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高倍率接写 2008/03/10(その1)
 OLYMPUSにはかつて、すばらしい接写システムがあった。

 他のどこのメーカーにも無い独自の接写システムのため、とりわけ自然写真家の中には、何がしかの形でOLYMPUS機材を使う人は多かった。私も昔はメイン機材はPENTAX645だったけれど、同時にOLYMPUSの接写レンズ数本と OMシリーズのボディ3台を使っていた。

 さて、今のフォーサーズ オリンパスEシステムでは、レンズとコンバーターの組み合わせにより(35ミリマクロ+2倍テレコン)、35ミリ判換算で倍率4倍の接写撮影ができる。もっとも実質倍率では2倍なのだが、、、、。それでもこれはたいへん優れた接写システムではある。レンズが軽いからだし、描写力も良い。

 しかし昆虫写真では、例えば今日のようなモンシロチョウの卵の写真をアップで撮影する場合、倍率4倍程度ではまだまだ倍率が足りない、ということになる。モンシロチョウの卵はその高さにして1ミリ足らず。これを画面上、目一杯に拡大撮影するには、10倍前後の倍率が必要だ。
 
 そこで旧OMシステムの資産を有効に使い、高倍率撮影を行なってみた。といっても大げさなことではなく、オートベローズにマクロ20ミリや38ミリレンズを取り付けただけのこと(写真上)。ただし、自動絞りで撮影するにはダブルレリーズがあった方が便利。
 写真のダブルレリーズはNikonの製品を使い、カメラ側のリモートケーブルはOLYMPUSのリモートケーブルRM-CB1に取り替えている(写真下)。E-3用のリモートケーブルを切断するわけだから、この工作にあたって2本のケーブルを購入しておいた。ちょっとした改造にもえらくお金が掛かるのだ。

 さて、ベローズとズイコー20ミリマクロの組み合わせでは、ベローズ最長時で倍率×13が得られ、ズイコー38ミリマクロでは最大倍率×5.7まで撮影可能だ。

 
新開 孝

モンシロチョウの卵 2008/03/10(その2)
 今日はほんとうに暖かい一日だった。地面にはいつくばっていると、日射しが肌に痛く感じるほど強かった。

 何匹ものモンシロチョウが庭を飛んでいたので、デスクワークの合間に少しだけ外に出てみた。するとプランターに植えてある小松菜には、モンシロチョウの卵が数個、見つかった(写真上)。

 卵の色からして、今朝、あるいは昨日あたりに産卵されたことがわかる。

 さっそく、ベローズを使ったフォーサーズ高倍率撮影のテストをしてみた。もっともテストというよりか本番のつもりだった。

 写真中は、ズイコーマクロ38ミリレンズ(実質倍率5倍)、
 写真下は、ズイコーマクロ20ミリレンズ(実質倍率13倍)、で撮影したもの。

 (写真上/E-3 50ミリマクロ+2倍テレコン)


(写真中下/E-3 OLYMPUSオートベローズ+高倍率マクロレンズ)


新開 孝

ヒメナガメ 2008/03/10(その3)

 庭のアブラナの花に訪れるセイヨウミツバチの数は、たいへん多くなった。寒い時期はせいぜい2、3匹だったのが、今では二桁を数えるほどだ。

 そのアブラナの花上に、ヒメナガメの姿もあった(写真)。

 ナガメとの区別は、胸部の紋様ですぐにわかる。

 (写真/E-3  50ミリマクロ+2倍テレコン)

新開 孝

激突事故 2008/03/09(その2)
 今年、1月8日の当「ある記」で、トラツグミがうちの家の窓に激突したのではないか、という記事を書いた。
 そのときは状況証拠からの推測であり、ほんとうにトラツグミが激突したかどうかは定かでなかった。

 しかし、今日、縁側で撮影した鳥の死骸は、紛れもなく激突死である。
なぜなら、鳥が窓ガラスにぶつかる瞬間を、室内で遊んでいた子供が見ているからだ。
 聞けば激突事故があったのは3日前の木曜日、午後5時過ぎとのこと。この日はよく晴れて、しかもこの時間帯だと室内の照明はまだつけていない。窓は西向きだが太陽の高さからして、日射しは室内まで射し込まない。つまり、外から見れば室内は薄暗く見えていただろうし、鏡面となって外界の様子が写っていたかもしれない。窓には鳥の羽毛がこびりついていた(写真上)。

 鳥が縁側で死んでいるという話を聞いたのは今朝のこと。
 犬が嗅ぎ付けると困るから見て、と嫁さんがいうのでさっそく私が見てみれば、事故死したのはビンズイだった(写真中、下)。すでに死後硬直が始まっている。あ〜、なんでもっと早く言ってくれないかなあ!

