| ホウセンカの花はまだいっぱい咲いているが、もう盛りを過ぎたといえる。
そのホウセンカを眺めているうちに、でっかい糞があちこちで見つかった。糞をたどっていくと、セスジスズメの幼虫が今朝だけで5匹。嫁さんが騒ぐので、全部回収して飼うことにした。
ケースに収穫して仕事部屋に戻ろうとしたら、上がり口の下の地面をウロウロしている芋虫もいた。こちらはホウセンカから離れて、蛹になる場所を探しているようだ。体色が淡くなっており、蛹化が間近いことを物語っている。この芋虫はさっそく土入りのケースに移しておいた。セスジスズメの幼虫は土中で蛹になるからだ。
今年の6月に福音館書店から出した『虫のこどもたち』には、4ページにセスジスズメ幼虫の写真が、65ページには蛹の写真が出ている。 幼虫の写真は小さいのでちょっと残念だが、いづれは、この幼虫をでっかく扱うような本も作ってみたいと思っている。
多くの方が綺麗だと感じる昆虫は、これまでにほとんどの種類がさまざまな本や雑誌などで紹介されてきている(国内に限っての話)。つまり美麗種と呼ばれる昆虫は、どれもこれも有名になって、ああ、どこかで見たな、ということになる。 私は日本の昆虫のなかで、これまで見落とされてきた美麗種を発掘してみたいと常々思って来た。美麗種と言い切ると、なんだか面白くないかもしれないが、怪しい美しさ、とでも表現すればいいだろうか。 そんな構想で本を作るためにも、ここ九州の地は自分にとってはいかにも神秘的で新鮮な気分で仕事を続けることができる。
(写真/E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン) ![新開 孝](sighn_ss.gif) | |