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三堀里山自然公園 2008/02/19
 昨日は羽田に到着後、小川町のオリンパスギャラリーに行った。
 写真展『小諸日記part4』の会場では海野和男さんにお会いする事ができた。いつもながら迫力のある写真に圧倒される。モニターで上映されていた動画のなかでも、ペルーの蝶の乱舞はとくに凄かった。
 海野さんからはいつも的確な批評をいただく。私の日頃の活動に対して、アドバイスや批評をしてくれる方はほとんどいない中、海野さんはズバリと指摘してくださるので、たいへんありがたいことだと思っている。短い時間だったけれど、気持ちが引き締まり、満足感に浸りながら次の目的の出版社へと向かった。

 今日は新宿御苑そばの出版社で打ち合わせのあと、成田エクスプレスに乗り継いで「柏たなか」という駅で降りた(写真上)。2年ほど前に開通した成田エクスプレスは、秋葉原とつくば市をつなぐ新線。駅では中学以来の友人が迎えに来てくれた。
 まだ時間もあったので、野田市の「三堀里山自然公園」に行ってみた。園内の日陰では雪も少し残っていた。昨日まではかなり寒かったそうだ(写真中)。
 公園のなかには水路や湿地もあってオナガやコガモなど水鳥も見られ、夏に来ればトンボもいろいろと期待できそうな雰囲気だ。一通り園内を巡ったが昆虫では朽ち木にあったコクワガタの産卵マークがあったくらいで、ハンノキの枝も見てみたがミドリシジミの卵は見つからなかった。

(写真/リコー Caplio GX100)
 
新開 孝

近所の小さな風景 2008/02/17
 明日からしばらく東京なので、今日はその準備に追われていた。

 それでも犬の散歩だけは欠かせない。夕日を正面に受けながら近くの「田の神様」を祭っている祠まで行ってみた(写真上、中)。
 仏像やお地蔵さんはこのところ気になって、じっくりゆっくり眺めていたくなる。この場所までの散歩というのはじつは短縮コースであり、犬には申し訳ないが家路を急いだ。まだやり残していることがあって、荷造りもこれから。

 牛の干し草を詰めたこのでっかい塊(写真下)は、正式には何と呼ぶのかまだ聞いていないのだが、うちの近所にはあちこちに見かける。初めて見る人は白いオブジェがそこかしこにあって不思議に感じるだろう。それにしてもずっと置いたままでいつ使うのだろうか?と不思議に毎日眺めている所もある。賞味期限はやはりあるのだろう。バリッと豪快に割いて、中の干し草を取り出すところを一度、見てみたいものだ。

 さて、小川町OLYMPUSギャラリーでは海野和男さんの写真展『小諸日記part4』が開催中だから、羽田に着いたらまずはOLYMPUSギャラリーに直行しようと思う。

(写真/E-500  14-54ミリズーム)

※ 白いポリエチレンのかたまりは「ロールベージサイレージ」というそうです。ある方から教えていただきました。これを作る場面を何度か見ましたが、いつか写真撮影もしておきたいと思っています。

新開 孝

野ネズミの死骸 2008/02/16
 今朝は久しぶりに霜が降りて、かなりの冷え込みだった。地面には霜柱があちこちに出て、踏むとジャリジャリと音を立てる(写真上)。

 野ネズミの死骸を冬の時期に見ることは、これまでにも何回か経験がある。
しかし、その死骸の様子を仔細に見るにつけ、どうして死んでしまったのだろう?という不可解な疑問が残る。ざっと見たところ大きな外傷が見当たらないからますます不思議だ。

 今朝の野ネズミは、まだ幼獣のようでハタネズミなのかそれ以外なのか定かでない。厳しく冷え込んだ朝の中、凍りついたような野ネズミの姿は、つい先程まで元気に走り回っていた姿を想起させるものがある(写真中)。

 すでに時刻は午前7時15分だから早朝とも言えないが、この御馳走をめざとく 見つけたのは我が家の飼い犬、チョロだった。本来ならモズとかカラスとか、いくらでも飛びついて来る天敵がいるはずだ。

