menu前ページTOPページ次ページspace.gif

カバマダラとトウワタ 2007/10/26(その1)
 先日、近所のお庭でトウワタとカバマダラの成虫を見つけたことを紹介した(10/21)

 そこで後日、お庭の持主の方を訪れ、わけを話したらトウワタの種子をたくさんいただくことができた。しかもトウワタの株まで譲っていただき、その株には卵と幼虫までついていた。
 今の時期は卵が多く、幼虫はまだ2匹しか見つかっていない。

 幼虫は胴部に3対の突起があって、いかにも毒々しい色彩紋様を着飾っている。葉っぱよりか果実の部分を好んで食べるようだ。もちろん葉っぱも食べる。
 トウワタは西インド諸島原産のガガイモ科の多年生草本。花は鮮やかで人気が高いようだ。江戸時代に観賞用として国内に導入されたそうだ。
 わけてもらったトウワタは、もともと水揚げが悪い。地植えした株がうまく育つかどうかキワドい様子だ。新開 孝

ハキリバチの幼虫 2007/10/25(その2)
 先日、ハキリバチの一種のメスが竹筒内に出入りしていることを紹介した(10/4など)
それから3週間たったが、竹筒の中の様子を見てみた。

 一つの竹筒は比較的最近、営巣したものだろう、入り口近くの育児室にはまだ卵があった(写真上)。育児室の側壁の葉っぱもまだそれほど萎れてはいない。
オレンジ色の塊は、花粉と花蜜を混ぜ合わせた餌である。まさにジャムのようで、いかにもおいしそうに見える。奥の方の部屋では小さな幼虫がふ化していた。

 さらに別の竹筒の育児室では、すでに幼虫が大きく成長していた(写真中)。
 この竹筒はだいぶ前に営巣したもので育児室の側壁の葉は褐色に変色し、萎れていた。同じ竹筒の奥の方の育児室内では繭が紡がれており、でっぷりと太った幼虫が窮屈そうに納まっていた。

 本種は、繭のなかで前蛹というステージのままで冬を越すものと思われる。


(EOS-5D  65ミリマクロ)新開 孝

モンシロチョウの羽化 2007/10/25(その1)
 モンシロチョウは年に数回は発生し、その回数は南に行く程多くなる。

 しかし、とりわけ西日本一帯では真夏に夏枯れ状態が生じ、成虫の姿がかなり減ってしまう。春から梅雨にかけて多くいたモンシロチョウがパッタリと姿を消すのである。
 ところが、今頃の時期になると、再び成虫の姿が増え始める。

 この宮崎でも今月に入ってからしだいにモンシロチョウの姿が増えたのがよくわかる。キタテハのねぐら探しをしていても、同時にモンシロチョウの寝姿もよく見かけるようになる。

 今朝は、うちの畑のブロッコリーの葉裏で羽化するモンシロチョウを撮影してみた。蛹を見つけたのは10月16日(写真上)のこと。

 羽化時刻は、午前7時24分頃。
 ブロッコリーは嫁さんが苗を2株買ってきて植えたものだが、すぐにモンシロチョウが産卵に来ていた。まあ、モンシロチョウの幼虫くらいは大目に見てよ、ということで、今日の羽化撮影もできたわけだ。

(写真/EOS-5D  100ミリマクロ)

 新開 孝

ヒメクダマキモドキ 2007/10/24
 庭のヤシャブシでヒメクダマキモドキの雌雄を見つけた(写真上/オス、写真下/メス)。

 ヒメクダマキモドキは林の梢に多く、昼間でもよく飛んで移動する姿を見る。

 図鑑によると本種は雌雄共に発音して交信するそうだ。その雌雄の鳴き声は混じり合って『ジプチッ』と聞こえるそうだ。『ジ』がオスで、『プチッ』はメスということだ。これまで、そういった鳴き声を聞き分けてないのが少し残念だ。

 本種は房総半島以南に分布するとあるが、暖地性の昆虫で近畿から南の地方に主に生息する。大阪あたりでは都市公園に進出しているそうだ。

新開 孝

アケボノソウ 2007/10/23(その3)
 この花を前に見たのは、20年以上も昔の様な気がする。

 しかし久しぶりに出会っても、この花の名前だけははっきりと憶えていた。
アケボノソウの花はそれだけ印象的な姿をしており、似た様な花は他にないからだろう。

 今日は昨日、ツチトリモチを撮影した林のさらに奥の林道と別の険しい林道などをロケハンしてみた。
 渓流沿いや山腹にはまだまだ濃い照葉樹林が残されていて、フィールド探索範囲は思いのほか広く、深い。

