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ボロ屋 2008/10/20(その2)
 カラムシの群落が畦道に続く。刈られても刈られても、またニョキニョキ生えてくる、じつに逞しい草だ。あちらで消えても、こちらであらたに出現し、まるでモグラ叩きにも似ていると思う。

 そのカラムシの葉がきれいに二つ折りされると、遠目にも白く目立つ。葉っぱの裏は白いからで、つまり二つ折りにする犯人は必ず、葉っぱの表を内側に裏側を外側にするという、厳格な性格の持主なのだ。もちろん、その犯人とはアカタテハの幼虫である。

 今朝出会った幼虫は、すでに隠れ家の葉っぱを内側から食べ進み、ときおり自分の姿を隙間から晒していた(写真上)。しかも真新しい糞まで隠れ家の下に溜めてしまい、もう隠れ家どころでは無くなっている。おそらく、この幼虫はそろそろ引っ越しを考えているところではないだろうか?

 ちょっと失礼して、ボロ屋の壁を開いてみた(写真中)。

 同じカラムシ群落をひとわたり眺めていると、蛹が露になっていた(写真下)。蛹のこもる部屋も、通常は糸で綴って外からは見えないように設えるのだが、どうしたわけか、手抜き工事となっている。

(写真/E-3 50ミリマクロ)

 新開 孝

ツマグロキチョウ 2008/10/20(その3)
 本種の食草、カワラケツメイをどうも見落としているようだ。

 歩いて2分のタイワンツバメシジミ生息地に、このごろツマグロキチョウが舞うようになった。しかし、近辺でカワラケツメイはまだ見ていない。
 3匹が狭い場所でヒョン、ヒョンと跳ねるように飛び交う。飛び方からして、混生するキチョウとはまったく違うのがよくわかる。

 お昼前に小3の子どもの授業参観に出向いてみた。授業は「生活」の時間で、今日は英語だった。耳から覚える英語は良いなあ、と思えた。みんな楽しそうだ。クラス皆で一斉にしゃべるときは元気だが、一人一人、指名されてしゃべるとなると、きゅうに自信がなくなる子が目立つ。照れも入るのだろう。

 窓の外の運動場が強い日射しで白く見える。教室の外をころがるようにして黄色いチョウが過ぎ去った。
 それもツマグロキチョウだった。

(写真/E-3  50ミリマクロ)
新開 孝

アケビの実 2008/10/19(その1)
 アケビの実をはじめて食べたのは小学5年生のころだったと思う。
 父親がどこからか貰ってきたものを、おいしいから食べろと言われて、最初は尻込みした。かなり躊躇したあと、一口食べて、「あ!バナナの味に似ている」と感激したのも懐かしい。
 しかし、いかんせん、アケビの果肉には種が多くて食べ辛い。

 今日はうちのすぐ前の薮で見つけたアケビの実を、さっそく小学3年生の息子に見せてみた。「これ知ってる?おいしいよ。」

 すると息子は「あ!それ知ってる!前に友だちの庭でもらったけど、超!まずかった!」と、嫌な顔されてしまった。
 なんだ、もう体験済みか、とがっくり。

(写真/E-3 50ミリマクロ)

※ 新開への連絡先はこちらまで↓
  yamakamasu@shinkai.info

 新開 孝

モロコシ畑のシロモンノメイガ 2008/10/19(その2)
 午前6時過ぎ、モロコシ畑で交尾しているシロモンノメイガを見つけた。

 本種は明るい草地を昼間にさかんに飛び、花に来る姿もよく見かける。






 (写真上、下/E-520  50ミリマクロ)新開 孝

キオビエダシャクの交尾 2008/10/18(その1)
 「あのう先日、かわったチョウを見たんです!それで、新開さんにお尋ねしようと思って、、、」

 この疑問の声を聞いたとたん、ぼくは「ハハア〜ン、キオビエダシャクのことだな!」とすぐにもわかる。

 たしかにこのところ、三股町内でもっとも数多く舞っているチョウ、いや蛾なのだが、それが、キオビエダシャクだ。
 初めて見る人にとってはとても印象的な翅の色模様のうえ、昼間に飛び交い、そして花に来ている姿は、誰にとってもチョウだとしか思えないだろう。

