| 昨夜もヤママユのメスが羽化した。繭が大きい場合は大概、メスである。繭を見て雌雄の区別はおおよそ検討がつく。
ヤママユの翅や体の色には個体変異が多く、前回アップしたようなヤマブキ色したものや、今回のコーヒー牛乳色や、あるいはレンガ色、明るい黄土色、濃いチョコレート色など様々なタイプが見られる。その色変異は、雌雄に関係なく発現するようだ。
自分の好みというか、先入観でもあるけど、ヤマブキ色のタイプがヤママユのイメージとしては強く残っている。おそらく初めて見た個体がその色だったのであろうし、初めて開いた図鑑に載っていた標本写真もそうだったのだろうと思う。
ヤママユの体色にこれほど多彩な変異があることを知ったのは、『ヤママユガ観察事典』を作るために日本各地でヤママユを観察したり撮影したときのことで、当時はけっこう驚いたものだ。とくに福島県内で濃いチョコレート色の個体をいくつも見た時は、軽いショックを受けたほどだ。こんな色もありか!?別種ではないのか!?と。さらには、地方変異も関与しているのか?などと強く印象を抱いたのだが、東京の町田市の農家で大量飼育されていたヤママユは、ほとんどそれまで見て来た変異色が現れていたので、地方変異との関連性は低いのかもしれない。
それでもやはり私の頭のなかにあるヤママユのイメージは、どうしてもヤマブキ色なので、拙著『ヤママユガ観察事典』の表紙は、ヤマブキ色の個体が繭にぶら下がっている写真にしたいと考えていた。 しかし、本作りにはいろいろとその場でのルールがあって、表紙写真の選択権がまったく著者に無い場合もある。あっても出版社の編集者、デザイナーとの三者で協議していくなかで、決めていくことが多い。
さて、それでふと想い出したのだが、怪獣『モスラ』の体色は、ヤマブキ色ではなかったか?自分が幼少の頃見たモスラが、ヤママユのイメージと重なっていたのかもしれない。
もっとも『モスラ』のモデルがヤママユなのかどうか、確認したことはないが。
(写真/EOS-5D EF100ミリマクロ)
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