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ハムシ2種 2006/11/15
 ガマズミの葉を虫喰いだらけに、あるいは丸坊主にしてしまうのが、サンゴジュハムシ(写真上)。すでに枝のあちこちに産卵痕が多く残されているが、サンゴジュハムシは卵で冬越しする。

 クコの葉っぱも虫喰いだらけになっているが、こちらはトホシクビボソハムシの仕業である(写真中)。前に無紋型の成虫を紹介したが、今日はようやくトホシ型を撮影することができた。
 今も多数の幼虫がいて、葉っぱを暴食している。さらに卵もたくさん見つかった(写真下)。写真のようにきちんと並べて産む習性がある。これからふ化して成長できるのだろうか?と気にかかる。しかし、トホシクビボソハムシは成虫越冬だから、今いる幼虫たちは冬本番となる前に、成虫にまで成長するのだろう。

先のサンゴジュハムシは年に一回だけ、そしてトホシクビボソハムシは年に4回ほど成虫が発生する。

(EOS−5D MP-E65ミリ サンパックB3000S改造ストロボ使用)新開 孝

コカゲロウの一種 2006/11/14(はじめ)
 体長1センチにも満たないカゲロウの一種が、アケビの葉上にいた。

 とにかく小さいけれど、ツンと立てた翅が綺麗だ。光りの当たり具合によっては虹色に輝いて見えることもある。極限に薄くした翅には、まさに神秘が宿るのであろう。

 カゲロウ類の種名を調べることはたいへんに難しい。それはちゃんとした図鑑がないこともあるが、それ以前に分類の研究がまだまだ遅れているからである。

 今日の写真は、先月、偕成社から「カゲロウ観察事典」を出版されたばかりの、仙台市在住の昆虫写真家、中瀬潤さんに、種名の確認をしていただいた。種名までは判然としないけれど、コカゲロウ科、コカゲロウ属の一種であることは確かということであった。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

小さなミノムシ 2006/11/14(その1)
 午前8時半ころ、中里の林を一巡して空堀川遊歩道に出てみた。今日は少し遠出をする予定だったので、早めに引き揚げるつもりだったが、ミノムシの交尾シーンを見つけてから、とうとう2時間あまりも観察していて動けなかった。

 ミノムシといっても、蓑の長さは7ミリしかない。まだ種名はわからないが、おそらくチビミノガの仲間だろうと思う。
 この小さなミノムシは川沿いの防護柵にたくさん付いていて、以前から気にはなっていた。しかし、どこで何を食べて、そして蓑の材料はどこから仕入れてくるのか、そういった生活面のことが皆目見えてこない。ほんとうに不思議なミノムシだと感じている。
 
 その小さなミノムシに今朝は2匹のオスの成虫がたかっていたのを、まず見つけた。翅を広げても1センチに満たない小さな蛾である。それでも触角は長くてよく目立つ(写真上)。
 近付いて見てみると、一匹のオスは蓑にしがみついているメスと交尾していた。もう一匹はあぶれオスというわけだろう。やがて飛び去っていった。
 メスの体には翅がすっかり退化して無い。ずんぐりとした体はほとんどが卵で占められているのだろう、頭部や脚はごくわずかに認められる程度。よくぞ蓑にしがみついていられるものと、感心する。

 さて、交尾時間はきわめて短く、このあとに目撃したカップルの観察も含めて、せいぜい数分から15分程度のようであった。
 他の蓑ではメスが産卵管を伸ばして、しきりにコーリングをしていた(写真下)。

 こうして午前中に配偶行動が行なわれることを知って、少し驚いたのであるが、オスの羽化は夜だということが文献にあった。そしてどうやらメスの羽化は早朝であるらしい。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
  
 新開 孝

ヘクソカズラヒゲナガアブラムシ 2006/11/14(その2)
 名前は長くて覚えにくいが、この色鮮やかなアブラムシはきわめて普通に見られる。名のごとくヘクソカズラに寄生するから、街中でもどこでも、あちこちでこのアブラムシは繁殖している。

 アブラムシは害虫として嫌われるから、そう言う意味ではよく知られている昆虫である。しかし、本種をはじめ、アブラムシには緑色、黄色、赤色など、色彩だけを眺めても綺麗な種類が多い。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

