| うちから近い場所の山の稜線にはわずかだが照葉樹が点在する。もはや林というほどではないが、見上げるようなスダジイやカラスザンショウの巨木も何本かある。このあたりも私の散歩コースの一つだ。
前に見つけた林道沿いのイノシシのぬた場を覗いてみた(写真上、中)。ぬた場の奥の林内では、木の根元にこすりつけられた泥も生々しい(写真下)。泥浴びしたあとのにおいづけなのだろう。
今ではこの近所の山はほとんどが杉植林になっているが、かつては照葉樹林で覆われた緑濃い森だったのだろう。植林は「緑の砂漠」とも言われるようにイノシシなど草食動物にとってはたいへん住みにくい環境だ。間伐など行き届いた管理が施され明るい林を維持できれば、植林の林床にもさまざまな植物が生えて、そこではイノシシも豊富な餌を得ることができる。 イノシシは増えているのか、減っているのか?国内で捕獲されているイノシシの数は年間7万頭という。そして捕獲されるイノシシの年齢は比較的若い傾向になりつつあり、大きい個体は少なくなってきているそうだ。若いうちに狩猟の対象となって大きく成長する個体が減っているのだろう。 いくら繁殖力の強いイノシシでも全国的に豊かな森や林が減少しているのだから、今後、増えていく可能性は低いだろうと感じる。 いづれにせよ、人とイノシシが接触する機会が増えているのは確かだ。餌の豊富な森を失ったイノシシが農作物に走るのもごく当然のことだろうと思う。
シシ鍋はおいしい。この授かりし恵みは、森の恵みといえる。森はもっと見直されていいのではないか、といつも感じる。
(写真/リコー Caplio GX100) | |