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ヒメナガメの卵 2008/03/22(その2)
 庭のアブラナはずいぶん長く花を咲かせており、これまで多数の昆虫たちが訪れている。
 種から蒔いて育てたアブラナは、昨年の暮れ頃から花を咲かせ始めたのだからすでに3ヶ月も経ている。

 さて、今朝はアブラナの長角果(果実)でヒメナガメの卵塊が見つかった(写真上、中)。卵塊を撮影していると、近くで交尾しているカップルもいた(写真下)。写真では下の個体がメス。お腹も大きく膨らんでいる。

新開 孝

アマガエルの今日とは 2008/03/22(その1)
 庭の竹筒の中には一昨日からずっと、一匹のアマガエルが潜んでいる。
 
 このところ雨もなく乾燥しているから、昼間はさすがに動かない。夜も出歩くことはないのだろう。そう思うのも、同じねぐらにきちんと戻ってくるとは考えにくいからだ。

 今日ふたたび竹筒アパートを窺ってみれば、アマガエルの体色上には緑色が増えてきていた。アマガエルの体色は回りの環境の色や模様に影響を受けて変化することは知っているが、このように竹筒内にじっとしたままで、色変わりするということはどういうことだろうか?
 そこで少し調べてみると、アマガエルの体色変化には、光りだけでなく、気温、湿度の変化なども影響するらしい。

 なお、写真のアマガエルが潜んでいる位置は、竹筒の切り口から1センチほど奥になる。撮影には内蔵ストロボにさらに外部ストロボ2灯を加えないと光りが回らない。

(写真/OLYMPUS E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)

 新開 孝

ヤマトヤブカの水面羽化 2008/03/21(その2)
 先日、紹介したオニボウフラがこのところ羽化するものが出て来た。
 羽化した成虫を調べてみれば、本種はヤマトヤブカと思われる。

 さて、今朝になって羽化しそうなオニボウフラを見つけたので、しばらく観察してみた。場所は庭の西側に置いている睡蓮鉢の中だ。

 羽化間近となったオニボウフラは、ピンピンと動くことはできるが、もはや自力で水中へと沈むことはできない。その浮力は、オニボウフラの体内に取り込まれた空気層によるものだろうか。新しい成虫の体とオニボウフラつまり蛹の体皮との隙間に空気が入ったせいだろうか?

 水面に浮遊しながら、やがて羽化が始まる。羽化直前には細長い腹部がピンと真っすぐになり、その形態はSF映画「2001年宇宙の旅」の探査宇宙船にそっくりだ(写真上)。エビのように曲がっていたオニボウフラが、こうして体を一直線状にすると、羽化はすぐに始まる。まずは胸部の背中がパックリと割れる。

 水面で羽化した成虫はしばらくは、そのままの姿勢で体がしっかりするのを待つしかない。つまり、彼らは水面上をアメンボのごとくスイスイと移動することはできないのだ。風が吹けば、その風下へと流されるに身をまかせるしかない。
 しかし、翅がしっかりと乾くと、この翅をはばたきながら、それはさながら水上飛行機のように水面移動が可能となる。

 今回の撮影は風もあって、かなり苦労させられた。ともかく被写体であるオニボウフラは水面を流れていくのである。それもいきなりあらぬ方向へとクルクル回転しながら、、、、。

 ヤマトヤブカはあまり人からは吸血しない。だから昨年の夏も、家屋の中で蚊に刺されたことはほとんどなかったのだが、その理由もわかったような気がする。
 蚊に刺されるのは、ササが繁っていた林の際に近づいたときくらいだったが、そういった環境ではヒトスジシマカなどが多かったのだろうと思う。

 (写真/E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)

新開 孝

竹筒の中のアマガエル 2008/03/21(その1)
 昨日、紹介したアマガエルは、気になって今日も覗いてみれば、まだ竹筒の中に留まっていた(写真)。

 しかし今日もかなり暖かい一日だったから、さすがにどこかへと移動しただろうと思い、午後6時頃になって再び覗いてみれば、なんとアマガエルの姿があった。

 竹筒の中はよほど居心地が良いのか、それともまだアマガエルにとっては春本番と感じられないのか、とかいろいろと想像してみたくなる。
 アマガエルの顔を、よ〜く見れば、薄い緑色も迷彩色さながらににじみ出ている。

