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ショウリョウバッタモドキ 2007/08/12(その1)
 ショウリョウバッタは大型のバッタであり、子供たちも良く知っている。しかし、でかい割にそれほど人気があるわけでもない。

 そのショウリョウバッタによく似ているということで、気の毒な名前を付けられたのが、ショウリョウバッタモドキだ(写真上、下)。

 たしかに似ているのだが、その俊敏な動きはショウリョウバッタとはかなり違う。すばやくジャンプしたかと思えばピタリと葉っぱに貼付くように止まり、次にクルリと葉の裏側へと身を隠すのである。

 (写真/E-500  ズイコーマクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

『東京昆虫デジワイド』という写真集 2007/08/11(その2)
 今日『東京昆虫デジワイド』(アートン)という昆虫写真集が届いた。
 この本の著作者は糸崎公朗さんだ。

 自然豊かな野山ではなく、わざわざ大都会の東京砂漠で撮影された昆虫写真だ。しかもユニークな円周魚眼(糸崎さんは独自の撮影手法をデジワイドと名付けている)で表現された写真集には、昆虫を画面の奥から眺める人、日常の通りすがりの人、カメラマン糸崎氏を奇異な目で眺める人、そして撮影している糸崎さん自身、と、人が誌面全体に溢れて、いかにも人臭い昆虫写真が並んでいる。
 東京から遠ざかり、わざわざ野山どっぷりの田舎に移った私とは、まったく逆の立場の方だ。

 かつて私も、どうせ東京に住んでいるのなら、都会の人社会にしたたかに生きる昆虫を描いてみたい、そう考えてみたことも何度かあるが、それをうまく表現するための写真技法を考えるのも、工夫するのも面倒くさくなって止めてしまったことがある。

 それに何と言っても人がたくさん居る場所などは私は苦手で、街中に出掛けること自体が苦痛だ。だから糸崎さんの写真集の内容に強く共感を抱くことができても、私自身はさすがに電車の中や居酒屋のテーブルで昆虫にカメラを向けることはできない。糸崎さんは路上観察の延長線上でそれを実行できたけれど、、。

 大都会や地方都市でも、ともかく日本社会のなかで暮らすほとんどの人は、まず昆虫などは見てはいない。それは目の前に、あるいは足下にいても気付かないだけのことだけど、見ようとしない限り昆虫はその人達にとっては存在しないのと同じことだ。

 存在しないと思い込んでいる人達にとって、今回の写真集は視点を違えた、「ものの見方」を変えるべく、別世界への案内役を担っているとも言える。
 世界は決して一つではなく、「ものの見方」しだいでいくつにもなるというわけだ。昆虫たちの多様な姿の面白さ以外にも、本書でのほんとうの面白さとは、昆虫の眼を通して人の日常空間を裏側から眺め直したところにあるように思う。
 こういう写真集の影響で、ある人たちが昆虫世界に目覚め始めるとしたなら、ちょっと、いやかなり悔しい。

 ちなみにこの写真集には、私が4ヶ月前まで住んでいた清瀬市のフィールドで撮影された写真も2点、掲載されている。一枚はたしか私も糸崎さんとご一緒したときだったと思うので懐かしい。
 また22ページにある「セイヨウミツバチ」は、ほぼ間違いなく「ニホンミツバチ」である。ニホンミツバチは近年、都会に進出して話題になっており、養蜂業の衰退も絡んで、都会でこそニホンミツバチの天下、となっていることを再認識させる写真とも言える。

新開 孝

イッシキトゲハムシ 2007/08/11(その1)
 トゲハムシの仲間は名のごとく痛そうなトゲをたくさん背負った姿をしている。痛そうではあるが、なにさまこの仲間の体長は大きくても5ミリ前後であるから、捕食者が鳥であれば、なんの防御にもならないだろう。

 今朝は犬の散歩に出たすぐのササ薮で本種(写真上)とその食痕を見つけた。食痕は葉っぱの薄皮を残しているので、白く目立つ(写真下)。

 イッシキトゲハムシは以前に大分県でも撮影したことがあるが国内の分布は九州に限られているようだ。

(E-500   35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

新開 孝

虹の朝 2007/08/09
 今朝の虹は家の中に居て気付いた。こちら宮崎に引っ越して来てから、虹を見るのは2度目だが、前回は走っている車の中からであり、撮影機材を持っていなかった。

