ってあり、下から見上げるとちゃんと鼻の穴もあることに初めて気づいた(写真中)。この天狗湯は混浴なのだが、残念ながらお客は私と友人の男二人きりだった。ほんとうに寂しい。しかし温泉は良かった。

 ゆっくり温泉につかったあと、駐車場の周辺でミズナラの冬芽を見てみたら、ジョウザンミドリシジミの越冬卵が次々と見つかった(写真下)。
 宮崎に戻ったら、霧島山の温泉を巡ってみたいと思った。宮崎に引っ越してから、まだ本格的な温泉に行ったことがないから、少し自慢できる温泉を見つけてみたい。

(写真/リコー Caplio GX100)新開 孝

三堀里山自然公園 2008/02/19
 昨日は羽田に到着後、小川町のオリンパスギャラリーに行った。
 写真展『小諸日記part4』の会場では海野和男さんにお会いする事ができた。いつもながら迫力のある写真に圧倒される。モニターで上映されていた動画のなかでも、ペルーの蝶の乱舞はとくに凄かった。
 海野さんからはいつも的確な批評をいただく。私の日頃の活動に対して、アドバイスや批評をしてくれる方はほとんどいない中、海野さんはズバリと指摘してくださるので、たいへんありがたいことだと思っている。短い時間だったけれど、気持ちが引き締まり、満足感に浸りながら次の目的の出版社へと向かった。

 今日は新宿御苑そばの出版社で打ち合わせのあと、成田エクスプレスに乗り継いで「柏たなか」という駅で降りた(写真上)。2年ほど前に開通した成田エクスプレスは、秋葉原とつくば市をつなぐ新線。駅では中学以来の友人が迎えに来てくれた。
 まだ時間もあったので、野田市の「三堀里山自然公園」に行ってみた。園内の日陰では雪も少し残っていた。昨日まではかなり寒かったそうだ(写真中)。
 公園のなかには水路や湿地もあってオナガやコガモなど水鳥も見られ、夏に来ればトンボもいろいろと期待できそうな雰囲気だ。一通り園内を巡ったが昆虫では朽ち木にあったコクワガタの産卵マークがあったくらいで、ハンノキの枝も見てみたがミドリシジミの卵は見つからなかった。

(写真/リコー Caplio GX100)
 
新開 孝

近所の小さな風景 2008/02/17
 明日からしばらく東京なので、今日はその準備に追われていた。

 それでも犬の散歩だけは欠かせない。夕日を正面に受けながら近くの「田の神様」を祭っている祠まで行ってみた(写真上、中)。
 仏像やお地蔵さんはこのところ気になって、じっくりゆっくり眺めていたくなる。この場所までの散歩というのはじつは短縮コースであり、犬には申し訳ないが家路を急いだ。まだやり残していることがあって、荷造りもこれから。

 牛の干し草を詰めたこのでっかい塊(写真下)は、正式には何と呼ぶのかまだ聞いていないのだが、うちの近所にはあちこちに見かける。初めて見る人は白いオブジェがそこかしこにあって不思議に感じるだろう。それにしてもずっと置いたままでいつ使うのだろうか?と不思議に毎日眺めている所もある。賞味期限はやはりあるのだろう。バリッと豪快に割いて、中の干し草を取り出すところを一度、見てみたいものだ。

 さて、小川町OLYMPUSギャラリーでは海野和男さんの写真展『小諸日記part4』が開催中だから、羽田に着いたらまずはOLYMPUSギャラリーに直行しようと思う。

(写真/E-500  14-54ミリズーム)

※ 白いポリエチレンのかたまりは「ロールベージサイレージ」というそうです。ある方から教えていただきました。これを作る場面を何度か見ましたが、いつか写真撮影もしておきたいと思っています。

新開 孝

野ネズミの死骸 2008/02/16
 今朝は久しぶりに霜が降りて、かなりの冷え込みだった。地面には霜柱があちこちに出て、踏むとジャリジャリと音を立てる(写真上)。

 野ネズミの死骸を冬の時期に見ることは、これまでにも何回か経験がある。
しかし、その死骸の様子を仔細に見るにつけ、どうして死んでしまったのだろう?という不可解な疑問が残る。ざっと見たところ大きな外傷が見当たらないからますます不思議だ。