(写真/OLYMPUS E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)
新開 孝

アマガエル 2008/03/20(その2)
 竹筒アパートを点検してみた。
 竹筒の切り口はどれも、親蜂が施した蓋がそのままだから、昨年、竹筒の空洞内で成長した花蜂や泥蜂の子供たちはまだ巣内で眠っていることだろう。もちろん寄生されたりして、無事に生きているかどうかはわからないのだが。

 さて、その竹筒の穴の一つに変わったお客さんがいた(写真上)。

 アマガエルだ(写真下)。竹筒の色に合せてか、顔が白っぽい(おそらく体全体)。この場所に入り込んだのはこのところの陽気のせいで、冬眠から目覚めたあとだろうか。しかし、ちょうど良い隠れ家を見つけたものだ。

(写真/OLYMPUS E-330  14−54ミリズーム)新開 孝

モンシロチョウのねぐら 2008/03/20(その1)
 ベニシジミ幼虫の食草ともなるギシギシとスイバ。
 両種とも田の畦道などに多く生えている。どちらかと言えば、スイバのほうが私は好きで、ベニシジミ幼虫探しをするならスイバしか見ない。
 スイバは葉っぱもおとなしく、赤みを帯びていたりして綺麗だし、花穂も桃色が鮮やかである。一方、ギシギシはライオン草とも呼ばれるように、その生命力の逞しさはあるが、波打つ葉っぱの猛々しさが好きになれない。花穂の色も地味だ。

 しかし、今朝は逆光に透けたギシギシの葉が、まるで海中の潮のうねりに揺れる昆布のようにも見えて、思わず足を止めた。午前7時半。
 それでもっとよく見ようと、ギシギシに近寄ってみればモンシロチョウが一列に並んで止まっていた。これは集団ねぐらだ。全部で6匹いる。
 おそらく互いの姿を見てから次々とそこへと集まったのだろう。
 確認できた4匹はオスだった。

(写真/OLYMPUS E-330   14-54ミリズーム)

新開 孝

鬼ボウフラ 2008/03/19
 庭の手水の水面には多数のオニボウフラが漂っている(写真上)。

 オニボウフラとは、蚊の蛹のことで頭部に呼吸角という突起が一対あることからそう呼ばれている。蚊の蛹は、体をくねらせてエビのような遊泳ができる。
 オニボウフラが泳ぐときには、尾端の遊泳片という一対の団扇をたくみに使う。この遊泳片の形状も、種類を見分けるときに役立つらしい(写真中)。

 オニボウフラの体を仔細に見ると、成虫の体の脚や触角、翅などがスケルトン状になってよくわかる(写真下)。


 さて、今日のオニボウフラがやがて羽化すれば、成虫の形態から種名の同定も可能となるだろう。

(写真上/E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
(写真中/EOS-5D  65ミリマクロ)
(写真下/E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)新開 孝

イチゴの味とは 2008/03/18
 これまでの「昆虫ある記」で、果物が登場するのは日向夏や金柑に次いで、3回目かと思う。

 私が幼少の頃に味わっていたイチゴと、今の時代のイチゴとはその味があまりにもかけ離れていることに気付いたのは、少なくとも10数年前のことだと記憶している。ほんとうはもっと前だったのかもしれないが、ともかくイチゴはずいぶんと様変わりした。品種改良が盛んなことは、何もイチゴに限ったことではないが、もうかなり前から、イチゴの味に魅力を感じない。まあ、滅多にイチゴを食べることもないけれど。

 昔、イチゴと言えば、酸っぱかった。しかも固かった。だから砂糖をまぶしながら酸味をおさえながら食べたものだ。でもそれが美味しかった。歯ごたえがしっかりとあり、砂糖に混じり合った果汁がまた何ともいえない味わいだった。

 しかしながら、「甘い」、「柔らかい」。この二文字に先導されて改良されていく果実や野菜がなんと多いことか。
 食物の味の好みに対しての個人差は大きい。だから、それぞれの嗜好に合せて味の中身が多様化することも自由だろうと思う。でもやはり、どこか変だと感じることが、このところの日常の食卓ではあまりにも多いように思う。
 このことは例えば、トマトの品種についても強く感じる。以前、トマトの味については、ある雑誌にエッセイを書いたこともあるが、柔らかい、甘いの二言で何もかもの味わいを極上と決めつける風習には、どうしても馴染めないのだ。