 撮影地/都城市、三十山林道

(写真上、中/E-330 50ミリマクロ)
(写真下/E-300  8ミリ魚眼)新開 孝

ザトウムシの一種 2007/10/23(その2)
 体から脚が生えているというよりか、体が脚についたおまけと見えるのがザトウムシ類の特徴とも言える。それだけ体に比して脚が長い。

 小さな体が大きなクレーン車数台の先端にぶら下がっているかのようだ。

 彼らは林の掃除屋とも呼ばれるように、小さな昆虫の死骸などを食べて暮らす。

 それにしても、異様に細長い脚は、まるで体を取り囲むガードマンのようにも感じられる。脚にはそれなりの感覚器官が備わっているのだろうか?その長い脚は昆虫の触角にも似通っている。

(写真/E-330   35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

ホソミイトトンボ 2007/10/23(その1)
 三十山林道の木漏れ日が射す場所では、小さなホソミイトトンボが多数、見られた。

 ホソミイトトンボは夏場は水色をしているが、冬の間は写真のような地味な体色となり、成虫で越冬する。

(写真/E-330 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
新開 孝

ツチトリモチ、ふたたび 2007/10/22(その3)
 今日は初めてのフィールドに入ってみた。照葉樹林の林内を歩けるフィールドである。先日、この場所の入り口まではロケハンしてあったのだが、今日は朝から念入りに道の様子などを調べてみた。

 宮崎に引っ越してから半年。まだ自分のフィールドという確たる感触を得る場所に出会うには、時間があまりにも足りない。しかし、今日の場所はしばらく通ってみたいと思えるほど魅力を感じた。

 そして1時間ほどウロウロと道探しに費やしたあと、「ああ、ここならなあ!」と思える林に踏み込んで5分。そこではツチトリモチの赤い頭が数個、落ち葉の間に見えていた(写真上)。

 どうやらこのツチトリモチを齧る生き物がいるようで、それはナメクジあたりではないかと想像しているが、齧られた痕は黒く変色している(写真上)。

 今日は丁寧に根元を掘ってみた。ツチトリモチを傷つけぬよう、化石の発掘みたいに時間をかけて掘ってみた(写真中)。
 ツチトリモチは寄生植物だから、それが地下で木の根に寄生している様子などをどうしても撮影しておく必要がある。私はある生き物がこうして生活していますよ、という説明的な写真にこだわる。見たままのあるがままの美しさだけではなく、その裏側の生活事情を覗きたいのであり、それをできるだけわかり易く写真で表現したいのである。

 宿主の木の根についた小さな根茎も見つかった(写真下)。このショウガのような塊がやがて太って大きくなり、その瘤一つ一つからツチトリモチの花株が地表へと伸びていくのだろう。

新開 孝

キタテハの顔 2007/10/22(その2)
 毎朝ねぐらの虫を観察しているので、キタテハの顔のアップも条件さえ合えば撮影できる。
 沖縄在住の昆虫/動物写真家の湊さんが『南島漂流記』でルリタテハの複眼のアップを撮影されていたので、というわけでもないが、私もキタテハの複眼毛を撮影してみた。

 タテハ類の複眼毛は昔、樹液を吸っていたヒカゲチョウの撮影をした際に気付いたことがあったが、それ以来あまり気に掛けてなかった。

 こうして見るとチョウの体はずいぶんと毛深いものだ。複眼毛はともかく、モンシロチョウでもアゲハでも、体を仔細に拡大してみるとみんな毛深い。芋虫と言われるものたちも、じつはツルンツルンではなく、細かい毛が無数に生えており、毛虫と芋虫を分けるのは、あまりにも大雑把なやり方でしかないことがわかる。
 
(写真/E-330  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

ジガバチの一種のねぐら 2007/10/22(その1)
 昨晩、ススキの葉にねぐらを定めたジガバチの一種を見つけた(写真上/昨日、午後5時40分ころ撮影)。まだ大アゴで葉を噛んでいないから、深い眠りには入っていなかったのだろう。

 そして今朝、夜露の水滴を体一面にまとった同じ個体を見てみた(写真中/午前7時)。大アゴで体をしっかり固定したまま、まだ目覚めてはいないようだった。

 午前8時すぎ、朝陽を浴びてようやく目覚めたようで、太陽の方向に背を向けて体を暖めている(写真下)。

 (写真/E-330  50ミリマクロ)新開 孝

カバマダラとトウワタ 2007/10/21(その3)
 夕方、犬の散歩で近くの集落を歩いていたら、庭先にさまざまな花を植えているのが目についた。前々から知ってはいたのだが、今日はそのなかにトウワタがたくさん植えられていることに気付いた。

 そしてカバマダラの成虫の姿も一匹だけあった。カバマダラは九州南端部以南で定着しているそうだが、ここ三股町では冬を越せているのだろうか?