 そのキオビエダシャクが午後5時過ぎころに、交尾していた。
 キオビエダシャクの交尾は初めて見た。

(写真/E-3 50ミリマクロ)
 新開 孝

秋の食材 2008/10/18。(その2)
 上空をサンショウクイがさえずりながら飛んでいく。

  ピリリ、ピリリ、ピリリ。

 そしてうちの回りでは、山椒の実が目立ち始めた(写真上)。

  長い竿を持って林縁を歩く人によく会うようになった。
 竿を持つ手と、もう片手には大きな平笊を持っている。ときどき立ち止まっては高い梢を竿で叩いている。ヤマノイモのむかご(写真下)採りだ。

 (写真/E-3   50ミリマクロ)新開 孝

タイワンツバメシジミのその後 2008/10/18(その3)
 うちから歩いて2分のタイワンツバメシジミ発生地。

 幼虫たちはどんな様子か見に行ってみた。さすがにシバハギは花の時期を終えた。ただ一つだけ花が残っていたが、それ以外にまったく花は無い。
 たくさんの豆果も、なかには茶色いものも混じってきた。

 その豆果を見ていくとタイワンツバメシジミの幼虫は次々と見つかった。とくにアリが来ていれば、発見率も高まる(写真上)。

 赤い矢印の先の白い部分からは、甘露状の分泌液が出るようで、そこをアリは頻繁に舐めていた(写真下/トリミング)。

(写真/E-3   35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

※ 写真のアリは、「ルリアリ」というご指摘をいただきました。ありがとうございます。よーく見ると、ほんのわずかですが、たしかに瑠璃色を帯びています。新開 孝

ハンミョウの死因とは? 2008/10/17
 カナムグラの群落を見てみると、羽化したばかりのキタテハやあるいは蛹(写真上)などが多い。

 谷津田の奥の休耕田にはキンエノコログサの群落が黄色く輝き、畦にワレモコウの花がポツンと咲いていたりと、稲作とは違った野草の賑やかさがあった。その休耕田にカナムガラがのさばっている箇所もあったのである。
 しかも、アオタテハモドキまで飛び出してきた。証拠写真しか撮れなかったが、アオタテハモドキを宮崎に来てから見るのは、これで3回目。

 カナムグラを眺めていると、ハンミョウの死骸が蔓に絡んでいた(写真中、下)。首を蔓に挟まれて、ギロチン状態となっている。これは死んでからここに引っ掛かたのか、あるいは不運にも蔓に挟まって息絶えたのか、その真相はわからない。

 昔、外人プロレスラーで「ボボ・ブラジル」というのがいた。このレスラーの凄いところは、ともかく頭突きが必殺技なのであった。無茶苦茶、頭が固く、コツンと頭突き攻撃一発でジャイアント馬場ですら、苦しがって、でんぐり返るほどであった(といって、すでにジャインアト馬場を知る人もいないか?)。

 オーバーアクションで観客に受けるボボ・ブラジルだったが、そのボボにもいろいろ弱点があった。とくに足腰が弱く、膝蹴りとかくらうと、もう参ったとばかりに手を合わせてやめてくれと、懇願したりする。ま、それも相手の意表をつく作戦ではあったが。それと、ボボに際立っていたのは、ロープ技に弱いことだった。

 相手にロープへと投げ飛ばされると、なぜだかかなりの確率で、自らロープに首が挟まってしまうのだった。こうなってしまうと、もう反撃どころか自滅に近い。悪役レスラーはわざと相手をロープに首を挟みつけるのもいたが、もちろんこれは反則技である。

 (写真すべて/E-3 50ミリマクロ)

 新開 孝

夕暮れ 2008/10/16(散歩写真)
 今日は久しぶりに草刈りをした。
子供の通学路となっている畑の間の坂道だ。トラクターが通るので轍が深く、その窪みのために草刈りは厄介だ。
 燃料が余ったので、うちの敷地の北側斜面も刈っておいた。