 数羽の群れで庭に降りて餌をついばんでいるビンズイの姿はよく見かけていたが、それがどうして1羽だけが窓へと激突したのだろうか?
 なにか差し迫ったことが生じ(例えばモズが急降下で襲いかかってきたとか)て、慌てて逃げる必要があったとか、いろいろ想像はできる。

 今朝、傘をさして犬の散歩をしていると、モズの♀のねだり鳴きを聞いた。きっと近くに♂がいたのだろうと思う。モズはすでに繁殖期に入っているのだ。そのモズも我が家の庭にはよくやってくる。

 昨日は、ツマキチョウやモンキチョウ、キタテハ、ルリタテハを近所で見ている。
 もう春だ。

(写真/リコー  Caplio GX100)
 
新開 孝

タイワンクツワムシの卵 2008/03/09(その1)
 今日は朝から雨。
 昨日はかなり気温が上がり、ポカポカ陽気だったが、今日は少し肌寒い。そこで、昨日のことをもう少し補足しておこうと思う。

 昨日紹介したクビアカサシガメの幼虫を見つけた場所は、道路によって削られた斜面の崖。崖のわずかにえぐれ部分は雨も掛からず、通年、乾いた砂地となっていてアリジゴクの巣穴がいくつも見られる(写真上)。
 砂粒を体にまとっているクビアカサシガメ幼虫を目で見て探すのはたいへん難しい。以前、群馬県水上のフィールドでは目視だけで探し出した経験はあるものの、時間的な制約もあって、昨日は砂地表面の砂をスコップで掬い、「ふるい」にかけて幼虫探しをしてみた。次々とアリジゴクの若い幼虫がふるいに掛かるのだが、目的のサシガメ幼虫はなかなか現れてくれなかった。ようやくのことで1匹の幼虫がふるいに掛かったのだが、その姿はとても生きた昆虫には見えないものだった。

 さて、クビアカサシガメ幼虫はこうした砂地環境に生息しているわけだが、このような環境にはアリジゴクの巣穴も多い。となると、サシガメ幼虫がアリジゴクの巣穴に落ちてしまう危険性もあるのではないか、という疑問が湧く。
 アリジゴクとの関わりもたいへん気になるが、クビアカサシガメ幼虫の生活についてはまだほとんど判っていない。およそ想像できる範囲では、砂に紛れて獲物が通りかかるのを待ち伏せし、獲物を察知できた瞬間にはすばやく襲いかかり、これを吸血するのではないか、などと考えている。
 アリジゴクの巣穴があるくらいだから、待ち伏せ式でもそれなりの獲物を得ることができるのだろう。

 クビアカサシガメの幼虫は、このようにたいへん極限された砂地環境に、まるではりつくような生活を送っている。ところが一方、ひとたび成虫へと羽化したあとの生活空間は、広い林の梢へと移る。そこでは様々な小昆虫を捕獲し、吸血するのだが、成虫はほっそりとした体型に比較的大きな翅を持っていて、たくみに空中移動ができるからだろう。その成虫の姿は、例えばヒメセアカバエなどのケバエ類などに似ていなくもない。

 さてさて、最後になったが、クビアカサシガメ幼虫を探していて面白いものが副産物として見つかった。どうやらタイワンクツワムシの卵と思われるが、地表近くの浅い場所から掘り出された(写真下)。

(写真上/E-330 14-54ミリズーム)
(写真下/E-3   35ミリマクロ+2倍テレコン)新開 孝

里芋 2008/03/08(その2)
 我が家の西側はひな壇状に畑となっており、そこを下って行くと谷津田に至る。

 先日も里芋の植え付けのことを書いたが、今日はひな壇の最上段となる畑で、農家の方が一人で種芋を植えていた(写真上、下)。ここの畑で耕作する農家の方はいつも日暮れ近くにやってきて作業することがほとんどで、聞いてみればご自宅は少し離れているそうだ。夏の頃は、真っ暗な中で草刈りをしていることもあった。