 昼頃になって野ネズミの解凍も済んだ頃に、白バックで撮影してみた(写真下)。新開 孝

ジョウビタキのメス、ふたたび 2008/02/15
 本日もノートパソコンを打ちながら、窓の外をときおり眺めてみた。昨日、落ち葉はきをした場所をさらに今度は鍬で地面を耕しておいたのだ。
 するとしばらくしてジョウビタキのメスがやってきた。耕された地面に頻繁に舞い降りては何やら獲物をついばんでいる様子。これなら獲物をくわえとった瞬間を撮影できるチャンスもあるかもしれない、そう思って少しだけパソコンから離れた。
 
 ジョウビタキは2回だけ、かなりでっかいミミズを捕らえた。思わず気合いを入れてカメラを構えたが、ジョウビタキは2回ともミミズをくわえたまま、林の奥の倒木までさっさと移動してしまった。大きなクヌギの倒木上で何度もミミズを叩き付けながら、時間をかけて飲み込んでいたようだ。どうやら、獲物が大きく暴れることもあって、足場のしっかりして、しかも獲物を打ち付けることのできる場所を必要としたのではないだろうか。
 こういうことはシジュウカラでも同じことを経験したことがある。大きな獲物を捕らえるとまずは落ち着いて食事できる場所へと一気に移動してしまうのである。もちろん近くにカメラを構えた人間がいたことも影響しているだろう。

 ともかくジョウビタキの姿をずっと追っていても、ほとんど獲物の姿の確認すらできない。アッと言う間もなく飲み込んでしまう。いろんなポーズの写真をいくら撮ってもまったく面白くないので1時間程度で撮影は切り上げた。しかし、あとで写真を仔細に見ていると、睫毛のような白い毛が可愛い。

 ジョウビタキの動きにつられてか、一度だけメジロが地面近くまで降りてきてさかんに餌探しを始めた。その動きはたいへん敏捷で、数枚撮影した写真はどれも眼にピントが来てなかった。

 (写真/E-3  50-200ミリズーム+2倍テレコン/写真下は、写真中をトリミングしたもの)新開 孝

ジョウビタキとシロハラ 2008/02/14

 デスクワークが続く日々のなか、あまりにもよく晴れて気持ちが良いので、少しジョウビタキを撮影してみた。この冬、私の林ではジョウビタキのメスをよく見かける。オスも何度か姿を見せたが、メスのナワバリなのだろうか、オスは私の林にはほとんど寄りつかない。

 ジョウビタキのメスは前にも書いたように、私が林で作業をしているとどこからともなく現れて、作業で枝や落ち葉をどかした場所にしばらく居着く。そしてさかんに地面に舞い降りては何やら獲物をついばんでいる。これは田畑でトラクターが耕していると、そこへサギのなかまが集まってきて、トラクターの後を追いながら飛び出してくる獲物を食べる光景とよく似ている。人が何かしら環境に働きかけた結果、鳥にとっては良好な猟場ができたというわけだ。

 さて、ジョウビタキは人への警戒心が薄いため、追い撮りでもそこそこの大きさで撮影できる。しかし、今日は撮影に割ける時間はあまりない。そこそこの大きさで写真を撮影するには根気よく追いかけたり、待ちぶせしたりとけっこう時間も必要だ。
 そこでちょっと遠回りだが、撮影ポイントを定めてその附近の地面の落ち葉かきを行なった。面積は4畳半ほどでいい。タイミングが良ければ、熊手が立てるガサガサという音を聞きつけてすぐにもジョウビタキがやって来ることもある。
 今日はしばらく姿を現さないので、パソコンに向かいながらときどき窓の外を眺めて待ってみた。しばらくパソコンのキーボードを打っていると、「カッツ!カッツ!」と小石同士を打ち合わせるようなさえずりが聞こえてきた。落ち葉かきを行なってから10分程度だろうか。ジョウビタキにつられてか、4羽のビンズイも地面に集まっていた。