 そういうなかで、私の住む宮崎の日向夏は、とてもおいしい果物の一つだ。酸味があって、果汁もたっぷり。味わいがどこかおとなしく、何といっても素朴さが良い。果物は旬の食べ物だ。それを無理して人工的に造ろうとすれば、やはりどこかおかしくなる。

(写真/E-3  50ミリマクロ+1.3倍テレコン)
 

 
新開 孝

モンシロチョウの今日 2008/03/17
 先日、紹介したモンシロチョウの卵が今朝になって、ふ化した。 

 ふ化した幼虫は、なぜか卵殻に乗っかったままで、その姿勢のままで卵殻を食べてしまった。残念ながらこの写真は、仕事では使えない。

 モンシロチョウはこのところ、うちの庭では毎日のように産卵していくので、いろいろな段階の卵が手に入る。しかし、卵の産み付けられた位置によっては、撮影に向かないことも多々ある。ルーペを片手に、日々、モンシロチョウの卵を眺めるのも、仕事の一つだ。

(写真/E-3  OLYMPUSオートベローズ+ズイコー38ミリマクロ)

今日になって、うちの近辺ではツマグロキチョウが少なからず生息していることに気付いた。ときには庭にもやってくる。去年はまったく見ていないから、少し奇妙にも感じる。
 新開 孝

今朝の柿の木 2008/03/16(その2)
 春の到来はうれしいけれど、その歩みをもう少し緩めて欲しいと思うこともある。

 冬の間にやり残したことがいくつもあって、それらはほとんどが室内作業だ。しかし、今の時期に朝から晩まで部屋にこもっていることなどできない相談だ。
 3月半ばともなったが部屋の中は寒く、外はポカポカ陽気という状況は変わらない。とくに仕事部屋は朝からずっと気温が上がらず、ますます外に出ていたくなる。室内気温が外気温よりか低いという現象は、これから先の季節では有り難いのだが、まだまだその恩恵に預かるほどでもないからなんとも悩ましい。

 今朝は犬の散歩の途中で、いつもの柿の木を撮影してみた。
 朝日の射し込み始めたころで、強烈な逆光を浴びている条件だった。写真はOLYMPUS Studioで自動トーン補正を使い、暗部を立ち上げてみた。

 (OLYMPUS E-330 14-54ミリズーム)

新開 孝

ジロボウエンゴサク 2008/03/16(その1)
 漢字では「次郎坊延胡索」。ケシ科キケマン属Corydalisにはよく似た種類が多くある。本種もCorydalisの仲間だが、数日前から近所のあちこちの草むらで花を見かけるようになった。

 ジロボウエンゴサクの花は、これまでにも撮影する機会はよくあったが、今日は花の一つ一つをクローズアップしてみた。蕾みも含めてたいへん面白い形をしている。

 今日もかなり気温が上がって、うちの林ではナミアゲハがせわしく飛んでいた。モンシロチョウはたいへん多い。昨日はベニシジミもアブラナの花に来ていた。

(OLYMPUS E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)新開 孝

イッシキトゲハムシ(タケトゲハムシ)の春 2008/03/15
 今日はとても暖かい一日だった。車は窓を開けたままでないと暑過ぎるくらい。

 以前、うちの林で見つけた多数のイッシキトゲハムシはどうなったか、様子を見てみた。おそらくなんらかの動きがあるはず、そう思ってササの葉っぱを一つ一つ見上げてみた。すると以前見たほどの数はいなくて、やっと交尾つがいを2組と単独個体の1匹を見つけただけであった。

 どうやらイッシキトゲハムシは配偶行動を終えつつあって、交尾を終えたメスは次々と分散していったのではないか、そう思えるのであった。

 オスがメスの後ろからマウントして交尾は行なわれるが、メスの背面の刺がいかにも邪魔のように見える。交尾はちゃんとできるのだから、別に問題はないのだろうが、トゲハムシが装っている刺とは一体何なんだ?と思いたくなる。
 しかし逆に考えれば、生活に支障無い範囲なら、生き物はどんな格好でもできる自由があるのだ、とも言えるだろう。とことん、デザインを凝ってみたり、ひねくれた形態をしようと、首尾よく生きていける限りはどんな姿をしても許されるということだろうか。

