| アラカシの梢をムラサキシジミの幼虫が歩いていた。背中には一匹のアリが乗っかっている(写真上)。ムラサキシジミ幼虫の体色が桃色となっているのは、前蛹期が近づいているからだ。幼虫は蛹になる場所へと移動しているのかもしれない。
さて、アリ(種名は調査中)は幼虫のおしりに近い背面を触角でさかんに連打している。この連打によって、幼虫は蜜腺と呼ばれる部分(写真中/黒矢印の先)から何やら白っぽい分泌物を出す。その分泌物はすぐにアリが舐めとってしまうため、撮影することはほぼ不可能だ。 アリはその分泌物がお目当てだから、幼虫にとりついて離れようとはしない。
さらに幼虫はお尻に近い部分(写真中/赤い矢印)から、伸縮突起と呼ばれる一対の器官をときおり突き出す(写真下/アリの触角先端近くに見える白い円柱状の突起)。この伸縮突起が飛び出すと、アリはびっくりしたように、さかんに歩き回る。すぐにその騒ぎはおさまるが、それが一体どういう意味なのかよくわからない。
ともかくも、こうしてアリが幼虫の背中にとどまっているかぎり、幼虫をねらってやってくる寄生バチや寄生バエなどは、かなり排除されるのだろう。
「オラの大事な幼虫様に何すんだあ!!」
それまでおねだり一方だったアリさんが、護衛兵と変貌するのだ。もっとも、そのような場面を実際に見たことがないので、いつかはその撃退シーンを撮影してみたいものだと思う。
(写真/E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
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