 今朝の野ネズミは、まだ幼獣のようでハタネズミなのかそれ以外なのか定かでない。厳しく冷え込んだ朝の中、凍りついたような野ネズミの姿は、つい先程まで元気に走り回っていた姿を想起させるものがある(写真中)。

 すでに時刻は午前7時15分だから早朝とも言えないが、この御馳走をめざとく 見つけたのは我が家の飼い犬、チョロだった。本来ならモズとかカラスとか、いくらでも飛びついて来る天敵がいるはずだ。

 昼頃になって野ネズミの解凍も済んだ頃に、白バックで撮影してみた(写真下)。新開 孝

ジョウビタキのメス、ふたたび 2008/02/15
 本日もノートパソコンを打ちながら、窓の外をときおり眺めてみた。昨日、落ち葉はきをした場所をさらに今度は鍬で地面を耕しておいたのだ。
 するとしばらくしてジョウビタキのメスがやってきた。耕された地面に頻繁に舞い降りては何やら獲物をついばんでいる様子。これなら獲物をくわえとった瞬間を撮影できるチャンスもあるかもしれない、そう思って少しだけパソコンから離れた。
 
 ジョウビタキは2回だけ、かなりでっかいミミズを捕らえた。思わず気合いを入れてカメラを構えたが、ジョウビタキは2回ともミミズをくわえたまま、林の奥の倒木までさっさと移動してしまった。大きなクヌギの倒木上で何度もミミズを叩き付けながら、時間をかけて飲み込んでいたようだ。どうやら、獲物が大きく暴れることもあって、足場のしっかりして、しかも獲物を打ち付けることのできる場所を必要としたのではないだろうか。
 こういうことはシジュウカラでも同じことを経験したことがある。大きな獲物を捕らえるとまずは落ち着いて食事できる場所へと一気に移動してしまうのである。もちろん近くにカメラを構えた人間がいたことも影響しているだろう。

 ともかくジョウビタキの姿をずっと追っていても、ほとんど獲物の姿の確認すらできない。アッと言う間もなく飲み込んでしまう。いろんなポーズの写真をいくら撮ってもまったく面白くないので1時間程度で撮影は切り上げた。しかし、あとで写真を仔細に見ていると、睫毛のような白い毛が可愛い。

 ジョウビタキの動きにつられてか、一度だけメジロが地面近くまで降りてきてさかんに餌探しを始めた。その動きはたいへん敏捷で、数枚撮影した写真はどれも眼にピントが来てなかった。

 (写真/E-3  50-200ミリズーム+2倍テレコン/写真下は、写真中をトリミングしたもの)新開 孝

ジョウビタキとシロハラ 2008/02/14

 デスクワークが続く日々のなか、あまりにもよく晴れて気持ちが良いので、少しジョウビタキを撮影してみた。この冬、私の林ではジョウビタキのメスをよく見かける。オスも何度か姿を見せたが、メスのナワバリなのだろうか、オスは私の林にはほとんど寄りつかない。

 ジョウビタキのメスは前にも書いたように、私が林で作業をしているとどこからともなく現れて、作業で枝や落ち葉をどかした場所にしばらく居着く。そしてさかんに地面に舞い降りては何やら獲物をついばんでいる。これは田畑でトラクターが耕していると、そこへサギのなかまが集まってきて、トラクターの後を追いながら飛び出してくる獲物を食べる光景とよく似ている。人が何かしら環境に働きかけた結果、鳥にとっては良好な猟場ができたというわけだ。

 さて、ジョウビタキは人への警戒心が薄いため、追い撮りでもそこそこの大きさで撮影できる。しかし、今日は撮影に割ける時間はあまりない。そこそこの大きさで写真を撮影するには根気よく追いかけたり、待ちぶせしたりとけっこう時間も必要だ。
 そこでちょっと遠回りだが、撮影ポイントを定めてその附近の地面の落ち葉かきを行なった。面積は4畳半ほどでいい。タイミングが良ければ、熊手が立てるガサガサという音を聞きつけてすぐにもジョウビタキがやって来ることもある。
 今日はしばらく姿を現さないので、パソコンに向かいながらときどき窓の外を眺めて待ってみた。しばらくパソコンのキーボードを打っていると、「カッツ!カッツ!」と小石同士を打ち合わせるようなさえずりが聞こえてきた。落ち葉かきを行なってから10分程度だろうか。ジョウビタキにつられてか、4羽のビンズイも地面に集まっていた。