 そこで50-200ミリズームレンズに2倍テレコンを装着して、さっそく外に出て撮影してみた。レンズは35ミリ判換算だと最長で800ミリということになる。カメラはもちろんE-3だから、しかもなんと手持ち撮影も可能。
 ビンズイはすぐに梢へと飛び去ってしまったが、ジョウビタキはかなり超アップの写真も何カットか撮影できた。しかし事前のカメラポジションの位置決めがおざなりだったので、どれも前ボケや後ろボケが鳥の体にかかってしまい使えないカットばかりだった。しかもジョウビタキが捕らえる獲物はどれも小さく、一瞬にして飲み込んでしまい、獲物をくわえたところは撮影できず面白くない。

 ジョウビタキの活動を聞きつけたのだろうか、シロハラが林の奥から飛んできた(写真下)。 さすがにシロハラはジョウビタキよりか警戒心がはるかに強いので、距離は倍近く遠い枝に止まった。しきりとジョウビタキが降り立つ地面を覗き込んでから、カメラを構える私を一瞥して立ち去っていった。

 数日前から朝早い時間帯にうちの林のクヌギのてっぺんで、シジュウカラがさかんにさえずるようになった。シジュウカラは繁殖期に入ったようだ。

(写真/E-3  50-200ミリズーム+2倍テレコン/ストロボFL-50)新開 孝

ベニツチカメムシの越冬について 2008/02/13
 今日の写真は、昨年11月22日に佐賀県で初めて出会ったベニツチカメムシ。

 昨年、11月末に佐賀県で撮影したベニツチカメムシ集団を、私はうっかり越冬態と思い込んでしまった。これについて、ここで訂正したい。

 ベニツチカメムシは、本格的な冬に入ってからは地表へと下り、倒木下の隙間や落ち葉の下などへと移動する。したがって植物上に形成していた集団の状態で越冬するわけではないようだ。
 実を言うと私はベニツチカメムシ越冬態についての報文を事前に読んで知ってはいたのである。しかし、11月末ということもあって現地ではかなり冷え込み、目の前の集団はこのまま冬を越すのだろとすっかり思い込んでしまった。
 
 ベニツチカメムシは12月以降になってから集団を解き、地表部の越冬場所へと離散するようだが、そこでも小規模な集団は見られるようだ。

今回、ベニツチカメムシ越冬の情報については、福岡の方からわざわざ手紙をいただきました。ありがとうございました。
新開 孝

スカンポと赤い鳥井 2008/02/12
 田んぼの畦に群れているスイバの株には、こうして赤く染まっているものが多く、夕暮れの日射しに透けて綺麗だった(写真上)。
 よく見れば、ベニシジミ幼虫の食べ痕と思われる穴ぼこもあった(写真中)。ベニシジミは若い幼虫で越冬するが、暖かい日などは冬でも少しずつスイバやギシギシの葉を食べている。おそらくベニシジミの幼虫たちの中には、すでにかなり大きく育ったものもいることだろう。

 スイバにはシュウ酸を含んでいるので、葉っぱを噛むと酸っぱい。だから「酸い葉」と呼ばれている。スイバの別称は「スカンポ」だが、イタドリのことも「スカンポ」と呼んで子供のころにはちょっとしたおやつになった。ポキンとイタドリの茎を折り取って、外皮をバナナのようにツルリと剥いてから食べると、少し酸っぱいけれど水分が多くコリコリとした歯触りを楽しんだ。

 さて、散歩道の一つにこの鳥井がお目見えしたのはごく最近のことだったと思う(写真下)。昨年の暮れ近くだったろうか。じつはこの鳥井の場所には以前はゴミが不法投棄されており、はなはだ不愉快な場所となっていた。ゴミが捨てられる理由ははっきりしており、この場所は入り組んだ所で公道から目が届かないからだ。
 しかし、鳥井の威力はやはり功を奏したと思われる。鳥井を設置した理由がなんであれ、「ゴミ捨て人」もさすがに鳥井の前ではたじろいたようだ。

 だがだが、しかし。「ゴミ捨て人」がそうたやすく引き下がるわけがない。
つい最近になって、久しぶりにこの場所を通りかかってみれば、なんと鳥井の反対側にあたる薮のなかにゴミがどーんと捨てられていたのである。「ゴミ捨て人」につける薬は無いようだ。

(写真/リコー Caplio GX100)

