| 今日は、熊本県阿蘇町を訪れてみた。目的はダイコクコガネだ。
日本最大級の糞虫、ダイコクコガネは、昔から憧れの虫だった。
愛媛大学農学部の昆虫学研究室に私が在学していたころ、博多出身の後輩がいた。あだ名は「うまかっちゃん」。 その彼はとことん虫屋だったけれど、ある日、ダイコクコガネがづらりと並んだ標本箱を持って研究室に現れた。
「どこで採ったん!すごいねえ!!こんなにおるん!?」と私。
うまかっちゃん曰く、「阿蘇山に行けば、いくらでもおるとですよ。」
広大な草原で放牧を行う畜産業は、今の日本ではきわめて稀になってしまった。ところがダイコクコガネは、そういう放牧地でないと生きていけない。
阿蘇山系では大規模な放牧地が、あちこちでさかんである。したがって、ダイコクコガネもたくさん生息している日本有数の場所となっている。
2年前、小学館の図鑑の仕事で阿蘇山は何度も訪れた。そのおかげでダイコクコガネの生態が少しずつ見えてきた。
さっそくめぼしい牛糞を探し、掘ってみれば、糞球3個とオス、メスのペアが出て来た(写真上)。 糞球(写真中)をそっと割ってみれば、すでに産卵してあった。ただし、3個の糞球のうち、卵が入っていたのは2個だけ。
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