 そこで50-200ミリズームレンズに2倍テレコンを装着して、さっそく外に出て撮影してみた。レンズは35ミリ判換算だと最長で800ミリということになる。カメラはもちろんE-3だから、しかもなんと手持ち撮影も可能。
 ビンズイはすぐに梢へと飛び去ってしまったが、ジョウビタキはかなり超アップの写真も何カットか撮影できた。しかし事前のカメラポジションの位置決めがおざなりだったので、どれも前ボケや後ろボケが鳥の体にかかってしまい使えないカットばかりだった。しかもジョウビタキが捕らえる獲物はどれも小さく、一瞬にして飲み込んでしまい、獲物をくわえたところは撮影できず面白くない。

 ジョウビタキの活動を聞きつけたのだろうか、シロハラが林の奥から飛んできた(写真下)。 さすがにシロハラはジョウビタキよりか警戒心がはるかに強いので、距離は倍近く遠い枝に止まった。しきりとジョウビタキが降り立つ地面を覗き込んでから、カメラを構える私を一瞥して立ち去っていった。

 数日前から朝早い時間帯にうちの林のクヌギのてっぺんで、シジュウカラがさかんにさえずるようになった。シジュウカラは繁殖期に入ったようだ。

(写真/E-3  50-200ミリズーム+2倍テレコン/ストロボFL-50)新開 孝

ベニツチカメムシの越冬について 2008/02/13
 今日の写真は、昨年11月22日に佐賀県で初めて出会ったベニツチカメムシ。

 昨年、11月末に佐賀県で撮影したベニツチカメムシ集団を、私はうっかり越冬態と思い込んでしまった。これについて、ここで訂正したい。

 ベニツチカメムシは、本格的な冬に入ってからは地表へと下り、倒木下の隙間や落ち葉の下などへと移動する。したがって植物上に形成していた集団の状態で越冬するわけではないようだ。
 実を言うと私はベニツチカメムシ越冬態についての報文を事前に読んで知ってはいたのである。しかし、11月末ということもあって現地ではかなり冷え込み、目の前の集団はこのまま冬を越すのだろとすっかり思い込んでしまった。
 
 ベニツチカメムシは12月以降になってから集団を解き、地表部の越冬場所へと離散するようだが、そこでも小規模な集団は見られるようだ。

今回、ベニツチカメムシ越冬の情報については、福岡の方からわざわざ手紙をいただきました。ありがとうございました。
新開 孝

スカンポと赤い鳥井 2008/02/12
 田んぼの畦に群れているスイバの株には、こうして赤く染まっているものが多く、夕暮れの日射しに透けて綺麗だった(写真上)。
 よく見れば、ベニシジミ幼虫の食べ痕と思われる穴ぼこもあった(写真中)。ベニシジミは若い幼虫で越冬するが、暖かい日などは冬でも少しずつスイバやギシギシの葉を食べている。おそらくベニシジミの幼虫たちの中には、すでにかなり大きく育ったものもいることだろう。

 スイバにはシュウ酸を含んでいるので、葉っぱを噛むと酸っぱい。だから「酸い葉」と呼ばれている。スイバの別称は「スカンポ」だが、イタドリのことも「スカンポ」と呼んで子供のころにはちょっとしたおやつになった。ポキンとイタドリの茎を折り取って、外皮をバナナのようにツルリと剥いてから食べると、少し酸っぱいけれど水分が多くコリコリとした歯触りを楽しんだ。

 さて、散歩道の一つにこの鳥井がお目見えしたのはごく最近のことだったと思う(写真下)。昨年の暮れ近くだったろうか。じつはこの鳥井の場所には以前はゴミが不法投棄されており、はなはだ不愉快な場所となっていた。ゴミが捨てられる理由ははっきりしており、この場所は入り組んだ所で公道から目が届かないからだ。
 しかし、鳥井の威力はやはり功を奏したと思われる。鳥井を設置した理由がなんであれ、「ゴミ捨て人」もさすがに鳥井の前ではたじろいたようだ。

 だがだが、しかし。「ゴミ捨て人」がそうたやすく引き下がるわけがない。
つい最近になって、久しぶりにこの場所を通りかかってみれば、なんと鳥井の反対側にあたる薮のなかにゴミがどーんと捨てられていたのである。「ゴミ捨て人」につける薬は無いようだ。

(写真/リコー Caplio GX100)

 新開 孝
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