(OLYMPUS E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)

新開 孝

小学校でのお話とは 2008/03/14
 上の子供は、小学6年生。卒業式までの登校日もあとわずか6日間を残すだけ。
 そこで今日は、私が6年生のクラスに赴いて、昆虫のお話の授業講演を行なった。生徒も先生も父兄も、皆が顔馴染みとなっているような小さな学校だからこそこういうことも実現できる。

 6年生の生徒数は女子5名に男子3名とあわせて8名。机も教室の前半分に寄せて納まるからじつにゆったりとしている。ようやくクラスみんなの顔と名前を憶えたかと思えば、もうお別れというのも実に寂しい気がする。これまでの一年間、行事のあるごとに卒業アルバム係として撮影に出向いてきたのだが、その一年はあっという間に過ぎ去ってしまった。一つ一つの行事はどれもじつに楽しいものだった。

 虫のお話にはやはり写真も必要だ。A1のパネル5枚にA4プリント写真を目一杯貼付けて、これを黒板に掲げてみた。それは写真絵本のページを大きくしたようなものとなった(写真上)。
 内容は「三股町の昆虫」と題して12種。そして「虫の子育て」と題して5種類の昆虫を取り上げてみた。時間の制約や子供達のキャパシティを考えると、「虫の子育て」は3種程度にしておくべきだったと途中で気付いた。

 お話の前半部分は、私の仕事上でのエピソードを少しお話したが、その内容は20年前と5年前の二つの仕事に関わることで、自分でも懐かしい想い出となっている。

 授業が終わって、職員室で給食をいただいた(写真下)。今日はたまたま宮崎名物の「チキン南蛮」。普段はご飯のようだが、これも今日はたまたまお米パン。うちの子供達は、給食の量が足りないと不満のようだが、それも無理ないかなあと感じた。しかし、これくらいだと、お腹の出たおじさんにはちょうどいいがなあ、とも思える。
 
 それにしても今回、自分の子供を目の前にしてお話をするというのも初めての経験だった。それでちょっと緊張してしまったが、得るものもあった。

 うちに帰ってから、子供がポツリとひと言。
 「お父さん、早口だよ!早過ぎるよ!」だった。

 たしかにそれは自分でも感じていたが、こうして指摘してもらえたのは有り難いことだ。お話のあとの質問時間で、うちの子だけが手を上げなかったが、それでもそれなりに聞いてくれてはいたようだから、少しは安心できた。


新開 孝

おいしそうな変形菌 2008/03/13(その2)
 地面に横たわったコナラの朽ち木で、変形菌の子実体を見つけた。
 子実体の高さは2〜3ミリ程度。変形菌は別名、ホコリカビとも呼ばれる。
 
 写真の子実体は、なんだか綿菓子のようでもあり、ユーモラスだ。そっと触れてみると、ホコリのような胞子が煙のように舞う。


 (写真/E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)
 (撮影地/三股町 上米公園))

  今日は三股町の矢ヶ淵公園でしばらく虫探しをしていたら、めがね橋のすぐ下流で、ヤマセミが私の姿に驚いて飛び立った。ヤマセミはそのまま近くの枝に止まり、しきりに鳴いていた。すると姿の見えないもう一羽が鳴き交わし始めたから、雌雄がすぐ近くに居合わしていたのであろう。川の対岸であり距離も離れていたが、ヤマセミはずいぶんと警戒心が強い鳥だ。
 にぎやかな鳴き交わしのすぐ直下の川面を、カワセミが一直線に通り過ぎていった。そして目の前のアカメガシワの梢では、先程からジョウビタキのオスが何度も何度もフライキャッチングを繰り返している。
 このような光景を学生の頃の私なら、かなり興奮して見ていたはずだ。今はそれほどでもないが、しかし、こうして身近な環境にヤマセミが棲んでいるというのは嬉しいことに変わりない。虫探しの手を休めて、しばしヤマセミの同行を観察してみた。
 カワセミに関しては、ときおりうちの庭の中を通り過ぎていくこともあって、去年の春にはうちの林のわずかな崖で巣穴を掘っていた。水辺の生き物としては他に、オニヤンマのオスが夏にはよく庭の中をパトロール飛行していた。

 
新開 孝
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