 新開 孝

クチキコオロギ 2008/02/11(その2)
 林の縁の立ち枯れでクチキコオロギを見つけた。クチキコオロギは夜行性で昼間は樹洞内や樹皮の下などに潜んでいる。写真のクチキコオロギも樹皮をめくったら飛び出してきた。どういうわけか右後ろ脚がない。

 クチキコオロギは体長3センチもあって大きい。写真はオスだが、翅は小さくとも鳴く。グリー、グリーと低い声でゆっくり鳴く。

 (写真/E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

イノシシのぬた場 2008/02/11
 うちから近い場所の山の稜線にはわずかだが照葉樹が点在する。もはや林というほどではないが、見上げるようなスダジイやカラスザンショウの巨木も何本かある。このあたりも私の散歩コースの一つだ。

 前に見つけた林道沿いのイノシシのぬた場を覗いてみた(写真上、中)。ぬた場の奥の林内では、木の根元にこすりつけられた泥も生々しい(写真下)。泥浴びしたあとのにおいづけなのだろう。

 今ではこの近所の山はほとんどが杉植林になっているが、かつては照葉樹林で覆われた緑濃い森だったのだろう。植林は「緑の砂漠」とも言われるようにイノシシなど草食動物にとってはたいへん住みにくい環境だ。間伐など行き届いた管理が施され明るい林を維持できれば、植林の林床にもさまざまな植物が生えて、そこではイノシシも豊富な餌を得ることができる。
 イノシシは増えているのか、減っているのか?国内で捕獲されているイノシシの数は年間7万頭という。そして捕獲されるイノシシの年齢は比較的若い傾向になりつつあり、大きい個体は少なくなってきているそうだ。若いうちに狩猟の対象となって大きく成長する個体が減っているのだろう。
 いくら繁殖力の強いイノシシでも全国的に豊かな森や林が減少しているのだから、今後、増えていく可能性は低いだろうと感じる。
 いづれにせよ、人とイノシシが接触する機会が増えているのは確かだ。餌の豊富な森を失ったイノシシが農作物に走るのもごく当然のことだろうと思う。

 シシ鍋はおいしい。この授かりし恵みは、森の恵みといえる。森はもっと見直されていいのではないか、といつも感じる。

(写真/リコー Caplio GX100)新開 孝

ナガサキアゲハ蛹の終末 2008/02/10(その2)
 キンカンについていたナガサキアゲハ蛹は、とうとう写真のような状態となってしまった。中に詰まっていたアオムシコバチの幼虫はほとんどが姿を消してしまった。帯糸が引きちぎられているから余程の力が加わったのだろうと思う。

 この写真を撮影する少し前まで、キンカンの近くで長い間うろついていたのは鳥のシロハラだった。シロハラが犯人だったのかどうかはわからないが、いづれにせよ何らかの天敵がナガサキアゲハの蛹に日参していたことは間違いない。数日にわたってアオムシコバチ幼虫のごちそうを食べに通っていたのだろう。そういう現場を見てみたいし、ほんとうは撮影もしてみたいものだ。こういう場合にはやはりロボットカメラを設置して24時間態勢で撮影する必要がある。

 (写真/E-3  50ミリマクロ+2倍テレコン)

今日は、デスクトップパソコン、i-Macのキーボードを掃除してみた。
というのもある方のブログでそのやり方を知って、すぐにも実行してみたくなったからだ。i-Macはもう4年前に購入したと思うが、今でもネット関連専用マシンとしてスタジオのデスクで活躍している。
 ところがキーボードの調子がどんどん悪くなってきて、買い替えようかなどと思っていたが、キーを全部取り外しての掃除は絶大な延命効果があった。
 キーを取り外すには糞虫採集用のでっかいピンセットを使ったのだが、要するにキーをゆっくりと垂直に引っ張り上げればいい。簡単にはずれる。

 上の子のお手伝いにと、キーを全部、綺麗に水洗いしてもらった。i-Macの附属のキーボードは白だが、これは紫外線などでも焼けるので完全に最初の白を取り戻すことはできないが、それでも洗ってみるとスッキリとし、なおかつキーの打ち具合が格段とスムーズになった。