 トウワタの種子がたくさん成っていたので、そのうちわけを話して種子を貰いたいと思っている。そう、うちの庭でもトウワタを栽培してカバマダラを誘致してみたいのである。

(写真/E-330  14-54ミリズーム)新開 孝

アサギマダラ 2007/10/21(その2)
 今日は朝からずっと雲一つない晴天日だった。そのぶん朝方の冷え込みもかなりだ。初めて迎える都城盆地の冬とはどんなものだろう。少なくとも宮崎市内よりかはずっと寒いと聞いている。夏は暑いが、冬は逆にうんと寒くなるのが盆地の気候だろう。

 都城市のホームセンターに長靴を買いに行ったら、「湯たんぽ」が山のごとく店先に積まれて販売されていた。すでに冬の暖房製品がいろいろ並び始めているのはわかるが、「湯たんぽ」が主力商品となるというのはこれまで経験がないので驚いた。湯たんぽは子供の頃に使ったことはあるが、もう40年近く縁が無い。
 湯たんぽは健康的にも良いのではないか、そうも思えて使ってみたくなった。

 さて、三股町のある林道に入ってみた。照葉樹林の中を歩けるポイントを探していたのだが、林道の崖でアサギマダラがしきりに吸水している姿があった。
 崖には何らかの養分が含まれているのだろう、ときには集団で吸水していることも観察されている。またそういう吸水集団の写真も見たことがある。

 今日は一匹しかいなかったが、私は初めて見るので撮影してみた。

(写真/E-300  50-200ミリズーム、ストロボFL-50使用)新開 孝

タヌキマメ 2007/10/21(その1)
 タヌキマメを見るのはほんとうに久しぶりのことだ。

 三股町のある川沿いの土手の草むらにポツンポツンと株があったが、他の草に紛れてうっかり見落としてしまいそうだった。花の時期には遅くて、ほとんどが豆果をつけていた。しかし諦めきれないのでしつこく探してみたら、花を付けている小さな株を二つ見つけることができた(写真上)。

 豆果を手に取ってみると、萼が割れて中から茶色のさやが出てくる(写真中)。このさやを押さえつけると、パチンとはじけて中の種子が飛び出した(写真下)。

 タヌキマメは20数年前の昔、愛媛の松山の実家の近くで初めて見て以来、ほとんど見る機会が無かった。このマメ科の可愛らしい花は、普通に見られるほど多くはないようだ。

 このタヌキマメの花には、ウラナミシジミというシジミチョウが卵を産みに来ることを観察している。

新開 孝

ツチトリモチ 2007/10/20
 ようやく寄生植物のツチトリモチを見つけた(写真上)。

 以前から見てみたいと思っていたが、ツチトリモチは近畿南部から沖縄にかけての暖地の常緑樹林内に分布が偏っている。しかし、ここ宮崎県なら苦労することなく見つかるだろうと期待していた。
 今日はうちから車で15分ほどの山之口町の渓流沿いに赴き、ツチトリモチを探してみたのであった。

 2時間ほど虫探しに費やして、その都度、ツチトリモチにも気を配ってみたが、そうそう簡単には見つからなかった。最後に立ち寄った狭い渓流に入ってみて、
ここもダメだったかと帰りかけた間際、赤いキノコのようなツチトリモチが点々と並んでいるのが目に入った(写真中)。

 ツチトリモチはクロキやハイノキなどの根に寄生するらしい。根元を少し掘り下げてみると、まるでショウガのような塊が現れた(写真下)。時刻はすでに4時45分。現場でいろいろと仔細を観察するにはすでに暗くなり過ぎた。

 ツチトリモチの仲間には蜜を出すものもあって(キイレツチトリモチ)、アリが集まり受粉媒介するという。その辺のことを掘り下げて観察してみたいものだ。

(写真上、下/E-330  35ミリマクロ)
(写真中/E-330  8ミリ魚眼)

 
 
 新開 孝
menu前ページTOPページ次ページspace.gif
Topics Board
ホーム | 最新情報 | 昆虫ある記 | ギャラリー | リンク | 著作紹介 | プロフィール