 作業の手を休める農家の方と、少し立ち話をしてみるが、その独特な訛り言葉はほとんど聞き取ることができない。「いも」「しょうちゅう」といったわずかな単語がわかるだけで、あとはチンプンカンプンだ。きちんと会話をしようと思えば、何度も何度も聞き直すか、あるいは自分なりに解釈できた内容を反復してその内容がどこまで正しく聴き取れているか判定を請うなどするしかない。
 この言葉の問題は、特にお年寄りの一部の方との会話において生じるだけで、通常の生活にはほとんど支障ない。
 日常生活に支障はないものの、私としてはたいへん困ることもある。私は仕事上、あちこちの山や農地などに入り込む。その場合は土地の方々にきちんと挨拶しなければならない。そしてできればその現場の過去の様子や、農業の営み方などについてなど土地の詳しい情報を得ておきたい。で、そのような現場で出会う方というのは、決まってお年寄りの方である。したがって、いつまでもチンプンカンプンとばかりも言っておれない。言葉の問題はかなり切実でもある。

 地方言葉の会話レッスンでもあればいいと思うが、もう実践会話で解読努力を積み重ねていくしかないようだ。

(写真/E-330 14-54ミリズーム)新開 孝

クビアカサシガメ 2008/03/08
 アリジゴクの巣が見つかるような乾いた砂地。そのような環境に生息するサシガメの幼虫がいる。

 サシガメとはカメムシの仲間で、このグループは文字通り他の昆虫などを襲って吸血する、肉食カメムシだ。このところ分布を北上させて東京にまで進出したヨコヅナサシガメなどもサシガメ科の代表種と言えるだろう。
 ただし、このサシガメをうっかり指でつまんだりすれば、チクリと刺されることもある。刺されればこれはけっこう痛い。しかもズキン、ズキンとくる痛みが1週間以上続く場合もあるから御用心のほどを。

 さて、クビアカサシガメ幼虫はなぜか、砂地に好んで棲んでいる。そして体には砂粒を付着させ、自らの姿を回りの環境に見事に同化させている。まさに忍法、砂隠れの術、とういうわけだ(写真上)。
 彼らは砂地に紛れて秋冬を過ごし、成虫へと羽化するのは5月〜6月にかけてだ。

 今日はそのクビアカサシガメ幼虫を砂地から掬い出してみたのだが、彼らは脚をすべて体にぴったりと貼付け、微塵とも動かない。つまり死に真似をする。その継続時間はたいへん長く、多少いじったところでまったく動くことが無い。頑固だ。
 しかし、面相筆を使って彼らの体についた砂を剥がす作業をしばらく進めていくと、急にモゾモゾと息を吹き返したように動き出す。ウ〜ン、もう堪らん、とばかりしっかりと脚をふんばって、歩き出す(写真中)。

 クビアカサシガメ成虫の姿は夏の時期に木々の梢で見かけるが数はそう多くはない。ここに紹介した成虫の写真(写真下)は、昨年の6月末ころに、今日幼虫を見つけた同じ砂地で撮影したものだ。

(E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン)
 

 新開 孝

雪山 2008/03/07(その1)
 九州では雪景色にはほとんど縁が無いないだろうと思っていたし、実際、三股町やその周辺で積雪のある山容を見ることはほとんど無いに等しい。

 しかし、今日は南阿蘇の道を走ってみると、さすがに阿蘇の山々では雪を冠った山容を見ることができ、おもわず観光写真を撮ってみた(写真上/高森町からの眺め)。

 昆虫写真でも冬越し絡みのシーンでは雪を必要とされ、積雪が身近にないというのも、ちと寂しいと感じることもある。とはいえ、日本の各地でも冬に雪がほとんどないという地域もけっして少ない訳ではないから、冬=雪という捉え方もイメージ上の押しつけではないか、と反発したくなることもある。東京にいたころも、積雪はほんの一日か数日程度であって、そのような短期間の積雪を冬のイメージにこじつけるのもなんとも無理があるような気がしていた。
 ま、しかし雪はたしかに冬にしか降らないし、いくら反発しようと、冬のイメージを端的に示そうとすれば、どうしても雪景色となってしまうのは仕方が無い。

(E-3 14-54ミリズーム)新開 孝

久留米の自然を守る会 2008/03/07
 昨日、ベニツチカメムシ生息地を案内して下さった方は「久留米の自然を守る会」の会員でもあり、写真の『ひとつの川から見えるもの』(2008年1月)という本を会では出されている。

 本書は筑後川支流の高良川流域の自然全般、そして人の営みまで含めた環境読本として構成されている。身近な自然、里山の自然とはいったい何なのか、その具体的な資料集でもあり、またその考察内容はたいへん示唆に富む。