 
新開 孝

カブトムシ 2008/02/10
 休日の朝、犬の散歩は私の役目となる。
 犬は寒さには強いらしい。霜柱を蹴散らし、霜の降りた葉っぱをシャリシャリと音を立てておいしそうに貪る。雑種だからか、逞しい。冷凍サラダはけっこういけるようだが、犬の味覚とは人のそれとはいかにもかけ離れているようだ。
 穴掘りも熱心だ。何か獲物の臭いを嗅ぎ付けたのだろうけれど、固く張った草の根を土ごと噛み切らなければならない。前脚のショベルだけではなかなか掘削作業がはかどらないようで、もどかしい犬の気持ちが伝わってくる。根っこを噛み切ってはペッと吐き出す。そしてまたガリガリと前脚ショベルで掘る。キツネのように細長く突き出した顔つきはこういうとき、鼻先を穴深く突っ込むのに適している。興奮しながらフンフンと嗅ぐ様子を見ていると、こちらまで期待感が増す。いったい何が土のなかにあるというのだろう?
 しかし、田んぼの畦だからあまり大きな穴を掘って欲しくはない。ある程度頑張った様子を見届けてから、可愛そうだけど穴掘りを断念させる。犬は未練がましく何度も何度も穴のところへ戻ろうとするが、私はグイグイと紐を引いて先へと進む。もちろん穴は埋め戻しておく。
 じつはうちの犬が熱心に穴掘りして、その様子を辛抱強く眺めてみたことはこれまでにも何度かあるが、一度として獲物を得たことはない。いや一度だけあったのだが、一瞬にして飲み込んでしまって獲物の正体を見届けることができなかった。私としては犬が何を嗅ぎ付けたのか、その正体をどうしても見届けたいのである。

 今朝はいかにもカブトムシ幼虫が潜んでいそうな朽ち木に行き当たり(写真上)、そっとめくってみれば、やはり(写真下)。カブトムシ幼虫の糞が一杯、地面に積もっている。どうやらこの場所では少し餌不足に落ち入っているようでもある。こういう条件で育つと、オスであればあまり立派なツノの個体には育たないかもしれない。でもカブトムシであることに変わりはない。小さくたってちゃんと彼女を見つけ出すくらいの根性はあるはずだ。でっかいカブトムシに負けてばかりではない。ふと、夏場の樹液酒場のにぎわいを思い描いてみた。カリカリ、ゴソゴソ。樹液に酔いしれるカブトムシたち。
 夏のシーンを思い起こしながらカブトムシ幼虫の撮影をしていると、待ち切れなくなった犬が、クーン、クーンと甘えたような声で先へ行こうよとせがむ。

 (写真/リコー  Caplio GX100)

 新開 孝

オオテントウふたたび 2008/02/09(その3)
 先月、1月31日に紹介したオオテントウは日南市の海岸近くの森で見つけたものだった。ところが今日は、私の林のすぐ隣にある背丈の低いヒサカキ(写真上)の梢でまたもやオオテントウを見つけたのである(写真中)。

 今朝は雨が降っていて、昼から止んだものの北風がたいへん冷たい。そのような気象条件下でも梢でじっと身を晒しているオオテントウとは、いかにも寒さに強いやつ!、と思わせる。
 オオテントウは、脚を腹側に縮めて頭部も甲冑の下に隠している。これはアルマジロかダンゴムシ状態とも言えるが、その腹側から見た写真がこちら(写真下)。
日南市で見つけた個体も今日のも、その体色は色あせている。オオテントウの体色は本来もっと鮮やかなオレンジ色である。腹側から見たときに若干その本来の色が残ってはいるようだが、こうした退色は成虫として長く生きている証なのだろうか。
 例えばカメムシのなかまでカメムシ科の多くは、越冬カラーといって冬の間だけ体色が色あせるものが多い。越冬カラーのおかげで、越冬場所の落ち葉などにうまく紛れるのだが、それも春を迎えて暖かくなると元の色鮮やかな体色に戻るのである。
 しかし、オオテントウの場合はカメムシとは事情が違うと思う。この先春を迎えても、このオオテントウが色鮮やかな体色に戻るとはちょっと想像できない。

