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ヒラタミミズクの羽化、その2 2008/10/11(その2)
 ヒラタミミズクの羽化は午前6時から7時までに完了した。

 羽化後はかなりの長時間、脱け殻に寄り添うようにして、体がしっかりするまで休んでいる(写真上)。

 脱け殻は厚みを失って、ペラペラの真っ平らになる(写真中)。

 今回羽化した個体もメス。体が大きいのと腹側を見れば、産卵管があるのでメスと判別できる(写真下)。

 こうして、メスの羽化を2例、そして南郷町、大島ではすでに成虫2匹を見ていることからも、野外における本種の羽化時期というのが、秋に入って今頃と言えるだろうか。そうだとすれば、今後これからヒラタミミズクの幼虫を見つけるのはしだいに難しくなってくるとも考えられる。新開 孝

キオビエダシャク 2008/10/11(その3)
 今朝は遅めに犬の散歩に出た。待たせたから、そのぶんゆったりと散歩してみた。秋晴れで日射しはかなりキツい。外を歩くにはTシャツでちょうどいい。土曜日ということもあって、田上地区では稲刈り作業が盛んだ(写真上)。
 
 昨日の夕方、近くのイヌマキでキオビエダシャクの幼虫を見つけた(写真中)。
手にとってみると、緊張したのか糞をした。
 イヌマキに古い食痕はあるが、いくら探しても幼虫は最初に見つけたのと他には一匹しか見当たらなかった。どうも幼虫期は終わりつつあるのでは、という感触。

 その夕べの感触が的中していたのだろうか。チョロと幼虫がいたイヌマキのところへ行ってみると、キオビエダシャクの成虫が数匹、飛んでいた。梢にすぐ止まったキオビエダシャクは、どれも羽化したばかりと思われる新鮮な個体だ(写真下)。
 
 午後5時過ぎ、ふたたび犬の散歩に出てみれば、セイダカアワダチソウの花で吸蜜しているキオビエダシャクの成虫を2匹、見た。他にはどんな花にやってくるだろうか。少し毒々しい姿の本種が、花に夢中になっている様子を撮影してみたいと思う。
 

新開 孝

稲刈り 2008/10/09(その1)
 ようやく晴れ間に恵まれた。
 そこで今日は、こどもの学校で例年の稲刈り行事。

 ぼくは3年生のクラスのアルバム委員としては、今年はじめて出向いてみた。6月の田植えのときには、忙しくて参加していない。3年生の生徒数は17名。しかし、全校生徒が学年混合の8斑に分かれているので、どの子が3年生なのか、わかる子はわずか。上の子が6年生で在校していた去年なら、6年生は8名だったので初対面でも何とか撮影はできた。
 稲刈り作業のあとで、学年別の集合写真を撮った。あらためて3年生のお友達の顔ぶれを眺めてみると、初めて見る子がずいぶんと多いことに気付いた。
 全校生徒数が70名程度の小さな小学校といえど、自分のこどものクラス全員の顔を覚えるだけでも、けっこうな時間が必要だ。まして、さらに名前となると、、、、。

 田んぼの畦道に入ると、トノサマバッタが次々と足下から飛び出してきた。こんな場所にもいるのか、と少し意外な気がした。トノサマバッタはこのところ成虫がたいへん目立つようになっているが、同時に若い幼虫もよく見かける。
  
 夕方の犬の散歩の途中、ギシギシの葉上をヨツモンカメノコハムシが歩いていた(写真下)。

※写真下は当初、イチモンジカメノコハムシとしていましたが、ヨツモンカメノコハムシであることが判明したので、訂正しました。

「撮影の不調とは」

 子ども達の稲刈りの様子を撮影していて、カメラに取り付けたストロボのモード変更が途中からおかしくなった。ハイスピードシンクロFP発光がTTLとマニュアル両モードとも、何度試しても選択できない。同じストロボを数台使っているが、その中で一台だけ調子のおかしいのがあることは前から気付いていた。どうやら、そのハズレを今日は持ってきてしまったようだ。
 しかもモード変更がうまく機能しなくなった段階で、シャッターを押してもストロボが発光しなくなっていた。急遽、内蔵ストロボに切り替え、カメラの撮影モードの設定もすべてマニュアル操作にした。