今日のゴマダラチョウ 2006/11/14(その3)
 先日、12日に紹介したゴマダラチョウ幼虫は、今日になって見てみると完全に茶色へと衣替えしていた。

 幼虫の止まっているエノキは、午前中の僅かな時間帯だけ日射しを受ける。風がおさまったわずかな瞬間に撮影してみた。

(E-500   マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

ウスタビガ、オスの羽化 2006/11/13
 リュックを背負っているせいもあって、うちから最寄り駅まで歩くと少しだけ汗ばんだ。日なたはけっこう暖かい。しかし、飛んでいるチョウの姿は見なかった。
 今日は午後から都内の出版社で打ち合わせがあった。快晴のなかフィールドに出ればそれなりに撮影したいものもあるが、撮影しているばかりでは仕事が前に進まない。そして、そろそろ引っ越しの準備の算段も真剣に考えねば、、、、。

 さて、そういうわけで今日の写真は、昨夜、撮影したもの。

 このウスタビガの羽化は、午後4時15分ころに始まったと推測できる。写真は午後4時35分に撮影している。羽化の瞬間は繭の中なので見る事はできないが、カサコソという擦れる音でわかる。
 ウスタビガの繭上部の口は細く合わさっているだけだが、けっこうキツく締まっている。羽化成虫は体をせり上げながら、その口を内側から押し広げるのだから、とてもたいへんな作業に違いない。だから繭の外へ体を完全に抜ききるのには、けっこうな時間を要する。
 繭脱出には物理的な力だけでは足りないのだろう。口から透明な液体を出し、化学的に繭口を緩めることにも抜かりが無い。口のところについているシャボン玉のような水滴が、それである。この液体のせいで繭口がしっとりと濡れている。固い繭を柔らかくしておけば、脱出の際に体を傷つける心配もない。
 もっともウスタビガの体は絨毯のような体毛で包まれており、ガードは万全なのだろう。

 関東の平地林では、今頃がちょうどウスタビガの発生ピークである。

(EOS-5D  MP-E65ミリマクロ  室内撮影)新開 孝

ゴマダラチョウ幼虫の冬支度 2006/11/12
 今朝は午前6時半ころに家を出て、所沢ICから関越道に入った。車の窓から富士山がよく見え、すでに雪を被った姿が綺麗だった。

 今日は群馬県桐生市新里町の「ぐんま昆虫の森」で、フォトコンテスト審査会があり、私は審査員の一人として出向いた。入賞した写真の作品は、来年1月6日から「ぐんま昆虫の森昆虫観察本館にて展示される予定。

 さて、午前中で審査会を終え、昼食に大間々のうどん屋で天丼(ミニうどん付き)を食べた。前にも書いたかもしれないが、群馬というところは、どこで食事しても盛りつけが多めに感じる。だから大盛りなど頼めば食べ切れないで困るほどだ。今日の天丼もたっぷりの量があって、けっこうお腹にこたえた。
 清瀬に戻ってきてから少しだけ中里の林を歩いてみたりしたが、胃の活動がさかんで眠くなってくる。晩ご飯はもう要らないかもしれない。

 エノキの葉表に留まるゴマダラチョウ幼虫の姿もすこしづつ減ってきている。今日の写真の幼虫も、急に色変わりしてきた。葉っぱは萎れ始めているが、葉柄にはしっかりと糸が巻き付けられており、風で葉っぱごと吹き飛ばされる心配はほとんどない。

(E-300   マクロ50ミリ )
新開 孝

今日のアオスジアゲハ幼虫 2006/11/11
 午後から雨になった。

台所の窓の外では、アオスジアゲハ幼虫が数匹、冷たい雨滴に濡れている。幼虫は雨が降ろうが、強風が吹き荒れようが、葉っぱの表に留まる習性がある。人から見れば、葉裏で雨宿りすればいいものを、と思いたくなるが、昆虫というのは概して頑固である。

写真上の幼虫は昨日、終令へと脱皮したばかりで、写真下の幼虫はまだ4令幼虫である。この幼虫たちは先月22日に若いころの姿を紹介しているが、気温が低いこともあって彼らの成長はずいぶんと遅い。
この調子でいって無事に蛹にまで成長できるのか、少し心配になってしまう。