 オオテントウは国内では最大級のテントウムシだ。しかし、それほど頻繁に目に触れる虫でもない。そのためか彼らの生態についての知見はきわめて貧弱であるようだ。今日はしばらくオオテントウを継続して探してみたが、二匹目は見つかっていない。だが、この三股町にも確実に生息していることがわかったことだけでも、私にとっては大きな成果と言えるだろう。

(写真上/リコー Caplio GX100)
(写真中/E−3  50ミリマクロ+2倍テレコン)
(写真下/E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

ナガサキアゲハ越冬蛹の受難 2008/02/09(その2)
 昨日、紹介したばかりのナガサキアゲハ蛹は、今日になってさらに横腹の穴が広がり、そして中に詰まっていたウジ虫はかなり消失していた(写真上)。穴の裂け具合を見るにつけ、どうやら鳥の仕業ではないかと思えてきた。まだウジ虫は少し残っているので、またその犯人がこの蛹のところへ再び姿を現すのではないかと思う。
 してみると、敷地の隣にあるクリ畑のミカンの木についていたナガサキアゲハ越冬蛹のことも気に掛かる。こちらの蛹は緑色でミカンの枝葉にうまく溶け込んでいたが、やはり心配していたことは的中し、蛹は尾端部分のみが残っているだけだった(写真下)。これも鳥に喰われたものと推測する。

 ナガサキアゲハの越冬蛹は、周囲の環境に紛れる工夫をいかにうまく施そうと、こうしてあっけなく天敵に襲われてしまうこともある。隠蔽擬態という策も万能ではない、ということだ。

(E-3  50ミリマクロ+2倍テレコン)新開 孝

「私の林」 2008/02/09
 私が所有する林は、「私の林」と言ってもいいのだろうけど、なんだか違和感がある。
 これが「私の車」とか「私の家」とかの表現なら、当たり前だけどまったく違和感がない。「私の林」という言い方に違和感を覚えるのは、そもそも「林」を所有するということが、通常の一般家庭では、あまりあり得ないことであるからだろうと思う。「私の畑」くらいなら、今は貸し農園も盛んであるから、これも耳に馴染みがあっておかしく感じない。
 「私の林」を「うちの林」と言い換えると、少しだけ違和感が薄れる。これは「私の亭主」に対して「うちの亭主」という言い方が多少なりともそっけなさを感じさせることでわかるように、「私の」という表現には、自分の所有物という明示以上に「自分の思い入れ」あるいは「執着心」というものが感じ取れるからだろう。「うちの林」なら、「必要もないのに敷地内に林があってさあ」という事情を抱えている人なら、意外とそこそこいらっしゃるのではないかと想像して、あり得ない話でもないなあと思うからだ。

 前置きが長くなったが、つまりこのところ私は自分の所有する林に「愛着心」をしだいに抱き始めたのである。自分なりには「私の林」と言いたくなってきたのである。もちろん土地を購入すると決めた段階で、「林」も敷地内にあることが魅力となったのではあったが、最初の頃の林はともかくひどく荒れていた。手入れしないかぎり、林そのものが写真の被写体となる可能性などはまったくゼロであった。
 昨年の秋から本格的な手入れを施し始め、斜面林2100平米(約640坪)のほぼ半分以上の面積において、はびこっていたササ類を伐採し終えた。下刈りを終えた箇所は大きなクヌギが立ち並んだ、林のもっとも主要部分であるから、とりあえずは、クヌギ林として少し様になってきたように思う。林の地面まで太陽の日射しが届くようになり、風通しも格段に良くなった。
 
 もっともまだ落ち枝や落ち葉などのくずはき作業など、整備するべきことは数多く残されている。山積みになったササの有効利用や解体処分作業も終わることなく続く。クヌギの木もどれも大きくなり過ぎているから、選んで萌芽更新もしないといけないだろう。いろんな自然木も新たに植えてみたいし、まだササがびっしり残っている所も伐採して、そこにはクヌギやコナラをドングリから育てたいとも考えている。

