| 庭の西側に一本の大きなクヌギがある。
このクヌギがつくる日陰のおかげで、夏には強い日射しを避けることができ、まさに天然クーラーの役目を果たしてくれた。ところがこのクヌギについては、西隣の畑を耕す農家の方から、畑にとっては落ち葉のことや日射しを遮るということで、切らせて欲しいと言われていた。前の住人とは話がついており、その約束通りに切らせてもらう、ということだった。
しかし、これは話がおかしい。前の住人はもうここにはいないのだ。もしもクヌギを切りたいなら、前の住人うんぬんではなく、私とあらためて交渉し直すべきだ。どうしたものかと思っていたら、そのクヌギを切りたいとおっしゃっていた農家の方は、土地の持主となにかもめ事があったようで、畑には来なくなった。
つまりうちの敷地の西側に隣接する畑は、地主の方が別の農家の人に耕作を委託していたのであった。そしてそのあとに、あらたに耕作の委託を受けた農家の方がやってきて、畑では焼酎用のさつまいも作りを昨年の6月から始めていた。今年に入ってここ数日間、2回目の耕作が始まっているところだ。 次に来た農家の方は寡黙でありながら、ときどき嫁さんとは会話をしているようだ。その会話のなかでも、例のクヌギを切らせて欲しいということはないそうだ。
(写真/E-330 50-200ミリズーム)
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