 汗だくになったあと、犬の散歩に出てみた。今日も子ども達が池で釣りをしている。その元気な声は谷津田中に響いていた。新開 孝

そば畑のキオビエダシャク 2008/10/15
 三股町のそこかしこで、キオビエダシャクがビュンビュン飛び交っている。今年はどうやら大量発生しているようだ。

 近所のそば畑(写真上)でも吸蜜している姿があった(写真中)。
 チョウでは、キタテハが一番多く、他にはタテハモドキ、メスグロヒョウモンのメス、アオスジアゲハ、イチモンジセセリ、アカタテハ、モンシロチョウ、ツマグロヒョウモン、イシガケチョウなどが来ていて、賑やかだ。

 ツマグロヒョウモンのオスは、キオビエダシャクを見るとさかんに求愛していた(写真下)。他の場所でもしつこく追飛しているのを目撃したが、キオビエダシャクのあの派手なオレンジ色の帯が、ツマグロヒョウモンのオスにとっては魅力的に映るのだろうか?

そば畑での賑わいを見ていると、キオビエダシャクは蛾というより、チョウに見えて来る。


(写真上/E-520  14-54ミリズーム)
(写真中、下/ E-520  50-200ミリズーム)  
新開 孝

風呂場の珍客 2008/10/14
 このところ、お風呂洗いはぼくの仕事となってしまった。

 今夜も風呂場でスポンジを手にしたところ、ハタと一匹のカメムシと目が合った。
 薄暗いので最初はクサギカメムシかと思ったが、そうではなく、キマダラカメムシだった。いったい、どこから侵入したのだろう?洗濯物を取り入れたときだろうか。
 
 キマダラカメムシは九州において、人里環境を中心に分布を拡大しているカメムシだ。その理由とはなんだろう?

(OLYMPUS E-3  25ミりレンズ+2倍テレコン+魚露目8号)

 電化製品とか文具などその類いの買い物は、お隣の都城市まで出掛ける。車で15分くらいだろうか。
 市内にはパソコンを扱う量販店も数軒ある。しかし、残念なことに、最近使い始めたブルーレイのデータ用ディスクを扱っている店は少なく、置いてあっても品数が貧弱すぎる。とくに50GBの容量のものは皆無だ。ブルーレイの棚に並んでいるのは録画用ディスクばかり。

 

新開 孝

三股町のクロマダラソテツシジミ、その1 2008/10/13(その1)
 写真上は、三股町役場の駐車場中央にある時計塔とソテツの植え込み。


 写真中は、葉を切り落とされたソテツの頭頂部。ここの産毛のような部分には多数のクロマダラソテツシジミの卵が産み付けられている。半数ほどは既にふ化済みだった。

 写真下は、クロマダラソテツシジミ幼虫による食害が目立つ、ソテツ。写真のソテツでは、終令幼虫が数匹見つかった。

 

 「三股町のクロマダラソテツシジミ」については、(その2)で、詳述しています。
 新開 孝

三股町のクロマダラソテツシジミ 2008/10/13(その2)
 先日、近所のセイタカアワダチソウに訪花していたクロマダラソテツシジミ。その発生場所はそう遠くないはずだと思えた。

 昨日はうちから歩いて7分の田上地区、納骨堂の敷地内で本種の成虫を確認できた(写真上)。ここは8月のお盆祭りの会場にもなった場所で、ソテツの小さな植栽が3株ある。そのわずかな繁殖場所で、メスは若芽にさかんに産卵していた。メスを追飛するオスもいる。
 ぼくの住む田上地区では、ソテツのある場所は、この納骨堂以外ではあまり見かけない。よくもまあ、こんな狭いオアシスに運良く辿りついたものだと感心する。

 ならば、三股町内において、ソテツの多い場所とは何処だろう?