(E―300  50ミリマクロ )
新開 孝

ウスタビガのメス 2006/11/10
 先日、ウスタビガのオスを紹介したが、今朝はメスに出会えた。

 ウスタビガは、羽化したあと自らの繭がそのまま足場となり、特にメスの場合は繭にぶらさがったまま「コーリング」と呼ばれる性フェロモン放出を行なう。こうしてオスがやってくるのを待つわけで、したがって繭にぶらさがっている時間がたいへん長くなることもある。私の観察ではなんと8日間もぶらさがっていたメスもいた。反対に短い場合では、羽化後20時間以内に飛び立ってしまったこともある。
 
 ところがオスでは、羽化して翅が伸び切ってしっかりすると、繭に長く留まることなく大空へと旅立ってしまう。つまり野外で繭にぶらさがったオスに出会える確率はきわめて低いのである。羽化の瞬間に立ち会えれば、別だが、、、。

 ウスタビガの羽化時刻というのは、近年の研究報告によると、午後2時から始まり、ピークは午後6時だったという(三田村敏正:「ウスタビガの配偶行動と産卵」Int.J.Wild Silkmoth &Silk 8,73-80(2003))。
 私が観察した範囲でも、羽化時刻は3時から4時半のあいだであり、ヤママユなどの午後7時以降の夜間羽化に比べると、ウスタビガの羽化時刻は少し早めの夕方となっている。
 しかも前出の報告によれば、ウスタビガのオスは早朝5時頃から活動をはじめ、昼間さかんに飛翔し、活動が終了するのが午後4時頃という。
 実際、秋晴れの林の上空をかなりの速度でまっしぐらに飛翔するウスタビガのオスの姿はよく観察できる。

 さて、真冬の雑木林の梢で見つかるウスタビガの繭殻に、ときおり卵が付着している理由も、もうこれで御わかりになった事と思う。
 繭にぶらさがったメスのところへオスが飛来し、そこで交尾が成立するケースが、けっこうあるということを物語っているのである。メスは最初の産み始めを繭表面で行ない、それから他所へ移動しながら産卵していく。 

(E-330  ズイコーデジタル8ミリ魚眼  )

 
新開 孝

セスジツユムシ 2006/11/09
 セスジツユムシのオスが死んでいた(写真上)。

 死因は定かでないが、寿命が尽きたのではないだろうかと思える。鉄柵上に静かに横たわる姿には、秋の終わりを感じさせるものがあった。

 一方、少し離れた場所ではセスジツユムシのメスが脚をふんばって静止しており、その姿にはまだまだ元気!という感じを受ける。たしかにメスのお腹はいっぱい詰まった卵で膨らんでおり、これから産卵をする日々を待っているのであろう。

 (E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)

新開 孝

金網防護柵の昆虫たち 2006/11/08
 今、手掛けている本造りのなかで、どうしても撮り直しをしたい1枚の写真があった。ほんとうは部屋に籠っていろいろやるべき仕事があるのだが、その撮影をするために中里の林に午前中いっぱい出てみた。

 秋晴れの林を歩くと、とても心地良い。心地良いけれど、だからといって仕事の段取りを忘れてはいけない。
 昨日、同行した森上さんのリクエストもあって、今日のフィールド巡りにはその要望のあった観察も組み込んでおいた。条件さえ良ければ、森上さんはこの中里へわざわざ撮影に来られるそうだから、その判断基準となる観察をきちんとしておきたい。

 さて、これまでにも幾度となく紹介してきた、「金網柵の昆虫観察トラップ」。空堀川の遊歩道と雑木林の間に設えた防護柵は、さまざまな植物や昆虫の生活空間となっている。

 先日、産卵の様子をアップしたコカマキリの卵のうも、今はしっかりと色付いた(写真上)。その並びで見ていけば、スジグロシロチョウの越冬蛹も見つかった(写真中)。アオマツムシのメスも、ちょうど手頃な隠れ家として、この金網柵の庇をよく利用している(写真下)。


(E-330   ズイコーデジタル魚眼8ミリ+1.4倍テレコン)