 虹の方角は霧島山を背景にできる構図だが、残念ながら雲が掛かっていた。

 今日も大気の状態が不安定で、晴れ間が出ても1時間、いや30分も持たない。そしてにわかに曇ると小雨となる、というような繰り返しであった。
 
 野外スタジオでカブトムシの撮影をしていたが、結局、予定していた写真は一部しか撮影できなかった。

 カブトムシくらいのサイズになってくると、室内スタジオでの撮影はしたくない。室内だと仕事は捗るが、せっかくの野外スタジオがあるのだからこれを活用したい。しかし、天気だけはどうにもならない。カブトムシたちが元気に活動しているうちになんとか予定通りの撮影を済ませないといけない。

 天気が不安定なので、千葉から遊びに来ている友人と午後になって少しだけ近くのフィールドに出てみた。彼はチョウを採集したり撮影していたが、昨日はウスイロコノマをニレの樹液で、そして今日は羽化間もない新鮮なムラサキツバメの♂をネットインしていた。小2のお子さんは女の子だが、うちで採集できたカブトムシやノコギリクワガタを飼うといってさっそく虫かごに入れていた。

(写真/E-500 ズイコーデジタル14-54ミリズーム)新開 孝

ギンモンスズメモドキ 2007/08/08(その1)
 ギンモンスズメモドキはシャチホコガ科に属するが、和名は成虫の姿がスズメガ科に似ていることを現しているのだろうか。

 本種の若い幼虫を三股町、長田峡のイロハモミジで見つけた。お尻には2本の突起があって、その先端からムチのようものを伸縮させる。

(写真/EOSキッスデジタルN  シグマ50ミリマクロ)
新開 孝

タッタカモクメシャチホコ 2007/08/08(その1)
  三股町の長田峡に行ってみた。
 遊歩道の終点にある水銀灯にはいろんな昆虫が来ていたようで、その居残り組を少し見てみると、そのなかにタッタカモクメシャチホコがいた(写真上)。

 モクメシャチホコは以前に撮影したことがあるが、タッタカモクメシャチホコの実物を見るのは今回が初めて。調べてみると西日本に分布が偏っているようで、しかも局地的にしか見られないようだ。

 タッタカモクメシャチホコを手に取ってみると、脚を縮めて腹部を大きく内側に曲げた状態が長く続いた。どうやら擬死行動のように見受ける(写真下)。

 本種の幼虫は、まだ発見されていないようだ。新開 孝

カブトムシ 2007/08/07
 夏休みに入ってからお客さんが多い。
 昨日からは千葉の友人、その前日までは神奈川の親戚、そして今月末ころには東京の知り合いの方々と、うちは田舎であるからいろんな方が遊びに来てくれる。

 先月中に終わらせる予定であったヤママユの羽化シーン撮影が、羽化のピークがぱたりと止んでしまい、次に撮影のチャンスがいつ来るのか定かでない。そのためこの撮影を終えるまでは外泊などはできず、そして連日、夕刻から午後9時ころまでは繭の監視を怠ることもできない。これは日を追うごとにキツく感じる。

 それでこれまでサボっていたカブトムシの撮影を始めてみた。仕事の進め方には自然相手だとそれなりにスケジュールを小刻に変えて対応する必要がある。
 気分にムラができてしまう場合、そのムラを目先の変更、多様化という前向きな方向にもっていけばいい。気分にムラが多いことは、あまり良い事ではないように捉えられるが、それを逆手にとればいい。

 さて前にも書いたが、うちの林で昼間に活動しているカブトムシは小柄な個体が多い。しかし、夜になると、大きくて立派な個体が樹液に集まってくる。その理由はよくわからないが、カラスが大きな個体をよく食べてしまうせいだろうか?早朝には大きなカブトムシの残骸をよく見かける。ノコギリクワガタも同じようにでかい個体が腹部だけ喰われてころがっている。
  
 今は野外スタジオで仕事ができるので、撮影の効率もかなり上がる。手始めに夕焼けをバックにシルエットの写真をと思ったが、今日は条件が悪かった。

(EOS-5D  EF100ミリマクロ)

 新開 孝

アカハネナガウンカ 2007/08/05(その2)
 今年いただいた年賀ハガキのなかで、アカハネナガウンカ顔正面の写真がとくに秀逸であった。よく知っているつもりの昆虫であってこそ、意外な発見があるものだ。それを見事に写真に捉え、年賀の挨拶で披露していただいた。

 それで私もこのアカハネナガウンカの顔を、撮影してみた(写真上)。だいぶ前に近所のジュズダマの茂みで発生ポイントを見つけていたのだが、他の仕事が忙しくてこれまで撮影の機会がなかった。

