| 朝から降ったり止んだりだったが、概ね雨の一日だったと言える。 梅雨入り宣言後、湿度ももっとも高かったように感じる。
我が家は中古住宅を土地ごと購入したのだが、築10年の建物に関して、ほとんど不満を感じるところはなかった。 しかし、一点だけ不可解なことがあった。それは、屋根に雨樋が無い造りであったことだ。こういう造りは、最近の住宅建築ではかなり珍しいのではないか、と思う。
雨だれは、地面に深く敷き詰めた砂利石を通って地下に吸い込まれる、という造りなのだ。ところが敷地の一部では地面に染込んだ雨水のため、粘土層が流出してしまい、わずかに地盤沈下を起こしていることがわかった。このことに気付いたのは、物件購入後、リフォームの工事が入ってからだった。
実際、雨が激しく降ると、地盤沈下の部分には大きな水たまりができてしまう。 このまま放っておくわけにもいかない、という危機感を抱いたのは言うまでもない。 そこで先月、雨樋を取り付ける工事を行なった。できるだけ安く上がる工法で、なおかつ雨水の排水はきちんと機能するように、という注文を付けた。 その結果どうやら、雨樋の排水は順調のようで、雨が降るたびに、あちこちの排水経路を観察しているが、深刻だった地盤沈下の進行もこれで食い止めることができそうだ。工事を請け負った業者の方も、その後の様子を見に来てくれた。
さて、物件の購入当初、地盤沈下の問題に私ha 気付かなかった。 それは、物件の下見をしたときに、道路に突き出た太い塩ビパイプの役割を問い質したところ、パイプは浄化槽からの排水パイプだとの、説明を売り主から受けていたのであった。 ところが、ごく最近になってわかったことだが、浄化槽の排水パイプは別の場所で地下に埋設されており、目視できる構造ではなかった。 浄化槽の排水目的と説明を受けたその太い塩ビパイプとは、じつは、深刻な地盤沈下を引き起こしていた雨だれを、なんとか地下パイプに誘導し、道路の側溝へと排水する目的で設えたものであることが、雨樋工事を請け負った業者によりはっきりと判明したのであった。
一旦、仕組みがわかってしまうと、何もかもがよく理解できたが、入居後しばらくは、庭の一部の水溜まり、縁側の下の陥没、そして、でっかくて奇妙な排水パイプの関係が全く見えなかった。初めて家を購入するという経験のなかで、かなり慎重に進めたつもりなのだが、所詮は素人。 地盤沈下という、そのような深刻な事態に対処した売り主自身が、記憶を取り違えるなどということは、まず考えられない。売却に際して、物件の不備をきちんと説明する売り主も、そうそうはいないだろうけど。逆の立場になって考えてみれば、わからないでもない。
土地や建物、環境などなど、あまりにも私の望み通りとなり過ぎていることに、一抹の不安もあった。だから、きっと何か一つや二つの欠陥がいづれ発覚するだろうとは、覚悟していたことではある。覚悟の上だったし、まあ、土地と建物を所有するとは、こういう様々な問題に向き合うことなのだと、改めて思うしだい。
庭の片隅では、ガクアジサイとアジサイが花を咲かせている。いったいいつ頃に植えられたものかは知らない。植えた方が誰だったかなど、もう今更どうでもいいことだろう。 このアジサイを含め、敷地の様々な植え込みを手入れしていかねばならないのは、私と私の家族なのだ。
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