| ギンシャチホコの繭は、茶色に染めた東京ドームとでも形容できるだろうか(写真上)。大きさは長径が3.5センチ程度。かなり固い。ドーム全周の裾は白く、ところどころに風抜き穴が見られる。薄膜でドームテントをしっかりと支えているかのようだ。茶色の屋根部分と白い裾の部分も全体に固く、どうやら幼虫が吐いた絹糸には、繭完成時に糸を固くする成分を含んだ液体が塗り込まれたのではないかと想像する。
私の林ではこの繭を樹の幹や朽ち木上などあちこちでよく見かける。繭が付着している場所の共通点は、いずれも接地面が固くて頑丈なこと。接地面の状態は平面に近い所から細枝の曲面までとさまざまだが、丸枝の直径はせいぜい13ミリ程度が許される曲率度として限界のようだ。それ以上に細い枝では繭が紡がれることはないように思われる。
この茶色ドームがギンシャチホコの繭であると判明したのは昨年の8月頃だった。ギンシャチホコの幼虫は私の林のコナラやクヌギで多数見つかり、飼育した結果、繭の形状も知ることが出来た。ここに昨年撮影したギンシャチホコ幼虫の写真も載せておこう(写真中、下)。ギンシャチホコ幼虫はいかにも奇怪な姿をしているが、周囲の葉っぱにうまく溶け込んでしまい隠蔽効果はけっこう高い。
ギンシャチホコは、いづれ固い繭に穴を穿ち、成虫が羽化して姿を現すのだが、その羽化脱出口は綺麗な丸穴となっている。これはイラガの繭のようにあらかじめミシン線がしこまれていて、内側から強く押せばそこがハッチのようにポッカリと開くという仕組みなのだろうか? ギンシャチホコ成虫の羽化シーンをどうしても見てみたいものだ。そのためにせっせと繭を集めてもいる。
(写真上/E-3 35ミリマクロ+1.4倍テレコン) (写真中/EOSキッスデジタルN シグマ50ミリマクロ) (写真下/E-330 8ミリ魚眼)
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