 アカハネナガウンカはススキなどイネ科植物の葉裏にいて、植物の汁を吸って暮らしている。体色がオレンジ色なのと大きな翅が目立つので、4ミリ程度と小さい体の割には人目によくつく(写真下)。

 (写真上/EOSキッスデジタルN   マクロ65ミリ)
 (写真下/EOSキッスデジタルN シグマ50ミリマクロ)新開 孝

マダニの一種 2007/08/05(その1)
 昼食後、飼い犬のチョロの相手をしているうちに、右前脚付け根あたりに豆粒のようなものを発見した(写真上)。

 すぐにマダニ類だろうと気付き、いやがるチョロを押さえつけながら子供たちを呼んだ。

 「見てよ、マダニは吸血するとこうして風船みたいにでっかく太るんだ。マダニの大きさは、普段は2、3ミリしかないけど、ほら凄いでしょ。」

 自然離脱を待ったほうが良かったかもしれないが、チョロが可愛そうと子供たちも騒ぐので、さっそくマダニを取り除くことにした。しかし、マダニの口器が皮膚内に残るとマズいので、消毒用アルコールでマダニを弱らせて、ゆっくりとピンセットで引き抜いてみた(写真中)。
 
 うまくマダニを除去できてから、実体顕微鏡で眺めてみると、マダニの口器には逆向きの歯列があって、なるほど引っ張っても抜けないようになっている(写真下)。

 マダニに吸血された場合、すでに豆粒大にまで充分吸血したものは、無理矢理引き離さず、自然離脱を待つのが良いらしい。
 新開 孝

ケラのこども 2007/08/04
 飼い犬チョロの水桶の中の水面で、何やらもがいていた(写真上)。

 最初はノミバッタかなと思ったが、近づいてみれば、ケラのこども(若令幼虫)とわかった(写真下)。泳ぎは上手のようだが水桶の壁面は滑るのか、どうもがいても水面から脱出できない。

 うちの回りでは、ケラの鳴き声はよく聞こえるし、このケラの卵に寄生するというミイデラゴミムシも多いので、我が家の敷地内でケラが繁殖していても、おかしくはないわけだ。

 ケラという昆虫に初めて出会った小学生の頃には、この虫にたいへん憧れを抱いた。同級生が学級花壇で見つけたのだが、その手に包み込まれたケラを見た瞬間、奪い去りたいほど、欲しい!!と思ったのを憶えている。

(E-500  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 新開 孝

キボシアシナガバチの巣、危うし! 2007/08/02(その2)
 先月の台風4号は大型ではあったが、風の強さは今日接近した5号のほうが勝っていた。まだ吹き返しの風が強いが、雨は午後4時半ころには止んだ。
 吹き返しが強くなる前に犬の散歩を終えることができたのは幸いだった。チョロは、田んぼから飛び出してくる子ガエルを次々とおやつのごとく食べていた。

 さて、庭のケヤキ小木についたキボシアシナガバチの巣は、台風4号の風雨を辛うじてやり過ごしたのだが、今回はさすがに危機的状況となってしまった。

 巣を支えている小枝そのものが折れてしまい、今は薄皮一枚でつながっているだけ。強風に煽られて、巣はクルクルと激しく振り子運動を繰り返す。
 アシナガバチは、巣が枝に付着している柄の部分を補強することはできても、枝の折れた箇所まで遡って補強する術を持っていない。

(写真/EOSキッスデジタルN  シグマ50ミリマクロ)

新開 孝

サツマヒメカマキリのふ化幼虫 2007/08/02
 先月の13日に紹介したサツマヒメカマキリの卵のうが、昨日になってふ化していることに気付いた。
卵のうは見つけた時点で新しく、おそらく産卵から2、3日以内だったと思われる。すると産卵されてからおおよそ3週間程度でふ化したことになるだろう。
さて、そのふ化幼虫は真っ黒で脚先が白い。その姿はアリに似ており、これもアリ擬態の一例なのだろう。少し脅かすと体を伏せる行動は終令幼虫と同じで興味深い。ただし、いろいろやってみたが完全に脚を体に密着させての擬死はしなかった。
このふ化幼虫が今後順調に育っていくとして、年内に成虫となれるのだろうか?サツマヒメカマキリは終令幼虫で越冬するから、秋頃になってようやく終令になるのか、あるいは成虫となって秋に産卵するとすれば、サツマヒメカマキリではなく、ヒメカマキリである可能性も考えられる。
(写真/E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