 われわれが失った自然とは何か?を見つめ直すことも大事だ。そして、目の前にある自然とは一体どうなっているのかと、今の現状をきちんと見つめ続ける努力も絶やしてはならないだろう。生物の営みを見つめるということは、本来とっても楽しいことである。楽しいからいろんな人が、それぞれのやり方で嵌っていく。
新開 孝

ベニツチカメムシの越冬 2008/03/06
 本日は福岡県、久留米市へと赴いた。都城ICから久留米ICまで車で約3時間。
目的はベニツチカメムシの越冬の様子を撮影すること。

 今回は久留米市在住の方にご案内いただいた。昆虫をはじめ自然を広く、熱心に観察なさっている方で、以前からベニツチカメムシの情報についていろいろと教えていただいていた。

 さて、現場に着いてみるとボロボロノキはどれも道沿いにあって、きわめて観察がし易く、これなら年間を通しての継続観察も容易であり、生態を写真撮影する上でも最上の条件を備えていると思えた。

 で、越冬中のベニツチカメムシは樹の根元の隙間や落葉層の隙間などに集団で潜り込んでいた(写真上、中)。いづれの場所もボロボロノキの樹の根際近くか離れていても2メートル以内だった。しかし、その越冬集団を見つけるには、根気よく掘り探す必要がある。集団の規模は数匹から20〜30匹くらいであった。
 
 越冬場所は陽射しが入らず、適度な湿度が保たれる場所であり、その条件はたいへん微妙であるように感じる。彼らが土中や落ち葉のベッドの中に潜り込むのは、ある程度、温度変化の少ない安定した場所なのであろう。

 今後、ベニツチカメムシの繁殖期に入ってから、再び今日のフィールドを訪れてみようと考えている。本種を観察する上で、ボロボロノキをきちんと識別できることが必須である。今日はその冬芽をじっくりと観察してみた(写真下)。ボロボロノキについてはその情報が少なく、まずは自分の目でじっくりと観察していくしかないようだ。

 問題はこのボロボロノキをできるだけ早く、三股町近辺でも見つけ出すことだと思っている。

(写真/E-3  50ミリマクロ)

 『RAWデータ』

 昨年の暮れあたりから、デジタル撮影時の記録モードはRAWデータのみにしている。これはデータの軽量化を計るためであり、他には最近のビュワソフトが優れてきてどのメーカーのRAWデータ表示にも対応できるようになったことにもよる。

 しかし、今日出先に持ってきたPowerBookにはOLYMPUSの専用ソフトがインストールされていないことをうっかり忘れていた。そこで急遽、30日限定お試し版をオリンパスのサイトからダウンロードしてRAW現像をすることができた。ホームページに写真画像をアップするには軽量なJPGデータに変換する必要があるが、これもなんだか面倒だなあと感じる。

 明日は南阿蘇周辺を巡る予定だが、道路情報によるとちょうど行程の国道ではタイアにすべり止めが必要とのこと。たしかに阿蘇地方は遠目にも積雪が多い。いったいどうなるのだろう?

 

新開 孝

今日の桜島 2008/03/05
 本日は鹿児島県の霧島市と垂水市方面に出掛けてみた。風も穏やかで空気も澄み、風景撮影には絶好日和と思われた。

 風景を探しながらハンドルを握れば、たちまち昆虫のような小さな生き物を見る目はほとんど効かなくなる。一度だけアカタテハの姿を車中から見つけたが、撮影はできなかった。一箇所に留まっている時間はわずかだから、今日はそれも仕方が無い。

 垂水市の海岸線を走っている間、桜島の山容が見事だった(写真上)。手前の波穏やかな海面では魚の養殖筏がたくさん並んでいる。内海は豊かな魚場となるようだ。それにしても海水が綺麗に澄んでいる。そして山間部を流れる水路はどこも清らかだ。
 山のせせらぎと、海の海水とがひとつにつながっていることを感じて、なんだかたのもしい気がしてきた。豊かな自然とはなんだろうか?そう考えるときにやはり水なんだなあ、としみじみと思う。水なんだ。

 ところで鹿児島県のお墓は、どこも屋根付きであることが多く、ちょっと驚く(写真中、下)。うちの近所にもそういうお墓が少しあるが、屋根を構える理由についてはまだ調べていないので、たいへん不思議でならない。

(写真/E-330  14-54ミリズーム)
 