 『清瀬市郷土博物館での写真展』

 来年3月(平成19年)、清瀬市郷土博物館にて、私の写真展と講演などが催される予定。
 詳しいことはまた改めてお知らせしたいと思うが、この催しでは、私が当「昆虫ある記」で綴ってきた写真観察のパネルもかなり含まれる。私が長年、東京都清瀬市に住み、その身近なフィールドで撮影してきた昆虫たちの姿を紹介するつもりである。
 期間は3/8〜3/18の10日間で、最終日の18日には講演会を予定している。

 3月の末には宮崎への移転も控えているので、この写真展の開催中は荷物の梱包などに追われていることだろう。しかし、できるだけ会場に出向いてみたいと思っている。

 今回の催しは、私の東京生活24年間の締めくくりの、大きな一つになるに違いない。

 新開 孝

ウスタビガのオス 2006/11/07(その1)
 所沢市のある広大な雑木林は、私が過去にメインフィールドとして足繁く通った場所である。
 午前中の青梅市のフィールド(その2)をあとにして、午後からは所沢市に場所を移した。ここでの案内役は、今度は私が務めることとなった。

 しかしながら、この所沢市郊外の雑木林の荒廃はいかにも激し過ぎる。私のお気に入りだったクリ林も、今では手入れされることなく放置されたたままで、悲惨な姿となってしまった。同行した森上さんには申し訳ない気もするが、過去の私が撮影した現場の仔細を話しながら歩いていると、ウスタビガのオスに出会した(写真上)。

 (EOSキッスデジタルN  EF15ミリ水平魚眼)

 新開 孝

キノカワガ 2006/11/07(その2)
 今日は、青梅市のある谷戸へ案内してもらった。案内役は森上信夫さん。森上さんは当「ある記」では何度も登場しているが、大学職員を務めながらも精力的に昆虫写真を撮っておられる。今年は、私と一緒にフィールド巡りするのも最後になるということで、何回かご一緒する機会があった。
 本来、私は人と連れ立ってフィールドを歩くことを好まない。しかし、観察会の仕事をきっかけに、ときおり仕事関係の方々と個人的にフィールド巡りする機会が増えてはいる。

 カキの木の梢で、森上さんが「これは何でしょうね?」といって見つけたのが、キノカワガの繭殻であった。そこからしばらく歩いて、今度は私がスギの樹皮上でキノカワガの成虫を見つけた(写真)。

  「ここでコマダラウスバカゲロウの幼虫でも見つかると面白いね」などと言いながらその幼虫を探してみたが、繭殻すら見つからなかった。


(EOS-5D  EFマクロ100ミリ)
 
新開 孝

ゴマダラチョウ幼虫の衣替え 2006/11/06
 ゴマダラチョウ幼虫はエノキの葉で見つかる。それも葉の表面にでーん、と構えているのでたいへん目につき易い。
 ゴマダラチョウの幼虫は自分の居座る場所を一旦決めると、ずっとそこで暮らすようになり、食事のときだけ他の葉っぱへと出掛ける。つまり、芋虫と言えど住居を定めるわけである。この住居とは、葉の表面と葉柄(葉っぱの付け根)部分に糸を丹念に吐きつけただけのものだが、足場としてはしっかりしており、例え強風が吹き荒れても、幼虫が投げ飛ばされるようなことは滅多にない。

 さて、9月23日に見つけた幼虫をこれまでずっと観察してきた。マンションから駐車場に通う途中にあるエノキだから、数日おきには幼虫を見ることができた。
 今日は、幼虫の体色がすっかり茶色になり、住居もすっかり枯れ葉となっていることに気付いた(写真中段、下段)。そこで、9月と10月に撮影した写真をここにまとめてみた(写真上段/4枚組、クリック拡大してご覧下さい)。

 4枚組のうち、左上が9/23、右上が10/4、左下と右下が10/31に撮影したもの。10/31の段階で4令になっている。

 体色が茶色になると、いよいよ地面へ下り、落ち葉のあいだに潜り込む日もそう遠くはない。
 秋も深まり、冬がそこまで来ている。そういう季節のうつろいを、ゴマダラチョウ幼虫の衣替に見ることが出来る。

(EOSキッスデジタルN   シグマ50ミリマクロ)

 新開 孝
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