 こういう機材の不調は、ときとして復調したりもするので、念入りに時間をかけて、どういう不具合があるのか徹底的に調べておかないといけない。
それを怠っていたために今日は撮影現場で困ってしまったが、始末が悪い事に、うちに戻って深夜に試してみたら、ストロボはちゃんと機能するのであった。

 
新開 孝

クロマダラソテツシジミ 2008/10/09(その2)
 宮崎南部の海岸線を中心に、クロマダラソテツシジミはかなり多く観察されている。先日、渡島した南郷町、大島でもクロマダラソテツシジミはアメリカセンダングサの花で吸蜜する姿を見たばかり。

 ところが、今日は近所でトノサマバッタを観察中に、クロマダラソテツシジミを見つけた。三股町で本種を見るのは自分としては初めてのこと。

 三股町内でもあちこちにソテツが植えられてはいるのだろうが、ぼくはあまり熱心に本種の観察をしていない。こどもの通う、梶山小学校の校庭にあるソテツをたまに覗いて見るくらいだが、そこでは幼虫の食痕をまだ確認できていない。
 お隣の都城市内では発生しているようだから、三股町にいてもおかしくはないだろう。
 新開 孝

ヤママユのメス 2008/10/08(その1)
 昼食を終えて、ふと外の庭を見てみると、ヤママユがパタン、パタンと草むらではねていた。遠目でも大きなヤママユはすぐに判る。

 縁側からサンダル履きで駆け寄ってみれば、つい昨夜あたりに羽化したと思われる、新鮮なメスであった。お腹も丸々と肥えている。

 このヤママユのメスは、何かに驚いて木々の梢から飛び出してきたのだろうか?4枚の翅を大きく広げ、とても興奮しているようだ。撮影したあと手を差し伸ばすと、翅をばたつかせ大暴れする。そのため、翅が大きく破れてしまった。

 ヤママユの羽化時期としては、遅いほうだろう。うちの林で生まれ育ったものかどうかはわからないが、うちのクヌギやコナラに卵をたくさん産んでいって欲しいものだ。もっとも、このメスがオスと出会って交尾できたかどうか、それも気に掛かる。
 新開 孝

イシガケチョウ 2008/10/08(その2)
 うちの林の縁にあるイヌビワでは、イシガケチョウの幼虫が育っており、小さな若葉には山吹色の卵も点々と見つかる。

 そうかと思えば、イシガケチョウの成虫がツイーッ、ツイーッと滑るように低空飛翔して、犬のおしっこの染み付いた地面に降りる。イシガケチョウのすみかが、そのままわが家にあるということで、このことだけでもずいぶんと満足感に浸ることができそうだ。
 ただし、それはある時点で眺めたときの光景であって、一年を通して常時、イシガケチョウのすみかとなっているわけではない。何といっても食樹のイヌビワは、大きな株一つと他には貧弱な小木が少しあるに過ぎないからだ。
 また、イヌビワについた幼虫も、終令まで育つことはあっても、その後、蛹になるまでに姿を消すことが多い。

 さて、近所のセイタカアワダチソウの花にイシガケチョウのメスが来ていた。他にもコアオハナムグリ、オオモンツチバチ、モンシロチョウ、イチモンジセセリ、ツマグロヒョウモンなど、多くの昆虫が訪れている。
 それにしても、こうした花のにぎわいの中に、ニホンミツバチの姿がまったく無いことが、気に掛かる。ニホンミツバチは去年の夏にすぐ近くの花で一度撮影しただけだ。
 新開 孝

南郷町、大島に渡る 2008/10/07
 九州に移り住んだら、是非とも見てみたい!そう思っていた虫の一つが「ヒラタミミズク」だ。

 1年経って、もうそろそろ見つかる頃だろうと軽く考えていたが、どうもそう簡単にいかない。何度も図鑑を眺めては、探索ポイントをいろいろ想像してみるが、埒があかない。うちの庭はもちろん、出歩く先々でめぼしい葉っぱを注意してみるが、まったく見つかる気配すら感じられない。

 今日はそこで、日南市のYママさんにヒラタミミズク発見の場所を案内してもらうことにした。先月、Yママさんのブログに、なんと!ヒラタミミズク幼虫の写真が載っていたからである。それも図鑑のヒラタミミズク写真を眺めていたその夜に!