 さて、今日の写真は13年前の1995年1月に所沢市の雑木林で撮影したルリビタキのメス。1989年〜この当時頃までは、冬になるとけっこう鳥の撮影もしていた。とくに1995年の冬は、ルリビタキのオスが私の通う林に初めてやってきた年で、しばらくはルリビタキの撮影に夢中になったことが懐かしい。
 このところ私の林では、ジョウビタキの姿をよく見る。私がときおり落ち葉をどかしたり、ササを払ったりすることで、ジョウビタキにとっては格好の餌場が出現するからだ。ジョウビタキのもっぱらの餌は落ち葉の下などに潜んでいる、クモや昆虫、ムカデ類などだ。木や草の実もついばむが、やはり動物質の餌を好むようだ。ジョウビタキが地面に飛び降りては何やら獲物をついばむ姿を眺めていると、遠い過去に(13年前だが宮崎に移転したことでずいぶんと過去に感じる)ルリビタキを撮影したことを思い出した。

 ルリビタキを撮影していたころ、オスの美しい瑠璃色や、彼らの可愛らしい表情を撮影することもそれなりには時間をかけた。しかしそういう絵柄よりも私がもっとも撮影せねばと心がけていたことは、ルリビタキがどんな獲物をどうやって見つけ出し食べているのかという場面だった。ルリビタキがこんな餌を食べていますよ、という説明がきちんとできる絵柄の写真を撮りたかったのであった。 
 この13年前の写真では、ルリビタキのメスがマダラカマドウマをくわえている。じつはルリビタキが止まっているコナラの根際には小さなウロがあって、その中に数匹のマダラカマドウマが潜んでいたのだ。私はこのルリビタキが樹洞から獲物を引きずり出すまで、その樹洞内にマダラカマドウマが潜んでいることなど、まったく知らなかった。しかし、毎日のようにルリビタキの行動を追いかけているうちに、彼らの視線の先や次にとる行動の兆しなどがしだいに読み取れるようになっていた。
 ルリビタキのメスが、コナラの根際に飛び移り、ちらりとウロの中に視線を送る瞬間を私は見逃さなかった。そのチラリの瞬間から私はカメラのシャッターを押し続けたのであった。今日の写真はそのときの一連のカットの中の一枚。

『ポジ写真の複写はスキャナーではなくデジタルカメラで、、』

 今日の写真はポジ写真を最初はスキャナーで取り込もうとしてうまくいかなかった。どうもスキャナーのドライバーソフトの細かい設定を知らずといじってしまったようだ。なんとかしようといろいろ設定をいじっていくとますますヒドくなって、気が変になりそうだったので、思い切ってデジタルカメラで複写することにしてみた。
 簡易的な複写台を作り、カメラはE-3、レンズは35ミリマクロと1.4倍テレコン。光源にはストロボFL-36R、2台を複写台の背面にころがし、光りをポジ写真のうしろに配置した乳白板を透過させる。こういうとき、E−3のワイヤレスRCフラッシュシステムはたいへん役立つ。注意すべきはフィルム面とカメラの撮像面をできるだけ平行に保ことと、光源の光りがレンズに直接入らないようにすること。
 WBはいろいろ試してみたが、オートでまずまず。露光調整はTTLオートで+1のさじ加減。絞りはF8くらい。光源は蛍光灯でもいいだろうが、ブレを簡単に防ぐにはストロボが確実。ピントをしっかり合わせるためにも、もちろん三脚は使う。ただし、ピント合わせ用の照明は別途用意する必要がある。

 私の使っているスキャナーはエプソンの初期の頃のフラッドヘッド式であり、フィルムスキャニングはおまけ程度という扱い。もちろん設定をきちんとやれば、ラフや写真確認用やWEB用のデータ画像など仕事上で使うことも充分可能である。しかし、いかんせん、ウォーミングアップやら取り込み時間などにかなり時間が掛かり過ぎる。写真点数が多いときなどはパソコンの前にただただ坐っている時間が長く無駄で実用的ではない。

 そこでお金もないことだし、最新式スキャナーなどは考えずに、今日のような複写撮影が実用的だと思った。この方式をうまく使うには、写真のセッティングも簡単にできるような複写台を工作する必要がある。スタジオにころがっているガラクタ素材をかき集めれば、なんとかなりそうだ。あとはひらめきと工作に注ぐ情熱があれば良い。ただ、今のところその情熱が少し足りないのである。
 新開 孝
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