草刈り作業の今日 2007/08/01(その3)
 以前は新鮮さもあって、草刈り作業のことをよく書いたりもしたけれど、それがはてしない日課となってきた現状では、ことさら書き述べることでもないだろうと、気持ちに変化が現れた。
 
 実際、刈れども刈れども、今の時期では少なくとも10日おきくらいには再び作業をせねば、あっという間に草むらは丈が伸びてしまう。伸びてしまうに任せているセクションも残してあるが、それでも草原としての環境を維持するには、ある程度は定期的に刈らないといけない。
 それで、できればヤギの力を借りたいとも一瞬思い直すこともあるにはあるが、今は愛犬チョロもいることだし、うちの庭が○○動物王国のミニチュアみたくなるのは、私の感覚としては抵抗がある。ペットは程々で良い。勝手に出入りする野鳥やけもの、ヘビなどを眺めているほうが楽しい。

 さて、今日はようやくにして、子供が通学路として使わせてもらっている、畑の間の農道の草刈り作業をした。この小道はうちから県道に出るまでの曲がりくねった坂道だが、一般車両は通行不可能な安全な近道であり、ゴミ出しもこの道を利用させてもらっている。

 しかもこの道沿いは昆虫観察にとってうってつけの環境となっている。とりわけトノサマバッタを多産する小道であり、この草原環境を手入れして維持する作業に私が加わる必然性もあるわけである。

 たいした距離もないので、1時間程度で済むだろうと思っていたらそれは大きな間違いだった。その誤算の一因は、道の片面にあるのり面の除草作業が計算から抜け落ちていたからだった。のり面の除草作業を肩掛け式の刈り払い機でこなすにはかなり手こずる。のり面の除草は背負い式の刈り払い機が適しているが、その機械は肩掛け式の価格の倍はするし、肩への負担が大きく、年中肩こりを患っている私としては使う気がしない。さらには轍の窪みの部分の草刈りはたいへん神経を使い、作業も難しい。

 それでもなんとか午前中いっぱいで草刈り作業を終えることができた。終了時には、全身サウナに入ったごとくパンツまで汗びっしょりになった。うちに戻って麦茶3杯、そして冷えたスイカに飢えた野獣のごとくかぶりついてしまった。

 午後4時になってから、刈った草をかき集める作業には子供たちにも手伝わせた。兄弟二人は軍手をはめて頑張ってくれた。

 これまでの東京の生活では考えられなかった、いろんな肉体労働のおかげで、夕食時のビールはたいへんおいしい。

(写真/E-300  14-54ミリズーム)

新開 孝

コガネグモ、ふ化する 2007/08/01(その2)
 我が家の敷地内で、これまでずっと観察できているコガネグモのメスは、わずかに3匹である。それ以外にもいくつかいたコガネグモのメスは、巣網ごと忽然と姿を消してしまった。
 最初は狩りバチである、キオビベッコウバチの餌食となったのかとむしろ期待が高まったのだが、巣網も同時に消失していることから、まずはコガネグモ自身が店じまいをしたのだろうと推測している。

 で、継続観察しているメスのなかでも、もっとも早く産卵したその卵のうが、昨晩、一斉ふ化して卵のうの外に出ていることに気付いた。
 この卵のうはプロパンガスのメーターのそばに産み付けられていた。そしてこの場所というのは、きわめて獲物に恵まれた特等席であることは、3匹のメスのなかでもお腹の膨らむ速度がもっとも速かったことでわかる。実際、いつ見ても何がしかの獲物を抱えて吸血しているのをよく観察できていたのである。

 その獲物の種類だが、梅雨時にあって、その大半がコガネムシ類であったことが印象深い。たまたま昨日、『自然観察者の手記』(岩田久仁雄 著/朝日新聞社)を読み返していて、和名コガネグモの由来は、その獲物のコガネムシから来ているのではないか、という著者の推測が綴られている箇所を見つけた。

 あ、なるほど!!コガネグモの急激な成長、そして卵巣成熟期と、コガネムシの発生ピークは見事に重なっているのだ。

 さて無数の子グモの数は、先の著書のなかで卵数を調べた結果も載っていたので、おおよそ推測ができる。卵数から推測できるその数は、1300〜2400匹程度ということになる。

 コガネグモは、クモの仲間の中でも、とくに多産ということらしい。

 で、卵のうがふ化したそのメス親は、ふ化と同時に巣網を残したまま姿を消してしまった。

(写真/E-500  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝
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