 幼虫がいるなら、きっとその場所の近辺には同種の個体が複数生息している可能性は高い。それに幼虫ならば、左程大きくは移動しないだろう、と思えた。

 ヒラタミミズク幼虫の発見場所は、日南市の南、南郷町の沖合に浮かぶ「大島」。南北約3.5キロの細長い島には人家が5軒あるのみ。昔は集落もあったそうで、学校跡もあった。目井津港から船に乗って約15分で島に着く。

 発見場所までは通常歩いて40分程度の道のりだが、いろいろと観察しながら歩いていると2時間近くも費やしてしまった。ヒラタミミズク幼虫がついていた木は、ヤブコウジ科のモクタチバナ。なるほど、葉は厚く表面はツルツルしている。ヒラタミミズク幼虫が潜むには好都合なわけだ。

 さて、Yママさんが1週間前に撮影したという梢を覗いてみた。しかし、幼虫はいない。しばらく見ていると、その近くでヒラタミミズクの成虫が一匹、見つかった(写真上)。おお!これがヒラタミミズクの成虫か!成虫もかなり面白い姿をしている。1週間も経てば幼虫がすでに成虫になっていてもおかしくはない。だがここで諦めるのは早い。まだ近辺に幼虫が残っているはずだ。

 しつこくモクタチバナの葉の茂みを探索していると、ついに幼虫も見つかった(写真中、下/腹側)。見事な隠れ技だ!葉っぱにうまーく同化している。まるで、せんべい布団だ。
 幼虫を腹側から見てみると、これまた宇宙人だ!

 このあと、さらに幼虫一匹、そして別の場所のモクタチバナでも成虫一匹を見つけた。つまり今日の成果は、幼虫2、成虫2だった。今頃はちょうど羽化時期なのかもしれないが、ヒラタミミズクの周年経過についての知識は全くないので、今後の課題としたい。 

 新開 孝

タイワントビナナフシ、飛翔する! 2008/10/06(その1)
 10月3日、宮崎市で行なった講演の内容で誤りがあったので、訂正しておきます。

 講演のなかで、「タイワントビナナフシは翅があっても広げて滑空する程度」と話しましたが、今日の観察でそれが間違っていることに気付きました。

 庭にいたタイワントビナナフシを手で持って高所から落とすと、見事に翅をはばたかせて飛翔しました。さらに梢に止まらせると、そこから別の梢へと自ら飛翔して移動しました。
 飛行距離がどの程度まで伸びるのかはわかりませんが、タイワントビナナフシはちゃんと飛翔できることを確認しました。
 そこであわてて文献を調べてみると、タイワントビナナフシが飛翔できると、ちゃんと記載されていました。

 今日は宮崎日日新聞社の方が取材に来られ、タイワントビナナフシの翅を見てもらおうと、高所から何度も落としてみたのです。そこで自分の観察不足に気付いたというわけです。
 講演に来ていただいた皆さんにお詫び申し上げると同時に、会場でお話しを聞いた方で、もしこの記事を読んだ方がいらっしゃれば、お友達などに教えてもらえれば、と願います。

 これを機会に、タイワントビナナフシ飛翔シーンの再撮影を行なうつもりです。


 新開 孝

朽ち木に集う 2008/10/06(その2)
 うちの林のクヌギ朽ち木を覗いてみた。
 立ち枯れたものを地上高1メートル20センチあたりで切り倒しており、その根元部分が残っている。この朽ち木にはおびただしいキノコ類が繁殖し、多種類の昆虫たちが集う。

 今朝はノコギリクワガタのオスが来ていた(写真上)。もう樹液のにぎわいは無くなったが、今日はアカメガシワの樹液に頭を突っ込んでいるコクワガタのオスも見ている。
 9月なかば以降、行き場を失ったように放浪する?クワガタムシに出会すことが多くなった。