 ソテツを好んで植えるのは公園など公共の場所だろう。個人宅の庭にも稀にソテツを見かけるが、せいぜい一株程度の事が多い。
 そこで公共の場としては中心的存在の、三股町役場に赴いてみた。なるほど、行ってみると役場の敷地内には立派なソテツが植栽されていた。
 やはり町役場という行政の中心たる権威を誇るためにも、立派なソテツの植え込みは、大事な装飾として必要だったのだろう。お金もずいぶんと掛かったことだろう。三股町の地域性を語る上では、町内に自生しないソテツは不向きだ。しかし、ソテツには南国の象徴として重厚な存在感などが備わっているからかもしれない。

 さて、役場の駐車場に入ると、すぐにもソテツに絡むようにして舞う、クロマダラソテツシジミの姿が目に入った。それはハエのごとく、というほどの数でもないが、遠目にも何か異様な光景に見えるほどよく目立つ。
 チョウという生き物をある程度知っていると、その異様さ加減もわかるのだが、頻繁にこの役場に出入りする町民の多くの方々が、あるいは役場で毎日働く職員の方々のほとんどが、おそらくはまったく気付きもしない光景に違いないと思えた。
 もっともクロマダラソテツシジミ幼虫による食害もかなり目立つ。したがって、役場敷地内の植栽を管理する部署の方々や、実際に手入れする園芸業者の方などはすでに気付いており、防除すべき段取りをすでに整えているのかもしれない。
などと、いろいろ想像をめぐらしながら、さっそくカメラを抱えてソテツへと歩み寄ってみた。

 役場の正面玄関脇の花壇には吸蜜に来ている成虫も多い(写真中)。役場の敷地内にはクロマダラソテツシジミの吸蜜源まで用意されているのだから、チョウにとってはまさに居心地の良いすみかとなっている。トウワタも数株植えてあるから、カバマダラが訪れることもあるのだろう。

 ソテツの葉では、食事中の終令幼虫も数匹、見る事が出来た(写真下)。

 クロマダラソテツシジミを撮影しているうちに、サッカークラブの子どもたちがやって来た。どうやら練習試合のあと、役場の駐車場で散会ということのようだ。役場の駐車場は休日中は開放されている。うちの子の同級生もいて、「あ、拓水くんのお父さんだ!」と声がした。
 
 私に気付いたお父さんの一人が、子どもたちにぼくが何をしているのか、聞いてみて、と言っているのも耳に入った。どうも男というのは好奇心を丸出しにするのをためらう傾向があるように思う。個人差もあるだろうけど、観察会で説明していても男親は遠巻きに退き、前に身を乗り出してくるのは大概、お母さん達だ。

 
新開 孝

ヒラタミミズクの羽化、その1 2008/10/11(その1)
 先日の7日に宮崎県南部の南郷町、大島から持ち帰ったヒラタミミズクの幼虫は2匹だった。

 うち一匹は、翌朝に羽化した。羽化したヒラタミミズクはメスで、本種はメスのほうがオスよりか一回り大きいことがわかった。羽化時刻は早朝6時ころと思われた。
 モクタチバナの水差しに落ち着いているもう一匹の幼虫も近いうちに羽化するだろうと、いつでも撮影できる状態にして、毎日、観察してきた。何より本種の羽化兆候というものを知りたかった。そして、もちろん羽化の瞬間も見てみたい。

 昨晩遅く、どうやら今朝には羽化するだろうと確信できた。ともかく油断は禁物!夜中の2時、3時、そして早朝4時、と定刻ごとに起きて、ヒラタミミズク幼虫の様子を観察した。すると、なるほど幼虫の体型、落ち着き具合などから、羽化がしだいに近づいていることがわかった。しかし、決定的な兆しはまだもう一歩先だ。

 午前6時。いよいよ撮影待機に入った。三脚に据えたカメラの後ろに坐る。この段階からはもう目が離せない。ほんのちょっとした体の動き、変化も見落とさないようにファインダー越しにしっかりと観察する。

 せんべい布団のように薄っぺらだった幼虫の体は、長い時間をかけてわずかに厚みを増していた。脚もふんばっているせいだろうか、体が葉表面から浮き上がっているのが、強い影でよくわかるだろう(写真上)。

 羽化の脱皮は、幼虫胸部背面が盛り上がり中央表皮が縦に避けて始まる。この様子はセミの羽化などと似通っている(写真中)。
 幼虫は葉に刺し込んだ口針で体を支えており、脚のふんばりはもう効かないようだ。そのせいか、おしりを抜く最後の段階で、体全体が時計方向にほぼ90度回転してしまった(写真下)。
 
新開 孝
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