 新開 孝

モンシロチョウ、春型の羽化 2008/03/04
 先日、紹介した小松菜のプランターについていたモンシロチョウ蛹が今朝、羽化していた(写真上)。

 今日も北西の風が猛烈に吹き荒れ、午後からまるで砂嵐となってしまった。その強風に煽られながらも、モンシロチョウは必死にプランターにしがみついていた。風があるぶん、気温は低く感じるが日射しそのものはかなり強く、地面やプランターなどの温度はけっこう上がっていたと思う。

 モンシロチョウの顔をアップで撮影してみたが、正面から見た顔は意外とつまらない。それは顔らしい表情が弱いからだ。しかもモンシロチョウのイメージに反して?恐い目つきだ(写真中)。いや恐いのはいいのだが、どこが眼でどこが口?といった顔の基本形が見えてこないのが寂しいのだと思う。その理由ははっきりしていて、モンシロチョウって、ずいぶんと毛深いのだ。横から見ると少しはモンシロチョウのイメージが伝わるかも(写真下)。

  虫が毛深い?それってほんと?毛虫のことじゃない?

 そういうふうに、少しでも興味をもっていただければ良いのだが、世の中は忙し過ぎるようだ。

(写真上/E-330  魚眼8ミリ)
(写真中、下/EOS-5D  65ミリマクロ)

新開 孝

イッシキトゲハムシ(タケトゲハムシ)、ふたたび 2008/03/03
 今朝は黄砂がひどく吹き荒れ、咳が止まないのでマスクをかけた。外を出歩く気があまりしなかったが、うちの林のイッシキトゲハムシをもう一度しっかりと観察してみた。

 とはいえ、彼らはササの葉裏に張り付いたようにじっと静止しているだけだ。風も強いから仕方が無いのだろう。葉っぱに張り付いたままの姿勢でよく吹き飛ばされないものだと不思議に思い、室内に持ち帰ってから脚の様子を観察してみた。

 彼らの脚先は厚いパッド状になっており、そこがまるで粘着材を塗ってあるかのごとく、ササの葉表面にピタリと貼付く。その吸着力は接地面積からしてみれば相当なものと想像できる。そうした状態からノコノコ歩き出すわけだが、そのときに吸着盤が葉の表面から瞬時にはずれる仕組みはどのようになっているのだろうか?とこれまた不思議でならない。

 それにしても、このイッシキトゲハムシがせめてカナブンくらいの大きさもあれば、またたくまに昆虫界のスターになれただろうなあ、と残念でならない気もする。

(写真/EOS-5D 65ミリマクロ)新開 孝

2008/03/02
 このところ、近所の畑ではトラクターがせわしく動き、特にサトイモの植え付けが盛んである(写真上/サトイモの種芋。写真中/サトイモ畑)

 今の農業はかなり機械化されているとはいっても、作業過程で人出が必要な場合も多々ある。先月はご近所の農家の方から手伝って欲しいという電話を受けたが、生憎嫁さんは風邪で寝込んでいた。電話の応対を横で聞いていた私としては、できれば自分がすぐにでも駆けつけたい気持ちもあったのだが、どうしても急ぎの仕事があって、それが叶わなかった。

 私としては地元に馴染む努力を惜しまず、なおかつ農業のことも実体験してみたいと考えている。しかし、そのタイミングがうまく合ないのがもどかしいところだ。

(E-3 14-54ミリズーム)

 『カメラを手にした動機とは、、、、』

 昨日、あるテレビ局の方が私のうちを訪れてくれた。今年も何かとお客さんが多いけれど、特に遠路はるばる来ていただくのは何とも申し訳ない気もする。
 いろいろとお話をしているうちに、私がカメラを持つきっかけとは何だったのか、という質問を受けた。

 たしかにその動機については、これまでほとんど書いたことも喋ったこともないような気がする。私がカメラとか写真について興味を強く抱き始めたのは、写真家、田淵行男の『安曇野』という写真文集に出会ったことが大きかったと思う。

 それは高校生の頃、大学進学間近の微妙な時期ではなかったと思う。当時、松山市内の「丸三」という本屋にはよく立ち寄っていた。この本屋では昆虫専門雑誌の「昆虫と自然」と「月刊むし」を市内では唯一扱っていたからでもあり、足繁く通うちに写真文集『安曇野」という一冊の本に心惹かれたのであった。
 山岳写真家であり、優れたナチュラリストでもあった田淵行男の感性に大いに影響を受け、幾度となくその文章や写真に触れたくて、本屋に通い詰めた。そして当時としては高額な写真文集を買い求めるまでにはかなりの時間を要したのであった。
 

 

 新開 孝
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