 ノコギリクワガタを撮影していると、いつのまにやら地面の方からユミアシゴミムシダマシが登ってきて、ピタリとキノコの縁に静止した(写真下)。
 ユミアシゴミムシダマシは体長25ミリと、ゴミムシダマシ科のなかでも最大クラスの大きさがある。うちの庭や林にはけっこう個体数が多いのだが、撮影してもこれまで紹介するチャンスがなかった。
 ゴミムシダマシ類は、「ゴミダマ」と略称され、国内では300種以上が記載されていて、その姿形、大きさもさまざまだ。


新開 孝

羽化は明朝か? 2008/10/06(その3)
 ツチイナゴの新成虫がこのところ増えてきた。

 ショウリョウバッタやカマキリなどの羽化シーンを今シーズンは撮影し損ねたこともあって、せめてツチイナゴの羽化はおさえておこうと思っていた。
ツチイナゴはきわめて数が多い上に、羽化が近づいた幼虫を見極めるのも簡単。
 
 そこで、今朝あたり羽化するだろうと目星を付けていた個体がいたのだが、他の用事に気をとられて、撮影はできなかった。現場に駆けつけてみれば、写真のようにすでに羽化殻も吹っ飛ばされて、翅を伸ばしている最中だった。

 羽化や脱皮、そして卵のふ化シーンなどは、長年経験を積んでいてもそのタイミングを読み誤ったり、ちょっとした気の緩みで逃してしまうこともある。これまでの経験から、「これはヤバイな!」と感じたときは、だいたいにしてその予感が的中し、辛い目に遭う。
 「また仕切り直しだな!」と次のチャンスがすぐにある場合は良いが、「あ〜あ、来年に持ち越しか」となることも少なくない。締め切りのある仕事だと、笑って済まされる事ではない。新開 孝

講演会『虫をみつめて』を終えて 2008/10/04(その2)
 宮崎に来て、ほんとうに良かったなあ、と思う瞬間はこれまでにもたくさんあった。その反対に、後悔することはこれまで一つも無い(ほんとに)。

 たしかに、うちの近辺ではオオムラサキはいない。オオミドリシジミもいない。平地性ゼフもほぼいない。その部分を注目すれば、仕事上、困ることもある。寂しい。しかし、それでもやはり後悔することはない。
 
 講演を終えて会場の片付けを終えたのは10時。それから宮崎神宮の傍の居酒屋でささやかな交流会となった。ぼくとあと女性4人のメンバー。一応、ぼくが最年長のようだ。でも、話ははずんだ。まるで友だち同士の飲み会のよう。なんでだろう?えらく盛り上がる。酒はもちろん芋焼酎だ。

 12時を過ぎて店を出る。深夜の神宮内を歩いてみた。ぼくとあと女性2人。久しぶりにマツムシの「チンチロリン」を聞く。宮崎の県庁所在地にある街中にも関わらず、延々と暗闇が続く。これは凄い。そして静かだ。虫の鳴き声のみ。

 写真は、講演会場の入り口の飾り付け。撮影/八木真紀子さん。
 主催者のスタッフの方々には、ほんとうに感謝!です。
新開 孝

丸刈り昆虫写真家とは 2008/10/04(その1)
 昨日(10/3)は宮崎市内の『メディキット県民文化センター』で、「虫をみつめて」と題してぼくの講演会が開催された。開場は午後7時だったが、300名収容のホールはほぼ満席となった。今回の講演会の主催は、宮崎市の「大宮小学校 読み聞かせサークルひまわり」。スタッフのお母さん方達はとても熱心だ。

 宮崎に来てから、講演を行なうのはこれで3回目。しかし、昨夜は大型液晶プロジェクターを使って、写真を披露しながらゆっくりお話ができた。時間は1時間半の予定だったが、ついついノッてしまい15分超過してしまった。

 ともかく、講演しながら、ぼくはたいへん楽しかった。できれば、毎月くらいこんな場があってもいいなあ、と思うほど。これは本作りとは別次元のことだ。活字ではなくまさに、活弁士なのだ!!それもなんと、昆虫活弁士!(+丸刈り)

 講演を終えてから、演壇に子供達が駆け寄ってきてくれ、みんなと握手。こんな経験も初めて。宮崎の子どもたちは、なんだか熱いなあ、と感激した。
写真撮影/八木真紀子さん

 新開 孝

クリは寝かせてから、味わうべし 2008/10/02(その1)
 先週、うちの隣のクリ畑の持主の方から収穫したばかりのクリをたくさんいただいた。そのクリはゆがいたり、赤飯に入れて炊いたりして、秋の味覚を堪能したばかり。どうやらクリもサツマイモなどと同じように、冷暗所に少し置いておくと旨味が増すようだ。

 28日の子供の小学校運動会は生憎の雨だったが、なんとか午前中だけ開催することができた。グランドが泥んこなので、生徒はみんなはだしで競技に臨んだ。はだしで走るというのも子供たちにとっては滅多に無い体験。お昼前には雨脚も強くなってきたが、みんなは運動会をとても楽しんでいたようだ。
 結局、昼食は自宅に帰ってとることになり、そこで閉会となった。雨のこともあって、運動会のスケジュールは大幅に変更した。ぼくの住んでいる地区の郷土芸能「俵踊り」も、子供の競技を優先ということで中止となった。
 俵踊りはぼくもメンバーの一員となっており、まだほとんど様にならないが、運動会を目前にして稽古だけは参加していた。嫁さんのほうは伴奏で三味線をひくのだが、こちらはなんとかまともにやっている。
 傍目で見ている限り簡単そうに思える「俵踊り」だが、いざ参加してみるとけっこう難しい。来年の5月にはお祭りでお披露目があるようだが、それまでに上達できるのかどうか、自信は無い。何せ、高校生のときに踊ったフォークダンス以来、踊りというものにはまったく無縁だったのだから。

 昨日、庭で仕事をしていたらクリ畑に人影が見えた。これはお礼をしなければと、愛媛の「ちりめん」を携えて下の畑に降りてみた。するとまたもや拾ったばかりの大きなクリをいただいてしまうことになった(写真)。


 明日は、宮崎市内のメディキット県民文化センターでぼくの講演がある。対象は宮崎市内全域の小学生だが、開演が午後7時ということもあって、父兄同伴となる。それもあって参加者の方はかなりの人数で、300名収容のホールに空き席はわずかのようだ。新開 孝

ぷりぷり 2008/10/02(その2)
 庭のキンカンにはまだナガサキアゲハのでっかい終令幼虫が3匹いて、このところ毎日、様子を見ている。最初、4匹いたのだけれど、一匹は下痢をして枝にダラリと逆さの格好のまま死んでしまった。ヤママユ幼虫の大量飼育下でよく発生する、「軟化病」の症状によく似ている。

 ナガサキアゲハの幼虫は、怒らせると長く反応してくれる。クロアゲハもそうだ。しかしアゲハの幼虫などは個体差が大きく、役者になるような幼虫に行き当たらないと、今日のような写真はなかなか撮りづらい。

 大きく丸く膨らませた胸部に眼状紋。そしてニョロッと突き出したオレンジ色の臭角。
 これはいかにもヘビの頭部に似せているように感じる。ともかく何となく気色悪いイメージがある。幼虫はこの格好をして、さらにヘビの疑似頭部を左右に揺するという演技までする。この様子を怖がる天敵とは、おそらく小鳥やサルあたりだろうか。犬やネコも少しは怯むかもしれない。うちの飼い犬のチョロは、ヘビをけっこう恐れる。しかし、幼虫のこの怒りポーズが、どういった天敵にどこまで有効であろうか?

 3年前、ぼくはハシブトガラスが大きなアゲハの幼虫を食べている現場を見た事がある。カラスにとっては平気なのかもしれない。アゲハではないけど、オオスカシバのでっかい幼虫を、スズメがさんざん苦労しながらつついては引っぱり回していたこともあった。そのオオスカシバ幼虫は無紋タイプだったが、紋様のあるタイプだったらスズメも恐れただろうか?
 

 
新開 孝
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